著者
山村道夫
雑誌
応用薬理
巻号頁・発行日
vol.46, pp.417-426, 1993
被引用文献数
4
著者
常川 真央 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
Japan Society for Information and Media Studies
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.42-51, 2013

近年,ウェブ上で読書状況を公開し,他人と感想などを伝え合う読書支援ウェブサービスが盛んになっている.読書支援ウェブサービスでは,読者同士のコミュニケーションを支援するために,興味が類似したユーザとの出会いを支援する機能が不可欠である.そこで本研究では,類似の読書傾向を持つ読者を発見する手法として"NDC ツリープロファイリング"を提案する.NDC ツリープロファイリングは,日本十進分類法 (NDC) に基づいてユーザの読書傾向からツリー状のユーザプロファイルを作成する.そして,ユーザ同士のプロファイルを比較することにより,読書傾向の類似したユーザを発見する.評価実験を行った結果,ランダム推薦方式に対して本手法が統計的に有意に精度が向上した.一方,共通書籍冊数による手法と TF-IDF によるベクトル空間モデルを利用した手法に対しても精度は高かったものの,統計的に優位な差はなかった.十分な精度向上はできなかったものの,本研究で提案した NDC ツリープロファイリングは,階層構造を持ち,階層毎の重みを調節することでより繊細にユーザの関心を捉えられる可能性を持っている.さらなる調整を行なうことでより有効な類似読者発見を実現できる可能性がある.
著者
田垣 正晋
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.172-182, 2014

本研究は,外傷性脊髄損傷者のライフストーリーから,中途肢体障害者の障害の意味の長期的変化を検討した。対象は,10年前の研究協力者の男性10名で,今回の調査時点で,受障から平均27.2年が経過,平均年齢49.4歳だった。10年間の生活の様子,障害に関する葛藤に関する半構造化面接を各々1回行った。対象毎に,逐語記録から抽出された平均約130個のコードについて,質的分析をした後,10名の結果を統合した結果,4つのカテゴリーを得た。1)「身体の管理」では,対象者は,移動の制約や体調の管理をしつつ,福祉サービスを使いこなしていた。2)「打ち込める活動」では,話し手は,仕事,社会活動,福祉活動,子育てを重視していた。3)「障害を活用して社会へ働きかける」では,話し手は,障害者施策の批評,交通機関の障害者への態度に対する抗議,闘病記の作成をしていた。4)「揺らぎと両価的意味づけ」の話し手は,3つのカテゴリーを文脈にして,仕事上の不利益,諸活動への消極さ,機能回復の希望をもつと同時に,子どもへの関与,障害者への支援などに,受障したからこそ可能になった人生上の意義を見いだそうとしていた。4)のうち,3名の話し手は,10年前と同様の両価的な意味づけを語った。以上の結果は,中途障害者の研究に両価的視点が有効であることを示した。
著者
菊地 紫乃
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.162-171, 2014

本研究では,幼児が2つの物語を比較することで,その構造を抽出し,物語と類似した方法で問題解決をできるのか検討した。5歳前半児と5歳後半児を対象に問題解決の物語を提示し,その後,道具を使って解決する課題を解かせた。物語と課題は解決方法において類似しており,類推によって解くことができた。2つ物語を与える場合,教示によって物語の比較を促す群とそうでない群を設けた。実験の結果,5歳後半児は物語の比較を促されなくても,自発的に類推によって解決ができると示された。一方,5歳前半児は,自発的に類推によって解決することが難しく,大人によって物語の比較を促されることで類推による解決ができるようになると示された。年齢に伴って,物語と課題に共通する構造に気がつくようになることも明らかにされた。幼児においても類推による問題解決を行うことができ,5歳後半以降に自発的に構造に基づいて類推による解決ができるようになると言える。さらに,物語と課題の間の構造の類似性に気づくほど類推による解決が可能であった。構造の抽出ができるほど構造に基づく問題解決もできるという関連が示唆された。
著者
枡田 恵
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.151-161, 2014

これまで幼児の感情発達に関する研究は,感情語や表情図を用いて感情や表情の理解を測る課題が中心であり,表現の側面に焦点を当てたものは見られない。そこで本研究は,幼児期における感情発達について理解と表現の両側面から検討した。言語の発達途上にある幼児を対象とするために,言語的課題と非言語的課題の両方を使用し,これらの課題の関連を調べた。4歳から6歳の幼児44名を対象に,喜び・悲しみ・怒り・恐れ・驚きを引き起こすような物語を読み聞かせた後に,主人公の気持ちに感情をラベリングさせる課題を行い,感情の理解を言語的に調べた。その後で,主人公の表情を描く描画課題,ならびに主人公の表情を自ら表現する表情表現課題という二つの非言語課題を行った。その結果,ラベリング課題と描画課題,表情表現課題のどちらの間にも有意な相関は見られず,理解課題と表現課題は,異なる認知過程を要すると考えられた。また年中児においては,描画課題と表情表現課題の間に有意な相関が見られたことから,幼児期においては,描画で示された表情表現は言語的な理解能力ではなく,実際の表情表現能力と関連している可能性が示唆された。
著者
坂田 陽子 口ノ町 康夫
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.133-141, 2014

本研究の目的は,対象物の特徴を抽出する能力が人の一生涯にわたってどのように変化するのかについて,幼児,大学生,高齢者を対象に同一の課題を用いて組織的に検討することであった。刺激として形,模様,色から成る幾何学図形を用い,2個もしくは8個を同時に実験参加者に呈示し,刺激間の共通した特徴を抽出させた。共通特徴は,形もしくは模様もしくは色のいずれか一つのみであった。その結果,形特徴に関しては,年齢による抽出成績差はなく,生涯を通して高水準で抽出が可能であった。一方,模様と色特徴に関しては,年齢による抽出成績に差が見られ,模様特徴に関しては加齢に伴うなだらかな逆U字曲線が,色特徴に関しては加齢に伴う,模様特徴よりも鋭角な逆U字曲線が見られた。これらの結果から,抽出能力は対象物の特徴によって異なる生涯発達的変化を示すことが分かった。その全体像から,形特徴抽出のような幼児期初期にはすでに獲得されている能力は高齢期後期まで残存し,模様や色特徴抽出のような幼児期後期に獲得した能力は高齢期初期に衰退するという現象が明らかとなり,この現象に対して,"first in, last outの原理"を適用できるのでないかと考察された。
著者
渡部 雅之 高松 みどり
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.111-120, 2014

空間的視点取得は,他視点への仮想的な自己身体の移動と,それ以外に必要とされる認知的情報処理の2つの過程から構成される。多くの先行研究では,これらの過程を適切に分離できておらず,使用された実験課題によって互いに矛盾する結果が得られることも多かった。特に,空間的視点取得の本質と目される仮想的身体移動がどのように発達するのかについては,今日でも十分には解明されていない。本研究では,両過程を分離して捉えるために,反応時間と視点の移動距離との間に成立する一次関数関係を利用した手法を考案した。さらに,子ども達にも容易に理解できるように,この手法を組み込んだビデオゲーム形式の課題を作成した。3–4歳群,5歳群,6歳群,13歳群,21歳群の各群20名ずつ,合計100名が課題を行った。仮想的身体移動過程もしくはそれ以外の認知的情報処理過程のみを意味する各1種類の指標と,両過程を含む従来型の反応時間と正答数との,合計4種類の指標が分析に用いられた。その結果,仮想的身体移動に関わる能力が思春期以降に発達すること,それ以外の認知的情報処理に関わる能力は児童期後期から思春期頃に大きく伸張することが示された。これらを踏まえて,仮想的身体移動の発達研究の重要性を,身体性や実行機能の観点から考察した。
著者
南 俊朗 大浦 洋子
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-16, 2013-03

多くの大学において教師達は,学ぶ意欲が十分ではない学生を相手に如何に教育効果を上げるか日々努力を続けている。学力の低い学生達を観察すると,彼らは学力以前に学ぶことへの動機づけが十分でなかったり,学ぶとはどういうことかを意識していなかったりと,学びの基礎となるべき知識に対する好奇心,ノートを作成したり復習や予習をしっかりやるなどの心の姿勢に問題がある場合が多い。本稿では,学生の学ぶ力やその基礎となる学びへの意欲などを授業データに基づいてモデル化することを試みる。授業データとしては平常点の基礎となる出席や宿題提出状況などや試験の採点データ,そして学期末に実施された学生自身と授業への評価アンケートの結果を用いる。これらのデータを基に,学生の努力・成果・評価の相互関連を分析する。個々の学生に対する主観的な印象情報に加えて,このようなデータに基づく客観的な知見を併用することによって,より精密な学生モデルを得ることができ,ひいてはより良い授業改善に繋がることが期待できる。
著者
増山 一光
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.29, pp.62-65, 2013-11-09

神奈川総合産業高等学校は,独立行政法人情報処理推進機構が主催する第8回IPA情報セキュリティ標語・ポスター・4コマ漫画コンクールに学校として参加し,情報セキュリティ標語で優秀賞を得ることができた.この取り組みにおいて,多くの生徒が情報セキュリティ標語の作成をしている.そこで,本稿では,これらの作品に対して計量テキスト分析等により,高校生の情報セキュリティ意識を関する考察を行うことで情報セキュリティに対する考え方の特徴や傾向を明らかにする.
著者
五十嵐 春子 北田 紀久雄
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.147-152, 2007-12-30 (Released:2008-12-30)
参考文献数
7

Recently, biomass use is attracting attentions as one of the countermeasures against the global warming and resource exhaustion problems. This thesis deals with the policy of biomass use promotion and its problem from the viewpoint of the promoting institutions. For this purpose, an intensive questionnaire survey was conducted. We selected 260 institutions introduced on websites and mailed them questionnaires in September 2005. We got 111 responses out of those 260 (43.1%).
著者
Shizuyo Sutou
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
Genes and Environment (ISSN:18807046)
巻号頁・発行日
pp.2014.019, (Released:2014-06-19)
参考文献数
81
被引用文献数
2

Three characteristics, i.e., bipedalism, nakedness, and the family reproductive unit, distinguish humans from other primates. Once a hairless mutation was initially introduced, these three could be explained inseparately. All primates except humans can carry their babies without using their hands. A hairless mother would be forced to stand and walk upright to hold a baby. As her activities were markedly limited, the male partner had to collect food and carry it to her to keep their baby from starving. He must have been sexually accepted by her at any time as a reward for food. Sexual relations irrespective of estrus cycles might have strengthened the pair bond, leading to family formation. Savannahs appeared 2.5 million years ago (Ma), which forced hominins to terrestrial life, but the ground was full of danger and a larger brain became advantageous. Wildfires occurred frequently; naked hominins approached fire for warming, but soon must find burnt animals in the aftermath of wildfires. The taste of burnt meat must be a driving force for hominins to become meat-eaters. They must have learned how to control fire and how to repel hairy animals that hate fire. To compete with large carnivores with fangs and claws, they became not hunters but robbers. When robber hominins found that a carnivore had killed a prey animal, they approached the predator and repelled it away from the victim using fire, then claiming the prey intact. Major events such as the timing of global cooling, the appearance of savannahs, the appearance of early humans, decline of large predators, the manufacture of stone tools, and the start of cooking largely coincide at 2.5 Ma. Cooked meat must be tasty and easily digested, providing hominins with nutrients sufficient to enlarge the brain, while most large carnivores were forced to extinction. Thus, hairlessness created humans.