著者
オーリ リチャ
出版者
言語文化教育研究学会
雑誌
言語文化教育研究
巻号頁・発行日
vol.14, pp.55-67, 2016

<p>本稿は日本における多文化共生と向き合うべく,ある異文化交流の場に焦点を当て,そこであたりまえのように行われている「◯◯国」を紹介する活動に対し持っている違和感を明らかにすることを目的としている。Hall(1997)が提唱する表象の概念を用い,「◯◯国」を表象する行為は必ずしも「無害」ではなく,(1) 差異の強化,(2) 二項対立の構図の構築,(3) ステレオタイプ構築に繋がる行為であることが記述できた。その背景には常識の支配力やヘゲモニーの維持に関連するイデオロギーが見え隠れしていることも明らかになった。また,日本社会の構成人である母語話者・非母語話者一人一人が「市民」になるためには,(1) 批判的意識,(2) 有標質問・有標イメージに対する認識,(3) 文化の再考,(4) 「わたし」という存在に対する認識が必要であることが示唆できた。</p>
著者
兜 真徳
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.123-141, 2004-04

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
岡本 雅史 大庭 真人 榎本 美香 飯田 仁
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.526-539, 2008-08-15
被引用文献数
5 3

本研究は,漫才対話が二者間での対話形式を取りながら第三者である観客への情報伝達を可能とする<オープンコミュニケーション>構造を持つことに着目し,発話・視線・姿勢などのマルチモーダルな要素間の相互作用の分析を行うことにより,二体の擬人化エージェントの対話を通じてユーザに効果的にインストラクションを行う対話型教示エージェントモデルを構築する上で有用な知見を得ることを目的とする.特にオープンコミュニケーションの大きな特徴の一つであるコミュニケーションの「外部指向性」に焦点を当て,非明示的な観客への情報伝達である「外部指向性」と直接的に観客への働きかけを行う「内部指向性」の両者が,どのように演者内のマルチモーダルな振る舞いと演者間のインタラクションによって実現されているかをプロの漫才帥の対話映像の分析から探った.結果として,オープンコミュニケーションにおける指向性の顕在化は,今回分析対象とした二組の漫才コンビ間で異なる形式を持つことが明らかとなり,オープンコミュニケーションの指向性を捉える上でマルチモーダルなチャネル間の相互関係が重要な役割を果たしていることがわかった.
著者
Polutov Andrey V.
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.703, pp.156-163, 2009-03
著者
井上 政義 入料孝一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.53, pp.39-44, 1996-05-25

音楽では、1つの音はそれ以前の音および次の音との関係で意味をもつ。そこで、ある時間間隔(数個の音符)におけるエントロピーを導入し、このエントロピーの時間変化から音楽を解析する。現に聞いている音(音符)を基準とし、この音との協和性で音にランクをつける。ランクは、同一音のランクを零とし、漸次その協和性の減少にともないランクの数を増大させる。音を解釈しているときに参考にされていると思われるそれ以前の数個の音符の平均ランク数よりこの時点でのエントロピーが求まる。音楽が進行するにつれ、エントロピーが変化していく。同一のエントロピー時系列をもつ異なる音楽から変奏曲が得られ、エントロピーの作図から作曲ができる。我々の解析から音楽の秘密は「カオスの縁のまわりの1/fゆらぎ」と思われる。A time series of entropy of music is introduced, and music is analyzed with the series. The entropy is calculated by an average rank number of several notes whose positions are located just before the present note. The rank number is defined by the degree of consonance between the present note and the considered note. Variations can be obtained with the use of the entropy series of the original music. We obtain the conjecture that the heart of music is thought to be 1/f fluctuation around the edge of chaos.
著者
岡島 奈音
出版者
文化学園大学・文化学園大学短期大学部
雑誌
文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要 (ISSN:24325848)
巻号頁・発行日
no.50, pp.27-38, 2019-01-31

幕末・明治期の絵師・河鍋暁斎は「地獄太夫図」を得意とし、作例も多い。中でも図像の類似が著しいウェストン・コレクション「一休禅師地獄太夫図」、ゴールドマン・コレクション「地獄太夫と一休」、クリーブランド美術館所蔵「屏風の前の美人」、河鍋暁斎記念美術館所蔵「極楽太夫図」、ボストン美術館所蔵「地獄太夫図」の計5 点に着目し、それぞれに描かれた地獄太夫の打掛文様を比較検討した。その結果、典拠である山東京伝の読本『本朝酔菩提全伝』で地獄模様とされた打掛を、暁斎が七福神と宝尽くしによる見立て地獄模様に変えた点は共通するが、各作品には明確な差異が見出された。具体的には、ウェストン本の打掛文様は最も緻密で、隅々にまで洒落が効いており、暁斎の手によるものと考えられる。ゴールドマン本の図柄はウェストン本とほぼ同一ながら、やや手数が少ない。クリーブランド本と暁斎美術館本は七福神の筆致が前2 作とは異なる上、図像に不完全な部分があり、模写の際に写し崩れが生じたと考えられる。ボストン本は、ウェストン本で展開された見立てが複数個所で成立しておらず、絵師が暁斎の意図を理解しきれずに写し崩れが著しくなったと推測される。
著者
谷 憲一
出版者
くにたち人類学会
雑誌
くにたち人類学研究 (ISSN:18809375)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.24-40, 2015

本論文は、相対化の複層性という観点から、アサドの世俗主義批判を捉えなおし、「コスモロジー」(世界観、信念、広義の宗教、近年では存在論として名指されてきた対象)研究におけるその意義を検討する。まず浜本による信念の生態学というアプローチとその問題点を指摘する。次に存在論的転回で言及される、ストラザーンとヴィヴェイロス・デ・カストロによる二項対立を通じた戦略で2種類の相対化が試みられていることを確認する。それを踏まえながら、アサドの議論を浜本による信念や儀礼に関する議論と比較することで、アサドの議論においては、人類学が依拠する世俗主義という前提に関する批判が含まれていることを指摘する。最後に、アサドの世俗主義批判の人類学的意義を考察し、「コスモロジー」研究の可能性を提示する。