著者
伊藤 秀一 小川 杏美 平田 彩夏 岡本 智伸
出版者
東海大学農学部
巻号頁・発行日
vol.31, pp.21-29, 2012 (Released:2013-10-08)

動物園の飼育環境は,野生環境と比較すると刺激が乏しいことから,動物が異常行動を発現するなどの問題が指摘されている。近年の動物園では野生環境の再現を行う生態的展示と呼ばれる管理法の導入が試みられている。しかしこの管理法では,動物が陰に入ってしまい,動物を目にする機会が極端に減少してしまう可能性があることから,動物園への来園者が"動物体を見る"ことに重点をおいている場合は,動物園の利用が減少する可能性が考えられる。そこで本研究では,動物園来園者が動物園に求めていることを知るために,動物飼育と遊園地等の複合施設においてアンケート調査を行った。調査項目は(1)来園者の属性に関する項目(2)動物園の利用頻度についての項目(3)来園の目的に関する項目(4)来園者が動物園に求めている内容に関する項目とした。5日間の来園者数は9548人で,アンケートの回収数は972人だった。解析の結果,動物の飼育環境を野生に近づけて動物体が見にくくなる環境に関して,見える方が良いという回答と見えにくくても良いという回答はほぼ同数だった。また,動物への好みに関しては,"珍しいが寝ている動物"よりも,"どの動物園にもいるが活発に動く動物"を見たいという回答が多かった。
著者
髙橋 永行
出版者
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所
雑誌
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所報告 (ISSN:0386636X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.9-20, 2018-03

宮崎駿監督作品 ' 風の谷のナウシカ ' は登場人物に典型的な役割語を使わせて描かれている。私たちが現実世界で行う言語運用のメカニズム(語用論)と対比しながら作中の台詞と言語行動について考察した。現実世界でみられることばの位相がどのように創作物に投影されているか、二人のヒロイン、ナウシカとクシャナを中心にポライトネス理論のフェイス概念に基づき、談話単位で用例を示し検討する。ナウシカは女性語と男性語を併用する話体である。「風の谷の姫」という立場で積極的フェイスを保持し、やわらかいことば遣いと毅然としたことば遣いを場面ごとに切り替えるが、16 歳という年齢に相応したステレオタイプ的な言語行動がみられる。一方、クシャナは男性語専用の話体である。トルメキア王国の姫であるとともに侵略軍の司令官という立場で消極的フェイスを守ろうとするため、聞き手のフェイスを否定的に評価する方略を多用し、高圧的な印象を見る側に与えるが、随所に周囲への配慮がみられる。登場人物たちは互いの人間関係に向き合って言語行動を選択していると言えよう。
出版者
常陸太田市
巻号頁・発行日
1982
著者
古川 智恵子 中田 明美
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-10, 1987-03-01

褌はシンプルで機能美を最も追求した衣であり,何千年もの間下着,あるいは仕事着として用いられてきた.この伝統ある形態や機能性は今日,若者のニーズにあう,新しい息吹きを吹きこまれながら,様々な付加価値が加えられて伝承され,現代の若者のショーツにスキャンティとして大きくクローズアップされている.今回の女子大生に対するアンケート結果においても,スキャンティに近いビキニ型の使用率が最も高かった.ショーツの着衣実験の結果,機能性については褌と同形態の殿裂型であるスキャンティが最も優れている事が実証されたが,着心地の官能検査においてはビキニ型が最も優れ,両者に一致がみられなかった.これは殿裂型の着用経験のない者にとっては慣れない為に股間に違和感を感ずる事や,形態が奇抜,高価等の理由からであろうと考えられる.下肢の運動による体表変化は殿溝部の皮膚が縦方向に伸び,大転子を境にしてそれより上部には殆ど変化はみられない.従ってショーツの着心地条件については,殿部カーブのカットが大きく関与し,殿溝部に沿ってカットされたスタンダード型,ビキニ型が共に上位であり,両者共素材が綿メリヤスで伸縮性に富む事も大きな要因である.現代は「差異性」が重視され,下着も自己主張の重要なファクターとしてその地位を確立しつつある.現代を担う若者達はそれを敏感に察知し,精神的なおしゃれを大いに楽しんでいるのである.男らしさを象徴する褌が,今や素材を変え,レース等の装飾が加えられたスキャンティとして女性のセクシーさをアピールしている事はまことに興味深い.
出版者
国立国会図書館
巻号頁・発行日
vol.2016年, no.(658), 2016-02-01
著者
渡部 昇一 永盛 一 松尾 弌之 小林 宏晨 大井 孝 斉藤 美津子
出版者
上智大学
巻号頁・発行日
1988

この研究では、3年間にわたって文献の調査、研究者による討議、専門家へのインタビュ-、各種の実験、シュミレ-ションなどが繰り返された。その結果として(1)通訳教育と外国語教育に関する論議が深まり、(2)通訳技術に関する基礎研究が従来なかったレべルにまで進展し、(3)通訳技術をめぐる理論構築の可能性が生まれてきた。外国語教育に関しては、文法や訳読中心の教育ではなく、コミュニケ-ションの全体的内容に着目する(意味を中心とする)カリキュラムが必要であろうといった指摘がなされるに至った。その具体的方法については、報告書「外国語教育の一環としての通訳養成のための教育内容方法の開発に関する総合的研究」に詳しい。通訳技術に関する基礎研究では、さまざまな側面が明らかになったが特に語学の上達には一般的な教養や知識が欠かせないということが計量的に明らかになった。すなわち、ある程度以上の語学能力の発達のためには教養の果たす役割が大きいといえる。理論構築に関しては、過去の業績を踏まえつついくつかの具体的手法が提案されるに至った。
著者
松田 卓也
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.B10-B17, 1999

学会における口頭発表は、情報交換の手段として今後ますます重要になる。しかし多くの講演者の講演スタイルには、情報伝達の効率という点において非常に大きな問題がある。ここでは、若手研究者がOHPを使って10分程度以下の口頭発表をする場合にターゲットを絞って、その技術を解説する。そのエッセンスを述べれば、トランスペアレンシーは内容を精選して、大きな字で書くこと、聴衆の方を向いて、聴衆とアイコンタクトをしながら話すことである。
著者
日下田 岳史
雑誌
大正大學研究紀要
巻号頁・発行日
no.102, pp.290-318, 2017-03-15
著者
羽鳥 徳太郎
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.355-363, 1976-12-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

The Kalapana tsunami was generated off the south coast of Hawaii Island, accompanying the earthquake of magnitude Ms=7.2 (NOAA), at 14h 48m (GMT), Nov. 29, 1975. Some features of this tsunami are investigated on the basis of tide gauge records of NOAA and Japan, adding the reports of the US field investigation.Tsunami magnitude of the Imamura-Iida scale is decided as m=2, judging from the tsunami heights observed near and distant fields. The initial motion of the tsunami waves was in an upward direction at the whole Hawaiian stations, suggesting the uplift of the sea-bottom in the tsunami source area. The source dimension of tsunami is inferred to be 70km along the south coast of Hawaii Island, and the area is 2.2×103km2. By applying the corrections for the refraction and shoaling from the inundation heights at the Hawaii Island, the average vertical displacement of 1.2m would be occurred in the source area. The tsunami energy of approximately is 1.6×1020 ergs. According to statistical relation, the present tsunami is large compared with the earthquake magnitude.The tsunami fronts arrived in NE Japan at about 7h 40m after the occurrence of the earthquake. The maximum double amplitude is 20-30cm with the period of about 15min and the amplitude is relatively higher than that in SW Japan. It is noticed that the wave rays emitting the tsunami source concentrate in the Kuril Islands.
著者
野村 康
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.91-105, 2013 (Released:2013-12-25)
参考文献数
45

Direct action is often regarded as a response to democratic deficit because it can sensitize the general public to the cause of the marginalized, stimulating communication among individuals of different walks of life in society. However, such theoretical discussion has mainly been limited to domestic situations, despite the development of transnational activism in practice. This paper examines a case of trans-border direct action - a contentious anti-whaling protest by the Sea Shepherd Conservation Society in a town in Japan. It illustrates that trans-border direct action can be detrimental to democracy for sustainability, largely because of the disparity of power related to communication in the global society. Such action might even pave paths for the powerful to pressure the weak. At the international level, the group legitimized its civil and uncivil forms of disobedience by using advanced English language and media skills to overwhelm the voices of local actors. At the local and national levels, the group's action lacked support and legal-democratic efforts through communication and discussion with stakeholders. Thus, the group failed to save the lives of cetaceans and to strengthen anti-whaling activism. Re-examination of the nexus between radical activism, communication and sustainability that involves social and cultural diversity is recommended.

14 0 0 0 OA 西洋料理通

著者
魯文 編
出版者
萬笈閣
巻号頁・発行日
vol.後編 (附録), 1872
著者
土坂 恭斗 尾関 基行 岡 夏樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

世界に310万人のユーザを持つポケットモンスターは,相手の情報や性格などを推測して戦うところに魅力があるが,付属のNon player Character(NPC)はそれを楽しめる練習相手とはいえない.本研究では,ベイズ推定を用いて相手の情報を推定し,その事前分布によってNPC自身の性格を表現する手法を提案する.また,試作したNPCを使って人同士のような駆け引きが生じるか否かを実験的に検証する.
出版者
京都市
巻号頁・発行日
vol.第41号, 1940