著者
髙坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.9, pp.5-17, 2016-03

本研究の目的は、2004年4月から2013年3月までに刊行された恋愛に関する学会誌論文を概観することで、現在の日本における心理学的恋愛研究の動向と課題を明らかにすることである。検討対象となった31本すべてが質問紙法を採用しており、調査手法の偏りが明確になった。また31本のうち28本は、立脇・松井・比嘉(2005)が示した恋愛研究の4つの方向に該当していることから、方向によって進捗状況は異なるが、それぞれが着実に知見を積み重ねていることも示された。そのうえで、調査手法や調査対象者の拡充、無批判に欧米の理論や知見を取り入れ、日本での適用を確認するだけではなく、日本特有の恋愛現象・行動に着目した研究を行うこと、セクシャルマイノリティの認知・理解が広がるなか、恋人の定義を明確にすること、などの課題や展望が指摘された。
著者
嶌田 理佳 上野 範子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.2_87-2_99, 2002

アメリカやイギリスでは1990年頃までにほとんどの施設でナースキャップが廃止された。 私服導入を含めたユニフォームの変遷と共に必然的に廃止に至ったと考えられるが,この背景にはナースキャップの表現する看護婦像が専門職のものとしてふさわしいかどうかを議論したフェミニズムの視点もあったと考える。 歴史的に欧米でも女性は主体的に生きることは許されず,一生を男性に捧げるものとされてきたが,看護が伝統的に女性の職業であったために,1960年代まで看護婦は医師や病院経営者ら男性による支配をうけてきた。 その後,女性のみに着用が求められるナースキャップは,差別的であるとの指摘や伝統的女性観を想起させ,新時代の看護婦のイメージとして不適切との主張がナースキャップ廃止に影響を与えたのではないかとみられる。 この論文では英米の文献を参考に看護史と女性史に基づき,ナースキャップの表現する女性性と看護婦像について考察した。
著者
上原 行雄
出版者
日本評論社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.p473-484, 1978-04

論文タイプ||論説
著者
辰巳 直也 森勢 将雅 片寄 晴弘
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.7, pp.1-6, 2010-10-07

Vocaloid 「初音ミク」 の発売以来,歌唱合成に対する注目が高まりつつある.Vocaloid では,メロディと歌詞を入力することにより,サンプリングされた人の声を元にした歌声を合成することができる.また,表情パラメタを調整することにより,様々な表情を付与することができる.しかし,より人間らしい表情豊かな歌声にするには,表情パラメタの調整を細かく設定することが必要なため,非常に煩雑で時間がかかる.本研究では,ロック歌手の一人 「GACKT」 の歌い方に見られるビブラートやポルタメントといった音高・(音量) 等の歌唱技法を低次のモデルパラメタで近似し,混合ガウス分布を用いた手法でモデルパラメタを決定する.それらの値を Vocaloid の出力に付加することで,ロック歌手らしい歌い方を実現する 「ロックボーカルレゾネータ」 を提案する.Since the release of Vocaloid "Hatsune Miku", voice synthesizing applications have been known to the public people. Vocaloids generate human-like vocal melodies by giving lyrics and melodies. If the parameters for expression control are elaborated, Vocaloids yield more natural vocals. However, setting these parameters requires complicated expertise. This paper proposes a system called "Rock Vocal Resonator" that emphasizes Rock vocalist styles for Vocaloids, based on analysis of a Japanese Rock singer, GACKT's singing.
著者
桂木 健次
出版者
富山大学
雑誌
富山大学教養部紀要. 人文・社会科学篇 (ISSN:03858103)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.61-73, 1986

正誤表:p71.22行目 誤「国家期間」→正「国家機関」
著者
笠谷 和比古
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
no.4, pp.p123-147, 1991-03

前稿(一)においては、福島正則と加藤忠広の二大名の改易事件について検討した。その結果、両改易ともに、幕府側の政略的な取り潰しということはできず、むしろ両大名側に処罰されて致し方のない重大な違法行為のあることが否定できないことが明らかとなった。このように徳川幕府の大名改易政策は、従前考えられてきたような政略的で権力主義的な性格のものではないのである。そしてこのことは、この大名改易の実現過程における、その実現のあり方という面についても言いうる。本稿では大名改易の実現過程を、改易の決定過程と、当該大名の居城と領地の接収を行うその執行過程とに分けて見ていく。秘密主義と権力主義という幕府政治についての一般通念と異なって、大名改易政策の実現過程に見られるのは、諸大名へのそれぞれの改易事情の積極的な説明であり、城地の接収に際しての大名領有権に対する尊重と配慮であった。