著者
山﨑 哲 内藤 澄悦 静 怜子 家子 正裕
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.636-643, 2016 (Released:2016-12-15)
参考文献数
4
被引用文献数
9 1

要約:凝固検査は標準化が遅れている分野であり,とりわけ活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)測定には多くの診断目的が求められることから測定試薬の多様性が認められる.また,ループスアンチコアグラントの検査法である希釈ラッセル蛇毒時間(dRVVT)測定では,従来1 試薬のみが広く使用されてきたが,現在は複数の試薬選択が可能となっている.こうした背景から,APTT およびdRVVT に関する標準化策を模索すべく検討が行われてきた.APTT については,直接的な標準化が難しいと判断されたため,試薬特性を評価/表現する方法の確立を目指し,dRVVT については,試薬差や機種差を是正する方法の確立と,それらに基づいた共通の健常人上限値の設定を目的とした.何れもある程度の成果が期待できる成績が得られており,今後,多くの検証,追加検討により標準化へと進展することが期待される.
著者
幸塚 嘉一 内藤 博江 堀川 惺子
出版者
関西医科大学医学会
雑誌
関西医科大学雑誌 (ISSN:00228400)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-8, 1960-03-20 (Released:2013-02-19)
参考文献数
20

1) It is demonstrated that the peripheral cut end of the medullary bull-frog's trigeminal nerve is stimulated by means of Kotsuka's “glycerine spot method” intracranially, there follows a pupillary constriction on the isolateral eye.Therefore, it is evidenced that there exist efferent pupilloconstricting fibers in the trigeminal nerve.2) Pupillary dilation is observed on the atropinized eye when the peripheral cut end of the trigeminal nerve is stimulated intracranially with “glycerine spot method” as in 1).Thus, it is demonstrated that there exist efferent pupillodilating fibers in the trigeminal nerve besides the above evidenced efferent pupilloconstricting fibers.3) It is revealed that efferent trigeminal pupilloconstricting fibers dominate over efferent trigeminal pupillodilating fibers of a non-atropinized eye.4) The results of 1) and 2) support to consider that the iris musculature of bull-frogs is governed by “efferent trigeminal double innervation”.5) The above experimental results are presented to disapprove Langley's law of double innervation of the centrifugal autonomic nerves on the iris.
著者
山田 孝良 立松 憲親 内藤 清 鈴木 健夫
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.117-124, 1966 (Released:2010-10-27)
参考文献数
21

Significance of changes in the teeth especially Hutchinson and Fournier teeth among student of schools for the blind and deaf was reported from our Department about 10 years ago. In order to assess the recent situation, 124 students were examined in a school for the blind concerning the intraoral state from an odontological point of view.Abnormalities in the development and morphology of the teeth, degree of carious state, pyorrhea, state of the cleaning of the oral cavity, presence of deposition around the teeth, and relationship with diseases of the eye were investigated. No difference was found between students in the school for the blind and other healthy subjects concerning the degree of carious state, alveolar pyorrhea, state of the cleaning of the oral cavity, and deposition around the teeth. In 4 students Hutchinson and Fournier teeth were noted simultaneously, while Hutchinson teeth alone were noted in 1 and Fournier teeth alone were seen in 8. Among those, congenital complete or almost complete blindness was seen in 8 and acquired complete or almost complete blindness was seen in 5, indicating a pronounced decrease as compared with the result of 10 years ago.
著者
狩野 敦 内藤 雅拓
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物工場学会誌 (ISSN:09186638)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.137-142, 2001-06-01 (Released:2011-03-02)
参考文献数
6

本研究において製作したチャンバを用いて光合成速度が小さいコチョウランのCO2吸収速度の日変化を明確に測定することができた.暗期の気温を25℃とし,明期の気温を20,25,30℃とした場合,明期の気温が低いほど明期のCO2,吸収速度は大きくなったが,暗期のCO2吸収速度に差はなかった.一方,明期の気温を25℃として暗期の気温を20,25,30℃とした時のコチョウランのCO2吸収速度は,明期においては暗期の気温に関わらず処理間に差は認められなかったが,暗期においては気温が低いほど大きく推移した.これらの結果の原因について生理学的な検討を試みた.CO2吸収速度が20℃で最大であったのに対して,成長速度が一般に,より高温域に適温を持つといわれていることについて考察を試みた.本研究によって,コチョウランのCO2吸収パターンに詳細な検討が可能になったと考えられるが,さらなる理解のためには考察中に述べたような生理プロセス方面からの研究も必要だと考える.
著者
秦 美沙 萬代 新太郎 森 崇寧 太田 潤 吉嶺 朝陽 安藤 史顕 須佐 紘一郎 飯盛 聡一郎 磯部 清志 内藤 省太郎 蘇原 映誠 賴 建光 岡戸 丈和 内田 信一
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.689-696, 2021 (Released:2021-12-28)
参考文献数
15

経口さらには静注投与可能なカルシミメティクスの登場によって慢性腎臓病に伴う二次性副甲状腺機能低下症の治療戦略は近年劇的に変化した.カルシウム(Ca),リン,副甲状腺ホルモン(PTH)の指標範囲値達成率の向上や副甲状腺摘出術の回避という恩恵は極めて大きい.しかしながらわれわれは最近,エテルカルセチドの過剰投与によって高Ca血症を呈した維持血液透析患者の3例を経験した.症例はおのおの38歳男性,62歳男性,66歳女性で,いずれもintact PTH≦21 pg/mLと低回転骨が先行する中,経口ないし静注活性型ビタミンD製剤の中止後にも血清補正Ca濃度が上昇を続け12 mg/dLを超えた.低回転骨下のエテルカルセチド投与が無形成骨様の病態を惹起しCa緩衝系が破綻したことで高Ca血症をきたしたと考えられた.エテルカルセチドは腎疾患特有の骨病態を理解した上で適正使用されることが望まれ,注意喚起を兼ね報告する.
著者
清野 公宏 鈴木 郁斗 野川 雅道 五十嵐 朗 内藤 尚 小川 充洋 山越 憲一 高田 重男 田中 志信
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.55Annual, no.5PM-Abstract, pp.460, 2017 (Released:2017-09-13)

これまで我々は腎・尿路系疾患発見に重要な指標である尿成分を全自動で計測可能なトイレ内蔵型尿成分計測システムの開発を最終目的として,近赤外光を用いた尿糖計測法について基礎的検討を続けてきた.具体的には糖尿病の早期発見に有用なグルコースをメインターゲットとし,蛋白摂取量の指標である尿素,塩分摂取量の指標である塩化ナトリウム,尿中成分の排出量測定に有用なクレアチニンの4成分について,糖尿病が疑われる成人男性等から採取した尿(高尿糖随時尿)などを対象に各4成分の濃度推定を行ってきた.その結果計測波長範囲(750-2500nm)の中から各成分の感度波長を4種類選定し重回帰モデルを構築することで,実用に供し得る精度で濃度予測が可能であることを確認した.今回は実用化に向けて,多波長LEDを光源とした場合の測定精度を次のような方法で検証した.すなわちFT-IRで得た透過光強度スペクトルに対して,中心波長の重みを1,半値幅を200nmとしたガウス関数を乗じることで,LEDのブロード状の発光特性を模擬し,上述の重回帰分析を行った. その結果,グルコース,クレアチニンについてはγ=0.7前後で濃度予測精度の更なる向上を要するものの,尿素,塩化ナトリウムについてはγ>0.8以上となり,多波長LEDを光源として用いることの妥当性が確認できた.
著者
青木 宣明 植田 尚文 伴 琢也 内藤 整 葉 玉紅
出版者
農業生産技術管理学会
雑誌
農業生産技術管理学会誌 (ISSN:13410156)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.57-62, 2001-10-01 (Released:2019-04-16)
参考文献数
11

鉢植えブルーベリーにおける施肥,摘心並びに遮光処理が新梢伸長と花芽着生に及ぼす影響を調査した.1.挿し木の活着率挿し木活着率はタイプ,品種に関係なく,また休眠枝や緑枝挿しに関わらず,高かった.2.施肥量と施肥時期の影響元肥及び追肥区とも,施用量の増加に伴い花芽数が増加した.花芽着生数は緑枝挿しより休眠枝挿しにおいて,また'ノースランド'より'ティフブルー'において,多かった.なお両品種とも,8月追肥区の花芽数は最高を示した.3.摘心と遮光の影響強摘心は新梢の伸長量を減少させたが,花芽数の増加には影響しなかった.'ウッダード','ノースランド'の両品種とも遮光は新梢伸長より花芽着生への影響が顕著で,花芽数は遮効率の増大に伴って著しく減少した.品種間の比較では,ラビットアイタイプの'ウッダード'は花芽数や新梢数が多く,樹高が低く,また開張性を示すなど,"鉢花"に適している.
著者
富岡 敏彦 内藤 宙大 廣瀬 潤子 門間 敬子 成田 宏史 和泉 秀彦
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00062, (Released:2023-10-11)

鶏卵アレルギー患者において, 鶏卵と小麦粉を混捏・焼成したベイクドエッグであれば症状誘発閾値を超えて摂取できるという報告がある. また, OMは熱耐性がある水溶性タンパク質として知られているが, ベイクドエッグ中のOMは不溶化していることが明らかとなっている. 本研究では, 性状 (立体構造や溶解性) の異なるOMの消化性を明らかにすることを目的とし, 不溶化OMがアレルギー症状を誘発しにくい機序を考察した. 性状の異なるOM (精製, 加熱, 未焼成および焼成) を作製し, ペプシン, キモトリプシンおよびトリプシンにて消化処理した. その後, Lowry法, SDS-PAGEおよびイムノブロットにて解析を行った. 精製OM, 加熱OMおよび未焼成OMの水溶性タンパク質濃度は, 消化後も変化しなかった. 一方, 焼成OMの水溶性タンパク質濃度は, 消化前は低かったが, ペプシンおよびキモトリプシン消化では, 消化中にタンパク質濃度が増加した. イムノブロットの結果, 焼成OMの上清に検出されたタンパク質バンドは, タンパク質濃度が同等であるにも関わらず, 精製OM, 加熱OMおよび未焼成OMより薄く検出された. また, 焼成OMの残渣中から未分解のOMが検出された. トリプシン消化では, すべての試料において消化後の変化はみられなかった. 以上のことから, 焼成OMは, 他の試料より消化後の分解断片の抗体結合能が低下していることに加え, 残渣中にOMが残存しており, これがアレルギー症状誘発に影響を与えている可能性が考えられた.

1 0 0 0 OA 首都高速道路

著者
内藤 裕義
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会雑誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.158-162, 1965-03-25 (Released:2011-07-19)
著者
森本 晃司 桜井 進一 内藤 慶 青柳 壮志 奥井 友香 加藤 大悟 遠藤 康裕 中澤 理恵 坂本 雅昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3O1119, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツにおいて,脳震盪などの頭・頚部の外傷は時として重大な事故を引き起こすことから,安全対策上重要な問題として取り扱われる.国際ラグビー評議会の定款では,未成年のラグビープレイヤーは脳震盪を生じた場合,3週間の練習・試合を禁止するとされており,頭・頚部の外傷は頚部筋力を向上させることで予防可能との報告もある.本研究の目的は,高校生ラグビープレイヤーにおける頚部筋力と周径の関連,脳震盪と頚部筋力の関連について検討し,脳震盪予防の一助とすることである.【方法】 対象は全国大会レベルの群馬県N高校の高校生ラグビープレイヤー69名(1年生30名,2年生18名,3年生21名)とした.評価項目は経験年数,過去8カ月間の脳震盪の有無(1年生を除く),頚部周径,頚部筋力とした.頚部周径はメジャーを使用し直立位にて第7頸椎棘突起と,喉頭隆起直下を通るように測定した.頚部筋力の測定にはアニマ社製ハンドヘルドダイナモメーターμTasMF-01を使用した.測定肢位は臥位とし,両肩と大腿部を固定した.センサーはベッドに固定用ベルトを装着した状態で額,後頭部,側頭部の各部分に当て,頚部屈曲,伸展,左右側屈の等尺性筋力を3秒間測定した.各方向3回ずつ測定し,最大値を採用した.統計学的処理にはSPSS ver.13を用い,頚部筋力と周径,経験年数の関係にはspearmanの順位相関係数を用い,各学年間の頚部筋力,周径との関係には一元配値の分散分析後,Tukeyの多重比較検定を行った.また脳震盪経験の有無と頚部筋力・周径の関係には対応のないt-検定を用い有意水準は5%とした.【説明と同意】チーム指導者並びに対象者に対し本研究の主旨及び個人情報保護についての説明を十分に行い,署名による同意を得て実施した.【結果】2,3年生計39名のうち,脳震盪経験者は28名であり非経験者は11名であった.脳震盪経験の有無で頚部筋力を比較した結果,頚部筋力,周径ともに有意差は認められなかった.頚部筋力と周径では有意な相関関係が認められた(P<0.05,R=0.52~0.65)が,経験年数と頚部筋力及び周径との間には相関関係は認められなかった.学年間の頚部筋力の比較では全項目において有意差が認められ,また,学年間の周径においても有意な差が認められた(P<0.05).多重比較検定では,頚部筋力では1年生に対して2,3年生の筋力が有意に高く(P<0.05),2年生と3年生との間に有意な差は認められなかった.頚部周径では1年生と3年生にのみ差が認められ、3年生の周径が有意に大きかった(P<0.05). 【考察】本研究における脳震盪の有無と頚部筋力の検討では,両群で有意差は認められなかった.タックル動作において,脳震盪となる場面ではタックル時に頭部が下がる,飛び込むなどのスキル的な要素や,瞬間的に頚部を安定させる筋収縮の反応などの要素も関連していると考えられる.今回の研究ではそれらの要素は検討できていないため,両群で差が見られなかったものと考える.また,各学年と頚部筋力の検討では1年生と他学年との間に有意な差が認められたが,経験年数と頚部筋力との間に相関関係は認められなかった.群馬県では中学校の部活動としてラグビー部はなく,経験者も週1回程度のクラブチームの練習に参加する程度である.このため,1年生では経験者であっても十分な頚部筋力トレーニングが行えていない可能性が考えられる.また,頚部筋力と周径ではすべての項目で相関関係が認められたことから,選手のコンディショニング管理の一つとして,筋力測定器などがない場合には,頚部周径を確認しておくことの意義が示唆された.頚部筋力は脳震盪予防のための重要な一要因であるが,今回は頚部筋力と脳震盪経験の有無とに関連は見られなかった.今後はタックル動作のスキルや,筋の反応時間なども検討することが課題である.【理学療法学研究としての意義】本研究の結果から,高校1年生と2・3年生の頚部筋力の違いが明らかとなり,新入生に対する早期からの筋力評価とトレーニングの重要性が示唆され,スポーツ障害予防のための基礎的資料となる.
著者
内藤 武七郎
出版者
The Textile Machinery Society of Japan
雑誌
繊維機械学会誌 (ISSN:03710580)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.T161-T172, 1994-07-25 (Released:2009-10-27)
参考文献数
12

目的 周波数の中音域に吸音率のピークを持つカーペットに関し, その層状構造と吸音特性との関係, およびこの現象の周波数特性面における理論的解明を行う.成果 周波数の中音域に吸音率のピークを持つカーペットは, 敷設された状態で最下層に織物, 不織布などの繊維集合体を持つカーペット特有の吸音特性であることを確認した.この特性は板 (膜) 振動型の共鳴振動による吸音が加わった吸音特性であることを理論的に解明した.このときの共鳴周波数は, 理論式のパラメータとしてパイルを含めたプライマリバッキング層の単位面積当たりの質量を板 (膜) の質量, カーペット最下層の繊維集合体からなるセカンダリバッキング層およびアンダーレイの厚さを板 (膜) 背後の空気層の厚さとして捉えれば, 板 (膜) 振動型の共鳴周波数の理論式が適用できることが分かった.
著者
桒田 亜希 内藤 浩之 平野 利典 海氣 勇気
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.511-514, 2017-03-31 (Released:2017-07-22)
参考文献数
18
被引用文献数
1

患者は83歳,男性。朝,下痢あり。夕方になり激しい嘔吐が出現した。改善しないため救急要請し当院に搬送された。CTで胃壁内気腫,門脈内ガスを認めた。腹膜刺激症状なく,全身状態は安定していたため,同日入院とし保存的治療を施行した。翌日のCTでは胃壁内気腫および門脈ガスは消失した。上部消化管内視鏡で胃大弯に発赤,白苔の付着を認めた。胃粘膜培養は陰性であった。経過は良好で,第5病日より食事を開始し,第10病日に退院となった。今回われわれは保存的治療で軽快した門脈ガス血症を伴う胃壁内気腫の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する。
著者
江田 早苗 内藤 由香 平野 絵理香
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.143, pp.48-59, 2009 (Released:2017-04-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1

韻律(プロソディー)情報は,円滑な日本語のコミュニケーションを図る上で重要な役割を持っており,日本語学習者の韻律情報知覚のストラテジーを明らかにすることは,今後の音声教育の発展に貢献すると考えられる。本稿では,イントネーションの統語機能の知覚に焦点を当て,日本語母語話者,中級,上級学習者を比較した聴覚実験の結果を報告する。実験調査の結果から,中級・上級学習者ともに,イントネーションの「区切り」による統語機能を,文音声の意味理解の手がかりとして,予想以上に利用しようとしていることがわかった。本研究で明らかになった日本語学習者の韻律情報に対する意識の高さを利用し,複雑な統語構造を持つ発話の理解を助けるストラテジーとして,日本語音声教育の場面に積極的に取り入れることを提言したい。
著者
内藤 堅志 恩田 哲也 岡本 武志 山本 正彦 越野 忠則 青木 玲
出版者
日本スキー学会
雑誌
スキー研究 (ISSN:1349449X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.17-23, 2023 (Released:2023-04-18)
参考文献数
29

Standard advice for beginner and intermediate snowboarders is to place your weight on the front foot when following the fall line or traversing the slope. This stance is considered best for beginner or intermediate snowboarders who are learning how to shift their center of gravity to the front of the board to turn the nose toward the fall line[ called‘nosedrop’in Japanese] or to rotate the board when traversing the slope. The purpose of this study is to determine whether this is also the best stance for advanced snowboarders. Our research suggests that when snowboarders make a carving turn, excessive pressure on the forefoot may make it difficult to perform an ideal turn as the tip of the board may cut into the snow surface more than necessary and create more resistance than necessary. In this study, we measured the pressure distribution and center of pressure( COP) applied to the soles of both feet when the vertical movement was performed while standing straight or leaning forward with respect to the slope. The results showed that the pressure distribution of the forefoot decreased when all subjects moved vertically. In addition, when all subjects moved vertically, the COP moved nearer the center of the stance. The results suggest that it is possible to perform carving turns with less deceleration by standing up vertically, and as a result preventing the tip of the board from digging into the snow surface more than necessary and consequently receiving more resistance from the snow surface than necessary.
著者
川尻 啓太 森 照貴 内藤 太輔 今村 史子 徳江 義宏 中村 圭吾
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.23-32, 2023-07-31 (Released:2023-09-01)
参考文献数
56

近年,河道内の樹木が定着範囲を拡大させる「樹林化」が日本全国で生じている.治水対策として,樹木の伐採に加え高水敷を掘削する対策が実施されているが,掘削後にヤナギ類等の樹木が再び繁茂する事例が報告されている.効率的な樹木管理を実施する上で,掘削後に再び樹林化することを考慮した管理計画が求められる.しかし,どの程度の速さで再び樹林が拡がるかについての知見は乏しい.本研究では,26 箇所の掘削地を対象として,掘削後に撮影された衛星写真と空中写真から河道内における樹木の繁茂状況を判読した.そして得られた繁茂状況の年変化から,ヤナギ類を中心とした樹林の拡大速度と,河床勾配による違いについて検証した.その結果,樹林は掘削から約 5 年が経過すると拡大速度を増し,掘削から約 10 年が経過した頃には掘削した範囲の約 50 %を覆うことが明らかとなった.掘削地には,ヤナギ類の種子が多量に運ばれ,約 5 年が経過する頃には複数の個体が掘削地の一部を覆うほどに樹冠を大きくしたものと考えられる.その後も,各個体での樹冠の拡大と個体の定着範囲の拡大が続いたことで樹林面積が増加したと考えられる.さらに,河床勾配に応じて,樹林化が進行する速度が異なっていた.河床勾配が緩い区間ではより速く樹林が拡大する傾向にあり,これは流速が小さく,樹木が流亡しにくくなったためと考えられる.また,勾配が緩いことで高水敷に堆積する土砂の粒径が小さく,湿潤環境が形成されやすいために,樹木が定着・生長しやすくなったと考えられた.本研究の成果は,高水敷掘削からの経過年数に応じた樹林の繁茂状況の推定に寄与する.これにより,掘削の後にいつ樹木管理を実施するべきかの判断材料となるだろう.また,樹林化の抑制対策の効果を評価する際,対策を実施しなかった場合に想定される樹林化の速度として活用されるだろう.
著者
内藤 莞爾
出版者
日本村落研究学会
雑誌
村落社会研究 (ISSN:13408240)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-8, 1995 (Released:2013-03-06)
参考文献数
24
被引用文献数
1

There has recently been a rising tendency toward recognizing certain sociological types in Japanese culture and society and observing their local distribution. This paper is written in accord with this tendency. It presents a discussion (limited to the subject of families) as to how sociology has dealt with this issue, from 1930 to the present.
著者
内藤 喜之 水本 哲弥
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J69-C, no.3, pp.257-261, 1986-03-25

強磁性材料フェライトは,焼結フェライト,ゴムフェライトといった形で電波吸収体として用いられている.しかし,これらフェライトを用いた場合,電波吸収体の厚さを薄くするのにはある一定の限界がある.そこで,ゴムフェライト電波吸収体の厚さを薄くする目的でこれにカーボンを添加し,その電波吸収特性を検討した.その結果,カーボンをフェライトの数%~10数%(体積比)添加することによって吸収体厚を約30%薄くできることがわかった.吸収体の厚さを薄くすることはその重量を軽減することにつながる.さらに,フェライトに比べてカーボンの方が比重が小さいので,カーボン混入によって吸収体が薄層化されることは吸収体の軽量化に大きな効果をもつ.本論文はこれらカーボン添加ゴムフェライトの電波吸収特性をまとめたものである.