出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.456, pp.16-19, 2008-09-26

建設コンサルタント会社の設計ミスに対し、発注者が損害賠償を求める事例が増えている。成果物の瑕疵修補はもちろん、瑕疵に起因する補修工事の費用を請求するケースが目に付く。受注者のミスや不正に対して賠償請求しない発注者が責められる時代だ。責任を問う発注者の姿勢はますます強まるに違いない。一方で、設計を担当する建設コンサルタント会社にとっては死活問題だ。
著者
板垣 武尊
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

長期かつ経済的な旅行を志向するバックパッカー(以下BP)は,目的地に滞在する際には低廉な宿泊施設を利用する.その結果,観光地や交通の結節点となる大都市には,バックパッカー・エンクレーブと称される安宿街が形成されてきた.ところが,近年ではBP自体が大きく変わりつつあり,高級志向でインターネットの宿泊施設予約サイトやSNSを好むフラッシュパッカー(以下FP)が出現した(Molz and Paris 2015).また,新たな動向として中国人BPも存在感を増しており,その特徴には,旅行期間が短いこと,SNSで旅行の同行者を募り集団で行動して旅行費用を削減すること,旅の出会いを求めることなどが挙げられる(Luo et al 2015).<br> このように,時には高級志向で,インターネットを好むFPの出現に伴い,BP向け宿泊施設においても,対応する設備やサービスが求められるようになってきた.Musa and Thirumoorthi(2011)やHiransomboon(2012)によれば,BP向け宿泊施設の評価基準は,立地,設備,従業員の性格,清潔さ,オンライン予約の可否,情報(旅行ガイドブック,予約サイト,友人からの推薦),予算,割引の有無などが挙げられる.また,SIMフリー・Wi-Fiの普及,オンライン予約サイトの発達などによって,バンコクにおけるBP向け宿泊施設の立地傾向は,バックパッカー・エンクレーブであるカオサンロードへの一極集中から,地下鉄とスカイトレインの沿線に拡大したことが報告されている(Hiransomboon 2012).<br> 中国雲南省元陽の観光資源は,2013年に世界遺産に登録された棚田とそれを耕作するハニ族の民族文化である.元陽は1992年に外国人に開放されると,経済活動の中心地である新街鎮のバスターミナル沿いに外国人BP向けの安価な宿泊施設が集積した.2013年以降は,マスツーリストに加えてBPが増加し,有料展望台と観光村が設置されている多依樹にFP向け宿泊施設が集積した(板垣 2017).本研究では,オンライン予約サイト上の口コミを収集し,2013年以降多依樹に増加したFP向け宿泊施設の評価を分析する.<br> 2016年1月現在,多依樹における宿泊施設は,個人マスツーリスト向けが元坪道路沿いに,FP向けが集落(普高老寨14軒,黄草嶺3軒)に集積している.普高老寨のFP向け宿泊施設は,集落入り口(7軒),集落内部(2軒),集落内棚田眼前(5軒)の3ヶ所に立地している.これらの立地の違いは,客室からの棚田眺望に関わる.黄草嶺のFP向け宿泊施設は全て集落内の棚田眼前に立地している.<br> 現地調査は,2009年8月,2011年2~3月と8~9月,2014年5~7月,2015年12月~2016年1月に行った.宿泊施設および観光施設の分布,土地利用(新街鎮・多依樹)を把握するために,歩測およびGoogle Earth衛星画像,旧ソ連製10万分の1地形図「ЮАНЬЯН」(1978年発行),百度地図の判読を行った.<br> オンライン予約サイトの口コミの分析には,テキストマイニングソフトであるKH Coderを利用した.多依樹におけるFP向け宿泊施設では2017年8月までに,主要予約サイトであるtrip advisor,Agoda,Booking.comのいずれかの829件の口コミがあり,英語で書かれた488件を分析した.次に,中国の主要予約サイトであるCtrip(携程旅行网)の中国語口コミ1,106件を分析した.口コミは予約サイトごとの評価項目によって点数化されるため,全ての評価,高評価,低評価の3種に分類し,それぞれの抽出語と出現頻度を把握した.そして,抽出語のつながりを分析するため,共起ネットワーク図を作成した.<br> 多依樹におけるFP向け宿泊施設の口コミ数および点数は,英語と中国語で大きく異なる.<br> 英語と中国語ともに,出現頻度が高い抽出語は,経営者,客室,観光資源,立地,サービスに分類できる.経営者は,英語と中国語ともに人柄やホスピタリティーに関する抽出語が共起された.さらに英語の口コミでは,英語力が共起された.客室に関する抽出語は,英語と中国語とに清潔さと展望が共起された.観光資源に関する抽出語は,英語の場合は棚田,村落,部屋からの展望が共起され,中国語では棚田に加えて有料展望台,日の出,多依樹,景区などが共起された.これは中国人と外国人の棚田観光の違いが浮かび上がったと考えられる.サービスでは,英語と中国語ともに食事が共起された.<br> このように,多依樹におけるFP向け宿泊施設では,経営者の人柄,客室の清潔さと棚田眺望,食事の質が重要である.加えて,経営者および従業員の英語力の差によって,外国人と中国人が棲み分けられている.
著者
平林 岳 柳川 悠二
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.9, no.13, pp.78-82, 2010-08-03

26歳で、日本人初の米国プロ野球審判となったパイオニア。米国社会の厳しさに耐えられず、一度は日本の野球界に戻ったが、40歳を前に再び渡米。日本人初のメジャーリーグ審判という目標に向けて、前進を続けている。収入は、日本にいた頃の半分以下に。それでも夢を追い続けることで、家族を幸せにできると確信している。

1 0 0 0 OA 訳官記録

出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],
著者
釋 覺瑋
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.1303-1309, 2016
被引用文献数
1

臨済義玄(?-866)と仏光星雲(1927-)は生まれた時期こそ千年以上離れているものの,二人とも彼らが暮らしていた社会に対して禅の教えを創造的に適用した.それは,人々が自らの人間性を発見し,現状を超越することへの一助とするためである.この二人の禅師は,様々な迫害を乗り越えただけでなく,先達の教えを作り変えることによって,その時代の社会・政治的な環境に新たな価値を付与し,当時用いられていた一般的な言葉を創造的に使い,彼等の信仰をさらなる高みへと引き上げた.中国禅の流派を形成した菩提達磨(5-6世紀頃)は『二入四行論』の中で,すべての衆生に等しく備わっている「本性」が存在していること(理入)と,菩薩がいかに日常生活において法に従いつつ六波羅蜜の実践が可能かということ(行入の四つの修行の一つ)を強調している.臨済義玄がこうした教えを適用したのは,四万以上の仏教施設が破壊され,二十六万人以上の僧侶が還俗を余儀なくされた会昌の廃仏後(845年頃)という惨憺たる時期であった.このような大規模な破壊-経典や信仰上価値のあるものを含む-と周辺地域での抵抗運動が続く中で,義玄は菩提達磨の法による「行入」に倣い,彼に付き随う人々を激励した.人生に起こった出来事をそのまま受け入れ,「あるべき」理想の人生と「いまこの」現実の人生の間に存在する緊張から解放したのである.達磨の「理入」と同じく,義玄は仏性を表す道教の用語「無位の真人⊥すなわちシンプルで自然な人間に戻ることを提唱した.この溌刺としてダイナミックな「真人」は,何物にも執着しないが故に,仏教徒はこうした超越的な解放(解脱)の状態を望むべきであり,不運な状況がふりかかろうとも抵抗しない,というのである.仏光星雲は臨済禅の系統に列なる人であり,「人間の生活の中の仏教」という太虚(1890-1947)の教えに影響を受けている.太虚は,制度や教育,社会の改善を通じて,広く仏教を活性化するよう呼びかけた人である.台湾の人々が急激な経済成長に自らをあわせ,儒教的な原理と資本主義的民主主義とのバランスを取るのに苦心している中で,星雲は太虚の活動を人道主義的な仏教へと転換したのである.星雲は法に従いつつ葬式仏教や伝統仏教を近代化した.それは仏教徒が,成長を続ける台湾の経済に生産的な面で貢献しながら,文化的,教育的,慈善的,修養的活動を通して,社会から疎外されている人を癒し,人々の連帯意識を生み出すためである.彼は智慧とユーモアと慈悲をもって,現代社会の厳しさとめまぐるしい変動に対応するために,禅のもつ解放的な性格を強調した.星雲は弟子達に,自らが仏である(理入)ということを主張するように勧めた.彼は,人々が自信を回復し,世界は縁起(空)から成り立っていると認識させることで,心の平静を取り戻させた.この二人の禅師は,人々が暮らす状況を十分に意識したうえで,彼等が理解できる言葉を使って,人々の自らに対する信頼を回復させ,社会の安定と成長に貢献した.精彩を放つ禅仏教の精神は,社会の利益と復旧に巧みに使われたのである.
著者
小野 文子 廣畑 まゆ美
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
no.13, pp.177-182, 2013-06-16

2013年3月に執筆した「芸術と社会の関わりを強めるために-地域の音楽活動を実例に-」の調査では,地域の音楽活動や先人の音楽活動の実例をもとに,現代における音楽と社会の関わりの希薄さを述べた。比較対象として山田耕筰の調査を行っていたが,山田の音楽の発展の陰には,彼の「すぐれた時代を読む力」があったことがわかった。明治から大正にかけて,列強諸国に追いつこうと必死の政府,企業の方針が文化にまで及んだことが,芸術家にとっては追い風となっていた。複雑化する中で,近年の音楽はどのような時代背景とともに今の姿になったのか?また今後,音楽文化が発展していく中でどのようなことが課題になるのか?明治,大正,昭和の日本における音楽と社会の動きを考察しながら,近年の音楽を社会的な視点を交えて考察する。
著者
ガイタニディス ヤニス 小林 聡子 西住 奏子 和田 健 吉野 文
出版者
千葉大学国際教育センター
雑誌
国際教育 = International education (ISSN:18819451)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-73, 2016-03

[要旨] 本稿は、筆者ら5名が共同で取り組んだ、参加者の言語的文化的多様性を前提とした協働学習に関する実践研究を報告するものである。「日本」を題材とする4つの学部生向け教養科目(「時事から日本を考える」、「現代日本の宗教と社会」、「バイリンガリズムと言語学習」、「異文化交流演習」)を取り上げ、担当教員がどのように学習の場を設定したか、またその結果どのような気づき、学びがあったかを談話データ、コメントシート、フォローアップインタビューなどをもとに分析した。本研究では、協働学習を学生間の対話のプロセスを重視する学習形態を表すものとして捉え、知識、言語、経験など参加者の多様性・差異を肯定的に見なすとともに、それによって生じる学習過程における葛藤にも注目した。「座談」、「協働論証」と名付けた対話の手法、対等な参加を促すための仕掛けの必要性と具体例を紹介するとともに、今後の課題について述べた。[Abstract] This paper is a report of a joint research project on collaborative learning in a multilingual andmulticultural class environment. The report is composed of four case-studies of liberal arts coursesat undergraduate level. Each course convener uses records of in-class student discussions, commentpapers and follow-up interviews to analyse how the learning locus set up in advance impacted onthe learning experiences and outcomes of the course participants.In this research project, collaborative learning is considered to be a form of learning that 1)emphasizes the process of student interaction, 2) takes an affirming stance towards student diversityin terms of linguistic, experiential and knowledge levels and differences, and 3) pays particularattention to the tensions arising from such diversity in the process of learning. Through specificexamples, the report discusses methods of interaction such as zadan (round-table conversation) orcollaborative argumentation and focuses on the necessity of introducing learning techniques thataim for student participation on even grounds.
著者
橘 孝司
出版者
日本ギリシア語ギリシア文学会
雑誌
プロピレア (ISSN:09157425)
巻号頁・発行日
no.21, pp.1-25, 2015

It is broadly accepted that the genre of the modern Greek crime novel was established by Yannis Maris (1916–1979). Although some literary masters in the 19th century incorporated some factors of mystery into their works, the status of Maris as the "father of the Greek Crime Novel" is undeniable in the quality, quantity, and influence of his works.This small study attempts to analyze what kinds of charms in his writings attract readers. Close reading his major novels, Crime in Kolonaki (1953), Crime on the Backstage (1954) and The 13th Passenger (1962) indicates that the succinct style without lengthy descriptions and the common heroes seen in daily life contribute to produce readable works. Besides, for the same purpose, it is consciously avoided to introduce factors which might hinder comfortably reading, such as family affections unrelated to the main story or historical/political issues at the periods.The study argues that the works in Maris's later period (the 1960s–1970s) underwent certain changes in that previously rarely expressed aspects came to the fore, although the basic function of entertainment has been consistently retained. In Summer of Terror (1971), for example, the writer comments on the generation gap and police abuse of power.Finally, Operation Rainbow (1966), regarded as an adventure romance rather than a crime novel, is worth analyzing because it exemplifies more directly the writer's views on human relationships, such as father–son affections, and historical events such as the German Occupation.
著者
豊国
出版者
蔦屋吉蔵
雑誌
錦絵帖
巻号頁・発行日
1854

『[豊國十二ヶ月]』(請求記号:寄別2-8-1-6)の解題を見よ

1 0 0 0 OA 射御秘伝書

出版者
巻号頁・発行日
vol.[47],
著者
王 敬銘 東 マスミ 吉澤 結子
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.58-62, 2011

植物揮発性オキシリピン類は,生体防御を始め,さまざまな生物活性を示すことが知られている.ヒドロパーオキシリアーゼ(HPL)は,植物揮発性オキシリピン類の生合成に重要な酵素である.本研究では,植物揮発性オキシリピン類の生物意義をより詳細に解析する新しい試みとして,その生合成を阻害する化合物の探索を行った.合成した12種類イミダゾール系化合物のHPL阻害活性を検討の結果,化合物3{1-[2-benzyloxy-2-(2,4-dichlorophenyl)-ethyl]-1H-imidazole}が明瞭な阻害活性を示した.そのIC50は約39μMであった.また,化合物3とHPLの結合活性を調べた結果,そのKdは約13.5μMであることが明らかとなった.

1 0 0 0 OA [京暦]

出版者
菊沢藤蔵
巻号頁・発行日
vol.[1], 1870