著者
伊藤 賢太郎 中垣 俊之
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.178-181, 2011 (Released:2011-07-25)
参考文献数
10

The origin of information processing is a fundamental problem in evolutionary biology. True slime mold, Physarum, has become a model organism for study of problem solving by single-celled organisms. Here we report its ability to find a smart network by describing its aptitude in maze solving, multi purpose optimization for transportation network and risk management in a spatio-temporally varying field. We discuss these results in the context of a risk management strategy.
著者
伊藤 賢一
出版者
群馬大学
雑誌
群馬大学社会情報学部研究論集 (ISSN:13468812)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.193-210, 2005-03-31

本論文はウルリッヒ・ペックのリスク社会論(1986)の可能性を探るものである。最初に、導入として、2001年に日本で起こった「BSEパニック」について描写し、Beckが15年前に提案したリスク社会のあらゆる特徴をこの「パニック」が示していることを指摘している。次に、リスク社会論の土台となっている近代化論のロジックと射程を検討している。本論文はこのことを通じて彼の理論がもつ可能性を提示するものである。リスク社会においては、欠乏ではなくて不安こそが人々の間に連帯を生むというアイディアが基本になっている。
著者
伊藤 賢一
出版者
群馬大学社会情報学部
雑誌
群馬大学社会情報学部研究論集 (ISSN:13468812)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.27-37, 2009

G.Ritzerは脱魔術化された世界に住む人々を再魔術化する消費の大聖堂が存在すると主張している。この議論は、なぜ人々がファストフード・レストランのような合理化されたサービスシステムに魅了されるのかを説明しようとするもので、一種の消費社会論とよべるものである。彼の議論はいくつかの重要な指摘にもかかわらず、誤った前提に基づいている。さらに、消費者の主体性の欠如を問題視するタイプの消費社会論が直面せざるを得ない問題にも直面している。本論文は、Ritzerの議論がどこで誤ったかを明らかにするとともに、消費社会論を論じる際の基準を設定するやり方について考察するものである。
著者
伊藤 賢次
出版者
日本生産管理学会
雑誌
生産管理 (ISSN:1341528X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.117-122, 2007

タイとインドネシアの自動車市場 (生産及び販売台数) は、日系自動車メーカーが大半を占めているが、1990年前後に、タイがインドネシアを逆転して、以後タイがインドネシアを大きく引き離していく。その理由は、まずそれぞれの国内市場の伸びの違いである。タイ経済は、プラザ合意のうねりを受けて、1987年から高度経済成長を開始し、翌年から3年間2桁以上の成長を続ける。国内販売台数は1990年には30万台 (1995年には50万台) を突破する。インドネシア経済は、タイより少し遅れて、1989年から高度成長の波に乗り始めるが、1990年の27万台をピークに伸び悩む。両国にとっては、国内市場とは別に、BBC (アセアン域内の自動車部品相互補完協定) のメンバーとしても、比較された。タイのほうが、国産化政策でもインドネシアより先行し、現地部品メーカーも育ってきていた。加えて、両国の政権の安定性、政策の一貫性、為替の安定性、政策立案能力と実施能力など、総合的にみて、タイのほうがインドネシアを上回っていた。こうした様々な点から総合的にみて、1988年前後から、日系自動車メーカーは、タイの生産能力を一気に拡張し (全体としては50万台規模の構想)、インドネシアを大きく引き離すこととなった。こうした事例は、企業が海外進出先を選定する際に、多くの示唆を与えている。
著者
清水 啓 奈良部 孝 伊藤 賢治
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.44, pp.303-305, 1997-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
2

臭化メチルの代替技術として, 熱水土壌消毒の殺線虫効果について検討した。95℃の熱水をビニルマルチ被覆下に散水したところ, サツマイモネコブセンチュウ, キタネグサレセンチュウおよびダイズシストセンチュウは地表面下20cmではいずれも良く死滅したが, 40cmでは一部生存虫が認められた。ダイズ根粒菌に及ぼす影響は低かった。
著者
出口 剛司 赤堀 三郎 飯島 祐介 伊藤 賢一 渡會 知子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題は、社会学の公共性を実現する条件を理論及び学説史の研究によって明らかにすることにある。上記課題を実現するために五つの論点の考察した。1.ヴェーバー「価値自由」テーゼの批判的継承、2.批判的社会理論とN.ルーマンの社会システム論の再検討、3.ドイツにおける国法学、公共性研究とフランスの中間集団論との比較、4.ドイツにおける社会理論と法学の関係についての考察、5.ネット時代の個人化と社会的連帯の変容の解明である。その結果、理論が自己の正当化実践を行うことを通して、また社会的現実を別様に記述することにより、政策課題を設定=再設定することで通して、社会学の公共性が実現しうるという結論を得た。
著者
伊藤 賢次
出版者
日本生産管理学会
雑誌
生産管理 (ISSN:1341528X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.27-30, 1999-06-15 (Released:2011-11-14)
参考文献数
18
著者
伊藤 賢志 中西 寛 氏平 祐輔
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.206-211, 1998-03-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
16

ortho-positronium (o-Ps) の量子半径, Rps, を仮定して得られたo-Psの消滅寿命と~1nm以上の空孔の大きさとの新しい相関式を提案した。ナノメートルレベルの空間におけるo-Psの寿命, τhole (=1/λhole) は, 真空で消滅する固有寿命 (140ns) とバルク界面から浸出した厚さ△Rの電子層中の反平行スピンの電子とのピックオフ反応による寿命との分配によって, 以下のように決まると仮定した。λholo= {λR2γ=2 [1-R/R+ΔR+1/2πsin (2πR/R+ΔR) ] (f (R0)λ3γf (R) +λRα2γ (1-f (R) ) (f (R>0)ここで, λ3γ=1/140, Ra=RPs-ΔR, f (R) = (R-Ra/R+ΔR) bである。
著者
保坂 尚紀 輿 秀利 伊藤 賢 中村 正和 梨本 正恵
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 = Journal of Japanese Society of Oral Implantology (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.395-399, 2000-06-30
参考文献数
11
被引用文献数
1

In prophylaxis of postoperative infection, an air-cleaner was used to remove air-contaminant bacteria and fungi in the operating room during dental implant surgery. In general, next to Coagulasenegative staphylococci, the most frequent isolate, Corynebacterium species was isolated in the operatmg room.<br/> When an air-cleaner was used during the operation, the bacteria and fungi were considerably decreased, especially fungi decreased below the detectable level. To the results indicated that application of an air-cleaner was decreased air-contaminant microbes in the operating room for the dental implant surgery.<br/>
著者
保坂 尚紀 輿 秀利 伊藤 賢 中村 正和 梨本 正恵
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 = Journal of Japanese Society of Oral Implantology (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.395-399, 2000-06-30
参考文献数
11
被引用文献数
1

In prophylaxis of postoperative infection, an air-cleaner was used to remove air-contaminant bacteria and fungi in the operating room during dental implant surgery. In general, next to Coagulasenegative staphylococci, the most frequent isolate, Corynebacterium species was isolated in the operatmg room.<br/> When an air-cleaner was used during the operation, the bacteria and fungi were considerably decreased, especially fungi decreased below the detectable level. To the results indicated that application of an air-cleaner was decreased air-contaminant microbes in the operating room for the dental implant surgery.<br/>
著者
横沢俊 越智久晃 尾藤良孝 伊藤賢司 佐々木真理
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
第42回日本磁気共鳴医学会大会
巻号頁・発行日
2014-09-11

【背景】Diffusion kurtosis imaging (DKI)は,非正規分布の拡散モデルを用いた拡散イメージング手法の一つであり,従来のDTIと比し,軽微な白質・灰白質病変などの検出能向上が期待されている[1].しかし,DKIの解析は,DTIと比較してノイズに対する頑健性が低く,計算アーチファクトが発生しやすい.一般的に,前処理における平滑化フィルターの適用により頑健性は向上するが,画像のblurring発生が課題となる.本研究では,blurringを発生させずに計算アーチファクトを抑制するDKIの解析手法について検討した.【方法】本手法は,制約無しの非線形最小二乗法にて拡散係数と尖度係数を推定し,制約条件の範囲外に算出された係数について平滑化フィルターを適用したデータを用いて再計算する.5名の健常ボランティア(男性,26-45歳)を対象に,1.5 T MRI装置(ECHELON Vega, 日立メディコ)を用いて,MPG 21軸,b値1000, 2500 s/mm2,2NEXのDTIを2回撮像した.解析では,平滑化処理無しの手法,全データに平滑化処理を適用した手法,提案手法の三つの手法にてMK画像を算出した.計算アーチファクトおよびblurringを視覚的に評価し,2回計測の再現性をICC(intraclass correlation coefficient)にて評価した.【結果】提案手法のMK画像は,平滑化処理無しのMK画像と比較して,blurringが同等であるにもかかわらず,2回計測の再現性が有意に高く(ICC: 提案手法, 0.77±0.076; 平滑化処理無し, 0.73±0.079),計算アーチファクトが改善されていた.全データに平滑化処理を適用したMK画像は,平滑化の強度に応じて2回計測の再現性が向上するが,blurringが顕著となった.同等の再現性(ICC: 全データ平滑化, 0.76±0.080)で比較した場合,提案手法のMK画像は,全データを平滑化処理したMK画像と比較して,blurringが小さく計算アーチファクトが改善されていた.【結論】本研究により,DKI解析において頑健性の高い処理が可能であることが明らかとなり,臨床応用実現の可能性が示された.[1]Jensen JH. MRM. 2005;53:1432-40.
著者
萩原 弥四郎 戸井 道夫 伯野 中彦 石原 真 伊藤 賢章 浦野 俊雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.384-397, 1965-11-28

Surface circulation of the body in cats and human materials was measured by a thermoelectric element. The element type is unique in that it uses a thermopile instead of a double thermocouple. The skin blood flow at the capillary level was measured with this element, uninterfered with the muscle blood flow and arteriovenous shunt in the precapillary region. 1) The blood flow of skin, in the resting stage, shows a slight undulation which is mostly independent of systemic blood pressure change. However, in some cases, the skin blood flow decreases when systemic blood pressure markedly falls. 2) The skin blood flow decreases after local intra-arterial injection or intravenous administration of epinephrine and norepinephrine. The blood flow decreasing action of epinephrine is diminished with pretreatment of phentolamine (regitine) and enhanced with dichloroisoproterenol (DCI). The action of norepinephrine is blocked with phentolamine but not influenced by DCI. 3) Constriction of blood vessels in the skin is probably due to adrenergic (α-type) control, while dilatation seemed only slightly adrenergic (β-type) and parasympathetic influenced, some secondary effects such as metabolic factors being possibly concerned. 4) In some experiments on the- human being, mental work immediately decreases the skin blood flow in many cases. 5) The following points were discussed in the present paper : merits and demerits of this method, factors which influence the blood flow change, method of setting the element on the skin, standard to calculate the blood flow value, influence of clamping the inflow vessel, mechanism of constriction and dilation of skin blood vessel, psychic influence on the skin blood flow and application of this method in clinical use.
著者
数土 直紀 赤川 学 富山 慶典 盛山 和夫 金井 雅之 伊藤 賢一 樽本 英樹
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本プロジェクトは、期間中に合計12回の研究会を学習院大学において開催した。また、研究会での成果を、海外を含む各種学会・会議において発表報告をした。研究会での報告内容は、次の通りである。(1)「ウォルト・ディズニーの思想」、(2)"Evolution of Social Influence Networks in Unanimous Opinion Formation"、(3)「Social Capital概念の適用可能性」、(4)「階層意識上の性-権力」、(5)「Dunkan WattsのSmall Worldシミュレーションを応用して」、(6)"Independence of Protestantism and Capitalism"、(7)「規範性のメタ理論的考察」、(8)「『社会構造のモデル樽築』」、(9)"Evolution of Distributive Justice in Social Influence Networks"、(10)「政治的権力の正当性からの独立性」、(11)「後期ハーバーマスの展開の体系的分析」、(12)「都市型公共空間における不関与の規範の形成」、(13)「損害賠償額が上昇するメカニズム」、(14)「シミュレーションということ:く社会>の理解/記述/創出」、(15)「構成主義と構成されざる現実」、(16)「利他的な行為者はゲームをどうみているか」、(17)"Escape from Free-riders"、(18)「倫理的判断の不偏性」、(19)「ロマンティック・ラブの日本的受容〜『主婦の友』に見る「愛」と「恋愛」の変遷〜」、(20)「社会移動表における非対角セルの分析」、(21)「社会運動への動員における紐帯の効果」、(22)「メディアと「信頼」」。最終年度は、プロジェクト期間中に参加者が議論を基にした論文を収録し、計13本、約280ページの報告書を作成した。
著者
伊藤 賢一
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的に掲げた「公共空間の希薄化と個人化傾向を説明する統一的な理論モデルを構築すること」は、十分完成した形には至らなかったものの、ある程度中心的なアイディアを示すことができたと考える。中核となるアイディアはBeck(1986)らが提示しているものと殆ど同型であるが、Beckらが必ずしも結びつけて論じなかった地域コミュニティの変容や、新しいメディアの浸透、消費行動の変化なども、さまざまな社会制度やしくみの組織化にともなう「意図せざる結果」として描くことができるのではないか、というものである。これは、現在起こっている社会変動の一面を捉えるだけでなく、多くの社会理論が指摘している傾向性をまとめあげ、現代社会が直面している大きな社会変動の意味を見通す成果になりうると考える。