著者
滝澤 恵多郎 齋藤 寛
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.2013-SLDM-163, no.13, pp.1-6, 2013-11-20

本稿では,束データ方式による非同期式回路を FPGA に実装するための設計支援ツールセットを提案する.始めに面積や静的タイミング解析のしやすさを考慮し,プリミティブを用いて制御モジュールを定義する.これらを用いて制御回路を実現する.次に設計制約コマンド生成の自動化,タイミング検証の自動化,タイミング違反時の遅延調整の自動化を行うツールセットを提案する.提案するツールセットと商用の FPGA 設計ツールを使用することにより,FPGA を対象にレイテンシ制約を考慮した束データ方式による非同期式回路設計が容易に行える.実験ではいくつかのベンチマークに対し提案するツールセットを適用し,回路面積,実行時間,消費電力,消費エネルギーの観点から同期式回路との比較を行う.
著者
清水 順子 小林 浩明
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.8, pp.53-62, 2010-03

本稿は学部留学生対象の読解授業の在り方を検討したものである。言語教育の分野で新たなパラダイムシフトが起こり、社会の構成員としての学習者の自律性が重要視されるようになっている。また、大学における学びも学習者の自律的かつ主体的な行動なしには成立しない。学習者オートノミーを育てながら読解力を養成するために、日本語の授業で何ができるのだろうか。そこで、個々の学習者が自律的にテキストに取り組むために個別対応型チュートリアルの授業を行い、一人一人の学びに対応することにした。さらに、従来の読解授業では、一斉授業方式で行われ、学習者の読みの結果のみを扱ってきたことが問題であった。そのため、個々の学習者の読みのプロセスを共有し、自己発見を促すためにピア・リーディングの授業を並行して行うこととした。ピア活動における他者は、学習者の「読んだつもり・わかったつもり」にゆさぶりをかける存在であり、対話という他者との相互作用によって新たな発見が起こり、テキストへの更なる理解をめざす。
著者
宮田 公佳
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.180, pp.209-229, 2014-02-28

博物館等に収蔵されている資料のみならず,撮影された資料画像あるいは調査研究の成果である報告書等もまた情報資源であり,これらの情報資源から抽出された情報が展示や新たな研究へと活用されている。情報資源を有効活用するためには,情報の抽出,処理,利用に関する手段が必要であり,画像情報や文字情報を個別対象とした先行研究が行われている。画像と文字は情報種別としては異なるが,果たすべき役割には共通点が存在するため,両者の特徴を融合することで相乗効果を発揮し,情報資源をより有効活用することができると考えられる。膨大な情報を有効活用する手段として,データベースが広く用いられている。一般的に,データベースは検索語の入力によって検索が行われるため,検索語に関する事前知識が必要となる。博物館等が提供するデータベースには専門的な用語が多く入力されているため,必然的に利用者には専門知識が要求されることになり,結果として専門家のためのデータベースとなりやすい。そこで本研究では,画像情報と文字情報とを融合させることで,専門的な事前知識の有無に影響を受けにくい情報活用手段としてのデータベース構築について議論する。対象資料は洛中洛外図屏風歴博甲本であり,描かれている人物に関して抽出された文字情報と,デジタル化された資料画像とをデータベースという形式で融合する手法を検討する。博物館展示では,資料解説等の役割を担うデジタルコンテンツが運用されることがあるが,本研究ではデータベースをデジタルコンテンツ化することで,利用者に対してデータベースであることを意識させないインタフェイス設計についても検討を行った。本論文における対象資料は一点のみであるが,情報活用手段を入力,処理,出力の三要素に分解することで一般化を試みており,類似資料の活用においても本論文におけるデータベース構築手法は応用可能である。
著者
佐々木 美智子 王 治文
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科学科長
雑誌
リハビリテーション科学 : 東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 = Rehabilitation science : memoirs of the Tohoku Bunka Gakuen University Faculty of Medical Science & Welfare, Department of rehabilitation (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.55-61, 2008-03-31

介護老人福祉施設のあり方は,措置制度から契約制度へと変化し,「自立支援」や「在宅復帰支援」を求められるようになってきた.そのため,福祉施設においても機能訓練が重要視されるようになってきているが,実際の取り組みについての報告は少ない.本研究においては,我々が福祉施設で実施していた機能訓練の内容を調査し,福祉施設における機能訓練のあり方や今後の課題について検討した.我々は,入所者への機能訓練で,関節可動域訓練などの身体機能への訓練やポジショニングや環境調整などを実施し,職員への指導では,移乗動作などADLの介助方法について多く助言を行った.福祉施設における機能訓練は,対象者の身体機能・精神機能の維持のためのアプローチと日常生活の動作能力の維持や改善につながる介助方法や対象者の能力を引き出すための環境調整など,多様な視点からの関わりが重要であると考えられた.
著者
守岡 知彦
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2016-CH-111, no.4, pp.1-8, 2016-07-23

HNG の基になった 「石塚漢字字体資料」 のカード画像を CHISE-wiki 上で試験的に公開したのでその概要について報告する.また,京都大学人文科学研究所所蔵の開成石経の拓本画像と 「石塚漢字字体資料」 のカード画像の統合も試みた.
著者
照井 実咲 富澤 浩樹 市川 尚 阿部 昭博
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.749-750, 2016-03-10

東日本大震災から4年が経過した現在、震災の記憶の風化が懸念され始めている。被災した県の図書館では資料収集などの取り組みが行われており、資料の継続的な利用と持続可能な資料の収集を促すための取り組みが求められている。岩手県立図書館では、2011年より「震災関連資料コーナー」を公開しているが、利用者からは、資料を検索するキーワードが思いつかないという声が多数あがっている。そこで、本研究では、震災資料のスムーズな検索が可能となるよう検索支援機能の開発を行った。
著者
加藤 巌
出版者
和光大学社会経済研究所
雑誌
和光経済 = Wako Keizai (ISSN:02865866)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.23-36, 2014-03

The purpose of this research is to examine how Japan could sustain the social sustainability under the pressure of aging. In recent years how Japan is possibly affected by the social aging phenomenon has been discussed. In general the perspective of the future aged Japanese society is hopeless. Therefore especially in this paper we study on the possibility, that the good practice for employment of senior citizen would support the social burden of aging society in the future. In this meaning, private sectors would be required to hire the senior citizen, even after they formally retire.
著者
西村 麦子
出版者
甲南大学情報教育研究センター
雑誌
甲南大学情報教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.4, 2005-03

2004年度サイバーキャンパス整備事業補助金によるコンテンツ作成の概要
著者
小椋 純一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.297-317, 2003-03-31

日本の植生景観は,有史以来,特に植生への人間の関わり方により大きく変化しながら今日に至っている。それは,たとえば第二次世界大戦後に特に顕著なスギやヒノキなどの人工林の急速な拡大,あるいはここ30~40年ほどの間のマツ林の急激な減少などの森林の樹種的な変化もあるが,その他にも明治期以降における里山の森林樹高の変化,あるいは草原の減少などもある。本稿では,京都府の場合を例に,文献から明治期における植生景観の変化の背景を考察したものである。その結果,明治期における京都府内における植生景観の変化の大きな背景として,砂防事業の推進,山野への火入れ制限・禁止,植林の推進があったものと考えられる。そのうち,砂防については,明治4年以降に大々的な砂防事業が展開され,樹木の伐採や採草の制限・禁止などの措置がとられた。また,山野への火入れ制限・禁止も,森林の保護や拡大を主な目的としてなされ,それに対する規制は明治10年代よりかなり強くなっていった。また,明治初期より植林の奨励がなされ,それは山野への火入れ制限・禁止などで支えられることにより,明治後期にはしだいに盛んになっていった。これらのことにより,淀川流域の一部に存在したはげ山,農山村の採草地などとして存在した草原,あるいは燃料として利用された低木の柴地が減少していく一方,スギ・ヒノキを中心とした森林が拡大し,あるいは森林の樹木が高木化するなど,京都府内の植生景観に大きな変化が見られるようになったと考えられる。
著者
西山 一朗 篠 政行 Ichiro NISHIYAMA SHINO Masayuki
巻号頁・発行日
vol.34, pp.15-20, 2001-03-03

キウイフルーツ果汁からコバレントクロマトグラフィーにより、アクチニジンを96%の純度で精製した。食肉を精製アクチニジンによって処理したところ、pH3.3では食肉タンパク質が非特異的かつ非選択的に加水分解されたのに対し、pH6.0ではミオシン重鎖の選択的加水分解が生じた。食肉組織を走査電子顕微鏡で観察したところ、pH6.0の条件下でアクチニジン処理を行ったとき、筋原線維の基本構造は保持されたまま、筋内膜が分解除去されることが示唆された。以上の結果からアクチニジンは、従来使用されてきたパパインやブロメラインなどの食肉軟化酵素にはない、優れた特性をもつものと考えられる。