著者
木下 聡
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.685, pp.18-31, 2005-06
著者
植田 康孝
出版者
江戸川大学
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
no.26, pp.141-158, 2016-03

新しいメディアが新しい体験をもたらし,時として認識する方法を再編し人々の生活あるいは人生のあり方を変えることは,メディア史研究の源流の一つであるイニス,ハヴロック,マクルーハンらの第一世代,オングやメイロウイッツら第二世代のトロント学派によって提起されてきた。たとえば,最近のInstagram の急速な普及は,特にファッション分野において男性中心だった写真文化の「女子化」というメディア文化の変容をもたらしている。スマートフォンの普及に伴い,Instagram の月間アクティブユーザー数(MAU)は4 億人に増えTwitter の月間を超えLINEに次ぐ2 番目のアプリの位置を占めたことが報告されるが,本学学生の間においても,約6 割の学生が利用経験を有し,約9 割の学生が撮影した写真をネットに投稿した経験があることがアンケート調査で分かった。インターネットの面白いところは,作り込まれたテレビ番組を見るよりも,Instagram で流れて来る友人の近況の方が「エンタテインメント」になることである。更にInstagram が急速に広がった理由として,若者が好む「自己肯定感」がある。Instagram に投稿した意外な背景やイケてる自分が仲間に注目され認められれば,自信につながる。同じインターネットサービスであっても,ブログとは異なり,ネットワーク財としての性格が強いInstagram の場合,ネットワークを通じて拡散する傾向が強く,ユーザーの自信が増幅して投稿する誘因となりうる。特にファッション分野においては,モデルや女優が自撮りした数多くの写真をInstagram に投稿するようになっている。Instagram は,その日のファッションや訪れたカフェの写真を投稿したり,好きなモデルやタレントをフォローしたり,「おしゃれ」なイメージから大学生を中心に人気が拡大している。Instagram には,ファッションアイテムやコーディネート,ヘアアレンジ,メイクなど,多様なファッション関連写真が投稿される。Instagram はファッションに関する若者の興味関心を細分化することにより,多様化多彩化していくメディアである。一方でInstagram はそのメディア(中間)性を発揮して若者を結び付け,「想像の共同体」を育んだ。その疑似空間は時にお互いが切磋琢磨する学びの場となっている。ファッションモデルやファッションブロガーの大半がInstagram にアカウントを持っており,ファッションに関心がある若者はこれらモデルや有名人をフォローして,コーディネートを考える時にInstagram を参考にするようになっている。そのため,「ファッシニスタ」と呼ばれる美意識の高い先進的な若者がファッションに関する知識を得るメディアは,かつての店頭マネキン(1970 年代),テレビ・新聞(1980 年代),ファッション雑誌(1990 年代),読者モデルによるブログ(2000 年代)からInstagram(2010 年代)へと移行した。エンタテインメントビジネスでは,「演者」と「観客」の偏りで大きく2 つに人気構造が分かれる。たとえば,ジャニーズやAKB48 などアイドルは「異性間消費」である一方,ファッションにおけるInstagram は同性から支持を受ける「同性間消費」である。「異性間消費」は「疑似恋愛」の関係が観客から演者に取り結ばれる一方,「同性間消費」では観客から演者に「私もかくありたい」という憧れの構造が取り結ばれる。Instagram はその先進性がゆえにオールドメディア過ぎる人々には包摂と排除のメカニズムを有するが,ミレニアルズ(21 世紀世代人)にはメディア環境変化の必然である。
著者
岡村 逸郎
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.40, pp.87-99, 2015-10-30

本稿の目的は,「対等」な支援者-被害者関係にもとづく犯罪被害者支援の言説が,犯罪被害者救済に従事してきた被害者学者によってなぜ形成されたのか明らかにすることである.分析の対象は,被害者学,刑事法学,ないし刑事政策を専門とする学者の論文・著書である.精神科医は,「専門家」が救済対象を選別することによって,救済者-被害者関係を「対等」でないものとして捉えることが,さらなる2次被害ひいては3次被害を被害者に与える加害行為だと批判した.2次被害の概念は,被害者学者がこれまでおこなってきた救済の活動を加害行為に反転させてしまうという意味で,かれらにとってネガティブな側面をもった.被害者学者は,このネガティブな側面が精神科医の対抗クレイムによって顕在化したために,「対等」な支援者-被害者関係にもとづく犯罪被害者支援の言説を形成した.
著者
杉本 まゆ子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.164-168, 2015-04-01

宮内庁書陵部図書寮文庫の保存と公開に関しての紹介と今後の課題について述べた。図書寮文庫は,大宝律令で定められた図書寮を淵源とし,直接的には1884年に設けられた図書寮を受ける部署である。まず,天皇・皇族の御蔵書を核に,公家や武家の所持していた本,学者の蔵書などが加わって形成された広範な蔵書群の特徴を述べた。また保存の核となる修補係・出納係について,原態を留めることに注力し,状況を悪くしないための綿密な防黴防虫作業を紹介した。最後に2013年に開始した書陵部所蔵資料目録・画像公開システムの紹介とともに,今後の公開の鍵となるデジタル画像の公開方法について,現状思うことを述べた。
著者
松山 洋平
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.75-98, 2011-06-30

本稿の目的は、ターハー・ジャービル・アル=アルワーニーのクルアーン解釈理論に焦点を当て、その思想のポストモダン性を描出することである。アルワーニーは、クルアーンの啓示と預言の封緘によって、神が明示的に世界に介入する「神的主権」が終結し「クルアーンの主権」の時代へ移行したと論じる。この「クルアーンの主権」理論は、シニフィエとしての神本体ではなく、クルアーンというシニフィアンに対して主権性を付与するものだ。但し彼は、「世界のキラーア(読解)」と「クルアーンのキラーア」の相互依存関係を指摘することで、その思考を法的な問題領域の内に留めた。そして、現代におけるイスラーム法の望ましい形として「少数派フィクフ」を提唱する。「少数派」として生きることを前提とするこの法概念は、ミクロロギーの世界でのみ正当性を持つ「小さな物語」を作り出す。本稿は、アルワーニーに限られない現代イスラーム思想界全体に密に浸透しつつあるポストモダン的なエートスを指摘するための準備作業の一環である。
著者
呉 珠響 斉藤 恵美子
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.2-10, 2015

目的:日本の都市部で生活するフィリピン女性の食習慣の文化変容について明らかにすることを目的とした.<br/>方法:エスノグラフィの手法を用い,6名のフィリピン女性に半構成的面接を実施した.<br/>結果:収集したデータから141の構成単位を抽出し,29個のサブカテゴリから【フィリピンスタイルを続ける】【おやつとしてミリエンダをとる】【調理法を和風に変える】【日本の味にアレンジする】【和食を手軽に取り入れる】【食事に野菜を取り入れるようになる】【健康のために和食にするようになる】【日本スタイルを当たり前に受け入れる】の8カテゴリに分類した.<br/>考察:日本に定住しているフィリピン女性を対象とした保健指導などの機会には,文化変容についてもアセスメントし,健康に関わる自国の習慣の維持または変化や,日本社会の習慣や文化の受容の過程に着目することの必要性が示唆された.
著者
[シン] 東風
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.179-194, 2010-06-30

Earthquakes are one of the extraordinary natural phenomena that strike people with terror. Quite a few accounts of this phenomenon can be found in Buddhist scriptures, which help us understand how earthquakes, a great force of nature, were perceived in Buddhism. With precise analyses of earthquake behavior and accompanying phenomena, each of these scriptures interprets earthquakes as a desirable phenomenon for people living on earth, attributing the tremors to mysterious supernatural powers possessed by Buddha, bodhisattvas, other Buddhist deities or venerable monks. This interpretation of earthquakes as auspicious cannot be seen in other religions, and is unique to Buddhism. Given that the Zai-yi Theory in Confucianism, which developed in the same region as Buddhism, regards earthquakes as a disaster caused by deities expressing strong criticism of earthly rulers, the uniqueness of Buddhism's view of earthquakes is more clearly identified. By analyzing and interpreting earthquake-related documents found in Buddhist scriptures, this paper demonstrates that Buddhism acknowledges earthquakes not as a mere phenomenon of nature, but as a phenomenon of religious significance. In particular it shows that the causes and functions of earthquakes serve a religious purpose, and that Buddhist accounts of earthquakes represent the religion's unique perspective on this phenomenon, based on its view of world and mythology.
著者
高田 尚樹 藤本 貴之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.32, pp.99-104, 2009-03-11
被引用文献数
1

近年のゲーム機は,コンピュータとほとんど差異のない性能を持ち,多様な表現が可能である.その反面,旧世代のゲーム機に愛着をもっている層も多く,旧世代ゲーム機の中古市場が存在するなど,最新型ゲームとは違った社会的意義を持っていると考えられる.本研究では,旧世代ゲーム機の代表的機種である 「初代ファミリーコンピュータ (任天堂)」 を利用した現世代コンピュータを実現し,またその意義とエンターテインメント・コンピューティング研究における今後の可能性についても言及する.The recent game machines have the same performance as computers and it is possible to express many things. But there are many fans that are attached to the old game machines and it is fact that secondhand markets for the old game machines exist. This research produces the existing entertainment computer, using 'NES (Nintendo Entertainment System)' which is a typical machine of an old game machine and this refers to the importance and future possibilities in entertainment computing study.
著者
田中 信壽
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.129-138, 2005
参考文献数
78
被引用文献数
6

The health hazards posed by Virtual Reality (VR) environments can be divided into two groups based on their developing mechanism. The first group is related to optical stimulus load and is exemplified by Visual Display Terminal (VDT) Syndrome. The second group encompasses those caused by space information confusion and is exemplified by VR sickness. Among space information confusion induced hazards, VR sickness is especially serious because it can involve strong discomfort, headache, nausea and vomiting. Because VR sickness may prove to be a barrier to the spread of VR environments, it is thought that countermeasures are required. This paper reports the current state of VR sickness countermeasure knowledge. Research is summarized and organized mainly according to the following stories: "Cognition of VR sickness", "Mechanisms involved with the development of VR sickness", "Directions for countermeasure development" and "Evaluation of VR sickness".
著者
北澤 綾那
雑誌
日本文學 (ISSN:03863336)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.31-69, 0000
著者
中村 千里
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.436-442, 1978

農林水産研究情報センターが,筑波農林研究団地の共同利用施設として,昭和53年10月に開設され,以後関係情報の収集,処理,提供業務を段階的に拡充していく予定である。農林水産関係の試験研究情報活動は主として国立試験研究機関等を中心に昭和30年代末から活発化し,40年代において,シソーラス作成,国内文献索引作成,進行中の試験研究課題機械検索システムの開発,FAOのAGRISへの協力などに着手してきた。しかしこれら各業務は,それらを行なう中心的な機能,施設を欠き,個々の潜在的な協力態勢によってなされてきたのであるが,今回その中核となる上記センターの設置により,一層の農学関係情報活動が進展するであろう。