- 出版者
- 人工知能学会
- 雑誌
- 人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, 2012
音楽の楽しみ方の未来は,音楽情報処理技術によってどのように切り拓かれていくのだろうか.世の中のすべての音楽はデジタル化される宿命にあり,いつでもどこでも好きな音楽を大量に聴ける時代が到来した.従来は,音楽は受身で聴くことが多かったのに対し,これからは,もっと自分の好みに合わせて自在に音楽を楽しむことが可能になっていく.本招待講演では,音楽を鑑賞する場面,制作する場面の両方において,音楽情報処理技術がどのように新たな可能性を切り拓いていくのかを議論する.例えば音楽鑑賞では,「能動的音楽鑑賞インタフェース」と名付けた一連の研究の中から,楽曲の構成を自動的に分析・理解して「音楽の地図」を作ることができるサビ出し機能付き音楽試聴「SmartMusicKIOSK」等,音楽の自動理解技術に基づく様々なインタフェースを紹介する.音楽制作では,「歌声情報処理」と名付けた分野から,人間の歌い方を真似て自然な歌声を合成できる歌声合成技術「VocaListener(ぼかりす)」等を紹介する.エンドユーザが直接恩恵を受けるような音楽情報処理は,これから大きく発展していくことが期待される.