著者
永崎 研宣 三宅 真紀 苫米地 等流 A.CharlesMuller 下田 正弘
雑誌
じんもんこん2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.4, pp.239-246, 2013-12-05

本稿は、大正新脩大藏經テキストデータベースにおける脚注の校勘情報を通じた人文学資料としてのテクスト構造化に関する研究を扱う。これはこのデータベースを構築・運用するSAT プロジェクトの次のフェーズの方針の策定に役立てることを目指すものである。大正新脩大藏經の校勘情報は、各一次資料の歴史的な関係からある程度想定可能だが、具体的に研究されてきたわけではなかった。ここでは、デジタル化された校勘情報を用いた分析を行ったが、結果は一般的な想定を裏付けするものであった。いくつかの例外的なものがあったことが、今後の方針を策定する上で有益かもしれない。また、Linked Data という形で校勘情報を扱うことで、一次資料公開に関する権利所有者との合意形成が容易になるかもしれない。
著者
三田 薫
出版者
実践女子短期大学
雑誌
実践女子短期大学紀要 = The bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:13477196)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.19-43, 2014-02-04

本稿では、スカイプ英会話を短期大学の英語コミュニケーション学科正規科目に導入した英語教育の調査結果を紹介する。3つの選択科目の授業内で学生は、フィリピン人講師と25 分間の1対1 の英会話に毎時間参加した。この取り組みの目的は、学生のスピーキングによるコミュニケーションの自信と習熟度を上げることであった。学生は、授業について高い満足度を示した。質問紙調査の結果、「第二言語コミュニケーションの自信」に関わる項目で、事後に平均が有意に高まっていることが明らかになった(p<.01)。この結果について、インタビュー調査の質的データと合わせて、さらなる分析を行った。
著者
橋本昌枝 松村敦 宇陀則彦
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.561-563, 2015-03-17

物語音楽には様々な解釈が存在し、それに対する議論は電子掲示板やTwitterを中心に行われている。しかしながら物語音楽は楽曲同士の関係を示す意見や、楽曲の一部分に対する意見などが多く存在し、既存のサービスではそれらの意見の把握が困難になるという問題が存在する。そこで本研究では、物語音楽の議論に存在する「繋がり」に着目し、その繋がりを提示できるシステム「Mapping of Horizon」を開発した。物語音楽として、Sound Horizonを題材として評価実験を行い、本システムによってユーザが意見を把握し、新しい発見や楽しみを得られたかを検証した。
著者
小澤 伊久美 オザワ イクミ Ikumi Ozawz
雑誌
ICU日本語教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.37-48, 2002-03-31

学習心理学の新しい動向として「状況的学習論」あるいは「文化的実践としての学び」という学習観が提唱されている。外国語教授法においても「知識の注入」から「文脈を伴った実践的学習」へという動きが見られ,外国語教育も学習心理学の変遷と並行する形で発展しているように見受けられる。本稿では状況的学習論が言語教授法そのものではなく,「教師教育」の在り方に与える示唆について議論する。日本語教育における教師教育の分野でも,教師の実践的能力を高めようという動きはあり,状況的学習論がもたらしたような知識偏重から実践的な学びへのパラダイム転換は始まっているのだと言える。しかし,具体的にどのように実践的能力を高めるかについてはまだまだいくつかの試みが始まったばかりであり,特に「実践的専門家である教師」の熟練性あるいは専門性はどのようなところにあるかという点を分析・考察する方法論が日本語教育ではまだ確立されていない。本稿では,教師が身に付けるべき専門性についてのより具体的な研究が必要であり,教育学の分野で佐藤らが進めている研究は,日本語教育の分野に応用するためには実験対象の選択法など検討を要する点があるものの,方法論として活用しうるものであることを指摘した。
著者
今西 祐一郎 大高 洋司 加藤 聖文 山本 登朗 入口 敦志 神作 研一 谷川 惠一 田中 大士
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.36, pp.1-16, 2014-08-01

●メッセージ「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」始まる●研究ノート「八戸南部家の読本収集」余滴世界のアーカイブズをめぐって特定研究「中世古今集注釈書の総合的研究―「毘沙門堂本古今集注」を中心に―」●トピックス連続講座「くずし字で読む『源氏物語』」山鹿積徳堂文庫シーボルトに近づく楽しみ特別展示「中原中也と日本の詩」平成26年度 国文学研究資料館「古典の日」講演会刊行物の紹介第38回国際日本文学研究集会総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況
著者
前原孝亮 佐藤優也 上野歩 中村亮太 上林憲行
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.209-211, 2015-03-17

就職活動の対策の中でも,企業研究はその方法を他者に評価される機会が少なく,学生の独善的な内容に陥りやすいという問題点が挙げられる.そこで本研究では,就職活動における学生の企業研究の促進を目的とした,『企業紹介バトル』による新たな企業紹介動画コンテンツの作成手法を提案する.本提案手法は,ビブリオバトルの推薦システムを取り入れた競争型の企業紹介セッションを実施することで,企業研究の成果を学生同士で相互評価し,相互作用を図るものである.作成された動画を就職活動前の学生が視聴した結果,新たに興味を持った企業について自分で調べるという,企業研究のきっかけにつながる行動を起こしていたことが確認できた.
著者
岡山 博
出版者
仙台赤十字病院
雑誌
仙台赤十字病院医学雑誌 = Medical Journal of Sendai Red Cross Hospital (ISSN:09178724)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.83-90, 2014-05

福島第一原子力発電所事故が起き、多数の人が被曝した。政府や被曝医療専門家、メディアは、法令で定められている「被曝はできるだけ減らす」という基本を無視して、被曝を話題にすることさえ過剰反応として抑圧し、被曝回避を軽視する対応をした。大規模な放射能汚染にあたって、政府や行政、医師やメディアは、被曝を回避させ、国民住民を守るために言動すべきであった。
著者
宇藤陽介 南角 吉彦 季晃伸 徳田 恵一
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.129(2007-SLP-069), pp.103-108, 2007-12-20

声質変換とは,ある話者が発した音声を別の話者が発したかのような音声に変換する技術であり,任意の音声を合成する音声合成システムよりも少量の学習データで実現可能である.従来の声質変換ではスペクトルをガウス混合モデル (Gaussian Mixture Model; GMM) でモデル化し,非線形に変換する手法が広く用いられる.しかし,F0 の変換に関してはスペクトルとは独立に線形変換が用いられることが多かった.これは,F0 が有声区間のみで定義されており,無声区間では値を持たず,系列全体を通常の連続分布や離散分布でモデル化することが容易ではないためである.本報告では,多空間上の確率分布 (Multi-Space Probability Distribution; MSD) に基づく GMM (MSD-GMM) を用いたスペクトルと F0 の同時変換手法を提案する.提案法では,F0 の非線形変換が可能になるだけでなく,有声から無声や無声から有声への変換も可能となる.さらに本研究では,F0 の時間方向の変動をモデル化するために MSD-HMM への拡張を検討する.
著者
稲垣 知宏
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.66-67, 2011-12-15
著者
中山 浩太郎 岩澤 有祐 黒滝 紘生 松尾 豊
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.1102-1109, 2015-10-15

Deep Learningが人工知能研究のブレークスルーとして研究者の注目を集め始めてから久しく,Google,Face-book,Baiduなどが積極的に研究開発に参加,DeepMindなどの強烈なインパクトを持った研究が行われるなど,発展著しい研究領域となった.これに伴い,ここ数年でTorch,Caffe,Pylearn2/Theanoなどの実装が急速に整備され,これらのライブラリを利用した研究も盛んに行われている.本稿では,Deep Learningの概要と,2015年における研究・開発の状況を主に実装面から俯瞰する.また,筆者らが開発しているGPUを利用した高速・高機能のSdA 実装「GeSdA」も紹介する.これからDeep Learningに関する研究を始める研究者や,利用を考えている読者の一助になれば幸いである.
著者
松原 仁
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.1054-1055, 2015-10-15
著者
榊原 康文 伊藤 詩乃 田中 佑岳 佐藤 健吾 洪 繁 狩野 芳伸 Yasubumi Sakakibara Shino Ito Yugaku Tanaka Kengo Sato Shigeru Ko Yoshinobu Kano
雑誌
SIG-AIMED = SIG-AIMED
巻号頁・発行日
vol.001, 2015-09-29

Toward a final goal to construct a medical diagnostic support system, as its pilot study, we attempt to build a question-answering program that automatically answers the medical licensing examination.
著者
高前田 伸也
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2015-EMB-38, no.1, pp.1-1, 2015-08-21

利用者が構成の変更が可能なデバイスである FPGA は幅広い用途に利用されており,評価ボードの低価格化・小型化に伴ってソフトウェア技術者などにも広まりつつある.開発方式は抽象度が高まりつつあり,アプリケーションを IP コアという形でパッケージ化し,EDA ツール上でそれらを組み合わせることにより,システムが実現できる.本講演ではまず,FPGA システムと高位合成技術の最新動向について解説する.その後,Python による高位合成とメモリシステムの抽象化を用いたポータブルな設計フレームワークである PyCoRAM と,それを支える Python によるハードウェア構成の解析ツールを紹介する.最後に,参加者と共に今後の高位設計環境に求められるものは何かを議論し明らかにする.