著者
剣持 秀紀
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2012-SLP-90, no.4, pp.1-4, 2012-01-27

本稿では、2011 年 10 月に発売された歌声合成ソフトウェア VOCALOID の新しいバージョンである VOCALOID3 について、そのポイント (品質面からの改良点、ユーザインタフェースの改良点) を紹介する。また新しく導入された VOCALOID Job Plugin という簡単なスクリプト言語で記述可能な機能拡張のための仕組みについて、その具体的な応用可能性について解説する。
著者
相田 満
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.26, pp.161-222, 2000-03-29

「やまともろこし、儒仏のもろもろの書どもを、ひろく考へいだして、何事もをさをさのこれるくまなく、解あきらめられたり」(本居宣長『源氏物語玉の小櫛』)とまで評された『河海抄』(四辻善成・撰)は、その博引傍証的性格から、中世以前の学問体系をうかがう資料としても貴重だが、そこに遍在する『職原抄』引用部の分析・調査を行ったところ、『職原抄』の一部分がほぼ重複もなく再構成されるという結果を得た。このことは、『河海抄』の編纂者が、『職原抄』を熟知した上で、『河海抄』編集にその知識を反映させていたことを物語る。また、その引用箇所が「職原抄」の一部分に集中していることから、『河海抄』に取込んだ記事の選別・非選別の基準や意図を、そこから読みとることも可能といえよう。そして、同様の分析手法を重ねるならば、『河海抄』の知識源泉の解明に道を開くのみならず、他の注釈書や類聚編募物についても、その応用が可能であると予想する。 “Kakai-sho”(河海抄) selected by Yotsutsuji Yoshinari which was evaluated as「やまともろこし、儒仏のもろもろの書どもを、ひろく考へいだして、何事もをさをさのこれるくまなく、解あきらめられたり」(In ”Genji-monogatari Tama-no-ogushi” by Motoori Norinaga) is valuable as a document can be seen academic frameworks before the Middle Ages from its character that explains every examples in many documents. To survey and analyze quoted part of “Shokugen-sho”(職原抄), this results showed that it was almost reconstituted without overlapping. This indicates a compiler of Kakai-sho who knows well about “Shokugen-sho” reflected to edit it. It may be said that it is possible to read a standard and an intention of sorting, non-sorting of the article which was taken in “Kakai-sho”, because quotation points were concentrated in the part of ”Shokugen-sho”. It is expected that if the similar method of analysis was done repeatedly, not only opening the way for elucidation of the knowledge source, but also the application will be possible about other commentaries and collection of similar objects.
著者
清 ルミ セイ ルミ Rumi SEI
雑誌
異文化コミュニケーション研究
巻号頁・発行日
vol.10, pp.57-73, 1998-03

The purpose of this paper is to identify factors inhibiting communication between Japanese staff and foreign staff members with advanced Japanese language skills (FSAJLS). A survey was conducted from June to November in 1994. 142 employees, both Japanese and FSAJLS, working at 43 companies throughout Tokyo, were surveyed. The survey was intended to examine the causes for barriers in business communicaton between Japanese and FSAJIS and the estimation of the roles of the FSAJLS in their companies. The results are summarized as follows : Both Japanese and FSAJLS found many barriers in the Japanese language skills of the FSAJLS. The main linguistic barrier is their lack of skills in assessing situations correctly and assuming the appropriate speech register in the process of ongoing conversations. Also, the FSAJLS have great psychological difficulties in dealing with the prejudices of the Japanese. As for the roles of the FSAJLS, there is a perception gap between Japanese and FSAJLS. The analysis of the results indicates that the present situation calls for considerable improvement in Japanese companies, by setting up an environment which would accept Japanese speaking foreign staff.
著者
岡谷貴之 齋藤真樹
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2013-CVIM-185, no.18, pp.1-17, 2013-01-16

ディープラーニングは,多層のニューラルネットワーク(以下NN)を用いる機械学習の方法論である.最近,これに基づく方法群が,画像認識のベンチマークテストで従来の記録を次々に塗り替えた他,音声認識やその他の学習・認識の問題に応用されて同様に高い性能を示すに至り,幅広い関心を集めつつある.本稿では,このディープラーニングについて,画像認識への応用を念頭に,現時点で知られている様々な方法をなるべく網羅的に説明する.具体的には,NNの基本構成から,Convolutional NN,プーリング,局所コントラスト正規化,教師なし学習であるプレトレーニング,オートエンコーダ,スパースな特徴表現を可能にする複数の方法,Restricted Boltzmann MachineやDeep Belief Networkなどの生成モデルに基づくディープラーニングの各手法を,それぞれ説明する.またディープラーニングのためのソフトウェアライブラリにも触れる.
著者
保木邦仁
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL)
巻号頁・発行日
vol.2012-AL-139, no.5, pp.1, 2012-03-07

将棋は西洋のチェスと同じルーツを持つゲームと考えられている。そのため、将棋とチェスのルールには類似点が多い。その一方で、持ち駒ルールのように異なった性質もある。このようなルール上の違いは、人工知能及びアルゴリズム設計の難易度に大きな影響を与えた。実際、IBM ディープ・ブルーが 1997 年にチェスの世界チャンピオンを破った時でも、当時のコンピュータ将棋の棋力は通常のアマチュアプレイヤー以下であった。コンピュータ将棋が人間トップに迫るほどの棋力を獲得したのはごく最近である。2010 年はあから 2010 が清水市代女流王将に勝利し、2011 年には Ponanza が著名なインターネット対局場 (将棋倶楽部 24) の短時間対局で最高レーティングを獲得、また 2012 年にはボンクラーズが米長邦雄永世棋聖に勝利した。本公演では、最近のコンピュータ将棋の動向に加えて、強いプログラムの一つである Bonanza の思考の仕組みを紹介する。高精度評価関数の最適化や、力ずく探索の枝刈り手法について、将棋とチェスの違いを示す。
著者
中川聖也 孟林 山崎勝弘
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.603-604, 2014-03-11

近年、コンピュータ将棋はすさまじい成長を遂げ、遂にプロ棋士と互角に勝負をするまでになった。しかし初心者からみれば、強くなるにはどのような勉強をすればいいか分からず、コンピュータは強くなりすぎて練習相手に使えないということが起こってしまいがちである。近い将来、コンピュータ将棋の役割は人間と戦うことから、いかにして人間が成長することを手助けする方法を考えることが求められる時代になると考えられる。本論文では、初心者から上級者まで幅広い人に、棋力に基づいて手筋を学んでもらうためのシステムを設計し、試作する。
著者
愛甲 和秀 木下 雅文 小島 剛 畑﨑 恵介
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-215, no.5, pp.1-7, 2015-05-19

昨今,注目度が高まっている並列処理システム Spark の障害復旧処理モデルでは,データ量やタスク処理時間に連動してダウンタイムが長くなる,可用性劣化が問題となる場合がある.本研究では,Spark の可用性劣化の原因となるデータ復旧処理時間を短縮するため,Spark のメモリ上のデータ管理をインメモリ KVS で代替する方法を提案する.本方法は,データ書き込み時のノード間でのインメモリデータ複製処理と,障害時のノード内のインメモリ KVS のデータ配置情報と Spark のデータ配置情報の同期処理により,上記復旧処理時間を短縮する.その結果,従来法では障害復旧時間が数分かかる場合においても,提案技術を適用することによりダウンタイムを常に5秒以内に維持できるとの評価結果を得た.以上の結果から,提案方法が Spark のダウンタイムが増加する可用性問題の解決に有効であることが明らかになった.
著者
平井 浩一 小田和 友仁 岡本 高幸 二宮 温 住元 真司 高木 将通 Balazs Gerofi 山口 訓央 小倉 崇浩 亀山 豊久 堀 敦史 石川 裕
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-215, no.2, pp.1-8, 2015-05-19

将来の HPC 向けの OS としては,メニーコアへの最適化が必須となってきており,それを実現するための OS として McKernel を選択し,計算センターにおけるバッチジョブ運用への適応を進めている.本論文では,将来のスーパーコンピュータ上で,McKernel に適応したバッチジョブ運用を実現する場合の課題を述べ,現状の検討状況について述べる.
著者
小柴 篤史 和田 基 坂本 龍一 佐藤 未来子 並木 美太郎
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-215, no.7, pp.1-8, 2015-05-19

本研究では,Just-In-Time コンパイラによる生成コードを対象に,コンパイラによる静的な解析だけでは考慮することが難しい分岐命令の挙動を VM 内で動的に解析し,実行命令列をより適切に把握することで電力削減効果を高めることのできる Geyser 向け細粒度パワーゲーティング制御手法を提案する.提案手法を Dalvik VM に実装し,CaffeineMark,SPECJVM ベンチマークを用いてエミュレータ上で電力性能の評価実験を行い,監視する分岐命令数に制約を設けない理想条件で平均リーク電力を最大 17% 削減した.
著者
広渕 崇宏 高野 了成 工藤 知宏
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-215, no.12, pp.1-6, 2015-05-19

システムソフトウェア分野において不揮発性メモリ技術に関する研究を進めるため,オペレーティングシステムのメモリアクセス傾向を把握する手法を開発した.オペレーティングシステムを改変することなく,そのメモリ読み書き速度や読み書きメモリページ番号を記録できる.ハードウェアが備えるメモリアクセス監視機能を用いて既存ハイパーバイザーを拡張することで実現した.CPU インストラクションを逐次分析する方式と比べて遙かに高速に動作する.試作を通じて提案機構の基本的な動作を確認できた.