著者
川野 豊 西田 俊彦 山岸 里律子 野間 剛
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.478-482, 2000-12-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
6

症例は1歳1ヶ月の牛乳アレルギーの男児. 喘息性気管支炎とアトピー性皮膚炎増悪により入院中にアトピー性皮膚炎胸部病変部において牛乳と接触し, 約5分後より局所に数箇所の紅斑 (直径1~1.5cm) を認めた. それに引き続き頚部・頭部の紅斑及び喘鳴・呼吸困難を示し, 牛乳の経皮的侵入によるアナフィラキシーと診断された. 7ヶ月後, 牛乳を誤飲し, 直後に顔色不良・全身紅潮を呈し, 牛乳の経口摂取によるアナフィラキシーを示した. アトピー性皮膚炎を伴う重症の食物アレルギー児の管理にあたっては, 経皮的抗原暴露による重篤なアレルギー反応の誘発も考慮すべきであると考えられた.
出版者
扶桑社
巻号頁・発行日
0000
著者
上野 征夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.162-163, 2003-01-10

「寒冷あるいはストレス暴露で,指先が白くなる.これをレイノー現象(Raynaud's phenomenon)という(図1).正式には,白,青(紫),赤の3色の変化をいう.色調の変化はこの順で起こる.白は血管の攣縮,青(紫)は血液の毛細血管,小静脈へのうっ滞,赤は反応性の血管拡張をそれぞれ意味する. 3色変化のうち,2色以上みられることがレイノー現象の定義である.しかし白の1色変化でも,それが著明であればレイノーと呼んで構わない. レイノー現象は,何らかの基礎疾患に伴って起こってくることが少なくない(表1).20歳代の女性では全身性エリテマトーデス,40歳以上では,強皮症,Sjogren症候群,関節リウマチが多い疾患である.レイノー現象が一側性の場合,高安病などの血管炎,頚椎の疾患,肩・手症候群(shoulder-hand syndrome)なども考慮されねばならない.職業病として以前,電動チェーンソーを使って伐採に従事する人に起こり問題となった.薬剤ではβブロッカー,あるいは片頭痛治療薬のエルゴタミン服用者などにみられることがある.
著者
岩澤 知子
出版者
麗澤大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、中世諏訪の神仏習合思想から生み出された「諏訪流神道」の形成過程および構造の分析を通して、諏訪古来のカミ信仰が、古代律令制により導入された神祇制度、さらに中世における仏教との交渉を通して、いかに多義的な神の姿を創出するに至ったか、その豊かな歴史性や多様性を明らかにしていく。中世日本の神仏習合に関するこれまでの研究は、神道と仏教の関係を分析するに際し「神道」を一括りの概念と捉えてきた。本研究では、近年の神道史研究の成果を踏まえ、「神道」を「カミ信仰」「神祇制度」「神道」という三つの異なる概念から成るものと捉え直した上で、これら三要素の相互関係ならびに仏教との習合関係を探求していく。
著者
菅沼 悠介 石輪 健樹 川又 基人 奥野 淳一 香月 興太 板木 拓也 関 宰 金田 平太郎 松井 浩紀 羽田 裕貴 藤井 昌和 平野 大輔
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.5, pp.591-610, 2020-10-25 (Released:2020-11-13)
参考文献数
101
被引用文献数
1

The Antarctic Ice Sheet (AIS) is one of the largest potential contributors to future sea-level changes. Recently, an acceleration of AIS volume loss through basal melting and iceberg calving has been reported based on several studies using satellite observations, including radar altimetry, interferometer, and gravity measurements. A recent model that couples ice sheet and climate dynamics and incorporates hydrofracturing mechanism of buttressing ice shelves predicts a higher sea-level rise scenario for the next 500 years. However, the calibration and reproducibility of the sea-level rise projection from these models relies on geological sea-level reconstructions of past warm intervals. This suggests that a highly reliable reconstruction of the past AIS is essential for evaluating its stability and anticipating its contribution to future sea-level rise. In particular, a relative sea-level reconstruction in East Antarctica is the key to solving the problems and refining future projections. The current understanding of sea-level change along the East Antarctic margin is reviewed, including Glacial Isostatic Adjustment (GIA) effects, and a new strategy is proposed to address this topic based on seamless sediment coring from marine to lake in the East Antarctic margin. This project will provide essential data on AIS change since the last interglacial period.
著者
内田 和子
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.51-68, 2001-04-01 (Released:2018-03-31)
参考文献数
54
被引用文献数
2
著者
原 翔子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s33-s36, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
14

近年ではデジタルアーカイブの拡充によって世界中の博物館や美術館がオンラインでコレクションを展示するようになった。そこで,博物館における展覧会と鑑賞者との間には、物理的な空間における鑑賞だけでなくオンライン展示の利用という場面においても相互作用があるべきだとされている。オンライン展示が抱える現状の問題点は、個人へのパーソナライズと鑑賞前後体験の補助という場面から認識することができる。特に前者について、高木(2019)によるデフレーミング戦略は親和性が高く、経済学の概念でありながら展覧会への応用可能性が大きい。本稿ではデフレーミングを援用し、オンライン展示に留まらない展覧会デザインを提案する。
著者
似鳥 雄一
出版者
早稲田大学多元文化学会
雑誌
多元文化 (ISSN:21867674)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.五八-七七, 2016-02-28
著者
高橋 孝代
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-02

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1872号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2004/2/16 ; 早大学位記番号:新3746
著者
下井 俊典
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11347, (Released:2018-03-20)
参考文献数
32
被引用文献数
1

【目的】本研究は我々が絶対信頼性を検討した継ぎ足歩行テストについて,新しい妥当性観にもとづいて,構成概念妥当性を検討することを目的とした。【方法】対象は介護予防事業に参加した493 名の地域在住健常成人である。5 m の継ぎ足歩行テストの所用時間を継ぎ足歩行時間(以下,TGT)とし,所要時間とミス・ステップ数から算出する継ぎ足歩行指数(以下,TGI)の2 種類のテスト値について妥当性を検討した。年齢・性によるテスト結果を比較するとともに,測定後2 年間の転倒経験を追跡調査できた66 名についてロジスティック回帰分析を用いて転倒予測に対する各因子の影響度を検討した。【結果】TGT,TGI のいずれも年齢・性による差が認められた。転倒の予測因子としてTGI が選択され,オッズ比1.06 およびカットオフ値として24.0 が得られた。【結論】TGI はより運動能力の高い高齢者のバランス能力,特にその比較的長期的な将来の転倒を予測できる評価方法であることが明らかとなった。
著者
森畑 明昌
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.544-549, 2016-05-15

自動プログラム作成とは,入出力例などの補助的な情報から,プログラムを自動的に生成する技術である.古来非常に難しいものだとされてきた自動プログラム作成だが,近年著しい進展を見せ,実用的なシステムが作られるようになってきている.理由としては,(1)ライブラリ関数をいくつか呼ぶだけというような,小さなプログラムが多数必要になったこと,(2)計算機による力ずくの探索が可能になってきたこと,(3)学習や自然言語処理などによりユーザの意図をより正確に推測できるようになってきたこと,などが挙げられる.本稿では最新の研究成果を紹介し,もって自動プログラム作成技術が現在どの水準に達しつつあるのかを示す.