著者
細井, 広沢
出版者
巻号頁・発行日
vol.[19],
著者
大野 祥子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.287-297, 2012-09-20 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
1

本研究は男性のワークライフバランスから抽出した「生活スタイルのタイプ」ごとに,夫婦間での職業役割と家庭役割の分担のしかたが彼らの生き方満足度にどのように影響するかを検討し,男性にとっての家庭関与の意味を再考することを目的とする。調査対象は3〜4歳の子どもを持つ育児期男性332名であった。仕事を生活の最優先事項とする2タイプ(「仕事+余暇型」・「仕事中心型」)と,仕事と家庭に同等のエネルギーを傾注する「仕事=家庭型」の下位分類2タイプ(「二重基準型」・「平等志向型」), 計4タイプについて,男性の生き方満足度を基準変数とする階層的重回帰分析を行った。「仕事+余暇型」の満足度は家庭関与の変数によっては説明されなかった。「仕事中心型」では休日家族と過ごす時間がとれ育児に関わる余裕のあることが満足度と関連していた。家庭志向の高い2タイプのうち「平等志向型」は自身の家事分担率の高さが生き方満足度を高める共同参画的な結果が見られたが,「二重基準型」では妻が性別役割分業に賛成であることのみが有意な効果を持っていた。これまで男性の家庭関与は妻子や男性本人の適応・発達にプラスの効果を持つとされてきたが,タイプごとに異なる意味を持つことが明らかになった。男性の家庭関与の議論は夫婦関係や労働環境など,より広い文脈の中で捉え,稼得や扶養は男性の役割とする男性性役割規範の見直しを伴うことが必要であろう。
著者
近藤 英彦
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.27-35, 2008-01

英語の母音変化のながれは、概してその狭母音化・口蓋音化、さらには二重母音化の傾向が著しいが、その中でときに広(開)母音化を示す比較的珍しい例がないわけではない。本論はそのなかから時代を異にする二つの場合を取り上げてその概要を示すとともに、その変化が何ゆえにどのような状況の中で生じたのか、同時代の音変化と音韻構成の変容という背景の中で検討をくわえ、その不可避性の有無を検証するものである。
著者
原 修
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.1713, 2018-03-31 (Released:2018-03-28)

立教大学は古くからしょうがい学生支援の取り組み事例を有し,現在も「しょうがいしゃ(学生・教職員)ネットワーク」と支援部局「しょうがい学生支援室」を中心に,各学部や部局がそれぞれの立場で連携し支援に取り組んでいる。図書館は,身体しょうがい学生支援に加え,2016年度より図書館が提供する学修支援のピアサポートである「ラーニングアドバイザー」により,発達しょうがい学生の学修支援を行っている。本稿では,1年半を振り返り,当該業務の実施状況や工夫,問題等を述べ,大学図書館における発達しょうがい学生支援の理想の仕組みについて言及する。
著者
宮原 晃義 結城 昌夫 四元 康博 森地 敏樹
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.368-373, 1996-04-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1

熱伝導率の測定法には定常法と非定常法がある,挽肉(牛肉,豚肉,鶏肉)に脂肪を配合して平行熱源法と線熱源法を用いて5~60℃の温度域における熱伝導率を測定した.その結果,平行熱源法では温度上昇に伴って熱伝導率がわずかに上昇する傾向が観察されるのに対し,線熱源法では温度上昇による影響が少ないことが認められた.また,水分含量と熱伝導率との間には正の指数比例関係,脂肪含量と熱伝導率との間には負の指数比例関係があり,この2成分因子から熱伝導率を求める推定式は牛肉では次のとおりであった.ただし,λp, λhはそれぞれ平行熱源法及び線熱源法による熱伝導率(W/(m・K)),x1…水分(%),x2…粗脂肪(%).
著者
徳田 久美子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.128, no.3, pp.173-176, 2006 (Released:2006-09-14)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

統合失調症治療薬(抗精神病薬)には,ほぼ全てに共通してドパミンD2受容体拮抗作用があり,ドパミン神経機能の異常に基づく病態モデルにおいて,各種の行動異常を抑制する.このようなD2受容体拮抗作用は,臨床における幻覚,妄想等の陽性症状改善に寄与すると考えられている.しかし,D2受容体に選択的な拮抗薬では,重篤な運動障害である錐体外路系副作用(EPS)や内分泌系副作用を誘発しやすい点が問題とされたため,最近では,EPSが軽減された非定型抗精神病薬による治療が主流となっている.非定型抗精神病薬の多くは,D2受容体拮抗作用に加えて,セロトニン5-HT2受容体拮抗作用を有し,感情鈍磨や自発性欠如等の陰性症状にも有効とされる.一方,抗精神病薬による過度の鎮静・血圧降下等の副作用には,アドレナリンα1受容体やヒスタミンH1受容体に対する拮抗作用が関与すると言われる.現在,NMDA受容体機能低下仮説に基づく非ドパミン系の薬剤や,認知機能改善に焦点を当てた薬剤も開発が進められており,今後の動向が注目される.
著者
田村 嘉之 坂井 真
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.127-131, 1997-02-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
16

我々は放射線性口内炎21例, アフタ性口内炎7例, 急性咽頭炎4例, 術後性咽頭炎3例を対象に, プロポリス入りチューインガムによる臨床的改善度と安全性を検討した。1日投与量は10mg/3枚とした。[結果] 放射線性口内炎15例の全般改善度は53.3%, アフタ性口内炎例と急性咽頭炎11例の全般改善度は100%であった。投与中止例の理由は舌や咽頭への刺激痛が3例, 嚥下痛の悪化が1例, 義歯への付着が2例であった。プロポリス投与による副作用は認められなかった。[結論] プロポリスは健康食品であることを考慮すれば, 我々の結果はほぼ満足のいく結果と考える。
著者
前田 展弘
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.2_1-2_7, 2015 (Released:2015-07-01)
参考文献数
3

日本は高齢化最先進国であり,高齢者が消費する市場も拡大の一途にある.高齢者を意識した市場の変化は確認されるが,約8割を占める「普通の高齢者市場」の開拓余地は依然大きい.“より良く生きること”が国民(高齢者)の根源的なニーズであるなか,その実現には高齢期に迎える3つの生活のステージ(生活自立期/自立度低下期/要介護期)をより良く生きることが重要である.そのためには高齢者が有する5つの課題(ニーズ)に対して,社会が解決策を提示していくことが必要である.解決策を創出する産学連携によるイノベーションが期待されている.
著者
松田 達郎
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1755-1767, 1964-02

The writer tried to investigate the social life of the wintering party of the 5th Japanese Antarctic Research Expedition. 1. The relation between the kinds of recreation or play of the wintering members and their working hours was studied. The members having night duty had less kinds of recreation or play than the other members. 2. The words in vogue were recorded and their origins were analysed. It was known that the word in vogue originated mainly from the favorite saying or a slip of the tongue made by a party member. 3. The nickname related to the age of the party member. The youger members were apt to be called frequently by their nicknames. 4. It was recognized that at meals the age of the member and his working hours related to the sitting position at table. The position of the member was generally arranged in the order of the age of the member and it was noted that the position of the member having night duty was not stable. 5. Psychological experiment was tried by food-test. The cakes or confections sufficiently prepared on the table were taken casually by about 45% of party members who happened to be present at tea time.
著者
渡瀬 正三郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.22, no.266, pp.422-424, 1915-11-20
著者
堤 雅恵 田中 マキ子 原田 秀子 涌井 忠昭 小林 敏生
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:1341044X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.65-71, 2007-03-20
被引用文献数
2

近年,高齢者ケアの現場において音楽,ゲーム,園芸などを手段としたアクティビティケアが頻繁に行われているが,その効果については未だ十分な検討が行われていない.本研究では,介護療養型医療施設に在住する認知症高齢者女性10名(平均年齢84.4±7.1歳,Barthel Index平均得点37.0±30.4点,HDS-R平均得点6.4±6.0点)を対象に,アクティビティケアを実施した日と実施しなかった日の9時から17時までの,携帯式行動量測定装置アクティカルを使ったエネルギー消費量測定による活動量およびタイムスタディによる対人交流時間の調査を実施し,アクティビティケアの効果を検討した,その結果,アクティビティケアが実施された日とされなかった日のエネルギー消費量は,それぞれ338.9±70.4kcalおよび344.0±86.4kcalであり,有意差は認められなかった.対人交流時間については,アクティビティケアが実施された日の対人交流時間の合計は137.9±45.0分で,実施されなかった日の対人交流時間96.1±40.4分と比較して有意に多かった(p=0.042).本研究結果から,アクティビティケアの実施が活動量の増加にはつながりにくいものの,対人交流の時間の確保につながることが示唆された.