著者
吉田 智彦
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.50-57, 1980-03-01

オオムギの早生品種を晩夏に播種し12月〜1月に子実を収穫する豆まき栽培法により品種比較を試みた。無かん水条件下では品種内の出穂や成熟が乱れ,子実収量も低かった。かん水条件下では子実重が22.6〜39.5(kg/a)であった。西海皮24号(二条種)はどの環境下でも穂数が多く多収であった。羽系S104(六条種)はほぼ1個体1本の穂のみで穂揃い良く,早生で播種後約3か月で収穫できた。CIMMYT育成の系統は早生で本栽培に適するものが多かった。今後さらに多収を得るためには,成熟の穂揃いは悪いが分けつの多いもの,たらびに穂摘いを良くし成熟までの日数を短縮するためには分けつの少ない1穂小花数の多いもの,の両タイプの品種を選抜していく必要のあることが明らかにたった。
著者
面谷 信
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.688-697, 2005 (Released:2005-01-01)
参考文献数
36
被引用文献数
3 3

紙とディスプレイの長所を共存させた快適に“読める”媒体として電子ペーパーが注目され,実用を目指した開発が精力的に進められている。本報告では,電子新聞・電子本などへの適用が期待されるこの新しい電子メディアに対する多様な期待の方向性についてまず整理を示す。そのうえで改めて電子ペーパーのねらい,実現形態,技術開発の現状,応用用途の見通しについて概説する。また電子ペーパーの目指す読みやすさに関する基礎研究として,ディスプレイ作業と紙上作業の差異に注目し,その作業性や疲労度について被験者を用いて定量評価を行った結果を紹介し,得られた知見についても述べる。
著者
田中 鉄也
出版者
人間文化研究機構地域研究推進事業「現代インド地域研究」
雑誌
現代インド研究 = Contemporary India (ISSN:21859833)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.197-209, 2015-02-27

This paper analyzes how a Hindu temple named Rani Sati temple can feasibly be managed after state regulation by the Commission of Sati (Prevention) Act, 1988. Rani Sati temple, situated in northern Rajasthan, commemorates a legendary widow from the Jalan lineage of the Agrawal caste, who is alleged to have followed a custom of widow immolation, namely Sati, in 1295, and became one of the most famous Satimatas (deified immolated widows) in India. Since the Commission of Sati (Prevention) Act was implemented in 1988 to prohibit worship of the immolated widows, the temple has begun lawsuits to protect the basic rights of religious freedom against public interference from the Rajasthan State Government. The precedents of court battles show that the legal legitimacy of the Act is ambiguous. While the Indian state must prohibit Satimata worship, it must protect the rights of religious freedom. Analyzing a series of court battles by the temple, this paper discloses the process forming a legal discourse that gradually curtails the space for worship and the permissive religious activities of the worshippers within the temple premises.ラージャスターン州ジュンジュヌー市に存するラーニー・サティー寺院は, 中世期に寡婦殉死を経て神格化したサティーマーター (サティーの女神) を祀ったヒンドゥー女神寺院である。しかし1988年サティー犯罪 (防止) 法が施行され, 寡婦殉死とともにサティーマーター信仰も法的に禁止された。それ以来この寺院運営の違法性は問われ, 現在に至るまで多くの裁判が行われている。本稿では1980年代後半からの法廷闘争に注目し, 現代インド社会における宗教実践の場として寺院がどこまでが私的空間で, どこまでが公的空間であると線引きされうるのか, そしてどの程度において信仰の自由が維持されうるのか詳らかにしている。同寺院をめぐる一連の裁判では, 寺院を規制しようとする行政側と運営を実行としようとする寺院運営トラストとの間で信教の自由権が常に論議の中心に置かれてきた。この司法的解釈の変遷から「信仰の自由」の諸相を読み取ることができるのである。
著者
北原 龍二
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.59-74, 2008-03-31

すでにこの連載稿(この紀要に連続して掲載中の「医学校教室論究」1〜をまとめてこう呼ぶ)の1.4.08.(桜花学園大学研究紀要 第5号 43頁 2003)において,関連病院問題についての概要は述べた。今回の連載稿「6」では,改めて,詳細・具体的にこの問題を考察する。ここでは,まず相当数の事例を挙げて,関連病院と医学校・教室との関係のすこぶる多様・複雑な諸相を,さまざまに提示する。なお,関連病院を語るには最低限二つの視点が必要である。1は医学校・教室から関連病院を見る視点(教室にとっての関連病院)であり,2は,関連病院から医学校・教室を見る視点(関連病院にとっての教室)である。この連載稿全体の趣旨から,主として1の視点に立つべきであるが,2の視点からの論述を含まないわけではない。また利用する文献資料において,2の視点からの論述と,1の視点からの論述とが明瞭に区分出来ない場合がある。論者が関連病院に属していても,その論述の基点は絶えず医学校・教室に置いている例は稀ではないからである。なおまた,記述の簡略化のため,関連病院に「」は付さない。筆者は,いわば・いわゆる世間の通念に従えば,などの意味を示すために,いい換えれば関連病院なる語は,厳密な定義に馴染まず,そのままでは学術用語とはなりがたいことを考慮し,本来は「」に括るべきと考えてはいるのであるが。関連病院とほとんど同義で系列病院・出張病院・派遣病院,出先機関,特に古くはジッツ(このカナ書きも一様ではないが)と呼ぶ例もあるが,引用文中における場合を除き,ここでは関連病院に用語を統一する。
著者
趙 堅 麻 寧緒
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会全国大会講演概要 平成26年度秋季全国大会
巻号頁・発行日
pp.398-399, 2014 (Released:2015-01-07)
参考文献数
5

本報では溶接変形・熱応力の解析時間を短縮するため、GPU並列計算技術を用いた加速陽解法FEMソルバーを開発した。計算精度を評価した上、自由度DOF(Degrees Of Freedom)が数万の継手モデルや1000万の超大規模モデルを対象にして高速計算の効果を確認した。
著者
中島 君恵 橋爪 博幸 田中 景子 関﨑 悦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】昨年度の本学会において生活科学科として「環境目的」を掲げた2つのプロジェクト「ダイズプロジェクト」と「トマトプロジェクト」の活動及び食と農についてのライフスタイルアンケート調査を報告した。今回は平成23年度に継続して行われた「ダイズプロジェクト」と「トマトプロジェクト」の2年間にわたる活動報告と、この活動に加わった栄養士養成課程学生40名を対象にしてアンケート調査を実施したので報告する。【方法】1.平成22年度から継続して学内で作られた腐葉土を野菜作りに利用し有機肥料の入った土壌にダイズやトマトを作付けする「ダイズプロジェクト」と「トマトプロジェクト」を行う。特にダイズについては1年生はダイズを春蒔きして7月に枝豆として収穫したのち学内実習の授業において「ずんだ」を作り、白玉団子ととともに試食した。2年生については前年度の秋に収穫した大豆を冬に味噌に加工して、2年生の秋に調理実習でシルバーランチ(みどり市社会福祉協議会との連携事業)の授業において調味料として用いた。2.「ダイズプロジェクト」と「トマトプロジェクト」に2年間関わった栄養士養成課程学生40名に対して食と農に関するアンケート調査を実施した。【結果】食と農に関するアンケート調査結果から、2年間の野菜づくりプロジェクトを中心とした農業について実践的に学ぶ体験から農業や農作物への高まり、卒業後も継続したいと考える学生が80%を超えていた。今後、これらの活動を継続することにより、食教育、環境教育、食農教育をさらに連携させたプログラムづくりに発展させていきたいと考える。