著者
尾藤 章雄
出版者
山梨大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践学研究 : 山梨大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 = Journal of Applied Educational Research (ISSN:18816169)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.73-80, 2021-03

山梨大学の教員養成課程に入学した大学 1年生が、我が国の都道府県の名称と位置をどの程度正しく認知しているかについて 2016年の山梨大学新入生 95名を対象に 20府県について検討した。すべてを正答した学生は全体の 21.1%で帝国書院の中学生の47都道府県全部を正答した比率とほぼ同じで、東北、関東或いは四国・九州地方での認知が曖昧になる傾向があった。地方ブロック内で複数の県の位置が相互に誤認される傾向は東北地方と四国地方にみられ、隣接する特定の県とだけ誤認される傾向は関東(特に北関東)と鳥取、島根両県にみられ、帝国書院の報告で明らかにされた全国の中学生、高校生の傾向と一致した。大学生の正答率の低下は誤答率の増加に繋がり、無答率はほぼ 20%以下と低水準で大学入試を経て県名の認知は高校生よりは大幅に向上している。
著者
太田 悟 田島 伸一 佐藤 信 長野 純一 篠宮 紀彦 勅使河原 可海
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.543-544, 2013-03-06

インターネットサービスやサーバを使用不可能にするDDoS攻撃が問題となっている.DDoS攻撃は送信元IPアドレスが偽装されているため,一般的なフィルタリングによる防御が困難であるという特徴がある.一方で, OpenFlowが注目されている. 本研究では,OpenFlowスイッチを用いて,パケットの統計情報を用いたDDoS攻撃フィルタリング手法での対策を実装する.OpenFlowを用いることで,パケットの情報を簡単に得ることができ,その情報を用いた攻撃検知ルールを作成する.OpenFlowはスイッチの機能が制御部とスイッチ部に分かれており,パケット転送の集中管理ができる.そのため,攻撃検知ルールをスイッチに動的に適応することが可能であり,瞬時にDDoS攻撃を検知することが可能になる.
著者
髙橋 等 野﨑 英二 松永 由弥子
雑誌
静岡産業大学 情報学部 研究紀要 = Journal of Shizuoka Sangyo University
巻号頁・発行日
no.24,

近年、小学校におけるプログラミング教育の導入等が話題となり、学校教育における情報教育が注目されている。本学においても 2001( 平成 13) 年度より、高校「情報」科の教員養成のための教職課程を開設し、2021( 令和 3) 年度までの 20 年間で、計 163 名の「情報」科教員免許状取得者を輩出してきた。静岡県の「情報」科教員 18 名中 5 名が本学卒業生であることは特筆すべきことである。このような本学教職課程 ( 情報 ) の存在意義も含め、特に高校における情報教育の変遷を考察し、今後の情報教育のあり方を展望した。
著者
北 研二 獅々堀正幹 大恵俊一郎
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.98(2003-NL-157), pp.9-16, 2003-09-29

高次元空間における最近傍検索(nearest neighbor search)は、マルチメディア・コンテンツ検索、データ・マイニング、パターン認識等の分野における重要な研究課題の1つである。高次元空間では、ある点の最近点と最遠点との間に距離的な差が生じなくなるという現象が起こるため、効率的な多次元検索手法を設計することが極度に困難となる。本稿では、線形探索アルゴリズムにおける距離計算中の不要な演算を削減することにより、きわめて高速な最近傍検索アルゴリズムを提案する。さらに、不必要な演算を早期検出するために、要素の分散値を用いた次元ソート法、並びに主成分分析に基づくデータ変換法を提案する。実験によると、従来の SR-tree や VP-tree 等よりも 20倍?50倍高速であり、高次元の場合にも性能の劣化はほとんどない。
著者
松本 美千代
出版者
東洋学園大学
雑誌
東洋学園大学教職課程年報 = Bulletin of Teacher Training Course of Toyo Gakuen University (ISSN:2434754X)
巻号頁・発行日
no.3, pp.75-91, 2021-03-20

2020 年5月25日にジョージ・フロイドがミネソタ州ミネアポリスで警察に拘束中に圧殺されて以来、全米で抗議デモが噴出し、ブラック・ライブズ・マターに基づく白人の組織的暴力に対する抗議、黒人差別是正のための運動は世界中に拡大した。この運動の特徴の一つに、参加者の多様性が見られ、デモの参加者の半数以上が白人であるデータも明らかになった。このような時代背景の中で発表された2020年のトニー賞ノミネート作品は黒人問題を扱う作品が中心的役割を果たしている。とくに今回最多部門で候補作品に選出された、2019年にブロードウェイで上演されたアフリカ系アメリカ人の劇作家ジェレミー・O・ハリスの『スレイブ・プレイ』は、近年最も挑戦的な作品と言われ、BLMの時代における人種の力学について黒人の視点から描き出した作品である。本稿では、作品をWOKE 劇の観点から読み解き、作品が展開する新時代の人種偏見の描写法とその独創性について考察する。
著者
鎌田 公寿
出版者
常葉大学教育部初等課程研究企画部会
雑誌
教育研究実践報告誌 (ISSN:24360112)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.10-17, 2021-09

要旨:本稿の目的は、小学校社会科デジタル教科書に収録されている動画コンテンツの意義と改善に向けた課題を、「社会とのつながり」を視点に分析し、明らかにすることである。子どもが実社会とのつながりを実感し、自身が社会の一員であることを自覚できるような社会科授業の要素として、「価値の追求」と「社会の形成」が挙げられる。これらの視点から、指導者用デジタル教科書『新しい社会 6 政治・国際編』(東京書籍)の動画コンテンツを分析したところ、対象への関心の高まりや学習意欲の向上にとどまらず、「社会とのつながり」を実感するうえで、一定程度の効果が期待できることがわかった。一方で、とくに「価値の追求」については、願いやニーズの具体、そしてその生成理由に関する内容が手薄であり、問題解決へと向かう態度を形成するうえでは十分なものとはなっていない。これに関する内容を厚くすることが、動画コンテンツの改善に向けた課題といえる。
著者
増山 幹高 政策研究大学院大学 / National Graduate Institute for Policy Studies
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.22-05, 2022-05

国会審議には会議録に含まれない様々な情報がある.本稿では,文字情報に偏ってきた国会審議や立法過程に対する従来のアプローチから脱し,音声や画像,映像を活用する試みとして,まず国会審議について議員の発言内容に対応する審議映像を検索し,該当する審議映像の部分的視聴を可能にする「国会審議映像検索システム」を概説する.音声認識によるテキスト・データと会議録を同期させ,審議映像の時間情報と文字情報を同刻させる検索システムの利点を生かせば,同形異音語が実際にどのように発音されたのかを効率的に確認することができる.本稿では,国会議員が金大中と金日成を現地読みするか,日本語読みするか,その議員の党派性や拉致問題への取り組みとの関連を分析する.This paper offers an overview of the video retrieval system we have developed for the Japanese Diet. By using sound recognition techniques to match up the Diet proceedings and deliberation videos, our system allows one to retrieve the moment of video feeds he or she is interested in and visually understand the flow of parliamentary debates. Following the description of how our video retrieval system works, we utilize the video retrieval system that makes it possible to search the minute database by keywords and check how legislators pronounce the keywords differently. In this paper, we offer an analysis of whether legislators pronounce Kim Dae Jung and Kim Il Sung in Japanese or Hangul and suggest its interactive relationship with the party affiliation of legislators and their stance on North Korea’s abduction issue.
著者
戸ヶ里 泰典 橋爪 洋美 関根 紀子 波田野 茂幸 安藤 優樹 Taisuke TOGARI Hiromi HASHIZUME Noriko ICHINOSEKI-SEKINE Shigeyuki HATANO Yuki ANDO
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of The Open University of Japan (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-6, 2022-03-25

目的:近年では医学系学会の学術誌においては、論文投稿にあたり研究倫理委員会の承認を条件としているケースが多い。本研究は、日本国内の学協会のうち人文・社会科学系分野に登録されている団体の機関誌における研究倫理に関する配慮規定、および、研究倫理審査の承認を投稿条件としているのかを明らかにすることを目的とする。方法:2021年度前半期(4月から9月)に日本学術会議等が作成する学会名鑑に登録学会のうち、哲学・史学を除く人文・社会科学分野、および境界領域でもある環境学・情報学・総合工学の各領域を関連分野として登録している1117団体を抽出した。このうち機関誌に関する情報公開をしている1076団体を分析対象とした。結果:研究対象者の権利保護に関する倫理について言及していた学会は153団体(14.2%)であった。分野別に検討した場合心理・教育系は96団体で、分野全体の36.1%の団体が記載していたが、他の領域では分野全体の10%に満たなかった。研究倫理指針や綱領のうち、人を対象とする(生命科学・)医学系研究に関する倫理指針を挙げていた学会は39団体(3.6%)で、学会独自の倫理指針・綱領を挙げていた学会は111団体(10.3%)であった。学会独自の倫理指針は心理・教育系で多く、系全体の25.9%である69団体が該当した。投稿にあたり研究倫理委員会の承認を必須としている学会は42団体(3.9%)であった。これも心理・教育系で多く 分野全体の7.5%になる20団体であった。他分野ではそれぞれの分野全体の2.0~ 4.3%にとどまった。結論:学際領域の学会では医学系研究倫理指針に基づいた対応が行われている傾向があるが、医学系以外の行動科学系の学会でも国際的な動きと連動して人を対象とする研究倫理対応を強化している可能性がある。研究倫理委員会のニーズが高まっているとともに、審査が研究の枷とならず礎となるようなシステムを模索することも必要だろう。
著者
中西 裕 Yutaka NAKANISHI
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
学苑 = Gakuen (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.964, pp.1-11, 2021-02-01

Arthur Conan Doyle abandoned Catholicism early on and later devoted himself to spiritualism. Looking at the composers mentioned in the Sherlock Holmes stories, many are Protestants, four of whom, Mendelssohn, Meyerbeer, Offenbach, and Wagner, wrote music using Martin Luther’s Ein’ feste Burg ist unser Gott. He also portrays the Huguenots who, after being chased out of France, resettled in the United States in The Refugees: A Tale of Two Continents. Doyle had a favorable view of Protestantism, especially the Lutheran and Huguenot varieties.
著者
村田 俊明 ムラタ トシアキ Toshiaki MURATA
雑誌
摂南大学教育学研究
巻号頁・発行日
vol.5, pp.65-82, 2009-01

最近における教育改革の中で、教員の資質向上に係る動向が注目される。教員免許法改正を機に、教員の人事考課、教職大学院、免許更新制の導入、自治体による教師養成塾、あるいは高等学校における「教育コース」の設置の動きなどがあり、教員養成のあり方を抜本的に問い直すべき状況がある。本稿では、一部自治体あるいはその教育委員会による「教師塾」開設の動きについて考えてみたい。東京都をはじめとして、大阪府・市、堺市、京都市などに「教師塾」が設けられ、特に教員確保が喫緊の課題であるいくつかの大規模都市自治体では、行政が教員養成の一端を担い始めている。規制緩和と分権化が推進される教育改革の下で、「大学養成制」と「開放制」を原則としてきたわが国の戦後教員養成制度が、新自由主義と新保守主義による改革の波に揉まれつつある。そこに教員養成そのものを行政責任の対象と捉え、大学における教員養成を主導し、場合によっては大学の養成段階を飛び越す構造へ向かう契機と問題性が含まれているのではないか。本研究の意図は、大学で教師養成に関わる一教師として、この動向をどう考えたらよいかを考察するものである。そこで、自治体およびその教育委員会による「教師塾」の取り組みを整理し、開設の背景とその問題に関する研究の覚書としたい。「教師塾」とは何なのか。わが国の教員養成・採用・研修政策上、どのように位置づけられるのか。「教師塾」の何が問題なのかといった点について考察した。