7 0 0 0 OA 視覚失認

著者
太田 久晶
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.271-276, 2010-06-30 (Released:2011-07-02)
参考文献数
11

視覚失認は,統覚 (知覚) 型と連合型に古典分類で分けられていたが,視覚情報の処理過程にもとづいて,近年,これら 2 つのタイプに統合型を加えた 3 つのタイプによる症状分類が提唱された。病巣分析より統覚 (知覚) .型は両側内側後頭皮質が,統合型と連合型は左内側側頭後頭皮質が責任部位として報告されている。その一方で,脳機能画像研究において,外側後頭皮質が視覚形態処理に関与することが明らかとなっている。これらの結果を総合すると左内側後頭皮質から外側後頭皮質までの経路が著しく損傷されると統覚 (知覚) 型となり,この経路が部分的にでも機能していれば統合型となると考えられる。また,左外側後頭皮質までの経路は保たれているものの,そこから吻側の経路に損傷があれば連合型になると考えられる。このように,視覚情報の神経経路を推定することによって,3 タイプの視覚失認のそれぞれに対する責任部位は理論上,説明可能であった。
著者
加藤 一郎
出版者
国立音楽大学
雑誌
音楽研究 : 大学院研究年報 (ISSN:02894807)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.15-30, 2010

本研究はヨハン・ゼバスチャン・バッハ(1685〜1750年。以下「バッハ」と記す。)のフランス風序曲様式における付点リズムの鋭化について考察したものである。付点リズムの演奏法については当時の演奏理論書にも記述され、今日まで議論が続いているが、未だに見解の一致が見られない。そこで、本研究では先ずバッハのテンポの基本的な性格を俯瞰し、その後、フランス風序曲様式における付点リズムの鋭化の問題に焦点を絞り、その技法及び様式について、文献資料、楽譜、そして現代の古楽器奏者の演奏を基に詳細な考察を行った。フランス風序曲様式を取り上げたのは、付点リズムの鋭化が、この様式と深い関わりを持つためである。『故人略伝』にも伝えられているように、バッハのテンポは正確で迅速、そして安定したものであった。しかし同時に、拍の中で微妙なテンポの変化が行われていたことも、彼の記譜法や当時の演奏理論書から明らかになっている。また、彼はファンタジアやトッカータのように、元々テンポを自由にとる楽曲形式も用いていた。これが、バッハのテンポの基本的な性格である。付点リズムの鋭化は、この内、拍の中で行われるテンポの変化に含まれる。前述したように、付点リズムの演奏法については、当時から様々な議論が行われていた。クヴァンツは生き生きとした表現を得るために、付点リズムを専ら鋭化させることを提唱しているが、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハは一般原則として付点リズムの鋭化を指摘しながらも、曲の性格によっては付点リズムを軟化させることにも触れている。フランス風序曲様式では様々な音価の付点リズムが同時に用いられることが多く、その際、付点リズムの短い方の音を全て同時に弾く同時奏法の習慣があった。その為に、音価の長い付点リズムには必然的にリズムの鋭化が起こる。つまり、フランス風序曲様式には、この様式の特徴として、付点リズムの鋭化が元々含まれているわけである。当時は複付点音符や付点休符が用いられなかったために、細かなリズムは正確に記譜出来ず、リズムの解釈に曖昧さを残してしまった。しかし、フランス風序曲様式に共通して含まれるリズム構造からも、こうした付点リズムの鋭化は明らかである。また、フランス風序曲様式では、しばしば拍の終わりの方で32分音符の音群が用いられており、クヴァンツはそうした音群を出来る限り速く奏するよう提唱している。こうした方法は、テンポを拍の中で後ろの方に圧縮するものであり、付点リズムの鋭化もこのテンポの圧縮から生まれたものと考えられる。つまり、フランス風序曲様式では、テンポの圧縮によって付点リズムを鋭化させ、同時奏法によってその鋭化の度合いを一定化し、楽曲構造としてそれを位置づける役割を果たしている。バッハはこのジャンル以外でも、1720年代後半から1730年代にかけて、しばしば第2稿(改作や編曲を含む)でテンポの圧縮を用いているが、こうした表現様式からはギャラント様式との関連が感じられる。付点リズムの鋭化は人の精神に自由と葛藤を与え、音楽的緊張を生み出すが、一方ではマンネリズムに陥る危険もはらんでいる。本研究によって得られた知見から、演奏解釈に新たな可能性が生まれることを期待する。
著者
LOWE David J. PITTARI Adrian
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.1, pp.117-141, 2021-02-25 (Released:2021-03-18)
参考文献数
122
被引用文献数
2 7

西暦232 ± 10年の晩夏にニュージーランド北島タウポ火山で起こった噴火は,過去5,000年間において地球上で起こった噴火のなかでもっとも強力なものであった。噴火は数日から数週間継続し,5つの明確な降下火砕堆積物(ユニットY1~Y5)に続いて,非常に爆発的な噴火による低アスペクト比イグニンブライト(ユニットY6)が堆積した。降下火砕堆積物の内,ユニットY1,Y3およびY4は水蒸気プリニー式噴火によって形成され,Y2とY5はプリニー式噴火であった。Y5とY6は一連の噴火で形成され,非常に強いY5噴火による噴煙柱は高度35-40 kmに達し,それが崩壊することによって非常に高速(600-900 km/h)で高温(最高500°C)の火砕密度流が発生し,ユニットY6が堆積した。このイベントによる堆積物は噴火後十数分で北島中央部の約20,000 km2に及ぶ範囲を覆い尽したと考えられる。また一連の噴火によるマグマ噴出量は約35 km3と見積もられている。この噴火による周辺環境への影響は甚大であり,現代においても農業などの土地利用において火山ガラスを多く含み,コバルトなどの微量元素に枯渇した土壌への対策が必要となっている。
著者
岡田 泰徳
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.83_1-83_1, 2017

<p> 「アメトーーク!」というバラエティ番組は、2006年から放送が開始され、現在では週2回のペースで放送されるほどの人気を誇っている。同番組は、「くくりトーク」と呼ばれる、ある共通点や類似点をもったお笑い芸人たちが、そのテーマに沿ったエピソードを持ち寄り、トークを繰り広げるという形式が多く見られる。特に「学校」や「部活動」、「スポーツ」に関して共通点があるものをテーマにした回は多く見られ、人気が高い。当番組では、テーマにくくられた出演者が、番組後半にかけて、お互いをフォローし合うなど、一体感が強まる様子が見られる。このよう場面に関して、中島ら(2013)は、「人々は集団へ所属することを通して、内集団に同一視し、個としての自分ではなく集団の一員としての自分を意識するようになる」と述べており、その過程を経て人々は「集団アイデンティティを獲得する」(p.162)としている。本研究では、「アメトーーク!」の「くくりトーク」に注目し、スポーツがキャラ化し、他者との相互作用の中でアイデンティティが消費される現代社会の特性について検討してみたい。</p>

7 0 0 0 OA 民法研究

著者
石坂音四郎 著
出版者
有斐閣書房
巻号頁・発行日
vol.第3巻, 1914
著者
北村 立実 松崎 慎一郎 西 浩司 松本 俊一 久保 雄広 山野 博哉 幸福 智 菊地 心 吉村 奈緒子 福島 武彦
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.217-234, 2020-09-28 (Released:2020-11-30)
参考文献数
68

多くの人々が霞ヶ浦から多様な恩恵(生態系サービス)を受けていることから,今後も持続的に利用していくために,その内容や享受量の変遷を把握するとともに,生態系サービスの価値を経済的に可視化することで,政策の意思決定や行動に反映させるなどの適切な湖沼・流域管理に結びつける必要がある.そこで,本研究では霞ヶ浦の生態系サービスの項目を整理し,享受量の変遷を把握することで特徴を明らかにするとともに,代替法を用いて生態系サービスの経済評価を試みた.その結果,生態系サービスを供給サービス,調整サービス,文化的サービス,基盤サービスの 4 つに大別し,生態系サービスのフローの構成として,自然資本,人工資本,人的資本の 3 種の資本を介して得られていると定義した.また,生態系サービスの享受量の推移の特徴として,取水や洪水調節などの人間活動を豊かにする項目は増加したものの,魚種や植物などの生物多様性や人々が霞ヶ浦と触れ合うような項目が減少したことが明らかとなった.さらに,2016 年の霞ヶ浦の生態系サービスの経済的な価値として1,217.3 億円/ 年と見積もられ,供給サービスや調整サービスで高い傾向にあり,文化的サービスや基盤サービスは貨幣換算できない項目が多かった.一方,経済的な価値を算出する上でいくつか課題も明らかとなったことから,今後はこれらの課題解決に向けた研究も必要である.
著者
西村 崇
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.231, pp.42-47, 2012-07

「もうあのSEには仕事を任せられない」。大手SIベンダーのPM(プロジェクトマネジャー)、加藤健文さん(仮名)は、会計パッケージソフトを使ったシステム開発で苦い経験を持つ。 それは加藤さんが、協力会社から派遣されたあるSEに、「売上データの一覧表示画面にダウンロード機能を追加してください」と依頼したときのことだ。SEは「分かりました。

7 0 0 0 OA 徳川実紀

著者
成島司直 等編
出版者
経済雑誌社
巻号頁・発行日
vol.第六編, 1904
著者
内外書籍株式会社 編
出版者
内外書籍
巻号頁・発行日
vol.第十七巻, 1930