著者
猪原 弘之 小山 聡 栗原 正仁
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.44-48, 2016-10-28

ゲームAIはコンピュータ黎明期から盛んに研究されており,コンピュータが扱いやすいものから順に研究していく意味で特に完全情報ゲームの研究が中心だった.しかし,チェス,将棋,囲碁などの主要な完全情報ゲームにおける研究は人間のトッププロよりも高い実力が発揮できるレベルまでに達し,単純に強いだけの完全情報ゲームのAIを作る研究は終焉を迎えつつある.そこで,本稿では数多くある不完全情報ゲームの中でも,盛んに研究されているポーカーや麻雀などにないゲーム特性を持ったポケモン対戦を対象として,そのゲームが持つ特徴を紹介し,それぞれ異なる工夫を施したいくつかのUCTアルゴリズムの有効性を検証した.その結果,ポケモン対戦でUCTの実力を一番引き出す方法が分かったが,モンテカルロ法とUCTの実力に有意差がなく,ポケモン対戦にはUCTアルゴリズムが有効とは言えない可能性があることが分かった.
著者
角甲 純 中村 陽一 西 智弘 高木 雄亮 松田 能宣 渡邊 紘章 笠原 庸子 合屋 将 小原 弘之 森 雅紀 山口 崇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.33-42, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
44
被引用文献数
1

【目的】慢性進行性疾患患者の呼吸困難に対する送風療法の有効性について検討する.【方法】医中誌,Cochrane Library, EMBASE, MEDLINEを用いて,2019年10月23日までの期間に報告されたすべての文献について検索を行った.また,2020年6月30日と2021年12月7日に,PubMedを用いてハンドサーチを行った.適格基準は,1)送風療法を扱う無作為化比較試験,2)対象者の年齢が18歳以上,とした.除外基準は,1)重複文献,2)学会発表,とした.【結果】110件中10件が採用され,そのうち5件についてメタ解析を行った.送風療法は標準化平均値差−1.43(95%信頼区間−2.70~−0.17; I2=94%;異質性のp値<0.0001)であり,呼吸困難を有意に改善した.【結論】慢性進行性疾患患者の呼吸困難に対して送風療法は有効であることが示された.
著者
二村 正之 若原 弘之 宮本 龍夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.60-64, 2014

イナズマチョウ属Euthaliaの幼虫の棘に毒性があるかどうかを調べるために,モニナイナズマEuthalia moninaとビャッコイナズマE. byakko各々5齢幼虫の形態を観察し,さらに被験者(50歳,男性)の皮膚へ直接触れさせる方法により皮膚炎発症の有無を確認する実験を行った.形態観察の結果,E. moninaの幼虫背面の棘に黄色の球状部が多数認められるのに対し,E. byakkoにはほとんど認められないことが判明した.さらに,被験者の前腕部に虫体を付着させる実験で,E. moninaでは虫体が皮膚に触れると疼痛をもたらし,10分後に早くも付着部皮膚に皮膚炎(痒みを伴う紅斑や膨疹)が出現し,48時間後にはそれが幼虫の形に浮き出るほど進行した.結局,これらの症状が消失するまでに120時間(5日間)以上を要した.これは既に毒棘による皮膚炎の発症が報告されているマダラガ科Zygaenidae幼虫による反応に近いと考えられた.一方,E. byakkoでは皮膚にそのような変化はまったく認められなかった.以上の結果から,E. monina 5齢幼虫の棘から毒液が分泌される可能性が示され,これが,背部の棘にある黄色の球状部に含まれている可能性があることが示唆された.一方E. byakko 5齢幼虫にはそのようなことがなかったという事実は,毒棘がEuthalia属幼虫すべてに存在するものではないことを示している.
著者
合屋 将 中野 泰 十九浦 宏明 高木 雄亮 渡邊 紘章 松田 能宣 角甲 純 笠原 庸子 小原 弘之 森 雅紀 中山 健夫 山口 崇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.261-269, 2023 (Released:2023-12-25)
参考文献数
12

【目的】進行性疾患患者の呼吸困難に対する高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)の有効性を検討する.【方法】MEDLINE, Cochrane Library, EMBASE, 医中誌Webを用いて文献検索を行った.適格基準は,呼吸困難に対するHFNCの効果を評価した無作為化比較試験であること,18歳以上の低酸素血症を伴う進行性疾患患者を対象としていること,対照群が通常の酸素療法もしくは非侵襲的陽圧換気であるもの,とした.集中治療室患者,人工呼吸器からの離脱後は除外とした.【結果】6件が採用された.短期介入を検討した2件で,HFNC有効1件,通常酸素有効1件であった.長期介入を検討した2件で,HFNC有効1件,有意差なし1件であった.運動負荷時の介入を検討した2件で,HFNC有効1件,有意差なし1件であった.【結論】低酸素血症を伴う進行性疾患患者の呼吸困難に対してHFNCは有効である可能性がある.
著者
二村 正之 若原 弘之 宮本 龍夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.60-64, 2014-07-29 (Released:2017-08-10)

イナズマチョウ属Euthaliaの幼虫の棘に毒性があるかどうかを調べるために,モニナイナズマEuthalia moninaとビャッコイナズマE. byakko各々5齢幼虫の形態を観察し,さらに被験者(50歳,男性)の皮膚へ直接触れさせる方法により皮膚炎発症の有無を確認する実験を行った.形態観察の結果,E. moninaの幼虫背面の棘に黄色の球状部が多数認められるのに対し,E. byakkoにはほとんど認められないことが判明した.さらに,被験者の前腕部に虫体を付着させる実験で,E. moninaでは虫体が皮膚に触れると疼痛をもたらし,10分後に早くも付着部皮膚に皮膚炎(痒みを伴う紅斑や膨疹)が出現し,48時間後にはそれが幼虫の形に浮き出るほど進行した.結局,これらの症状が消失するまでに120時間(5日間)以上を要した.これは既に毒棘による皮膚炎の発症が報告されているマダラガ科Zygaenidae幼虫による反応に近いと考えられた.一方,E. byakkoでは皮膚にそのような変化はまったく認められなかった.以上の結果から,E. monina 5齢幼虫の棘から毒液が分泌される可能性が示され,これが,背部の棘にある黄色の球状部に含まれている可能性があることが示唆された.一方E. byakko 5齢幼虫にはそのようなことがなかったという事実は,毒棘がEuthalia属幼虫すべてに存在するものではないことを示している.
著者
鈴木 春菜 榊原 弘之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.53-58, 2014

本研究では、自動車を保有しないと不便であると考えられる地方都市における、移動格差がもたらす心理的諸影響について分析を行った。自動車を利用できる環境にあるが敢えて利用しない積極的自動車非利用者と、自動車を利用したいが利用できない状況にある消極的自動車非利用者がいると想定し、消極的な自動車非利用者は自動車利用者と比較して地域愛着・主観的幸福感・地域の地理認知の水準がいずれも低いという仮説を措定した。山口県宇部市において転入者と学生に対するアンケート調査を行い、仮説の検証を行った。その結果、地域愛着・主観的幸福感・地理認知のそれぞれについて仮説を支持する結果が得られた。また、地域愛着については一般居住者については自動車利用傾向が高いほど地域愛着が低下するという結果が得られ、自動車利用の積極性による影響の差異が示された。
著者
榊原 弘之 高木 将志
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.90-97, 2022-04-25 (Released:2022-04-25)
参考文献数
15

近年,特に地方部において,地域活性化における大学生の貢献が期待されている.一方,多くの地方大学が大学所在地域に関する学習プログラムを導入しつつある.本研究では,中国・四国・九州地方の大学生を対象としたウェブアンケート調査を実施し,地域に関する学習プログラムが学生のまちづくり参加意識に及ぼす影響を定量的に評価した.調査の結果,学所在地に関する学習経験を有する学生は,そのような経験のない学生と比較して,WS,インターンシップ,イベント運営への参加意欲がいずれも有意に高いことが示された.特に,他大学との交流が少ない学生や地方部の学生など,社会ネットワークの形成において相対的に不利な立場にあると考えられる学生ほど,学習プログラムが参加意識の向上に与える効果が高いことが示唆された.
著者
藤原 弘之 中西 正教 山木 健市
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.76-79, 2018-01-20 (Released:2019-10-26)
参考文献数
14

A 79-year-old female with a history of liver cirrhosis was admitted to our hospital with dyspnea on exertion and right hip pain. Her chest CT showed a combination of pulmonary infiltration and multiple nodules and her head MRI showed 3 nodules in the cerebrum. We obtained bacteriological specimens from the hip abscess and lung abscess. Gram staining showed the presence of branching gram positive rods, which suggested Nocardia. We administered sulfamethoxazole - trimethoprim and imipenem/cilastatin, and her condition and radiology findings promptly improved. Nocardiosis is commonly seen in immunosuppressed patients but is also seen in the immunocompetent. Malignancy, HIV infection, diabetes mellitus and chronic pulmonary disease are common underlying diseases and some report the presence of nocardiosis together with liver cirrhosis. Disseminated nocardiosis has high mortality and it is important to make an initial assessment appropriately and to administrate proper antibiotic agents as early as possible. The gram-stain is an effective way to evaluate nocardia infection because a long time is usually needed to obtain the result of bacterial cultures.
著者
鈴木 春菜 榊原 弘之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.53-58, 2014-04-25 (Released:2014-04-25)
参考文献数
9

本研究では、自動車を保有しないと不便であると考えられる地方都市における、移動格差がもたらす心理的諸影響について分析を行った。自動車を利用できる環境にあるが敢えて利用しない積極的自動車非利用者と、自動車を利用したいが利用できない状況にある消極的自動車非利用者がいると想定し、消極的な自動車非利用者は自動車利用者と比較して地域愛着・主観的幸福感・地域の地理認知の水準がいずれも低いという仮説を措定した。山口県宇部市において転入者と学生に対するアンケート調査を行い、仮説の検証を行った。その結果、地域愛着・主観的幸福感・地理認知のそれぞれについて仮説を支持する結果が得られた。また、地域愛着については一般居住者については自動車利用傾向が高いほど地域愛着が低下するという結果が得られ、自動車利用の積極性による影響の差異が示された。
著者
三浦 房紀 鈴木 素之 村上 ひとみ 中村 秀明 多田村 克己 瀧本 浩一 朝位 孝二 大島 直樹 久長 穣 榊原 弘之 三石 真也 中田 幸男
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、行政と住民が協力して災害時の情報を収集、処理、提供するとともに、災害時要援護者の安否確認を迅速に行い、救助活動を支援するシステムの開発を行った。入力情報には、気象庁の情報のほか、地震計と3次元雨量計を設置して、独自でも入力できるシステムとした。広く住民に情報を提供するためには、デジタルサイネージを用いて、安否確認システムの要援護者が持つ端末はスマートフォンを用いて、サーバはクラウドシステムを用いてシステム構築を行った。宇部市をモデル地域として、市の防災や福祉に関連する部署、高齢者、聴覚障碍者の協力を得て、プロトタイプシステムを構築、その機能検証を行った。
著者
相原 弘之
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.2495-2507, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
47

バレット食道は食道腺癌の発生母地であり,その発癌プロセスの初期段階にあるバレット上皮および異型粘膜に対しては,内視鏡的切除および内視鏡的焼灼法を併用した多角的なアプローチが必要である.現在欧米では内視鏡的焼灼法を施行するにあたり,主にラジオ波焼灼法,内視鏡的凍結療法,そしてアルゴンプラズマ凝固が用いられている.この中から治療法を適切に選択し,安全に施行しそして有効な治療効果を得るには,それぞれの治療法に使用されるデバイスの種類やその構造,使用法,治療適応,そして発生し得る偶発症に関し理解を深めることが重要である.本稿ではこれらの内視鏡的焼灼法に関し,主に手技的な側面に焦点を合わせて解説する.
著者
上西 紀夫 田尻 久雄 炭山 和毅 相原 弘之 大谷 友彦
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.328-332, 2011 (Released:2011-05-18)

われわれは,2010年4月に米国消化器内視鏡学会(ASGE;American Society for Gastrointestinal Endoscopy)事務局を訪問した.ASGEは2002年に運営方式の大幅な改革がなされself managementとなった.現在は様々な部門に細分化され,組織として積極的にマーケティングを行っている.また会員の技術向上のため,学会が直接運営するトレーニングセンターで技術講習を定期的に開催したり,世界各国の内視鏡学会とcollaborationを行っている.両学会の発展のために,今後両者の関係をより強固なものにしていきたい.
著者
西 啓太郎 江原 弘之 岩﨑 かな子 内木 亮介 中西 一浩
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.157-160, 2022-07-25 (Released:2022-07-25)
参考文献数
9

頚肋を有し,他院で胸郭出口症候群と診断された20代男性に対して,医師と理学療法士が協働して上肢痛の治療選択をした.その結果,頚肋による神経および血管の圧迫の可能性が低く,非特異的上肢痛であり,運動器リハビリテーションの適応があると判断した.10回のリハビリテーションとデュロキセチンの内服により,123日目に症状が改善した.集学的な評価が侵襲的治療を最小限に抑えることに有効であった.
著者
楢原 弘之
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.381-385, 2015-06-10 (Released:2015-06-22)
参考文献数
20
被引用文献数
4
著者
榊原 弘之 倉本 和正 菊池 英明 中山 弘隆 鉄賀 博己 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.658, pp.221-229, 2000

本論文では, がけ崩れに寄与する重要要因の抽出を目的として, ラフ集合を用いたデータマイニングを山口県のがけ崩れ発生・非発生データに対して実施する. まず, 地形要因データにおける重要要因を抽出し, 比較的少数の要因によって, 大部分のがけ崩れ発生・非発生を矛盾なく説明できることを示す. さらに, 地形要因と降雨要因を組み合わせたデータへも同様の手法を適用し, 降雨時に警戒対象とすべきがけの選別手法を示した. 本論文により, ラフ集合によるデータマイニングを土砂災害の発生・非発生データの分析に用いることができることが明らかとなった.