雑誌
立教經濟學研究
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.163-165, 1996
著者
成澤 修一 峯松 信明 広瀬 啓吉 藤崎 博也
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.2155-2168, 2002-07-15

藤崎らによる音声の基本周波数パターン($F_0$ パターン)生成過程のモデルは,少数のパラメータから実測の $F_0$ パターンにきわめて近いパターンを生成しうることが知られており,音声合成に広く用いられている.一方,実測の $F_0$ パターンからモデルのパラメータを抽出することは解析的には解けない逆問題であり,初期値を与え逐次近似を行う必要がある.この場合,高精度のパラメータを迅速に抽出するには適切な初期値の設定が不可欠であるが,従来はこれを人手によって行っていたため,大量の音声資料の自動的処理は困難であった.本論文では,実測の $F_0$ パターンからパラメータの初期値を自動的に決定し,さらにそれに基づいて高精度のパラメータ抽出を自動的に行う手法を提案する.この手法は,実測された $F_0$ パターンをいたるところで連続かつ微分可能な曲線によって近似するための処理,得られた曲線からアクセント指令とフレーズ指令のパラメータの初期値を決定するための処理,さらにそれらの初期値をもとに逐次近似によりパラメータの最適値を求める処理,の3段階の処理からなる.共通日本語の男性・女性話者各1名の朗読音声を対象とした実験の結果,男性の朗読音声について,以前に提案された手法では,パラメータ抽出の性能として,指令の再現率78%,精度67%であるのに対し,提案手法によればそれぞれ82%,80%であった.また,女性の朗読音声については,従来手法では再現率60%,精度51%であるのに対し,提案手法ではそれぞれ83%,72%であった.この結果から,本手法の有効性が実証された.
著者
久保 長徳 小高 知宏 小倉 久和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第50回, no.人工知能及び認知科学, pp.269-270, 1995-03-15

最近、遺伝的アルゴリズムによって知識獲得をする試みが様々な分野でなされている。人は、ゲームの戦略をはじめのうちは知らなくても、繰り返しゲーム行うことで、ルールにのっとったなんらかの戦略を獲得することができる。このプロセスを遺伝的アルゴリズムを用いてコンピュータ上で実現することが本研究の目的である。これまで我々は三目並べゲームの戦略知識をニューラルネットワークを用いて表現し、この表現を用いた遺伝的アルゴリズムによる知識獲得の研究を行なってきた。今回は解読や加工が簡単な戦略知識の記号表現とそれ用いた遺伝的アルゴリズムによる知識獲得について検討した。
著者
若宮 翔子 ヤトフト アダム 河合 由起子 秋山 豊和 荒牧 英治
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.14-24, 2016-09-30

Twitterに代表されるソーシャルメディアはイベント検出で頻繁に活用されている.このようなシステムでは,ツイートを特定の時間や位置に割り当てるために,タイムスタンプ(日時)やロケーションスタンプ(緯度経度)などのメタデータが重要な役割を果たしている.一方で,コンテンツに書かれたテキスト文中の時間や位置に関する表現は曖昧な場合があり,メタデータよりも信頼性が落ちることから,十分な活用が困難であった.このため,我々はメタデータと時空間表現の差異分析を可能とする,大規模ソーシャルメディアデータの可視化システムを開発している.本稿では,特に空間に対する群衆の関心を分析するため,ツイートの発信位置(メタデータ)とコンテンツテキスト中の位置表現の差異を可視化するシステムを提案する.実験では,約3カ月分の米国で発信されたツイートを用いて3種類のデータビューを構築し,空間的な尺度に基づき群衆の空間的関心に関する分析結果の例を示して考察する.提案したフレームワークや考察は,ソーシャルメディアデータの地理的・社会的な側面に関心を持つユーザにとって有用であると考えられ,また,将来的に,テキストの位置情報を用いたメタデータの補完に有用であると期待される.
著者
林 亮輔
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.No.16, 2015-10

民間経済活動が行政区域を越えて行われている今日、地域政策は一体性の強い地域を対象に行う必要がある。しかし、民間の経済活動には様々な側面があるにもかかわらず、わが国においては学術的にも政策的にも、職場と居住地からなる通勤圏を都市圏とすることが多い。そこで本稿では、企業活動に基づいた都市圏である企業活動圏を法人使用車移動率によって設定し、金本・徳岡(2002)において設定されている都市雇用圏(通勤圏)と比較した。その結果、都市雇用圏は、中心都市と郊外都市が互いに隣接し合いながら形成されているのに対し、企業活動圏は、高速道路の存在により、郊外都市が点在しながら圏域が形成されていることが明らかになった。このように経済活動によって、一体性を持った都市圏域が大きく異なるという事実は、研究や政策の目的に応じて都市圏域を設定することの重要性を示している。
著者
伊藤 祥司 片桐 孝洋 櫻井 隆雄 猪貝 光祥 大島 聡史 黒田 久泰 直野 健
雑誌
ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.117-126, 2012-01-17

前処理付き BiCGStab(PBiCGStab) 法の改善アルゴリズムを提案する.前処理付き BiCG 法に CGS 法の導出手順を適用すると,CGS 法の合理的な前処理付きアルゴリズムが構成される.この手法を PBiCGStab 法へと拡張するに当たり,BiCGStab 法に現れる MR 演算に対し論理面からの新たな考察を行い,適用できることを示した.本提案アルゴリズムが従来の PBiCGStab よりも合理的であることと,数値実験により本提案の有効性を示す.
著者
三浦 泰介 山口 文彦 中西 正和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第56回, no.ソフトウェア科学・工学, pp.418-419, 1998-03-17
著者
内田 祐貴
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 人間科学部篇 = Journal of the Faculty of Human Sciences, Kobe Shoin Women's University (JOHS) (ISSN:21863849)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.67-74, 2016-03-05

「理科離れ」が理科教育の大きな問題の1 つになって長い年月が経つ。これまでにも、主に小中高校での授業での取り組みや大学教員の出張授業など様々な取り組みが行われてきたが、問題の完全解決には至っていない。近年では、PISA やTIMSS などの国際比較調査により、日本の児童生徒の特徴として、学力は国際的に上位だが、学年が上がるに連れ、理科が嫌いな児童生徒が増えるという傾向がわかり、理科離れの対策の重要性がより鮮明になった。理科離れの対策の1 つに、実験の充実がある。しかし、平成20 年度の全国的な小学校教員に対する調査において、現役教員の半数以上が実験観察の知識技術に不安を抱えていること、授業で理科実験を行うには、「時間」、「費用」などの様々な問題があることがわかった。そこで、児童生徒の理科への興味関心を高め、教員の実験の知識技術の向上を目的とし、器具から作る実験教材として、注射器を使った真空ポンプを、簡易に安価で作成できるようにし、大学での教材作成演習や現役教員への講習に用いた。
著者
本田 崇人 松原 靖子 根山 亮 櫻井 保志
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.1-13, 2016-09-30

本論文では,車両走行データのための自動パターン検出手法であるTRAILMARKERについて述べる.TRAILMARKERは,位置情報をともなう様々な車両走行センサデータが与えられたときに,おのおのの道路や場所における車両走行の特徴を抽出し,それらの情報を統計的に要約,表現する.すなわち,走行データに基づく高度な道路地図情報を提供する.具体的に提案手法は,(a)車両走行データをテンソルとして表現した後,そこから複数の部分シーケンスに共通する主要な走行パターンを抽出する.(b)その際の計算量は入力データのサイズに対して線形である.さらに,最も重要な点として,(c)提案手法はパラメータに依存しない.すなわち,事前情報の付与またはパラメータのチューニングを行うことなく,大規模車両走行データの特徴抽出とパターン検出を自動で行うことができる.実データを用いた実験ではTRAILMARKERが様々な車両走行データの中から主要パターンや外れ値シーケンスを効果的かつ効率的に検出することを確認した.
著者
船坂峻慈 中野浩嗣 伊藤靖朗
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2016-ARC-222, no.6, pp.1-6, 2016-09-29

データ圧縮はコンピュータエンジニアリングの分野で非常に重要である.しかし,多くの可逆圧縮と展開アルゴリズムは並列化が非常に難しい.本論文では Light Loss - Less (LLL) 圧縮と呼ぶ,新しい可逆圧縮法を提案する.この圧縮法の展開アルゴリズムは高い並列化が可能であり GPU を用いて非常に高速に処理することができる.データ展開は圧縮と比較して何度も行うためにこの圧縮法は多くのアプリケーションで応用できる.我々は LLL 展開の並列アルゴリズムを提案し GeForce GTX 1080 GPU に実装した.GPU を用いた LLL 展開の実効速度を Core i7- 4790 への逐次 CPU 実装と比較し 91.1-176 倍の高速化を達成した.また,よく知られている圧縮手法である LZSS と LZW との比較も行う.提案手法は圧縮率は同程度である一方で LZSS 展開の GPU 実装と比較して 4.30-14.1 倍,LZW 展開の GPU 実装と比較して 2.49-9.13 倍の高速化を達成した.