著者
Satoru Nishida Souichiro Nishino Masahiko Sekine Yuuki Oka Stefanus Harjo Takuro Kawasaki Hiroshi Suzuki Yukio Morii Yoshinobu Ishii
出版者
The Japan Institute of Metals and Materials
雑誌
MATERIALS TRANSACTIONS (ISSN:13459678)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.667-674, 2021-05-01 (Released:2021-04-25)
参考文献数
19
被引用文献数
5

In this study, we used neutron diffraction to analyze in a non-destructive method the distribution of internal residual stress in a free-cutting steel bar processed by cold drawing and straightening. Since a change in lattice-plane spacing occurs in a strain-free standard sample used as a reference due to the cold-drawing and straightening processes, it was necessary for the sake of improving measurement accuracy to prepare strain-free standard samples for each individual process. As a result, the residual stresses were successfully measured with excellent stress balance. The residual stresses generated by the cold-drawing process were reduced by subsequent straightening, and the distribution of residual stresses by finite element method (FEM) simulation was consistent with the measured values by neutron diffraction. As a result of the FEM analysis, it is assumed that the rod was subjected to strong tensile strains in the axial direction during the drawing process, and the residual stresses were generated when the rod was unloaded. Those residual stresses were presumably reduced by the redistribution of residual stresses in the subsequent straightening process.
著者
福家 崇洋
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文学報 (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
no.104, pp.167-206, 2013

本論文は,1950年前後における京都民主戦線の軌跡を再検討した。京都民主戦線は敗戦後の日本で「革新」的な首長を次々に誕生させた統一戦線として知られている。本稿では,京都民主戦線を一地域の事象に限定せず,海外公文書所蔵資料を用いながら日本共産党の動きや国外共産党との関係まで視野に入れて捉えなおしている。1章は東アジア共産圏の構築を中国共産党の台頭と「極東コミンフォルム」構想に焦点をあてて論じた。2章は東アジア共産主義運動の再編にともなう中ソ両共産党から日本共産党への影響を明らかにした。具体的には日本共産党とソ連共産党の水面下の交渉と「コミンフォルム批判」にいたる経緯である。3,4章は京都民主戦線の軌跡を京都市長選から府知事選まで追いかけつつ,民主戦線勝利の背景や,日本共産党の民主民族戦線の変化 (「植民地 (日本)」「民族」の解放や「愛国」の強調) とその京都民主戦線への影響を明らかにした。市長,府知事の当選という京都民主戦線の成功は,従事者たちの意図とは別に,路線変更後の日本共産党の功績として位置付けられていった。5章は4章における日本共産党の民主民族戦線変化の要因をソ中両共産党の影響に探り,日本に後方基地攪乱の働きを求めるソ中両共産党からの指示を海外公文書館所蔵資料から跡づけている。6章は「志賀意見書」の波紋や国外共産党からの不信と警告,パージの影響を論じながら,日本共産党がしだいに党内部の亀裂を深めていく様を論じた。最後の7章では改めて参院選挙における京都民主戦線の動きに着目し,日本共産党の民主「民族」路線と急進化の影響がついにはイデオロギー対立による京都民主戦線の分裂にまでいたる過程を明らかにした。This paper describes the track of Kyoto Democratic Front (KDF) around 1950, and reconsiders the meanings of KDF by using materials which teach us the new aspects of the communist movement in Japan and the relationships between JCP and other Communist parties. Chapter 1 describes the organization of the Communist bloc in East Asia with a focus on the concept to create 'Far Eastern Cominform'. Chapter 2 explains some of the influences that CCP and CPSU have had on JCP as part of the reorganization of Communist movements in East Asia. Chapter 3 and 4 is dealing with the trace of KDF from the Kyoto mayoral election to its gubernatorial one. The reason KDF won, the shift in JCP policy on National Democratic Front and the way it affected KDF are illustrated here. It is suggested in chapter 5 that the shift in JCP policy was due to the influence of CCP and CPSU, which directed JCP to disturb American rear base. Chapter 6 shows how and why a rift within JCP was widen. In chapter 7, it can be also concluded by an analysis of KDF's campaign in the Upper House election that the shift in JCP policy to 'National' Democratic Front and to radicalism created an ideological conflict and KDFwas finally disunited.
著者
齊藤 勇樹 星野 崇宏
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.7, 2020 (Released:2021-05-10)

本研究では店舗内での消費者の逐次的な商品選択ログを蓄積できるスマートカートから得 られたデータを活用し,事前の購買行動が事後の商品選択に与える影響について調べた。顧 客8,924人による45,094回の購買機会を分析したところ, 1 )カートに値引きないしクーポン 商品があるとき,また 2 )選択までに既に店内に長く滞在しているとき,高額商品を選択し 易くなることが示唆された。また階層モデルによる消費者異質性理解のための分析からは, もともと値引き商品を買いやすい顧客ほど 2 )の傾向が強まることなどが示唆された。
著者
大原 天青 楡木 満生
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.353-363, 2008-12-20 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
3

本研究の目的は,児童自立支援施設入所児童の情緒と行動の特徴と虐待の有無や種類との関係を明らかにすることであった。全国の児童自立支援施設4ヵ所,78名の児童の担当職員(29名)と統制群として一般中高生88名のクラス担任(22名)にChild Behavior Checklist/4-18(子どもの行動チェックリスト,以下CBCLと示す)を中心とした質問紙に記入を依頼した。その結果,(1)施設群は「引きこもり」や「不安・抑うつ」・「非行的行動」・「攻撃的行動」など,「身体的訴え」を除くすべてのCBCL尺度で統制群よりも高得点を示した。施設群の各特徴としては(2)中学生全体として外向尺度に大きな問題を抱えていた。虐待の有無による分析では,(3)虐待のない男子群で被虐待群・統制群より「非行的行動」,「攻撃的行動」,外向尺度で高く,「思考の問題」も抱えていることが明らかになった。虐待種別では(4)身体的虐待の特徴に「不安・抑うつ」が見られた。しかし,自立支援施設入所児童のように問題行動の高い場合には虐待群間の特徴が鮮明にはならず,その特徴が背後に隠れてしまう可能性が指摘された。従って,その点を十分考慮した生活場面での支援と心理的援助の必要性が指摘される結果となった。
著者
増田 紘一
出版者
日本共産党中央委員会
雑誌
前衛 (ISSN:13425013)
巻号頁・発行日
no.453, pp.p68-77, 1980-06
著者
山本 佐和子 Sawako Yamamoto
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 = Doshisha Kokubungaku (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.92, pp.170-185, 2020-03-20

室町期に見られる「ゲナ」(例.「ヤレ杜鵑ハ、吾ガ心中ヲ知テ不如帰トナクゲナヨ」中華若木詩抄)が、モダリティのうち「本体把握」(大鹿薫久1995「本体把握―「らしい」の説―」)を表すことを手がかりに、形容動詞派生接辞「~ゲナリ」がモダリティ形式となる史的変化の過程を検証した。「~ゲナリ」は、中世前期に名詞に付く用法を生じており、活用語連体形を述部とする準体句に後接する過程を経て、モダリティ形式としての用法を獲得したと考えられる。廣田收教授退職記念号
著者
山岡 重行 風間 文明
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.98-110, 2004 (Released:2017-06-02)

犯罪被害者の社会的地位や否定的要素は、加害者の量刑判断にどのように影響するのだろうか。Lerner(1980)の公正世界仮説によれば、人々は一般に良い人には良いことが起こり、悪い人には悪いことが起こるという信念を持っており、そのため悪いことが起こった原因はその人の日頃の行いの悪さに帰属されるのである。この公正世界仮説から次の二つの仮説が導き出される。仮説1:犯罪被害者に全く落ち度がない場合であっても、否定的要素が強くなるに連れて、被害者に対する同情などの肯定的態度は弱くなり、逆にその被害を天罰や自業自得とする否定的態度が強くなる。仮説2:犯罪被害者の否定的要素が強く社会的地位が低い場合は、被害者の否定的要素が弱く社会的地位が高い場合よりも加害者に対する量刑が軽くなり、この傾向は深刻な犯罪の場合により顕著になる。本研究はこの2つの仮説を2つの実験によって検討した。実験結果は2つの仮説を支持した。主に公正世界仮説と社会的ステレオタイプの観点から得られた結果に考察を加えた。
著者
谷口 勇仁 岩田 智 小田 寛貴 平本 健太
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究は,大学院理系研究室のマネジメント,すなわち「ラボラトリーマネジメント」について,大学院理系研究室を対象とする詳細な実証分析に基づき,効果的なラボラトリーマネジメントを解明することを目的とする.本研究は3ヶ年計画で実施され,第2年度にあたる2019年度の研究実績の概要は以下の3点である.第1に,大学院理系研究室の組織構成員に対し,研究室の運営(研究室の制度,文化,リーダーシップ)に関するインタビュー調査を行った.前年度に明らかになった理論研究室と実験系研究室のラボラトリーマネジメントの違いが明らかになったため,ラボラトリーマネジメントがより重要であると考えられる実験系研究室に焦点を当てて研究をすすめることとした.第2に,ラボラトリーマネジメントに関連する文献ならびに各種資料をサーベイし,PIのリーダーシップと学生のモチベーションとの関係について検討を行った.特に,学生の研究に対するモチベーションを「リサーチ・モチベーション」と位置づけ,リサーチ・モチベーションを高めるPIのリーダーシップ行動について検討を行った.Deciのアンダーマイニング効果などを参考にしながら,学生が,「研究は労働であり,卒業する対価として研究活動が行われている」として解釈してしまうことの危険性が明らかになった.第3に,現在理系大学院研究室に所属している組織構成員(教授,准教授,助教,PD,博士学生)を対象に,ラボラトリーマネジメントに関する研修を2回実施した.研修後に,受講者から①研修の内容,②ラボラトリーマネジメントに関する課題についてフィードバックを得た.様々な課題が提示されたが,PIは,修士(博士前期課程)で卒業する学生と博士(博士後期課程)に進学する学生との間のマネジメントの違いに難しさを感じていることが確認できた.
著者
前田 佳予子 手嶋 登志子 中村 育子 田中 弥生
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.648-656, 2010 (Released:2011-12-27)
参考文献数
6
被引用文献数
1

介護保険における居宅療養患者の訪問栄養食事指導の実施率を上げるためには、管理栄養士の在宅に対しての意識向上および、利用者のケアプランを作成するケアマネジャーや主治医に、訪問栄養食事指導の重要性や役割を普及啓発することを目標とする必要がある。 今回、われわれは訪問栄養食事指導を導入することにより効果があると多職種に理解されてもなぜ、実施率が低いのか、その原因を明らかにするために調査研究を行った。 調査方法としては、無作為に抽出した700 人にインターネットによるリサーチを行い、回答期間を平成20 年4月24 日11 時から5 月8 日19 時までとし、623 人(89 . 0%)から有効回答を得た。 食事や栄養の課題がケアプランに挙がると答えたケアマネジャーは554 人で、ケアプランに挙がってくる課題は1)嚥下障害、2)治療食の調理が困難、3)食事摂取量の低下による褥瘡、低栄養、4)PEG 等の経管栄養管理であり、これらの課題は訪問栄養食事指導を導入することによる経済効果の見られる項目とほぼ同じであった。
著者
太田昌徳
雑誌
基礎と臨床
巻号頁・発行日
vol.22, pp.293-299, 1988
被引用文献数
3