著者
福井 (岡田) 容子 福井 秀公 三浦 仁 渡辺 省五 一色 淳
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.24-30, 2001-04-20 (Released:2010-06-08)
参考文献数
20

本研究は, エンドトキシン (LPS) 誘発の脳細胞死に対する静脈麻酔薬の神経保護効果を脳内一酸化窒素代謝産物 (NOx) 動態を基盤として検索した。脳細胞は小脳顆粒細胞を分取し, 神経細胞とグリア細胞が混在した初代培養細胞を用いた。細胞死は蛍光発色法で定量解析を行った。NO産生は特製微小透析プローブで経時的にNOxを採集し, NO2およびNO3をグリース反応後, HPLC-UVシステムで測定し解析した。LPS未処置でNOx産生は認められなかったが, 処置後は明らかな経時的NOx産生が確認された。LPS20μg処置24時間後の細胞生存率は約60%であった。細胞死発現にともなうNOx産生は各種静脈麻酔薬の中でミダゾラムによってもっとも著明に阻害された。これらの結果は, 脳細胞死発現にともなってNO発生が生じ, ミダゾラムの脳保護効果はNO産生抑制と関連することが示唆された。
著者
山田 清
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.61-75, 1994-03-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
17
被引用文献数
6 10

1990•1991の両年に新潟県中之島町のハス田と同加茂市の小河川でコサギなわばり性と採食行動について調査した.1)ハス田では移動性の低いドジョウが最も重要な餌だった(湿重量比で80.8%).2)河川では移動性の低いアメリカザリガニ•ドジョウ(40.0%),移動性の高い遊泳魚(59.5%)とも多く捕食されていて餌の構成が多様だった.3)採食方法は餌の発見方法(待ち伏せ法と歩行法)と捕獲のテクニック(追跡型と非追跡型)の2段階に分け,その組合せによって分類することができた.4)餌と用いられる採食方法は明確に対応していた.待ち伏せ法は,主に大型の遊泳魚と対応していた.歩行法のうち追跡型の方法には中型の遊泳魚が,非追跡型の方法には移動性の低いザリガニ•ドジョウまたは小型の魚類がそれぞれ対応していた.5)ハス田では,境界が明瞭な採食なわばりが特定の場所で長期に渡って維持されていた.これをハス田タイプのなわばりと呼んだ.6)河川では,待ち伏せ法で採食する個体が自分の周囲のごく狭い範囲から他個体を排除した.河川でのなわばりの範囲は採食個体の移動にともなって移動し,これを河川タイプのなわばりと呼んだ.7)2つの環境で見られた採食なわばりについて餌および採食環境と関連させて考察した.
著者
濱口 佳和
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.248-264, 2017 (Released:2017-09-29)
参考文献数
54
被引用文献数
5

本研究は自記式能動的・反応的攻撃性尺度(大学生用: SPRAS-U)を作成し, 因子構造, 信頼性, 妥当性を検討するとともに, 身体的攻撃, 言語的攻撃, 関係性攻撃との関連を明らかにすることが目的とされた。SPRAS-U原版は, 能動的攻撃性として他者支配欲求, 攻撃有能感, 攻撃肯定評価, 欲求固執, 反応的攻撃性として, 易怒性, 怒り持続性, 怒り強度, 報復意図, 外責的認知の合計9下位尺度, 合計75項目から構成された。1短大・5大学の学生616名(男子294名, 女子322名)から妥当性検討の尺度が異なる2種類の質問紙に対する回答を得た。因子分析の結果, 想定された9因子が得られ, α係数による信頼性は7下位尺度で.70以上の値を示し, 概ね使用可能な範囲にあった。反応的攻撃性の下位尺度の殆どがBAQの敵意や怒り喚起・持続性尺度, FASの報復心と中程度以上の正の有意相関が見られ, 能動的攻撃性の各下位尺度は一次性サイコパシー尺度やFASの支配性と中程度の正の有意相関を, 共感性とは負の有意相関を示し, 併存的妥当性が実証された。重回帰分析の結果, 身体的攻撃は主に反応的攻撃性と, 言語的攻撃は主に能動的攻撃性と, 関係性攻撃は能動的・反応的両攻撃性の下位尺度と有意な関連を示した。
出版者
浅沼商会
巻号頁・発行日
1929
著者
柳田 謙十郎
出版者
校倉書房
雑誌
歴史評論 (ISSN:03868907)
巻号頁・発行日
no.306, pp.p105-112, 1975-10
著者
木村 真理 渡邉 映理 岸田 聡子 今西 二郎
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.268-282, 2012-03-31 (Released:2017-01-26)

【目的】健常成人女性を対象に,鎮静,または覚醒作用が期待される精油を用いてハンド・フットマッサージを実施し,心身への効果の違いを検討するため試験を行った.【方法】対象者は,試験説明を行って同意を得られた22-30歳の健康成人女性16名であり,精油なし,真正ラベンダー2.5%+ゼラニウム2.5%(LA/GE),ペパーミント2.5%+レモングラス2.5%(PE/LE)の3条件で,30分間のハンド・フットマッサージを1名ずつ実施した.試験デザインは無作為化クロスオーバー対象比較試験とした.対象者は心拍計を装着し,10分間安静,30分間の施術,10分間安静の順で試験を行い,心拍変動解析によりHF値,LF/HF比を算出した.また,施術前・中・後(10分安静後)の3回唾液を採取し,コルチゾール(CS)濃度,イムノグロブリンA(IgA)濃度を分析,測定した.施術前後の2回,心理質問紙への記入を行った.【結果】二元配置分散分析により,施術中30分に「LA/GE」条件では,HF値の上昇,LF/HF値の低下が,逆に「PE/LE」条件ではHF値の低下,LF/HFの上昇が見られた.また,施術後10分に「LA/GE」及び「PE/LE」条件でCS濃度が大きく低下した.心理指標は「精油なし」条件と比較して「LA/GE」条件で,否定的感情を示す得点が大きく低下し,「PE/LE」条件では,肯定的感情は「精油なし」と比較してより大きく上昇し,他の2条件に比べて疲労度が最も低下した.また,LF/HFやCS濃度,IgA濃度は対象者の月経周期,自覚的健康度に強く影響されており,これらを被験者間因子として二元配置分散分析を行うと,3条件によるCS,IgAの施術前・中・後の動きが有意に異なることが示された.【結論】健常成人女性にハンド・フットマッサージを施すと,精油の使用によって心身への効果がより高まり,精油の種類により,同じ手技のマッサージを行っても異なる効果が得られることが示された.アロマセラピー・ハンド・フットマッサージにおいて鎮静作用や覚醒作用を有する精油を使い分けることは,女性特有の症状緩和のために有効であると思われる.
著者
下川耿史著
出版者
作品社
巻号頁・発行日
2011
著者
植松 伸之介 井口 祐貴 楠本 繁生 下河内 洋平 大城 章 横手 健太
出版者
The Japan Journal of Coaching Studies
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.231-237, 2018-03-20 (Released:2019-09-02)
参考文献数
18

This study investigated the occurrence frequency of accelerations (Acc), decelerations (Dec), and changes of directions (CoD) during the actual handball game and their frequency under high intensity events (HIE) circumstances, using inertial measurement units (IMU).     Participants were female handball players in Japan. 10 players (Age: 24.7±2.3 years old, height: 167.0±8.1 cm, body weight: 65.2±6.1 kg) belong to womenʼs division of Japan Handball League (upper group), 10 top-level university players (Age: 20.6±0.8 years old, height: 165.1±5.9 cm, body weight: 61.0±5.6 kg) from the division 1 of Japanese university handball league (middle group), and 8 university players (age: 20.0±0.8 years old, height: 157.9±5.8 cm, body weight: 54.3±5.5 kg) from a team belong to division 2 of the league (lower group).     As a result, the upper group displayed the highest occurrence frequency in all items, the middle group was second highest, and lower group was the lowest. The result indicates that in competition sites, it is important to implement specializing training based on the understanding of the characteristics of handball as a sport and on the scientific knowledge that we could acquire from the actual games.
著者
呉 明上
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2002

法博第36号
著者
後瀉 桂太郎
出版者
政策研究大学院大学 / National Graduate Institute for Policy Studies
巻号頁・発行日
2017

論文審査委員: 道下 徳成(主査), 北岡 伸一, 岩間 陽子, 細江 宣裕, 泉川 泰博(中央大学総合政策学部教授)
著者
服部 禎男 湊 章男
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.926-938, 1994-10-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
19

This report describes current status of the design of a 4S (Super Safe, Small and Simple Fast Reactor). The 4S is a fast reactor generating 50MWe electric power, which pursues simple operation system, less maintenance service, higher safety and improved economic features. To satisfy these special characteristics, a new plant concept is produced, where adoption of metallic fuel core and burnup control by annular reflector can ensure negative sodium void reactivity coefficient for the reactor core. The power is controled by the turbine system (water-steam system) alone without any control rod. Complicated fuel handling system and driving mechanism of control rod are eliminated. And the activity of operating service is also eliminated by the application of passive system to the reactor design. The 4S has a substantial safety and is a fast reactor in which fuel is confined for a long time of 10yr as the refueling interval, to realize high proliferation resistance of nuclear material.
著者
森戸 大介
出版者
京都産業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

モヤモヤ病は日本人に多く認められる脳血管疾患で、脳底部内頸動脈分岐部における血管の狭窄・閉塞による重篤な虚血症状、および側副血管からの出血を特徴とする。一部の患者は家族性の病歴を示すことから、遺伝因子の関与が疑われてきたが、我々は初めての確実な遺伝因子として新規遺伝子ミステリンを単離した。ミステリン遺伝子は2つのAAA+ドメインとユビキチンリガーゼドメインを含む591 KDaの巨大なタンパク質をコードしていた。稀なミスセンスSNPによってミステリンC末端付近のアルギニンがリジンに替わることにより、モヤモヤ病発病率は約100~200倍程度上昇していた。これまで、ゼブラフィッシュを用いた検討により、ミステリンが生理的な血管新生・血管パターン形成に必須であることを示していたが、ミステリンの組織発現はユビキタスであり、血管以外の組織における役割が明確でなかった。今回、ゼブラフィッシュにおける広範なノックダウン、および組織特異的レスキュー実験を行ったところ、ミステリンが神経・筋発生においても必須の役割を果たしており、ミステリンのノックダウンにより顕著な運動機能低下、およびその結果として孵化障害が引き起こされることが明らかとなった。さらに、種々の変異体を用いたレスキュー実験の結果から、ミステリンが生理機能を果たすためには、AAA+ ATPアーゼ活性とユビキチンリガーゼ活性の両方が必須であることが明らかとなった。