著者
福元 健太郎 村井 良太 Kentaro Fukumoto Ryota Murai
出版者
学習院大学法学会
雑誌
学習院大学法学会雑誌 = Gakushuin review of law and politics (ISSN:13417444)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.75-99, 2011-09-30

本稿は,戦前日本の内閣は存続にあたって誰の支持を必要としていたかとの問いに,1885年から1947年までの全45内閣の月次データに離散時間の生存分析を適用することによって取り組む.その結果,一方で,議会が多くの内閣提出法案を通すほど,陸相が過去に入閣した経験が長いほど,国務大臣の数が少ないほど,首相選定者の数が多いほど,内閣は長続きすることが明らかになった.他方で,軍部大臣(現役)武官制や政党内閣が内閣の寿命を縮めた,あるいは与党が衆議院に多くの議席を占めるほど内閣が長期間支えられたなどの,証拠は見いだされなかった.以上から,戦前日本は超然内閣というよりも,立法の多寡に内閣の生存が依存するという意味で事実上の議院内閣制であったことが示唆される.
著者
村井 良太
出版者
JAPANESE POLITICAL SCIENCE ASSOCIATION
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1_13-1_39, 2009 (Released:2013-02-07)

The Meiji Constitution created a bicameral Imperial Diet, which included a House of Representatives with members chosen by direct election. However, this was not what made the party cabinet system a necessity. The selection of prime minister was on the elder statesmen's consensus directed by protocol.   Nevertheless, under the slogan “The Normal way of the Constitutional Government,” the situation changed in the direction of democracy. From 1924 through 1932, party leader possessed political power. And from 1927, there was a two-party system by the Seiyukai and the Minseito. A certain Japanese journalist said in 1929 that Japanese politics was almost the same as the British politics in respect of this.   The purpose of the paper is to explore the establishment and collapse of norms for change of power by a relation with institutions from 1918 through 1936. Mainly, three actors; people who selected the prime minister, party leaders and observers (scholars and journalists) are observed in the paper. And the majority rule in the pre-war Japan is also considered.
著者
村井 良太
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.2_122-2_148, 2017 (Released:2020-12-26)
参考文献数
78

1960年代から1970年代の日本では保守長期政権下にもかかわらず 「革新自治体」 が全国に広がった。ここでは事例研究の一方法である政治史を用いて, 佐藤栄作政権 (1964 ~ 1972) が革新自治体の隆盛にどう向き合ったのかを, 特に重視された東京都と琉球政府/沖縄県に注目して分析した。明らかになったのは, 第一に, 保守中央政府・陣営も革新地方政府・陣営もともに日米安保条約が再検討期を迎える1970年を重視していた。第二に, 同じく双方とも, 政治・行政の科学化と社会開発を共通目標としていた。第三に, 佐藤政権は予想される70年安保や沖縄返還という困難な課題と向き合う中で革新地方政府を地域住民の代表として彼らと協働した。そして第四に, 革新自治体は複合的性格を持っており, 1970年以降, ローカル・オポジションの拠点から市民参加や自治体改善運動の場へと変化していった。
著者
奈良岡 聰智 小林 和幸 笹部 剛史 萩原 淳 小宮 京 大石 眞 赤坂 幸一 村井 良太 大山 礼子 葦名 ふみ 内藤 一成 伊東 かおり 原口 大輔
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、衆参両院事務局などが所蔵する膨大な未公開資料群の本格的活用を通して、近現代日本の政治史を「議会政治」という観点から再検討した。具体的な成果は、以下の3点に要約される。①「議会政治」の展開過程、議会事務局・議会官僚の役割を多面的に検証した。②新出史料「河井弥八日記」を翻刻出版した。③イギリスの制度を参照しつつ、議会関係資料の保存・公開体制のあり方について検討を行った。
著者
増山 幹高 坂本 孝治郎 待鳥 聡史 奈良岡 聰智 村井 良太 飯尾 潤 竹中 治堅 川人 貞史
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

この研究では, 日本を含む議会制民主主義諸国における立法と行政のあり方を体系的に理解し, 歴史的・比較政治学的視座に基づいて日本の国会および議院内閣制を理論的・実証的に分析している. とくに, 国会に関する未公開史料の保存・整理を進めるとともに, 代議制民主主義の発展過程, 二院制と立法・行政関係の制度構造, 議会制度と選挙制度の相互連関を歴史的・比較政治学的に検証している.
著者
大矢根 聡 宮城 大蔵 佐々木 卓也 村井 良太 井上 正也 多湖 淳 石田 淳 葛谷 彩 福島 啓之 長久 明日香
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

日本の国際関係研究においては理論・歴史間の対話が欠けており、相互刺激に基づく研究上の新たな展開は稀薄である。本研究では、過去および海外の対話状況を検討し、今日可能な理論・歴史対話の条件や方法を考察した。国際関係のマクロ理論の論争や合理的選択論の普及を背景に、理論・歴史対話は困難になっている。しかし日本やアメリカなどでは、理論を換骨奪胎しながらも利用し、歴史研究の対象や観念を転換した例がある。今日、理論的パラダイムを歴史研究に応用し、歴史から抽出したパターン自体を理論化するのは難しい。しかし理論上の基本的概念は、歴史的に吟味すべき課題を抱えており、また歴史的現象を再解釈する手がかりになる。
著者
村井 良太 和田 純 井上 正也 中島 琢磨 村井 哲也 宮川 徹志
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

民主政治下での長期政権のメカニズムと政策形成を、日本での最長政権である佐藤栄作政権(1964-1972)の歴史分析を通して考察した。分析には主として首席秘書官を務めた楠田實氏が所蔵していた未公刊資料を整理しつつ用い、また楠田氏自身を理解するために関係者への聞き取りを行った。分析は、佐藤政権の内政(官邸機能や大学紛争など)、外交(沖縄返還や中国問題など)、楠田氏自身に及び、それぞれ本や論文の中で成果をまとめるとともに日本政治学会でのパネル報告やNHKでのドキュメンタリー番組放映を通して発信した。
著者
川人 貞史 増山 幹高 山田 真裕 待鳥 聡史 奈良岡 聰智 村井 良太 福元 健太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

この研究では,政治制度と政治アクターの相互作用のダイナミックスを,民主政治の機能に焦点を当てて分析する.共通する研究課題として,(a)政治制度は民主政治の機能にとってどのような影響・効果を持つか,(b)政治制度がどのようにして形成・創設されたか.それが,政治制度の効果にどのような関連性を持つか,を設定して,明文,不文の政治制度ルールを分析する.