著者
湯浅 卓 佐藤 喜和
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.109-118, 2008-06-30
被引用文献数
12

日本におけるクマ類の保護管理にとって,有効な個体数推定法を確立することは急務である.ヘア・トラップを用いた非侵襲性サンプリングおよびDNA分析に基づく個体識別によるクマ類の個体数推定法は,従来の捕獲再捕獲法より効果的な方法として注目されている.この手法は,海外では個体数推定法の一つとして定着しつつある一方で,日本では実用に向けて克服すべき課題が多い.そこで,この手法のより効果的な適用を目指し,サンプリング,遺伝子型決定,およびモデルを用いた個体数推定の3つの過程における検討課題を,国内外の事例に基づき整理した.ヘア・トラップ法を用いたクマ類の個体数推定を成功へ導くためには,生態,遺伝,数理モデルなどの研究者による方法論の議論が不可欠であり,地域個体群の全域を対象とした大規模調査の実施が必要と考える.<br>
著者
本田 剛 林 雄一 佐藤 喜和
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.11-16, 2008-06-30
被引用文献数
4

農業被害を引き起こすイノシシの行動を明らかにするため,被害を受ける農地と森林の境界となる林縁周辺で捕獲した個体を対象とし,季節及び時間ごとの環境選択を解析した.2004~2005年の5~11月にイノシシを6頭捕獲・追跡し,標高及び植生に対する選択性を一般化線形混合モデルにより調べた.このうちの1個体は森林外で一度も確認されず,林縁から1,000 m以上離れた林内まで利用した.一方,森林外を利用した5個体のイノシシの内,4個体は林縁周辺を集中的に利用した.森林外を利用した個体の環境選択を季節及び時間別にみると,春夏期の日中は低標高地と森林内を好み,夜間は低標高地と森林外を選択的に利用した.森林外の利用地は主に農地と耕作放棄地であった.以上のことから,農地を加害するイノシシの捕獲は,林縁周辺で実施することが効果的であると結論した.<br>
著者
安田 宣紘 江崎 健二郎 阿久沢 正夫 伊沢 雅子 土肥 昭夫 阪口 法明 鑪 雅哉
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.1069-1073, 1994-12-15
被引用文献数
4

事故死したそれぞれ2頭のイリオモテヤマネコ(Felis iriomotensis)とツシマヤマネコ(Felis bengalensis euptilura)に寄生する蠕虫について検査した. イリオモテヤマネコからは Spirometra erinacei, Toxocara cati, Molineus springsmithi, Uncinaria maya, Capillaria aerophila, C. felis-cati, 肺に寄生する所属不明の線虫子虫, Acanthocephala 1種の計8種が検出された. ツシマヤマネコからは Pharyngostomum cordatum,Spirometra erinacei, Toxocara cati, Molineus springsmithi, Arthrostoma hunanensis, Uncinaria felidis, Capil-laria felis-cati, 肺に寄生している所属不明の線虫子虫, Acanthocephala 2種の計10種が検出された.
著者
伊沢 雅子 小野 勇一 土肥 昭夫
出版者
裳華房
雑誌
遺伝 (ISSN:03870022)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.p54-59, 1986-08
被引用文献数
1
著者
森 樊須
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.75-76, 2000-05-25