著者
倉田 祥一朗
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.389-395, 2005-05-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
53
被引用文献数
1

自然免疫は, 遺伝子の再編成に依存せずに多様な病原体を認識し, 感染防御反応を誘導する。ショウジョウバエの感染防御に働く Toll 受容体の哺乳動物ホモログとして, Toll 様受容体 (TLR) ファミリーが同定され, TLRファミリーが, 様々な細菌およびウイルス構成成分を認識することが明らかとなった。ところが, ショウジョウバエのToll 受容体は病原体の認識には関わらず, 病原体を認識する受容体は同定されていなかった。近年, ショウジョウバエの遺伝学的スクリーニングから, 細菌を認識する受容体としてペプチドグリカン認識タンパク質 (PGRP) ファミリーが同定された。PGRPファミリーには, ペプチドグリカンの細菌種による構造上の違いを識別し, 下流のシグナル伝達系を活性化する分子と, ペプチドグリカンを分解する分子とが存在する。ショウジョウバエ自然免疫におけるPGRPファミリーの役割を概説すると共に, 哺乳動物ホモログの機能を推察する。
著者
小池 拓矢 鈴木 祥平 高橋 環太郎 倉田 陽平
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2016年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100082, 2016 (Released:2016-11-09)

1. はじめに スマートフォンの普及にともない、携帯端末で利用する、実空間と連動したさまざまなサービスが登場している。観光分野においては、位置情報を活用したサービスが観光客の行動に影響を与えるだけでなく、観光振興のツールとしても活用されている。そのなかでも本研究では、世界規模で行われている位置情報を利用したゲーム(以下、位置ゲーム)に着目した。 世界規模で行われている位置ゲームの例として、現実空間で宝探しを行う「ジオキャッシング」がある。ある参加者が設置した宝箱を他の参加者がスマートフォンやGPS受信機を片手に探し回るものであり、2016年7月現在、世界には約290万個の宝箱が存在している。また、Niantic Labsが開発・運営する「Ingress」は全世界規模で行われる陣取りゲームであり、この位置ゲームを介して企業のプロモーションや自治体の観光振興が行われている例もある。そして2016年7月、位置ゲームにAR(Augmented Reality: 拡張現実)と人気キャラクター「ポケモン」の要素を加えたアプリゲームである「Pokemon GO」が全世界で順次配信された。このゲームの最大の特徴はスマートフォンのカメラ越しの風景に、ポケモンがあたかも現実空間に存在するかのように出現することである。配信直後からPokemon GOで遊んでいる写真などがSNSに数多くアップされ、メディアでは社会現象として連日このゲームの話題が取り扱われた。 倉田(2012)はジオキャッシングやスタンプラリーのようなフィールドゲームを観光地が実施する意義について、以下の5点を挙げている。 地域の有する観光資源を認知してもらう機会が増える観光資源に付加価値を与えることができる観光客の再訪が期待できる滞在時間の増加が期待できる旅行者が地元の人と言葉を交わすきっかけを生み出せるかもしれない つまり、本来は目を向けられることもないスポットに人々を誘引する可能性を位置ゲームは含んでいる。本研究の目的は、Twitterの位置情報付きツイートをもとに、Pokemon GOの観光利用の可能性について基礎的な知見を得ることである。 2. 研究方法 Pokémon GOの配信がアメリカなどで始まった2016年7月6日以降、Twitterの投稿内容に「Pokemon GO」の文字列が含まれる位置情報付きツイートを、TwitterAPIを用いて収集した。そして、ツイートが行われた位置やその内容について整理し、分析を行った。日本では7月22日に配信が始まっており、「ポケモンGO」の文字列を含むツイートについても分析の対象とした。  3. 研究結果 日本でPokemon GOの配信が開始された7月22日(金)から24日(日)までに日本国内で投稿された位置情報付きツイートのうち、上記の条件を満たすものの分布に関する図を作成した。これによると、Pokemon GOに関するツイートの投稿地点は全国に広がって分布していることがわかった。
著者
高橋 仁大 前田 明 西薗 秀嗣 倉田 博
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.61-69, 2006 (Released:2008-01-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2 1

Tennis has a peculiar scoring system. The purpose of this study was clarify the importance of counting one game in tennis matches by studying data from actual games, comprising 42 men's singles matches (907 games) during the Kyushu collegiate tennis championships held in 1997 and 1998. The main criterion for the analysis was the relationship between point-winning at each score and game-winning. It was found that (1) the rate of point-winning by game-winning players was 67.0%, and that the rate of point-winning by opponents was 33.0%. The game-winning players obtained 2/3 of all points. Furthermore (2), the rate of point-winning by players with a leading score was comparatively high at the time of either leading, such as in an up count or a down count, as well as when there was a difference in points at game-point. In particular, the rate of point-winning by game-winning players was significantly high on 0-15 and 15-30. (3) At scores of 30-30 and deuce (i.e. even count), the rate of point-winning by game-winning players was significantly high. These scores led an even count to game-point. These scores also showed a high frequency, and were the key to winning the game. These results suggest that scores of 30-30 and deuce are keys to game-winning, when gaining one point can lead to victory.
著者
倉田 量介
出版者
獨協大学国際教養学部言語文化学科
雑誌
マテシス・ウニウェルサリス (ISSN:13452770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-27, 2015-11

Summary:This paper reconsiders a history of "Taishu Engeki (Japanese vaudeville)" commercialized at the inside of common people's daily life. From the point of view of an acquisition of a skill, I have analyzed a formation mechanism of personal art of the highest rank. The impression for an audience to an excellent performance resembles the moment of "Ichigo Ichie (one time, one meeting)." But, the skill of a body technique which brings an agreeable impression to people is included in a range of the "tacit knowledge," and therefore it matures during an extended period while piling up learning and sudden comprehension through a large number of successive rehearsals. It is proved that there is no contradiction in such a process. In a rehearsal of each troupe of "Taishu Engeki," the learning method of a personal performance called "kuchidate iteaching by talking)," a kind of "wazagengo (craft language)," has been traditionally adopted. Free acting mprovisation becomes possible by mastering details of a skill useful for a body control immediately according to any circumstances. There we can see a possibility of the popular folk culture contrasting with the mass culture.
著者
倉田善八 著
出版者
浅野幸造
巻号頁・発行日
1878
著者
倉田 あゆ子
出版者
名古屋短期大学
雑誌
名古屋短期大学研究紀要 = BULLETIN OF NAGOYA COLLEGE (ISSN:0286777X)
巻号頁・発行日
no.55, pp.1-12, 2017-03-31

家族介護者支援が制度化されていない日本において、家族介護者支援に関する公的なサービスを探すと、それは介護保険法における「地域支援事業」の中の任意事業の1つである「家族介護支援」である。本論文では、まず日本における家族介護者の現状と家族介護者支援の必要性についてまとめ、介護保険制度成立以前の家族介護者支援と介護保険制度における家族介護者支援の変遷をたどり、今後の家族介護者支援について考察している。地域支援事業による家族介護者支援は、内容的には介護保険制度成立以前の特別対策からの流れをくみながら、現在の介護保険法における地域支援事業の中の任意事業の1つ「家族介護支援事業」として行われてきており、その実施は現在に至るまで「介護用品の支給」を除けば低率の状態が続いている。そもそも介護保険法は要介護者を主対象とした制度であり、介護者支援の先進国の「介護者法」のように家族介護者を主対象とする法制度が必要であり、家族介護者の生活をトータルで支援するための視点からの制度構築が求められている。
著者
倉田 道夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.26-29,43, 1983-01-01 (Released:2011-10-11)
参考文献数
28
著者
寺田 真敏 永井 康彦 倉田 盛彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CSEC, [コンピュータセキュリティ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.68, pp.89-96, 2002-07-18
参考文献数
4

マルウェアの流布を含む不正アクセス活動は活発化しており、また、その被害も広範囲かつ多岐に渡るようになってきている。特に情報システムがWebサービス主体に構成されているイントラネットにおいては、Webサービスを対象とするワームの流布に伴う影響は甚大となる。本稿では、Webサービスを対象とするワームを抑止し、Webサービスの稼動継続性を確保するWebマッパ(Webサービスポート/ホストマッピングシステム)について述べる。Webマッパの特徴は、Webサーバ上のポート切替コンポーネントがWebサービスのポート番号を代替ポート番号にシフトさせることでワームの流布を抑止し、プロキシサーバ上のポート/ホスト変換コンポーネントが代替ポート番号へのシフトに伴うURL変更を隠蔽することでWebサービスの稼動継続性を確保することにある。
著者
倉田百三 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1926
著者
倉田 稔
出版者
小樽商科大学
雑誌
小樽商科大学人文研究 (ISSN:0482458X)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.47-66, 1997-08-31
著者
倉田 稔
出版者
小樽商科大学
雑誌
小樽商科大学人文研究 (ISSN:0482458X)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.119-149, 1989-03-31
著者
倉田 稔
出版者
小樽商科大学
雑誌
小樽商科大学人文研究 (ISSN:0482458X)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.13-35, 1996-08
著者
岡田 隆三 小寺 志保 富岡 昭浩 倉田 成人 濱本 卓司 猿渡 俊介
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.229-230, 2016-03-10

軍艦島は,長崎県にある無人島であり,現在も経年劣化による建物の複雑な崩壊現象が発生している.筆者らは,軍艦島において崩壊中の建物の映像や音声,加速度といったデータを収集することで,建築構造解析に貢献することを目指して軍艦島モニタリングプロジェクトを進めている.本稿では,軍艦島モニタリングのためのセンサネットワークインフラシステムを検討する.軍艦島には電力も通信網も存在しないため,センサネットワークインフラシステムは,基地局まで確実にデータを送信できること,スループットが高いこと,消費電力をできるだけ小さくすることの3点を同時に満たす必要がある.本稿では,マルチチャネルを用いたデータ集約型ネットワークインフラを提案する.初期的実装として,無線通信モジュールを搭載したマイコンボードを用いてシステムを作成した.
著者
青木 佳壽子 宮崎 悦子 木戸 友幸 畑 直成 羽間 収治 藤田 周一郎 倉田 明彦
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.173-177, 1990

症例: 74才男性, 1983年より高血圧症, 虚血性心疾患, 肺気腫などで当内科にて経過観察中の患者で, 当初より肝管, 総胆管の拡張あり, 胆嚢腫大も認められた. 1986年には糖尿病発症(NIDDM)をみた. 1987年6月10日ころより執ような下痢が起こり, 7月9日精査治療目的で入院す. 体重9kg減少し, 黄疸(-), 肝鎖骨中線上3横指触知, Courvoisier徴候(+), アミラーゼ414U/L(P: 368, S: 45), CEA: 9.1, CA-19-9:32U/ml, 7月22日ERCP; 膵胆管合流異常, 8月末黄疸出現, PTCD施行, 造影にて完全閉塞を認む. 腹部血管造影施行, 胃十二指腸, 胃腸間膜動脈への浸潤像あり. 静脈リンパ系への浸潤も当然あると考えられ, そのための下痢と判明す. PTCD胆汁細胞診にて乳頭状腺癌検出をみ, 頻度及び造影所見より総胆管癌を疑つた. 2月26日死亡す. 剖検にて中等度分化型膵頭部管状腺癌で, 膵周囲, 総胆管, 肝外胆管及び周囲リンパ節, 胆嚢, 上, 下腸間膜動静脈, 門脈に浸潤転移を認めた.
著者
南 友紀子 岩瀬 梓 宮田 洋輔 石田 栄美 上田 修一 倉田 敬子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.163-180, 2016

<p>本研究では,van Deursen らの「デジタルスキル」を基礎に,従来の情報検索の専門的なスキルを組み込んだウェブ環境における情報検索スキルの現状を明らかにすることを目的とする質問紙調査を行った。2014 年8 月にオンライン調査を実施し,1,551 名から回答を得た。その結果,ウェブ環境で検索を行う人々は,(1)ブール演算子などの高度な情報検索技法は用いない,(2)ウェブ上の情報の形式は理解している,(3)検索語の選定に対する意識は高い,(4)一定の評価方針のもとに複数の検索結果を閲覧する,(5)インターネットから恩恵を受けていると感じている,ことが明らかになった。階層的クラスタリングにより回答者を8 クラスタに分割し,高い情報検索スキルを持つクラスタを特定した。この高能力者群は,比較的若く,男性が多く,学歴が高く,批判的思考能力と自己認識が高かった。高能力者群は全てのスキルの平均得点が最も高いが,検索技法に関するスキルのみ得点は大幅に低かった。</p>