著者
森 幹男
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.582-586, 2011-12-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
佐久川 廣
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.14-21, 1992-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

沖縄県の献血者におけるHBs抗原陽性率は3.5%で, 全国平均 (1.5%) の2倍以上を示し, 全国-高い.一方, 肝硬変, 肝癌の死亡率は全国平均の約半分で, 全国で最も低い.今回著者は沖縄県のHBV感染と慢性肝疾患との関連におけるこの疫学的特異性を解明するために疫学調査を含めた臨床的検討を行った.先ず, 血清疫学的調査から次のような成績が得られた.1) 沖縄県の肝硬変, 肝細胞癌患者におけるHBs抗原の陽性率はそれぞれ15.2%, 24.4%で, 全国平均の陽性率 (肝硬変;23.4%, 肝細胞癌;31.4%) より低い.2) 無症候性キャリアにおける年齢別のHBe抗原陽性率は20歳以下の年齢で50%で, 年齢と共にその陽性率は低下し, 20代で15.7%で, 30歳以上では2~3%あるいはそれ以下の陽性率を示した.また, 肝外来を受診した無症候性キャリアの内, 6.3%が慢性肝炎, 1例 (0.2%) が肝硬変であった.一方, HBe抗原陽性B型慢性肝炎24例の検討では, 2年間の観察期間中に56.3%の症例にHBe抗原の自然消失を認め, これらの症例の年間の消失率は25.6%であった.このように, 沖縄県のHBs抗原キャリアにおいて, 若い時期にあるいは慢性肝炎の初期の段階でHBe抗原を陰性化させていることがその予後に良好な結果をもたらし, B型慢性肝疾患の有病率を低下させていると推定された.
著者
菊地 紫乃
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.162-171, 2014 (Released:2016-06-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究では,幼児が2つの物語を比較することで,その構造を抽出し,物語と類似した方法で問題解決をできるのか検討した。5歳前半児と5歳後半児を対象に問題解決の物語を提示し,その後,道具を使って解決する課題を解かせた。物語と課題は解決方法において類似しており,類推によって解くことができた。2つ物語を与える場合,教示によって物語の比較を促す群とそうでない群を設けた。実験の結果,5歳後半児は物語の比較を促されなくても,自発的に類推によって解決ができると示された。一方,5歳前半児は,自発的に類推によって解決することが難しく,大人によって物語の比較を促されることで類推による解決ができるようになると示された。年齢に伴って,物語と課題に共通する構造に気がつくようになることも明らかにされた。幼児においても類推による問題解決を行うことができ,5歳後半以降に自発的に構造に基づいて類推による解決ができるようになると言える。さらに,物語と課題の間の構造の類似性に気づくほど類推による解決が可能であった。構造の抽出ができるほど構造に基づく問題解決もできるという関連が示唆された。
著者
由利 素子
雑誌
文化学園大学紀要. 服装学・造形学研究
巻号頁・発行日
vol.43, pp.31-38, 2012-01-31

最近のタイツは防寒用としてだけでなく、柄や色などが豊富で、おしゃれを演出する一部として着用されている。そこで、20 代の女子学生を対象に、柄と肌の露出程度が異なる5 種のブラックタイツを用いて印象評価を行い、タイツの印象に及ぼす柄と肌露出度の影響について13 の評価項目を用いて調査することにした。印象評価は、タイツを脚型に着装させ、SD 法で行った。その結果、タイツの評価要因は、露出度の影響を受けて評価が行われる評価項目と柄の印象で評価される評価項目、柄と露出度両方の影響によって評価される評価項目に分かれることがわかった。各13 評価項目の評価値について主成分分析を行った結果、『魅力』と『品の良さ』の2 成分が抽出できた。5 種のタイツともに『魅力』あるタイツではあるが、露出度が小さすぎるもの、あるいは大きすぎるものは『魅力』が低くなる。また、網柄タイツより花柄タイツの方が『魅力』があると評価されている。『品の良さ』に関しては、柄に関係なく露出度が大きくなるに従い、上品から下品に変化することが判った。
著者
森 和義 中村 敏明 小笠原 英子
出版者
防衛大学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

周囲雑音イメージングは自然海中周囲雑音を積極的に利用する革新的なアイディアである.筆者らは,周囲雑音イメージングのプロトタイプシステムの開発を目指し,開口径1 mの非球面レンズを設計・製作した.本レンズは,中心周波数120 kHzで方位解像度1度,視野角±7度を有することが実証された. 2010年11月に内浦湾において,海中周囲雑音のみで無音ターゲットを検出する実海域試験が実施された.多数の突発性雑音からターゲット散乱波を抽出する分類手法が提案された.ターゲット散乱波として分類された突発性雑音を解析したところ, 60 kHz以上の高周波数帯域において,ターゲット方位のパワースペクトル密度レベルは,ターゲット以外の方位のレベルに比べて大きくなることが実証された.この結果は,主にテッポウエビ音によって生成される自然海中周囲雑音によって,ターゲットが成功裏に検出されたことを示している.
著者
湯川 雅紀
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.35, pp.523-533, 2014-03-20

ゲルハルト・リヒターの抽象絵画は美術教育に貢献することができるのか。本研究は,この点に関して考察を行う。絵画の終わりが喧伝される現代美術において,突然変異的に出現したリヒターは,今までのモダニズム絵画を百科事典的に網羅するスタイルによって,現代を代表する芸術家になった。本論考では,彼の様々なスタイルによる幅広い表現の奥に潜むコンセプトに迫りつつ,それが現代の美術教育にどういった意味をもたらすかを明らかにする。そして,授業実践を通じて彼の絵画は,抽象絵画を体験的に理解させるための有効な手段であることが確認され,さらに抽象絵画全般の理解につながる題材開発の可能性を示唆し,さらなる教育的広がりを予感させるものとなった。