著者
山根 一美 井上 祐子 倉田 節子 小河 育恵 岡 須美恵
出版者
ヒューマンケア研究学会
雑誌
ヒューマンケア研究学会誌 (ISSN:21872813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.79-83, 2013

中堅看護師は、専門的知識・技術に裏付けされた看護が実践できる自律した看護実践者であり、かつ看護組織において、看護実践以外にも後輩や学生の教育、リーダー業務や委員会活動など中心的役割を担う者として期待されている。しかし、日常業務に追われ、自己のキャリアを十分に発揮できず、役割が遂行できないという実情に苦悩している。先行研究では、役割の曖昧さがストレスとして離職の要因となったり、今の職位のまま仕事の続行を希望する中堅看護師が約90%あるとの報告があった。また、中堅看護師に対する支援として、上司からの承認やワーク・ライフ・バランスを考慮した組織的な支援体制の構築が重要との報告があった。一方、中間看護管理者は役割の変化に伴い、役割葛藤・困難さを自覚しており、中間看護管理者への支援に管理者研修、メンターの配置、組織的な教育体制などが重要と指摘されていた。このようにそれぞれの支援に関する研究は多数存在するが、中堅看護師から中間看護管理者に役割移行時の支援に焦点を当てた研究は見当たらない。そこで本研究は、中堅看護師から中間看護管理者への役割移行に必要な支援を検討するために、文献から中堅看護師と中間看護管理者のとらえる役割、役割遂行上の困難、および求める支援を明らかにすることを目的とした。
著者
倉田 稔
出版者
小樽商科大学
雑誌
商学討究 (ISSN:04748638)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.17-51, 2007-03-30
著者
倉田 めば
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.198-214, 2020

<p>本稿の目的は,当事者である筆者の体験と活動をとおして,回復という現象の特徴を記述し,現在の薬物政策や薬物依存者処遇が,それまでに蓄積してきた当事者活動の豊穣さを簒奪し,一義的な意味に還元する事態について論じることである.すでに逸脱を社会的な視点から考える時代は過ぎ,こんにち薬物依存は自己責任の問題となった.しかし当事者はそれ以前から支援活動を行い,それは時代の変化を超えて存在し続けている.その一つであるダルクは,こんにちの社会からみたら逸脱的な支援を,すでに四半世紀にわたって続けてきた.その重要な考え方は「薬物を使う自由と使わない自由」が本人にゆだねられているということであり,そのことによって実現されるのは「回復の集約とその後の拡散」と表現できるものである.一方,近年の法改正や行政機関の薬物再乱用防止プログラムの実施は,薬物問題への取り組みとして望ましいものとされ,専門家らを巻き込みながら推進されている.しかしながら,それらによって回復という言葉は当初の輝きを失い,当事者活動本来の豊穣さが覆い隠されつつある.</p>
著者
石井 智恵美 鈴木 敦子 倉田 元子 表 美守
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.984-987, 1990-12-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
22
被引用文献数
2

アントシアニン色素の熱安定性を明らかにするため,ナス果皮の凍結真空乾燥粉末およびこの粉末より0.1%塩酸-メタノールで抽出した粗色素液を用いて検討した.色素抽出液のアントシアニンの熱分解は50℃と60℃で,また凍結乾燥粉末のそれは100℃, 120℃で行い,経時的なアントシアニンの残存率を測定した.得られた結果はアントシアニンの分解の速度論的データ(k, 4△G≠, Ea, △艾H≠, △S≠)を用いて示した.1) 0.1%塩酸-メタノール液中の総アントシアニンの褪色は,熱安定性を検討する上で変化が明確であり再現性も良い.特にナスニンは光の影響を受けにくかった.2) 凍結真空乾燥粉末を用いた場合は, 100℃, 120℃加熱とも60分までは総アントシアニン残存率,反応速度とも大きな変化が見られなかった.加熱時間が120分になると, 120℃加熱において速やかなナスニンの分解が観察された.
著者
内山 寛信 村上 佳広 丸尾 和広 倉田 純一
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.111, pp.65-72, 2006
参考文献数
17

大気汚染物質の削減のため,NOx,CO,CO_2などの排出ガス濃度の低減化が小熱量の燃焼装置においても急務である.その対策として,多炎孔バーナ方式の予混合燃焼装置が有望視され,家庭・業務用の温水ボイラなどに採用されている.しかし,多炎孔バーナ方式のボイラでは,高レベルの燃焼振動騒音が発生するため,騒音の抑制策を確立する必要がある.本報告では,缶体系の共鳴周波数に類似する燃焼振動の周波数を,付加する励振信号の周波数に同期化させる引込み現象を用いて,騒音の抑制策を提案する.その結果,燃焼振動騒音は励振信号の付加によって約30dB低減し,抑制策の効果は極めて大きいことがわかった.
著者
倉田 稔
出版者
小樽商科大学
雑誌
商学討究 (ISSN:04748638)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.173-194, 2000-07

研究ノート
著者
岡本 洋子 土屋 房江 前田 ひろみ 三谷 璋子 三好 康之 吉永 美和子 井川 佳子 大下 市子 奥田 弘枝 奥山 清美 上村 芳枝 亀井 文 倉田 美恵 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.160, 2005

<br>【目的】日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:魚介類」の一環として、広島県において調査を行った。今回は、あなご、かき、まだこ(食品成分表の食品番号10015:10292:10361)の利用実態について調べることを目的とした。<BR>【方法】広島県内の14地域で、質問紙調査を実施した。14地域を島嶼部、都市沿岸部、都市内陸部、中国山地に4区分した。調査項目は、魚介類の種類、入手方法、手作り・購入、調理法、日常食・行事食度等である。調査対象者は20歳代から70歳代の171名である。調査時期は2003年10月_から_2004年2月。<BR>【結果】(1) 記載魚介類は212種類(食品成分表)、総記載料理数は4,684であった。(2) 調査者数に対するあなごの出現比率では、島嶼部83.5%、都市沿岸部80.6%、都市内陸部45.9%、中国山地18.8%であった。調理法では、焼き物と飯料理が多くみられ、照り焼き、ちらしずし、あなご飯、巻きずし、刺身(島嶼部)、雑煮、茶碗蒸し等に調理された。(3) かきの出現比率では、島嶼部63.1%、都市沿岸部91.2%、都市内陸部89.5%、中国山地73.0%であった。調理法では、4地域いずれにおいても、フライ、鍋物、酢がきが多くみられた。殻付き素焼きやグラタン料理もみられた。(4) まだこの出現比率では、島嶼部69.9%、都市沿岸部63.1%、都市内陸部36.3%、中国山地75.3%であった。調理法では、4地域いずれにおいてもなま物(刺身、酢の物)や茹で物(ゆでだこ、ぬた)が多くみられ、揚げ物(島嶼部ではたこ天)、たこの煮物やたこ飯(都市沿岸部)、にぎり寿司、たこ焼き等に調理された。
著者
須長 史生 小倉 浩 正木 啓子 倉田 知光 堀川 浩之
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.396-421, 2020

本研究は,2016年度から2018年度の3か年にわたって実施した「インターネットを活用したセクシュアル・マイノリティに関する学生の意識調査」の2018年度分実施内容に関する結果の報告である.すなわち,本論文は「セクシュアル・マイノリティに対する大学生の意識と態度:第1報」(須長他[2016])および「性的マイノリティに対する大学生の意識と態度:第2報」(須長他[2017])の続編であるとともに,特に3か年分の調査結果を俯瞰してこれまでに得られた知見をまとめたものである.本研究の目的は18歳から20代前半の男女の,性的マイノリティに対する意識や態度を明らかにすることである.調査対象は2016年度,2017年度と同様に,首都圏の医療系A大学一年生とした.3回目の調査である2018年度においては,在籍学生数598名に対して,453名(男子136名,女子315名,その他2名)からの回答が回収され,回収率は75.8%であった.プライバシーの確保と回収率の向上のために,前2回の調査と同様インターネットを活用し,スマートフォンを用いたアンケートに回答する方法で調査を実施した.アンケート回答の集計結果から得られた,主要な知見を列挙する.①性的マイノリティに関する正しい知識を有している割合は2017年度と比較して向上した.②性的マイノリティに関する正しい知識を身に付けたいと考える学生の割合は3か年を通じて増加している.③身近に存在する同性愛者(同じ大学の人,きょうだい)に対する嫌悪感は3か年を通じで漸減傾向にある.本報告では,上記の単純集計から得られる知見以外に,3か年分の回答に対して実施した主成分分析の結果から,性的マイノリティに対する意識や態度における特徴的な応答を抽出し,学生像の把握を試みた.また,戸籍上の性別と性的マイノリティに対する意識や態度に何らかの相関があるかという問いに対しても,統計的な解析を実施した.これらの結果も併せて報告する.
著者
倉田 陽平 相 尚寿 真田 風 池田 拓生
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.459-460, 2015-03-17

Flickr等の写真共有サイトに投稿された旅行写真データは,観光行動分析や観光情報ツールの基盤として頻用されている.このような活用例が信頼に足るものであるためには,その前提として,各写真のタイムスタンプやジオタグが精確でなければならない.しかし我々の調査によれば,Flickr上の写真の2.7%に昼夜逆転レベルの大幅なタイムスタンプの誤りが見られた.そこで本研究では,タイムスタンプの誤差をもたらす要因について整理し,これをふまえて投稿写真群のタイムスタンプの信頼性を向上させる手法を開発した.本手法では,①カメラ内蔵時計およびGPSで計測されたタイムスタンプの相互比較,および②時間帯別投稿頻度を元にしたタイムゾーン設定の推定により,タイムスタンプを補正できるものは補正し,信頼度が低く補正も施しようのない写真についてはデータから排除する.これにより,昼夜逆転レベルの写真の割合を0.05%にまで減少させることができた
著者
倉田 茂昭 二瓶 智太郎 楳本 貢三
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.466-470, 2005
参考文献数
11
被引用文献数
2

銀を抗菌性物質としてもつモノマーであるメタクリル酸銀(MAg)を用い, 抗菌性歯科用レジンの可能性を試みた.すなわち, MAgのメタクリル酸メチル(MMA)に対する溶解性を調べ, 次にMAgを含有するMMAの重合体を調製し, 重合体の圧縮および曲げ強さ, ならびに重合体から水に溶出する銀の溶出量を評価した.その結果, MAgはMMAに84μmol/l溶解し, その濃度は抗菌性を発現できる範囲内であった.MAg含有重合体は, 無色透明であり審美的にも問題はなかった.重合体の圧縮および曲げ強さはPMMAと有意差は認められず, 重合体からの銀の溶出も少なく抗菌性歯科用レジンとして期待できた.