著者
内藤 哲雄
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.p53-60, 1986-11

言語障害者は、障害自体だけでなく、障害に対する他者の反応を意識することにより、障害が重くなったり、パーソナリティや対人行動に問題を生じやすい。こうした影響は、自我意識が昂揚し、自己や社会への関心がめはえる青年期においてはとくに問題となる。このような特徴をもつ言語障害者に対しては集団心理療法が有効であるが、中学・高校の教育現場の実情から、症状や発生機序別に同質集団を構成することは困難である。また異質な集団であっても、軽度な言語障害の場合かなりの効果が予測できる。このような背景から、本研究では、中学生や高校生で異質な症状や発生機序をもつ、比較的軽度な言語障害者集団を対象として、集団心理療法の効果を検討することが目的とされた。治療は2泊3日の合宿方式とし、対話法、レクリェーション活動、役割活動などの複数の療法を採用した。それらの効果は、レクリェーションでのエピソード、ミーティングでの発言、係活動に関する自己評定、対人行動の自己評定などによって分析された。治療効果は心因性の障害において著明であったが、軽度な障害者を対象としたことによろうが、多彩な言語障害のいずれにも有効であることが確認された。
著者
小田 利彦 今井 紘 内藤 丈嗣 竹林 一
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

IoTデバイスから集まるセンシングデータに基づくアプリケーションを開発するデータ利用者に対して、センシングデータ流通市場に対するニーズが高まりつつある。データ利用者に対しては、AIなどのデータ分析を行うために、センシングデータのみならず、そのメタデータも重要な情報である。我々は、センシングデータのメタデータの定義、生成・配信し、データ利用者が活用に関する課題を検討するとともに、Iotシステム上にプロトタイプを作成して評価した。
著者
奈良岡 聰智 小林 和幸 笹部 剛史 萩原 淳 小宮 京 大石 眞 赤坂 幸一 村井 良太 大山 礼子 葦名 ふみ 内藤 一成 伊東 かおり 原口 大輔
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、衆参両院事務局などが所蔵する膨大な未公開資料群の本格的活用を通して、近現代日本の政治史を「議会政治」という観点から再検討した。具体的な成果は、以下の3点に要約される。①「議会政治」の展開過程、議会事務局・議会官僚の役割を多面的に検証した。②新出史料「河井弥八日記」を翻刻出版した。③イギリスの制度を参照しつつ、議会関係資料の保存・公開体制のあり方について検討を行った。
著者
大嶋 弘子 内藤 俊夫 久木野 純子 福田 友紀子 坂本 直治 三橋 和則 武田 直人 奥村 徹 礒沼 弘 渡邉 一功 林田 康男
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.167-173, 2005-06-30
参考文献数
18
被引用文献数
1

目的:特定の診療科を決めかねる病態として不明熱がある.順天堂大学医学部附属順天堂医院総合診療科を初診し入院を要した不明熱患者215症例について,今後の診断の参考とするためその特徴を解析し検討した.対象および方法:1994年10月から2004年8月までに当科を初診し,入院治療が必要となった成人の原因不明の発熱患者215名について検討した.対象患者の発熱の原因を疾患別に分類し検討した.また,65歳以上の高齢者と65歳未満の非高齢者での原因疾患について比較を行った.結果:原因疾患として,感染症が102名(47.4%),非感染性炎症性疾患が40名(18.6%),悪性疾患が14名(6.5%),その他の疾患が21名(9.8%),原因不明が38名(17.7%)であった.頻度の高かった伝染性単核球症・髄膜炎・深部膿瘍・感染性心内膜炎の中で,初診時の平均年齢は深部膿瘍で有意に高く,平均体温は伝染性単核症で有意に低かった.65歳以上の高齢者では65歳未満の患者に比較し,感染症を原因とする不明熱の割合が低く,原因不明の症例が多かった.85歳以上の超高齢者も7名含まれた.考察:不明熱の原因の約半数は感染症であった.特に,伝染性単核球症・感染性心内膜炎・深部膿瘍・髄膜炎の頻度が高く注意が必要である.HIV関連不明熱・麻疹・風疹の患者も比較的多く認められた.悪性腫瘍は多岐に渡ったが,画像検査の普及や進歩のため不明熱の原因となることは少なくなっており,過去の報告に比べ割合が低下していた.7症例は診断確定までに60日以上を要しており,周期的な発熱のみを症状とし,診断の手掛かりが得られ難かった症例であった.この中で死亡後に病理解剖により原疾患が判明した患者が2名おり,共に悪性リンパ腫と診断された.不明熱患者の診断には,感染症を中心とした多疾患にわたる知識が必要であると考えられた.
著者
内藤 晶 西村 勝之 川村 出
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

カルシトニンはアルツハイマー病に見られるアミロイド繊維を形成するアミロイド形成タンパク質と認識されている。このカルシトニンの線維形成現象を解明するため、固体高分解能NMRの手法を用いて線維形成と反応速度、線維の二次構造決定を行い、線維形成の分子機構を明らかにする研究を行った。さらに、細胞内の条件に近づけるため、脂質二分子膜の存在下で起こる線維形成の分子機構を明らかにする研究を行った。ヒトカルシトニンに関して、繊維成長の経時変化からこの線維形成は線維核形成と線維伸長の2段階自己触媒反応機構により形成することが判明した。この線維形成機構で生じる中間体は球状の形状をもち、線維に転移することが電子顕微鏡により観測された。ヒトカルシトニンのF16L, F19L変異体については繊維伸長速度が遅くなったので、芳香族アミノ酸であるPhe-16, Phe-19が線維成長に重要な役割をしていることが判明した。アミロイド線維形成阻害物質について検討したところ、電荷をもつアミノ酸は繊維核形成阻害効果のあることが判明した。またポリフェノールのクノクミンを加えると繊維がまったく形成されなかったので、大きな阻害効果のあることが判明した。グルカゴンについては脂質二分子膜の存在下で線維形成を行ったところ、水溶液中で形成する線維はN-端側とC-端側がβ-sheet構造を形成するのに対し、脂質二分子膜存在下ではN-端はα-helixを形成したままであることが分かった。また、脂質二分子膜存在下では水溶液中に比べて核形成速度は速くなり、線維成長速度は遅くなることが分かった。グルカゴンは脂質膜に結合して濃縮されるので、線維核形成は速くなると考察できる。
著者
内藤彦一 著
出版者
松屋呉服店
巻号頁・発行日
1909
著者
内藤, 若狭
出版者
巻号頁・発行日
vol.[556],
著者
内藤, 若狭
出版者
巻号頁・発行日
vol.[534],

2 0 0 0 OA 形容詞論

著者
内藤 正子
出版者
日本中国語学会
雑誌
中国語学 (ISSN:05780969)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.243, pp.134-143, 1996-10-25 (Released:2010-03-19)
参考文献数
22

The adjectives of the Chinese language have usually been classified as verbs by Western grammatical studies. The term“stative verb, ”used originally in nineteenth century grammars of Hebrew and regularly employed in descriptions of Chinese, has a different use from“statal verb”or“status verb”as it has come to be employed in English grammar. It is defined for Chinese as a verb that describes a state of being, corresponding generally to the English be plus an adjective or adjectival.This terminology expresses clearly the verbal function of the predicate adjective and is certainly an effective pedagogical device. However, there remain several significant issues that require further discussion; (1) the Chinese copula shi differs from the English be in both its properties and functions, (2) the predicate adjective of the form Adj. +de and a form such as hen+Adj. must be kept distinct both syntactically and semantically, and (3) the attributive adjective, unlike the verb, is able to modify a noun both with or without the use of de. This paper attempts to clarify these various issues and to offer a useful framework for the description of the adjectival category of Chinese grammar.
著者
内藤 哲雄
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.129-140, 1994

本研究では, 内藤 (1993a) によって開発されたPAC分析の技法を利用することで, 性の欲求や衝動の解発刺激, 欲求の生起にともなう生理的・身体的反応, 心理的反応, 異性や同性への対人行動に関する全体的・統合的な態度 (イメージ) 構造を, 個人別に分析することを試みた。<BR>被験者は, 実験者とは初対面の女性で, 専門職職業人1名, 大学生3名であった。また, いずれも未婚で, 交際中の異性と性行為の経験をもっていた。<BR>被験者Aの事例では, 恋人への依存欲求と自立への欲求間の葛藤が, 恋愛感情と身体的な性の衝動や反応を分離させるシンデレラ・コンプレックスを示唆する構造が析出された。また, 構造解釈を通じて被験者自身が気づくという現象が見いだされた。<BR>被験者Bの事例では, 強い正の報酬価をもつ性行為と性欲求の解発刺激として焦点化した恋人を独占的に占有しようとする欲求とが, 相互に循環的に補強し合う機制が成立していると考えられた。<BR>被験者Cの事例は, 性欲求へのマイナスイメージが父親やマスコミからの隠されたメッセージとして伝達され内面化され, 愛する父親や恋人への両価感情を生じ, さらには恋人の要求に流されて性行為を行う自己自身へのマイナス感情を生じているとみなせるものであった。<BR>最後の被験者Dの場合には, 友愛が恋愛へと変わり, 破局の危機を修復する手段として性行為が生じる。しかし関係が回復されると, 結婚と性行為に関する信念により再び前段階に押し戻してしまう。強固な規範意識によって進展段階を後戻りしながらも, 恋愛関係が壊れない事例として注目されるものであった。<BR>以上の成果を踏まえて, 性の欲求や行動を個人別に構造分析することの意義を検討するとともに, こうした目的にPAC分析を活用できることが明らかにされた。<BR>最後に今後の課題として, 男性についても検討するとともに, 恋愛行動の進展段階と対応させたり, 性障害の診断や治療効果測定などへの応用可能性を探っていくことがあげられた。
著者
進士 誠一 田尻 孝 宮下 正夫 古川 清憲 高崎 秀明 源河 敦史 佐々木 順平 田中 宣威 内藤 善哉
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.815-819, 2003-07-31 (Released:2010-09-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

症例は61歳男性. 1995年8月に十二指腸潰瘍穿孔のため上腹部正中切開開腹下に幽門側胃切除術施行. 1996年5月頃より手術瘢痕部に直径約10cmの半球状に膨隆する腹壁瘢痕ヘルニアを生じ, 近医でフォローアップされていた. 2002年9月4日排便時に腹壁破裂を生じ, 救急外来受診. 小腸脱出を伴った腹壁破裂と診断され緊急手術となる. 腹壁破裂創は約10×20cmで, 脱出した腸管の色調は良好であった. 腹腔内の感染が危惧されたため, 腹腔内を洗浄後, 腸管を腹腔内に戻し, 一時的に皮膚一層のみを縫合した. 術後感染を合併せず順調に回復. 術後26日目の9月30日に待期的に腹壁形成術を行った. 腹直筋前鞘と後鞘はメッシュを用いて補強した. 腹壁瘢痕ヘルニアは腹部手術における比較的多い術後合併症であるが, 破裂に至る症例はまれである. 今回, 腹壁破裂を生じ二期的手術により治療し得た1症例を経験した.