著者
佐藤 歩夢 青木 輝勝
雑誌
研究報告知能システム(ICS)
巻号頁・発行日
vol.2011-ICS-164, no.3, pp.1-6, 2011-10-21

CG における群集制御インターフェースに関する研究はいくつかなされているが,群集がいくつかの経路に分裂して進んでいく様子を再現しようとした研究は筆者らの知る限り存在しない.そこで本研究では,群集に対してマウスにより直観的に複数の移動経路を指定した場合の移動制御について提案し,その概要と評価結果について報告する.提案方式は,フロアフィールドモデルに対して動的なゴールを適用することで,移動経路を制御している.評価実験により,群集の移動経路と指定経路について,高い整合性が得られた.
著者
米司 健一 田中 正行 奥富 正敏
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.38(2005-CVIM-149), pp.47-52, 2005-05-12

画像撮影時の手ぶれや,対象が動くことによって画像にぶれが生じる.このぶれを等速直線運動で近似すると,ぶれを表すPSF(Point Spread Function)は幅と角度の2つのパラメータで表現することができる.劣化画像の振幅スペクトルは,PSFの幅と角度によって決まる方向と周期で0となる性質を持つ.この劣化画像の振幅スペクトルの周期性と方向性を検出することによって,PSFパラメータの幅ellと角度thetaを推定する.本論文では原画像の周波数特性によらず,劣化画像の振幅スペクトルの周期性と方向性をロバストに検出する手法を提案する.また,実画像実験を通して,提案手法の効果を確認した.
著者
佐藤 真一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.628-633, 2015-06-15

本稿では,計算機による画像・映像の認識と理解に関する研究について,その困難さについて再考し,これまでの研究の歴史について振り替えるとともに,現在の潮流について述べ,今後の研究の展望について考察する.
著者
松本 禎明 高倉 咲季
出版者
九州女子大学
雑誌
九州女子大学紀要 = Bulletin of Kyushu women's university (ISSN:18840159)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.181-195, 2019-03-18

Sports agency awakened to school carefully about an accident prevention by groupgymnastics in a physical education-like event in 2016, but occurrence of an accidentstill continues. So we did an attitude survey about group gymnastics to an elementaryschool teachers and the victim family of an accident. The results of the attitude survey were as follows. There were "when safety wassecured, introduction agreement" and "even if safety was secured, the introductionopposite" for an answer of elementary school teachers about group gymnastics. Butboth teachers recognized danger hard in common. Teachers have to confer carefully because a judgement of group gymnasticsimplementation is trusted to school finally. When performing group gymnastics, allteachers emphasize the purpose and educational value, and consider in the movementability of the school children individual and the special quality of the boys and girlsat the top with risk management consciousness, usually, implementation of safetytraining is needed. An important thing is to have sense of impending crisis hard, learn an accident casein the past and argue sufficiently at school. In particular, the victim family insists,we're never supposed to forget the opinion by which we assume "If teachers feeldanger, they have to stop introduction once and reconsider."
著者
藤井 信行
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 = The journal of Kawamura Gakuen Woman's University (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.37-53, 2007-03-15

観光学の中の一分野として「観光歴史学」の設立を試みた。私たちの時代に残る歴史的財産を,確実に次の世代に残していくための学問的な体系化である。その際「観光歴史学」に2つの目的を設定した。1つは,そうした歴史的財産を観光資源として再生することであり,いまひとつはその保存と活用を考えることである。保存・活用という問題はマネジメントの問題であり,もちろん歴史学にそんな分野はない。ここに歴史学にはない「観光歴史学」の存在意義がある。小論は,まず観光資源としての再生という点に関して,ケーススタディとして世界遺産トロイヤの遺跡をとりあげ,その観光歴史学的考察を試みたものである。
著者
松下 年子 河口 朝子 原田 美智 神坂 登世子 米山 和子 小林 一裕 大澤 優子 渡邊 裕見子
雑誌
アディクション看護 (ISSN:13497472)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.54-75, 2020-10

本研究では,新人看護師の教育や研修システム,看護部の新人看護師および看護師全体の教育に関する方針と実際,課題等を明らかにすることを目的に,インタビュー調査を実施した.対象病院は総合病院10施設,精神科病院2施設,リハビリテーション病院1施設の計13施設で,研究対象者の職位は看護部長4名,副看護部長2名,その他看護部教育担当者等8名の計14名であった.インタビュー内容を質的帰納的に分析した結果,【新人看護師の背景と配属先等の対処および,成長と課題】【離職とその理由,離職防止とリクルート対策】【新人看護師の教育体制と支援】【新人看護師への研修体制および全体の研修体制】【看護管理者・教育担当者のやりがいと課題】【働きやすい環境整備】の6カテゴリが抽出された.新人看護師の背景とその多様性,離職率と離職理由とそれに対する対応,離職者の傾向と採用の取り組み,またプリセプターシップ,新人看護師の不安や職場不適応とメンタルヘルスサポート,新人看護師の残業ヘの配慮,新人看護師を教育する側へのサポート等が集約された.さらに新人看護師のオリエンテーションと研修の実際やローテーション研修,新人研修の評価,2年目以降の研修プログラム,クリニカルラダー,院外研修への参加と助成の有無等が抽出された.加えて看護管理者・教育担当者が重点的に取り組みたいこと,自分自身の成長,人材育成の姿勢と課題が,最後に働きやすい環境整備として異動に関すること,子育て中の看護師に対する支援と課題,地域や他機関とのつながり等の実際が明らかにされた.
著者
岡田 哲郎
出版者
東京通信大学
雑誌
東京通信大学紀要 第4号 = Journal of Tokyo Online University No,4 (ISSN:24346934)
巻号頁・発行日
no.4, pp.47-62, 2022-03-31

国の「地域共生社会」政策で「地域の支え合い」が強調される中、社会福祉学においてその行為をいかに位置付けるかが問われている。本研究では、日本の社会福祉学及び地域福祉の礎を築いた岡村重夫が「相互扶助」をいかに捉え、自身の理論体系に取り入れたのかを明らかにするため、「民俗としての福祉」概念を軸として、「岡村理論」に内在する「相互扶助」をめぐる葛藤を読み解いた。今日の「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」における「地域・民族固有の知(indigenous knowledge)」を先取りした論としても、「民俗としての福祉」概念から再照射した「岡村理論」は注目される。
著者
布施 綾太 阿部 新助 柳澤 正久 長谷川 直 Fuse Ryota Abe Shinsuke Yanagisawa Masahisa Hasegawa Sunao
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
平成30年度宇宙科学に関する室内実験シンポジウム 講演集 = Proceedings of 2019 Symposium on Laboratory Experiment for Space Science
巻号頁・発行日
2019-02

平成30年度宇宙科学に関する室内実験シンポジウム (2019年2月28日-3月1日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)相模原キャンパス), 相模原市, 神奈川県
著者
水口 剛
出版者
横浜市立大学医学会
雑誌
横浜医学 = Yokohama Medical Journal (ISSN:03727726)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.635-643, 2019-10-30

希少遺伝性疾患の原因は,現在でも全体の40-60%程度の疾患について未解明のままである. 疾患を引き起こす遺伝子変異の種類やサイズは多様で全てを網羅的にカバーするゲノム解析技術は存 在しない.従って未解明の疾患については既存の解析技術の穴をうめるような新規解析技術の適用が 有用である.実際,染色体核型分析,FISH法,キャピラリーシーケンサー,マイクロアレイ,次世 代ショートリードシーケンサーに代表される染色体・ゲノム解析法はそれぞれ異なる解像度を有し, 新規解析技術の登場が新たな種類・サイズの病的変化を明らかにしてきた.本稿ではこれらの解析技 術を駆使して筆者が行ってきた遺伝性疾患の原因・病態解明を目的とした多角的取り組みについて紹 介する.
著者
是枝 喜代治
出版者
東洋大学ライフデザイン学部
雑誌
ライフデザイン学研究 = Journal of Human Life Design (ISSN:18810276)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.265-282, 2014

近年、在籍するすべての子どもが一人ひとりの教育的ニーズに沿った支援を受ける権利を保障する「インクルーシブ教育」への関心が高まりつつある。インクルーシブ教育は普通学校の中で、障害のある子どもが健常児と共に教育を受けることを基本としている。本研究では、1980年代以降、インクルーシブ教育を先導的に取り入れてきたイギリスの学校現場を訪問し、インクルーシブ教育のシステムや具体的な支援の現状について実地調査を行った。調査期間は2013年9月1日から9月8日までである。 特別支援学校の視察では、多様なニーズを抱える子どもに対し、個々人の特性やニーズに応じた個別のカリキュラムが用意され、各クラスにICT機器などが積極的に導入されていた。特に、スイス・コテージ・スクールでは、近隣の学校教員の研修のシステムが充実していた。また、インクルーシブ教育の具現化に向けて開設されたEducation Villageの視察では、障害のある子どもとない子どもがさまざまな教育の場を共有し、相互の交流が進められていた。 一連の実地調査から、日本におけるインクルーシブ教育システムの普及と共に包括的な教育システムを構築していくことの必要性などが示唆された。
著者
木下 昭
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.301-319, 2022-10-31

アジア太平洋戦争中、多くの地域で、後発の帝国であった日本が、欧米諸国にとってかわって統治権を得ることになった。この支配の交代によって生じた変化を被支配者がどのように受け止めたか、そのなかで新旧帝国間にいかなる関係が見いだせるか、これらを論じることは日本帝国に対する考察を深める上で極めて重要である。 この帝国支配の移行に伴って、日本が占領下で力を注いだのが日本語を中心とする教育である。なかでもフィリピンに注目すべきなのは、日本の侵攻により全土で普通教育が複数の帝国によって施された、アジアでは希有な地域となったことである。普通教育に用いる大規模な人的物的資源や言語能力などの被支配者への広範囲に及ぶ影響を鑑みるとき、この教育を要に帝国、そして帝国間関係を論じる意義は高い。そこで本稿では、日本占領下の普通教育に関するフィリピン人たちの記憶を回想録や聞き取り調査結果を使って分析し、日本による教育がフィリピン人たちにどのように意味づけられたのか、そのなかで先行したアメリカ支配がどのような影響を与えているのかを考察した。 日本占領が甚大な被害をもたらしたフィリピンで、日本の教育に対して人々が残した言葉には、恐怖や暴力の経験が生み出す「均質化の語り」だけではなく、積極的な評価もあった。この要因として注目したのは、民間人と軍人の二種類の日本人教員の存在である。民間人教員は派遣の要件が英語力であり、これが彼らの勤務に肯定的な認識をフィリピン人にもたらしたと考えられる。というのも、アメリカ統治下の教育により、英語がフィリピンで文明化と社会的地位を表象するようになっており、民間人教員はその能力ゆえに文明の基準に沿うことになったからである。 このことは、フィリピンのアメリカ化を打破するために導入した日本の普通教育が、アメリカの普通教育によって進んだ文明化を基盤としていたことを反映している。フィリピン人たちの日本統治下の記憶は、この新旧二帝国の普通教育政策のかみ合わせから生み出されたと考えられる。