著者
下里 俊行 小野 行雄
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.205-223, 2003

本研究は,2002年5月~9月にかけて神奈川県立金沢東高等学校の選択科目「基礎国際文化」において実施されたアフガニスタン・カブール市の高校生との衛星電話・テレビ電話を通した直接対話の授業実践に関して,その経緯と成果について考察し,今後のグローバル教育における新しい通信メディアの活用と国際NGOとの連携の可能性について検討するものである。この新しい試みでは,テレビ電話による画像と音声を通じて,異なる国籍と文化的背景をもった同世代の若者たちが一人ひとり直接対話した。それは,互いに相手を個別具体的な人格として理解することを可能にさせ,いわばグローバルな市民社会のなかでの相互承認と共感とを体験する新たな可能性を切り開いたといえる。同時に,この新しい試みが通常のカリキュラムとして確立・普及するためには解決すべき課題は多い。たとえば衛星回線の使用料負担や対話相手との調整などである。したがって,PTAなど学校内外の諸団体からの支援や国際NGOとの協力がこれらの課題の解決のために不可欠であるが,同時にインターネット利用によるコスト問題の解決の見通しもある。This study examines both the process and result of learning interactions that occurred in a new trial of global education by using "Direct Talking through INMARSAT Satellite Telecommunications Terminals and Video Phone" between high school students of Kabul city Afghanistan and Japan. This new learning method was undertaken as an elective subject "Basic International Culture" in Higashi-Kanazawa High School in Kanagawa prefecture from May to September in 2002. Moreover this study will examine the practical use of the new communication media and the possibility of connection with transnational NGO for a global education in the future. With this experiment, those young people who have different nationalities and cultural backgrounds could talk each other through this satellite telecommunications terminals and video phone directly. The experiment proved successful for the two parties such that they succeeded in understanding each other as individual concrete characters. And it may be said that this new technique of telecommunications creates some possibilities to experience a new mutual approach in a global civil society. At the same time, many new problems should be resolved so that this new experiment will spread as an established curriculum. For example, there may be a burden of the fee for use of a satellite connection and adjustment for use between other countries. There for, different groups such as PTAs, international exchange associations and some cooperation with transnational NGO's support would be needed for one of the solutions. However, we can point out that there may be some other prospective solutions in which using the videophone proves effective and practical.
著者
和栗 雄太郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.65, no.634, pp.1859-1861, 1999-06-25
著者
藤本 隆弘 房前 浩二 岡本 昌規 三宅 幸信 高田 光代 合田 大輔 石口 雄二 小川 智恵子
出版者
広島大学
雑誌
中等教育研究紀要 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.237-247, 2005-03-22

当校では1982年より「生涯体育に視点をおいた授業実践」に取り組んできた。「体育の学び方を学ばせ, 体育・スポーツの生活化」を目指し, 「自ら学び, 自ら考え」, 自己を成長させていく「自己教育力」の育成をねらいとして実践してきた。今回の授業では, ソフトテニスを「ロビングからはじめる」ことによって, ボールの落下点の予測や移動するフットワーク, 打球のための体のさばきなどが身につきやすいのではないか, また, サービス・サービスレシーブやボレー・スマッシュなどの技能の習得に役立つのではないか, 狙ったところにロビングで返せることは戦術を考えることにつながるのではないか, と仮説を立て実施した。「ラリーの続く」楽しさに, 生徒たちが意欲的に, 考え, 工夫し, 技能の習得につとめ, ゲームの中でも工夫することができる授業になったと思う。
著者
徳田 恵一
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.17-22, 2010-12-25

本解説では,統計的パラメトリック音声合成の基礎技術について簡単にまとめると共に,最近の動向について概観する。特に,統計モデルとして,隠れマルコフモデル(hidden Markov model;HMM)を用いた方式は,効率的な学習アルゴリズムが利用できることから,広く利用されており,本解説でもHMMを用いる方式を中心に述べる。また,ここ10年ほどの間,主流な手法として利用されてきた単位選択型音声合成との関係について対比しながら,近い将来に期待される技術開発の方向性についても述べる。
著者
徳田恵一 峯松信明 戸田智基 額賀信尾 平井啓之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.7, pp.1-6, 2014-01-24

情報処理研究会音声言語情報処理研究会 (SIG-SLP) 第 100 回記念シンポジウムにおいて,音声合成研究の流れを俯瞰し,今後の目標・応用や方法論を探ることを目的としたテーマセッションを実施する.本稿は,そこでの発表内容の概要を,登壇者がそれぞれ執筆したものである.
著者
高木 信二 山岸 順一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.2, pp.1-6, 2015-02-20

近年,Deep Neural Network (DNN) を用いた手法が様々な分野で高い性能を示しており,統計的音声合成においても DNN を用いた手法が注目を集め,盛んに研究されている.従来,統計的音声合成システムでは音声特徴量の 1 つであるスペクトルは,低次元のスペクトルパラメータ (例えば,メルケプストラムや LSP) によって表現され,隠れマルコフモデル (Hidden Markov Model; HMM) や DNN によってモデル化される.本論文では,振幅スペクトルの微細な特徴を捉えるため,DNN の枠組みを用いて振幅スペクトルを直接モデル化することを検討する.本モデル化手法では,スペクトルパラメータ抽出器である Deep Auto-encoder と音響モデルのための DNN を連結し,テキストから得られた言語特徴量から振幅スペクトルを直接合成する巨大な DNN を構築する.分析再合成実験による Deep Auto-encoder を用いて抽出された低次元特徴量の評価,及び,テキスト音声合成実験による提案スペクトルモデリングの評価を行った.
著者
木村 義雄
出版者
大法輪閣
雑誌
大法輪
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.228-235, 2016-06
著者
作道 栄一 吉村 敏章 神田 美夏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.202-207, 1987
被引用文献数
1

S-エチル-S-フェニル-N-トシルスルフイミド(SN[1]),S-エチル-S-2-ピリジル-N-トシルスルフイミド(SN[2])および2-(N-トシルエタンスルフィンイミドイル)ピリジン=1-オキシド(SN[3])の熱分解反応に対するプロトン性溶媒(メタノール)の影響について検討した。SN[1]の熱分解反応に対する非プロトン性溶媒(ベンゼンおよび1,4-ジオキサン(DO))とプロトシ性溶媒との速度比はベンゼン:DO:メタノール=8.5:5.5:1(100℃),となり,メタノールの反応抑制効果はかなり大きい結果を示した。またSN[1]の活性化パラメーターはメタノール中でE<SUB>a</SUB>=115.1kj/mol,およびΔS<SUP>≠</SUP>=-41.OJ・K<SUP>-1</SUP>mol<SUP>-1</SUP>であり,ΔS値はSN[3]の約1/5であったお。メタノール溶媒の同位体効果はSN[1]ではk(メタノール)/k(メタノール-d)≒0.82であり,SN[2]SN[3]では重水素の効果は認められなかった。SN[1]の置換基効果はベンゼン中ではρ=+0.792,DO中ではρ=+0.809およびメタノール中ではρ=+0.851であり,溶媒の種類によるρ値の差異はあまり認められなかった。SN[3]め熱分解に対するメタノールの反応抑制効果は小さかった。得られた結果から,スルフイミドの熱分解に対するプロトン性溶媒の影響として,基質の原系に対して水素結合を形成するが,その形成箇所によって反応が抑制または促進されると考えられた。
著者
遠藤 由美
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.53-62, 2007
被引用文献数
4

人はしばしば,自己の主観的な状態が他者に対して露わになったと信じる傾向があり,これは透明性錯覚として知られている。本研究では,自己紹介場面での緊張においてこの透明性錯覚が重要な役割を果たし,また感じている緊張の関数として透明性推測が作り出される,という仮説を検討した。人前で話す時に緊張を強く感じる人は,そうでない人に比べて,聴衆に対してその緊張が明らかなものとして伝わったと信じる程度が強かった(研究1)。対人不安特性の強い人においても同様のことが示唆された(研究2)。研究3では,これらの結果を再現し,さらに動機的説明ではうまく行かないことを立証した。最後にこれらの結果に対して,透明性錯覚と係留・調整リューリスティックスの観点から議論が加えられた。<br>