著者
平野 淳一
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011-DD-80, no.9, pp.1-8, 2011-03-21

本論では,エジプトを中心とするアラブ世界やイラン,トルコにおいて,新聞や雑誌といったプリント・メディアがどのような歴史的経緯のもとに普及・発達していったのか,ヨーロッパとの国際関係,支配者の政治社会政策,知識人の文化活動などに着目しつつ明らかにする.
著者
楠 正憲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.384-392, 2021-07-15
著者
滝口 美樹 吉川 はる奈
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 = Journal of Integrated Center for Clinical and Educational Practice (ISSN:13477420)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.85-89, 2014

小学校中学年の仲間集団の特徴と変化に着目し、特にギャンググループの形成過程を明らかにすることで、ギャンググループが仲間関係にどのような役割を果たしているのか考察した。小学校での観察調査と質問紙調査の結果、中学年の時期には、仲間集団は取りくみたい遊びを理由に形成する状態から、固定された仲間との同一行動を求めていくように変化していった。さらに高学年にかけて、仲間関係が広がっていき、学校生活の中で「楽しい」時間は「休み時間以外」と答える児童がふえるなど、学習、行事等で友達と一緒に活動することで楽しさを感じていた。
著者
伊藤 文人
出版者
日本福祉大学福祉社会開発研究所
雑誌
現代と文化 : 日本福祉大学研究紀要 = Journal of Culture in our Time (ISSN:13451758)
巻号頁・発行日
no.145, pp.23-50, 2022-09-30

本稿の目的は,現代歴史学から「社会福祉(なるもの)」へ接近し,社会福祉の歴史研究を刷新をしていると思われる,「福祉の複合史(the mixed economy of welfare)」研究の展開過程とその方法論的な特長を抽出することである. 「福祉の複合史」研究は,本国英国では1970年代末期から,日本では英国での成果を摂取しつつ1990年代後半から徐々に「歴史学」分野で紹介・深められ,多くの「福祉の歴史」の諸相を明らかにしてきた.その特長は,それまでの社会福祉史研究(≒社会事業史研究)が無意識的に採用してきたと思われる「歴史観 historiography」(ホウィグ主義史観とマルクス主義史観)とは異なる,多層的で射程の長いそれを見いださそうとしているところにある.本稿は,この「福祉の複合史」研究の主要な論者による問題意識と主張——特に彼らが注目する「中間団体(アソシエーション)」による福祉供給主体の史的内実:「福祉ボランタリズム」——を紹介し,その到達点へ若干のコメントを行うものである.
著者
ERNEST DIT ALBAN Edmond "Edo"
出版者
国際日本文化研究センタープロジェクト推進室
雑誌
Dōjin Journal : An academic journal on popular cultures established by the International Research Center for Japanese Studies (ISSN:24357901)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-26, 2020-11-30

This paper aims to construct a theoretical and methodological approach for discussing, on a textual level, the intersections of queer and homosexual representations in gay manga produced by gay men and cisgender women. The main argument is that gay manga revolves around alternative takes on the representation of the mobility (animation) of characters, a phenomenon that will be framed through the notion of sexy stillness. The analysis of this new notion of sexy stillness is conducted through the comparison of the technical aspects of gay manga artist Yamakawa Jun'ichi's art with canonical girls' manga series. Great care will be given to the specific moments describing the inner motion of characters, as well as the place of these scenes within the visual composition of narratives. Analysis of some elements of the media and social context will also be incorporated in order to explore the meaning of sexy still techniques within manga history and LGBT movements in Japan. In doing so, the goal is to present similarities in terms of the visual expression of queerness as a basis for supporting future works on the different social or communal projects, media production systems, and political impact of gay manga genres.
著者
本田 尊正
出版者
東洋大学法学会
雑誌
東洋法学 (ISSN:05640245)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.133-170, 1961-03
著者
松田 睦彦
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.183, pp.187-207, 2014-03-31

小稿は山から石を切り出す採石業に従事する石屋が祀る山の神について,その祭祀の実態を明らかにすることを目的とする。しかし,この目的を達するためには,生業と信仰の関係に注目した研究を取り巻く3 つの問題点を克服しなければならない。すなわち,取りあげられる生業が限定的であること,祭祀の形態についての報告が多くその実態が明らかでないこと,そして,特定の職と職能神との固定的な関係性を前提としていることである。小稿では,この3 つの問題点をふまえたうえで,瀬戸内海地域で活動してきた石屋の山の神祭祀を具体的に検討した。その結果,祭神については特定の神仏と結びつかない例のほか,大山祇神社の大山祇命や石鎚山の石鎚大神といった近隣の社寺の祭神などを祀ることが明らかとなった。また,祭日については正月・5 月・9 月の7 日または9 日という例が多いが,これは近畿から中国,四国に広がる7 日または9 日を山の神の祭日とする考え方と,九州地方を中心に広がる正月・5 月・9月を山の神の祭りを行なう日とする考え方が融合したものである可能性を指摘した。さらに,祭場については山中の特定の場所に簡易に祀るものから神社として祀るものまで多様であり,祈願内容については不慮の事故の防止や良質の石材の産出などが挙げられた。ただ,こうした祭祀の様相は,祭祀の実態を示すものではない。そこで,山の神祭りを行なってきた当事者の語りに注目し,それを同じく石屋の祀る神であるフイゴ神の祭祀についての語りと比較した。すると,これまで石屋の祭祀の中心をなすと考えられてきた山の神に対する信仰が,必ずしも熱心だとは言い難いものであることが明らかになった。こうした結論は,3 つの問題点の3 番目に挙げた特定の職と職能神との固定的な関係を前提とした研究のはらむ危険性を示すものでもある。
著者
カパッソ カロリーナ
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院大学研究年報 = Heian Jogakuin University Journal (ISSN:1346227X)
巻号頁・発行日
no.19, pp.41-53, 2019-03

12 世紀以降、西ローマ帝国の輝かしい時代が終焉してから初めて、イタリア半島は世界の文化的推進の役割を再び担うようになった。分断された小国乱立という政治状況に加えて、度重なる戦争や外敵の侵入に脅かされてはいたが、イタリア北部及び中部の都市国家、そして南部のナポリ王国は、生産と交易と社会システムの面において、飛躍的な成長を遂げた。こうした急激な変化の影響は、そのすぐ後にルネサンスと呼ばれることになる文化や芸術においてのみならず、より日常的な生活の実践に関わる分野にも及んだ。その代表的な例が料理であろう。今日、ヨーロッパで美味しいとして知られるのは、イタリア、フランス、スペインなどの料理だが、そのうちイタリアの料理は他国の料理よりもはるかに起原が古く、長い伝統を持つ。では、そのイタリア料理はいつ頃生まれたのだろうか。本論考は、イタリア半島でつくられた最初期の料理-- それが後にいわゆる「イタリア料理」を生むことになる-- について考察し、その起源と普及の状況を究明することによって、料理をめぐる当時のイタリア人の意識の変化を明らかにする。また、いくつかのレシピやそこで使用されている素材を分析し、イタリアの政治的統一よりも何世紀も前から「イタリア料理」が存在し、それがイタリア半島にすでに文化的なアイデンティティを与えていたことを明らかにしようとするものである。