3 0 0 0 OA 色道大鏡

著者
畠山箕山 著
出版者
古典社
巻号頁・発行日
vol.巻1, 1930
著者
田中 愼一
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-20, 2006-06-08

明治10年代に,東京府南葛飾郡在住のくみ取り人が本所区在住の地主を相手どって東京裁判所に訴えでた民事訴訟が起こっていた。この事件は第一審で原告側くみ取り人が勝訴したものの,その判決に不服な被告側地主が控訴した第二審では逆転敗訴となったため,さらに上告したが,第三審で敗訴が最終的に確定したのであった。訴訟の前提となる事実関係を再構築したうえで,裁判の進行過程を復元しつつ,訴訟当事者の利害状況を明らかにしようとした。くみ取り人は下掃除代を差配人に前払いしていた。その差配人が地主に罷免され,その地主的所有地には別のくみ取り人が来るようになり,元のくみ取り人は代金を取り戻せないまま,その地主的所有地から排除されたらしく,約束が違うと地主を訴えたのであった。下掃除代を交換価値とする肥料の交換が行われており,訴訟当事者には譲りがたい利害対立が醸成されていったのだった。こうしたことを追究しようとした。
著者
菅澤 貴之
出版者
九州大学大学院人間環境学研究院
雑誌
共生社会学 (ISSN:13462717)
巻号頁・発行日
no.5, pp.39-54, 2006

現代のわが国において大検を受検する者はいかなる社会的背景を有しているのだろうか。これが本稿の基本的な問いである。この問いに答える第一歩として、本稿では大検予備校在籍者に焦点をあて、大検受検者の社会的背景について検討を行う。具体的には、筆者が2004年に大検予備校在籍者を対象に実施した質問紙調査データと尾嶋史章が1997年に高校3年生を対象に実施した質問紙調査データとの比較を通して、現代の大検受検者の社会的背景を明らかにする。分析の結果、以下の知見を得た。尾嶋の高校生調査データと比較すると、大検受検者の父親、母親の学歴は、かなり高い。実に父親の約8割、母親の約7割が短大・大学卒である。次に、大検受検者の父親の職種は、「専門・管理」職が占める割合は3割を超えており、他方、「労務・サービス・農林」職が占める割合は低い。こうした職業構成を反映して、高校生世帯に比べて、大検受検者世帯では家計状況が良好な世帯が極めて多い。上記の分析結果を見ても明らかなように、現代のわが国において、大検を受検する者の社会的背景は限定されている。この点を踏まえると、現代の大検が、国家が意図した教育の「機会平等」をあちゆる者に保障するという機能を果たしていないことに気がつく。つまり、大検の社会的機能の理念と実態の乖離している可能性が指摘できるわけである。
著者
浅井 佑太
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.133-144, 2014-06-30 (Released:2017-05-22)

Dieser Beitrag beschaftigt sich mit der freien Atonalitat Schonbergs. Seine zwischen 1908 und 1916 komponierten Werke wurden bisher immer wieder als expressionistisch bezeichnet und nehmen eine besondere Stellung in seinem Oeuvre ein. Dennoch wurden in dieser Hinsicht Spezifika in Schonbergs freier Atonalitat bis jetzt kaum in konkreten Analysen nachgewiesen. Manche Untersuchungen betrachten sogar die freie Atonalitat ohne Rucksicht auf diese Aspekte lediglich als Vorstufe der Zwolftonmusik. Dieser Aufsatz ist ein Versuch, Momente in Schonbergs freier Atonalitat zu beleuchten, durch die sie sich von der Zwolftonmusik unterscheiden lasst. In der Periode, in der er Stiicke in freier Atonalitat komponierte, hatte er eigentumliche Gedanken uber Musik, die eng mit dem Expressionismus verwandt waren und sich von jenen nach der Zwolftonmusik klar unterschieden. Hierzu werden Schonbergs Werke unter Berucksichtigung seiner musik-asthetischen Gedanken analysiert, und schliesslich wird die Beziehungen zwischen den kompositorischen Techniken und seinen Gedanken zu erlautern versucht.
著者
野島 利彰
出版者
駒澤大学
雑誌
論集 (ISSN:03899837)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.39-61, 1991-03
著者
岩崎 直子
出版者
日本精神衛生学会
雑誌
こころの健康 (ISSN:09126945)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.52-61, 2000-11-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
25
被引用文献数
1

性的被害の実態と, 被害者および周囲の人々へのサポートに関するニーズを調べるため, 大学生を中心とした男女学生277名を対象に, 質問紙調査を実施した。さまざまな性的被害に関して具体的な行為を提示し, 調査実施時点までの被害経験率を調べたところ, 女性の74.0%および男性の25.0%が何らかの被害経験を持ち「レイプ既遂」の被害率は3.4%であった。そのすべてが「友人・知人」「恋人」などの「顔見知り」から被害を受けた“date/acquaintance rape (DAR)”の被害者であり, 社会に蔓延する“real”rape像にはあてはまらないことがわかった。一方, 被害者を身近でサポートする重要な他者 (=SOs) は, 時に自らも被害の影響を受けることが知られているが, 回答者の約3割は, 自分の身近な人が性的被害経験を持つSOsであった。そのうちの7割以上が自分自身のためにも「何らかのサポートが必要である」と感じていた。これらの結果から, 今後の調査研究と被害者支援の方向性について考察した。
著者
阿由葉 司
出版者
千葉県立中央博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

三方を海に囲まれた房総地方では、古くから漁業が盛んで、特に江戸時代以降は九十九里地方でのイワシの地引網漁業や、東京湾での海苔養殖など特徴的な漁業が展開してきた。こうした房総地方の漁業は、江戸時代に紀伊半島を中心とした関西地方との密接なつながりが指摘されてきたが、それ以外に東北地方の三陸沿岸地域とのつながりも認められるところである。本研究は、こうした両地域の地域間交流の実態を、特に漁民の広域移動や漁民信仰の観点から捉えることを目的とし、平成12年度から研究をおこなってきたものである。研究最終年度である平成15年度については、これまでおこなってきた三陸地域での調査を総括、整理する作業を中心に実施したところである。こうした作業のなかで、岩手県釜石市およびそこに隣接する大槌町において三陸地方と房総半島との関係を推測させる事例の確認ができた。これは三陸沿岸地域に広範に分布している「鹿踊り」という伝統芸能のなかに「房州踊り」と俗称されるものが散見し、こうした地域がかつて漁労技術の継承を三陸と房総のあいだでおこなってきた地域であることも判明した。なお、歴史的に重要な関連を持つと思われる「前川家文書」(旧水産庁所蔵)について当初調査をおこなう計画であったが、現在同史料を所蔵する中央水産研究センターにおいて、継続的な整理が進行中であったため、本研究のなかで調査をすることは見合わせ、整理の完了をまつこととした。
著者
河野 えみ子 福井 順子 今井 玲 寺村 重郎 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.199-207, 2003-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
4
被引用文献数
2

うがい効果を十分に得るためには, 含嗽剤の殺菌作用と機械的除菌作用を有効に活用することにある.また, 咽頭炎などの感染症には “咽頭型” のうがいを, 口内乾燥症には “口蓋型” のうがいと疾患別のうがい方法を考案して作成したパンフレットを用いてうがいの指導にあたってきた.うがい教室に参加した症例を対象として, うがい効果を検討した.口内乾燥症は「口がかわく場合」のうがい方法を6ヵ月実施後, 40%に自覚的に効果があった.手術を勧められた習慣性扁桃炎患者に「のどが痛い場合」のうがいを6ヵ月実施後, 53%が扁桃炎の発症が減少して改善がみられ, 今回手術を見送った.掌蹠膿疱症14例は「のどが痛い場合」のうがいを6ヵ月実施後, 10例に改善がみられ今回手術を見送った.
著者
村田 真一
出版者
佛教大学歴史学部
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
no.11, pp.107-122, 2021-03-01

「応令大神宇佐二氏任八幡大菩薩宮司事」と題される弘仁十二年の太政官符(「弘仁官符」)に引載された「大神清麿等解状」には、八幡神は「太上天皇の御霊なり」とあり、飯沼賢司はこれを聖武天皇のことだと指摘した。「弘仁官符」が八幡聖武同体説を示すのだとすれば、古代八幡信仰について八幡応神同体説を前提としない分析が求められる。この観点から以下のことを論じた、『続日本紀』の八幡神の出現と活躍は聖武天皇が皇神化を企図したものであり、また、それは百官諸氏が参集した八幡神の東大寺礼拝という儀礼において国家的神話として承認される。そして、このような聖武天皇と八幡神の特異な関係を前提に「弘仁官符」の八幡聖武同体説があらわれるのである。さらに「弘仁官符」は、八幡聖武同体説を基幹とした、大神氏による宇佐宮祭祀の必要性を訴える神話について、大宰府、太政官という官僚官人組織の経路において国家的に承認するものであった。八幡神聖武天皇応神天皇続日本紀弘仁官符