著者
徐 恩之
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.22-34, 2012-03-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
33

本研究の目的は,同じ職能部門内のメンバー間におけるコンフリクトが他の職能部門のメンバーとのコミュニケーションに影響を与えるコンフリクトのトランスファー現象を定量的に検証することである.既存のコンフリクト研究では,この関係が十分議論されなかったが,本研究では,職能部門内メンバー間の資源や役割の配分に関するプロセスコンフリクトが他の職能部門メンバーとのコミュニケーションを促進することが明らかになった.
著者
真鍋 誠司
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.35-48, 2012-03-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
52

本研究は,日産自動車株式会社における研究開発拠点の分離と集約を事例に,物理的近接性(コロケーション)の逆機能が発生するメカニズムついて考察するものである.考察の結果として,「物理的な近接性がある場合,部門間パワーの格差があればあるほど,また,部門間に信頼がないほど,コロケーションによる部門間の連携よりも,パワー優位部門の業務が優先されてしまうコロケーションの逆機能」が発生する論理を提示する.
著者
岸本 徹
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.659-664, 2018-09-20 (Released:2019-09-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2

“香り”は食品や飲料のおいしさを決定づける大きな要素である.そのためビールの香りに関する多くの研究が進められ,さまざまな特徴に寄与する香気成分が明らかにされてきた.これまでビールの香りの研究においては,その特徴への「寄与度が高い」香気成分に着目されてきた.一方で,ビール中で大多数を占める寄与度が小さい香気成分群の役割については,ほとんど考察されてこなかった.本解説では,ビール香味への香気成分の寄与について,これまでの報告から紹介するとともに,一方で,寄与度が小さい大多数の香気成分群の寄与について,筆者らが得た知見をもとに紹介する.
著者
松本 陽一
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.95-109, 2012-03-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
56

自らが競争する領域(ドメイン)を決めることは経営戦略の重要な構成要素である.これまで様々な研究者がドメインの領域あるいは範囲を問題としてきたのに対して,本稿ではドメインが階層性をもち,たとえ同じ領域を選んだとしてもその階層性に対する認識は組織間で異なることを主張する.この分析視角の有効性を示すために,ここでは液晶テレビ分野におけるシャープとサムスン電子のドメインの階層性を比較分析する.
著者
永井 里奈 佐藤 久一郎 三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.3-11, 2022-04-22 (Released:2022-05-11)
参考文献数
18

人々にとってカラスとスズメは身近な鳥であり,日常生活の中でさまざま関わりを持っている.そういった関わりの結果,人々は,これらの鳥に好悪を含めた何らかの印象を持っており,また経年的に変化していると考えられる.しかし,定量的には調べられていなかった.そこで本研究では,新聞記事がこれらの鳥に対する人々の印象を反映しているという前提に立ち,人々のこれらの鳥に対する印象と,その経年的な変化を明らかにすることを目的とした.朝日新聞のオンライン・データベース「聞蔵Ⅱビジュアル」を使用して「カラス」および「スズメ」に関する新聞記事を検索し,どれくらい記事になっているか,またどのような印象で記事が書かれているか,それは経年変化しているかを調べた.その結果,1990年以降,「カラス」と「スズメ」に関する記事は,総記事数に対し,それぞれ0.08%前後,0.04%前後の割合で記事になっていることがわかった.カラスに対しては,否定的な印象で書かれている記事が多く,スズメは逆に肯定的な印象で書かれている記事が多かった.この傾向は,2000–2001年と2015–2016年の間で比較すると,強まっていることが明らかになった.
著者
伊藤 一頼
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.4-15, 2011-12-20 (Released:2022-08-27)

近年,二国間投資保護協定と投資仲裁が普及したことで,投資保護に関する国際的なルールや紛争処理手続が整備され,外国投資リスクが大幅に低減した.しかも,仲裁では,国家の制御を離れた自律的な法の発展が進行している.しかし,公益的な規制権限の侵食への懸念から,国家の側は様々な手段で仲裁の法解釈に対するコントロールの回復を試みており,投資保護ルールにおける公私の利益のバランス確保が今後の重要な課題となる.
著者
イアンシティ マルコ 椙山 泰生 羅 嬉頴
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.17-34, 2011-09-20 (Released:2022-08-27)

IT産業におけるイノベーションの相互依存的性質を考慮し た時,3つの中核的な原理,すなわち選択,機会,そして相互運用性の原理が,エコシステムの原理として指摘できる.本稿では,PCを中心とした時代のソフトウェアのイノベーションから,近年のウェブを中心としたソフトウェアのイノベーションに移行していく際に,これらの原理が継続して重要であったことを確認する.
著者
岩崎 徹 イワサキ トオル Toru Iwasaki
雑誌
経済と経営
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.83-108, 2013-03
著者
小阪 玄次郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.74-86, 2011-12-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
31

本稿の目的は,多様な技術基盤を持たない企業が,いかにしてより広い技術基盤を持つ多角化企業と類似の研究開発成果を持続的に生み出しうるのかを明らかにすることである.セラミックコンデンサ業界を事例に特許情報の分析を行った結果,多角化企業のように集団としての技術的多様性を持つことが難しい,事業範囲の狭い企業においても,個々の技術者が関与する技術分野の幅を広げ,個人として多様性を保持できる可能性が示される.
著者
羽吹 幸 長田 優子 磯村 一弘 Miyuki HABUKI Yuko NAGATA Kazuhiro ISOMURA
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.9, pp.59-72, 2013

映像教材「エリンが挑戦!にほんごできます。」は、「日本語学習」と「文化理解」を目標とした映像素材を提供することを意図して制作された教材で、テレビ版、DVD教材、WEB版とメディアを変えて展開してきた。本稿では2010年から公開しているWEB版のアクセスログと2回のユーザー評価の結果を元に、WEB版「エリン」が世界の日本語学習者からどのように受け入れられたかを考察する。アクセスログによる利用状況では、継続的にページビュー数を増やし、かつ明確な目的を持ったユーザーに利用されている様子が伺える。2回のアンケート調査では非常に高い肯定的評価が得られた。特に、独学に適したコンテンツやインタラクティブな学習方法が評価されており、サイトの制作意図が効果的に活かされていることがわかった。今後は多言語化や画面仕様の改修によりサイトのユーザビリティを高め、さらに多くのユーザー獲得を目指していきたい。
著者
堂田 周治郎 逢坂 一正 ドウタ シュウジロウ オオサカ カズマサ Shujiro Dohta Kazumasa Ohsaka
雑誌
岡山理科大学紀要. A, 自然科学
巻号頁・発行日
vol.17, pp.57-74, 1981

In this paper, by means of the numerical experiment, the laminar jet behaviour in an attachment fluidic device with small aspect ratio is investigated. The numerical solution for the three-dimensional, imcompressible, unsteady and viscid flow is calculated by solving the primitive Navier-Stokes equations by use of the predictor-corrector method. The results obtained can be summarized as follows : 1. In the case of smaller aspect ratio, the numerical solution can be obtained to the extent of the higher Reynolds Number. 2. Near the bounding plates more fluid flows into the separation bubble than that at midplane and then this flows toward midplane, and finally is entrained by the main flow. 3. The flow along the side wall, also, enters the bubble near the bounding plates. This results in a longer attachment distance near the bounding plates.
著者
浜田 初雄
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
no.4, pp.54-66, 1955-12-30

Lo scopo dell'autore e di mostrare, il sorgere della coscienza nel popolo, di cittadino moderno, in quel periodo della storia politica e commerciale italiana, che va dai principii dell'undicesimo secolo fino alla fine del quindicesimo secolo. Il capitalismo, diremo mercantile, comincio con la vittoria, della classe ricca dei commercianti sui Signori feudatari. Questo fu anche il principio della democrazia dei cittadini. Col passaggio, da capitalismo mercantile a capitalismo monetario, i commercianti provarono il gusto e la soddisfazione di far quattrini. E cosi ridussero l'Italia degli anni seguenti, in uno stato pietoso.
著者
Shuntaro Tamura Kazuhiro Miyata Sota Kobayashi Ren Takeda Hiroki Iwamoto
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
Progress in Rehabilitation Medicine (ISSN:24321354)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.20220043, 2022 (Released:2022-08-27)
参考文献数
30
被引用文献数
3

Objectives: The aim of the current study was to identify a cut-off value for predicting walking independence at discharge in older adults with hip fracture based on their Berg Balance Scale (BBS) score at admission to a convalescent rehabilitation ward.Methods: This was a retrospective, multicenter, observational study of 187 older adults with hip fractures (mean age 83.7, range 66–97 years). Data was collected on the patients’ age, sex, treatment, and physical function evaluation. An ordinal logistic regression analysis was used to identify predictors associated with the degree of independence in walking at discharge. Receiver operating characteristic curves were used to estimate cut-off values to predict independent and supervised walking at discharge based on the BBS score at admission. The accuracy of the classification was assessed using the area under the curve (AUC).Results: The BBS score at admission was a significant factor predicting the degree of walking independence at discharge (odds ratio = 1.09, 95%CI: 1.06–1.11). The cut-off values of the BBS score at admission for predicting independent walking and supervised walking at discharge were 28 points (AUC = 0.76, 95%CI: 0.69–0.83) and 21 points (AUC = 0.84, 95%CI: 0.77–0.91), respectively.Conclusions: The BBS scores of older adults with hip fracture on admission to a rehabilitation ward are useful for predicting the degree of independence in walking at discharge and can help to structure therapy according to the predicted degree of independence.
著者
前田 朋子 奈良 昇乃助 古賀 愛美 三木 希望 羽生 直史 西袋 麻里亜 西端 みどり 菅波 佑介
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.55-60, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
16

早産児をはじめとするNICU退院児のより良い神経発達のために,ファミリーセンタードケアの重要性が明らかになってきている.当院では,ファミリーセンタードケアの一環として,新病院開設に伴い,家族がより快適にNICUで過ごせるようOBD型NICUから半個室/個室型NICUへ改築を行った.病棟の変化がスタッフ,患児と家族に及ぼす影響を調査する一環として,病棟移転前後にNICUで勤務していたスタッフおよび,同時期に入院していた患児の両親に対して,アンケート調査を行った.スタッフ・両親ともに,家族が個室化により快適に過ごせるようになったという意見が多く,個室の広さや壁の高さが高くなったことにより全体的な満足度は上昇していた.一方,スタッフからは安全面を懸念する声も多くみられたため,病棟運営上注意が必要な点もあると考えられた.