著者
松原 聰
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.87-88, 2019 (Released:2019-06-05)

日本新産鉱物情報(2017年)以降,2018年12月末までに確認された日本産新鉱物および新産鉱物,その他について紹介する.太字は少なくとも化学的,結晶学的性質が明らかにされたもので,信頼度が高い.
著者
河野 真紀子 佐藤 裕二 北川 昇 椎名 美和子 原 聰
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.260-269, 2007-04-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
26
被引用文献数
4 7

目的: 超高齢社会を迎えた今, 患者のQOL向上のためには, 効率的で質の高い義歯治療が重要である, そこで, 義歯治療のテクノロジーアセスメントの手法を用いて, そのアウトカムを調査し, 新義歯治療における患者の義歯に対する評価の経時変化と, その原因を明らかにすることを目的とした.方法: 上下総義歯を新製した患者35名のアウトカムを検討した. 本研究では, 咀嚼機能・満足度・顎堤の状態をテクノロジーアセスメントとし, そのスコアを算出して用いた. 診査時期を,(1) 新義歯完成前の旧義歯使用時 (2) 新義歯装着後初回調整時 (3) 装着後約1ヶ月の3回とし, その評価の変動を検討した. また, 咀嚼機能評価および満足度評価の評価構成因子を分析・検討した.結果: 咀嚼機能評価では, 旧義歯の評価が高いほど新義歯の評価が低下する傾向が示された.満足度評価は, 経時的にスコアが上昇し, 「上顎義歯の適合性」と「下顎義歯の違和感」が満足度評価を左右する因子であることが示された. さらに, 咀嚼機能評価と満足度評価の変動には, 正の相関が示された.結論: 新義歯装着前後の患者の義歯に対する評価の経時変化と, その原因が明らかになり, 患者の満足度を高めるためには, 咀嚼機能および上顎義歯の適合性下顎義歯の違和感に重点をおいた治療をすべきであるという臨床的な示唆が得られた.
著者
山田 隆 門馬 綱一 宮脇 律郎 松原 聰 石橋 隆 藤原 卓 滝沢 実
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2014年年会
巻号頁・発行日
pp.53, 2014 (Released:2019-03-20)

埼玉県飯能市に位置する小松鉱山は、弱変成を受けたチャート中の変成層状マンガン鉱床で、本産地からは含コバルト・フィアネル石、ヴォレライネン石、アンセルメ石、フランシスカン石などのバナジウムを含む鉱物がみつかっている。今回採集された含バナジウムパンペリー石は、緑色繊維状~柱状結晶の集合体として含マンガン方解石、マンガンの珪酸塩鉱物、硫化銅鉱物などとともに産しV2O3として約20wt%を含む種であった。
著者
宮島 宏 松原 聰 宮脇 律郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.201, 2007

新潟県糸魚川地方の海岸や姫川・小滝川河床から、粗粒なcorundumが転石として発見される(宮島ら, 1999 二鉱学会演旨)。今回、小滝川と青海海岸産のcorundumを含む試料から稀産雲母とSrを含む特異な組成を持つ雲母が発見されたので報告する。◆プライスワーク雲母 (Preiswerkite)PreiswerkiteはKeusen and Peters (1980)によりスイスの超苦鉄質複合岩体のrodingiteから発見され、 NaMg<SUB>2</SUB>Al[Al<SUB>2</SUB>Si<SUB>2</SUB>O<SUB>10</SUB>](OH)<SUB>2</SUB>という組成を持つ。産出例は比較的少なく、本邦では本報告が初産となる。本報告のpreiswerkiteは、糸魚川市小滝川で織田宗男氏が採集した礫に含まれていた。礫には径5~15mmの丸みを帯びた灰紫色ガラス光沢のcorundum, diasporeの集合体が多数存在し、preiswerkiteはその粒間を充填する淡黄色真珠光沢を呈する直径3mmの半自形結晶の集合体をなす。EDSによる分析値(wt. %)は、SiO<SUB>2</SUB> 30.75, TiO<SUB>2</SUB> 0.34, Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB> 29.62, FeO 3.64, MgO 18.22, Na<SUB>2</SUB>O 4.74, K<SUB>2</SUB>O 0.95, Total 88.26となり、実験式は(Na<SUB>20.7</SUB>, K<SUB>0.1</SUB>) <SUB>&Sigma;0.8</SUB> (Mg<SUB>2.0</SUB>, Fe<SUB>0.3</SUB>) <SUB>&Sigma;2.3</SUB>Al<SUB>0.8</SUB> [Al<SUB>1.8</SUB>Si<SUB>2.2</SUB>O<SUB>10</SUB>](OH) <SUB>2</SUB>となる。◆Srに富む雲母 (Sr-rich mica)Sr-rich micaは、糸魚川市青海海岸で小林浩之氏が採集した白地に青色部分が不規則な脈として存在する礫に含まれていた。白色部分は緻密なcelsianと劈開明瞭なmargarite, paragonite, Sr-rich micaからなり、少量のslawsonite, calciteを含む。青色部分は緻密なcorundum, diasporeからなる。margariteとparagoniteからは5 wt.%程度のSrOが検出され、Srに富む部分ではSrO = 15 wt.%を超え、0.75 <I>pfu</I>に達する。実験式は、(Sr<SUB>0.75</SUB>, Na<SUB>0.15</SUB>, Ca<SUB>0.05</SUB>) <SUB>&Sigma;0.95</SUB>Al<SUB>1.98</SUB>[Al<SUB>1.98</SUB>Si<SUB>2.05</SUB>O<SUB>10</SUB>](OH) <SUB>2</SUB>となり、margariteのSr置換体に相当する。CaとBaを主成分とする雲母は知られているが、Srを主成分とする雲母は知られておらず、公表された分析値でSrを含む例はない。糸魚川地方の蛇紋岩メランジュ中の構造岩塊からは多種のSr鉱物が発見されているが、このような特異な組成の雲母もその一例である。
著者
宮島 宏 松原 聰 宮脇 律郎 三石 喬
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.125, 2003

ミャンマー産ひすい輝石岩から、ストロナルシ石成分を最大48 mol%含むSrに富むバナルシ石(以下、Sr-Bnl)が発見された。バナルシ石はNa<SUB>2</SUB> Ba Al<SUB>4</SUB> Si<SUB>4</SUB> O<SUB>16</SUB>なる組成を持つ長石族鉱物で、イギリス・WalesのBenallt鉱山が原産地である(Smith et al., 1944)。原産地以外には、スウェーデン (Welin, 1968)、東京都白丸鉱山(加藤ら, 1987)、ミャンマー(Harlow and Olds, 1987)、ロシア(Koneva, 1996)、南アフリカから報告がある。本報告のSr-Bnlは淡緑色半透明緻密堅硬のひすい輝石岩中に、無色透明ガラス光沢、最大1.5cm×0.7cmの不規則形で偏在していた。Benalltや白丸のバナルシ石と同様、短波長紫外線で赤色蛍光を発する。青紫色異常干渉色と不規則な消光を示し、明瞭な劈開はない。ひすい輝石岩の空隙を充填したような産状を示すが、(1) Sr-Bnlと接するひすい輝石は半自形結晶で破断されていないこと、(2) Sr-Bnlに包有される自形から半自形のひすい輝石があること、(3) Sr-Bnlの外形が丸みを帯びた不規則形であることから、Sr-Bnlはひすい輝石岩が脆性破壊を被って生じた割れ目に後から晶出したものではなく、ひすい輝石岩生成の晩期にひすい輝石とともに熱水条件下で生じたものと考えられる。<br> EDSによる代表的分析値は、SiO<SUB>2</SUB> 37.79, Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>31.81, BaO 14.66, SrO 6.52, Na<SUB>2</SUB>O 9.34, Total 100.12 wt%で、これからNa<SUB>1.92</SUB> (Ba<SUB>0.61</SUB> Sr<SUB>0.41</SUB>) <SUB>Σ1.02</SUB> Al<SUB>3.98</SUB> Si<SUB>4.01</SUB> O<SUB>16</SUB>という実験式(O=16)を得る。BSE-imageでは、Ba/(Ba+Sr)=0.67-0.52の組成変動に対応する若干の濃淡が認められるが、大半はBa/(Ba+Sr)=0.6前後の組成である。バナルシ石のSr置換体がストロナルシ石(stronalsite Na<SUB>2</SUB> Sr Al<SUB>4</SUB> Si<SUB>4</SUB> O<SUB>16</SUB>)で、Hori et al., (1987)が高知市蓮台の変塩基性凝灰岩中の脈から報告した。他に岡山県大佐町のひすい輝石岩(Kobayashi et al., 1987)、ロシアZhidoisky massifの輝岩中の脈(Koneva, 1996)、糸魚川・青海地域と兵庫県大屋町のひすい輝石岩(宮島ら, 1998)から産出報告がある。<br> Harlow and Olds (1987)のミャンマー産バナルシ石は端成分に近い組成で、母岩はコスモクロア輝石、クロム鉄鉱、ニーベ閃石、エッケルマン閃石などを含む特異な岩石でひすい輝石岩ではない。本報告のようにバナルシ石とストロナルシ石の中間的な組成ものはKoneva (1996)による報告が唯一である。<br> 蓮華帯のひすい輝石岩からは、その生成晩期に熱水条件下で生じたSrやBaを主成分とする鉱物が報告されている(例えば、Miyajima et al., 1998による糸魚川石)。しかし、ミャンマー産ひすい輝石岩からは未発見だった。今回、Sr-Bnlが発見されたことで、ひすい輝石岩にSrやBaを主成分とする鉱物が出現することが蓮華帯のひすい輝石岩に限られた特異な現象ではないことが明らかになった。日本やミャンマーのひすい輝石岩にSrやBa鉱物が共通して産することは、その生成機構と密接に関係したことであろう。
著者
藤井 澄三 高田 泰孝 小川 和男 板谷 泰助 松原 聰
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.325-327, 1995-02-15 (Released:2008-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Treatment of N6-benzyladenine (2) with 15% aqueous H2O2 in trifluoroacetic acid at 65-70°C for 1 h was found to give the N(3)-oxide (3) and the N(7)-oxide (4) in 4% and 4% yields, respectively. The structure of 3 was established by its identity with a sample prepared from 6-chloropurine 3-oxide (6) and benzylamine, and the structure of 4 by its identity with a sample obtained from 1-benzyladenine 7-oxide (8) by Dimroth rearrangement. The N-oxides 3 and 4, together with previously reported N6-benzyladenine 1-oxide (1), were tested for cytokinin activity in the tobacco callus bioassay. Each of the three N-oxides was active at 4 μM concentration, being less active than the parent base 2 by a factor of 40.
著者
松山 文彦 藤本 雅太郎 松原 聰
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.207-211, 2006 (Released:2006-08-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Garronite occurs as radiating aggregates of minute fibrous crystals in amygdales of altered trachybasalt from Kuniga, Oki Islands, Shimane Prefecture, Japan. The mean chemical composition by EDS analysis leads to the empirical formula, (Na1.15K0.15)Σ1.30Ca2.28 [Al5.88Si10.06]O32·13.60H2O on the basis of O=32 in anhydrous part and H2O by difference. The unit cell parameters calculated from the X-ray powder diffraction data are a = 9.961 (3), b = 10.178 (4), c = 9.958 (4) (Å) and β = 90.020 (1) (°) with a monoclinic cell.
著者
松原 聰 宮脇 律郎 重岡 昌子 杉山 和正 毛利 孝明 中原 理栄 岡井 隆
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.76, 2010 (Released:2011-04-06)

山口県長門市川尻付近に産するアルカリ玄武岩中からオフレ沸石が産する。この沸石は、直径0.5 mm以下の短六角柱状あるいは板状結晶をしている。9個の平均化学組成は、SiO2 51.25, Al2O3 20.74, MgO 2.90, CaO 2.28, BaO 1.02, Na2O 2.74, K2O 3.77, 計 84.71 %である。
著者
松原 聰 宮脇 律郎 重岡 昌子 杉山 和正 毛利 孝明 中原 理栄 岡井 隆
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.76-76, 2010

山口県長門市川尻付近に産するアルカリ玄武岩中からオフレ沸石が産する。この沸石は、直径0.5 mm以下の短六角柱状あるいは板状結晶をしている。9個の平均化学組成は、SiO2 51.25, Al2O3 20.74, MgO 2.90, CaO 2.28, BaO 1.02, Na2O 2.74, K2O 3.77, 計 84.71 %である。
著者
竹内 沙和子 佐藤 裕二 北川 昇 下平 修 原 聰 磯部 明夫
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.70-77, 2010-04-10 (Released:2010-07-08)
参考文献数
27
被引用文献数
2 5

目的:有床義歯補綴治療のための適切な診断を行う上で,義歯支持粘膜のバイオメカニクス特性の評価は重要である.当教室では粘膜の硬さと厚さの両者の関連を明らかにするため超音波による粘膜厚さの計測と,周波数の減衰を応用し弾性率の計測を行った.しかし,厚さと弾性を別々に測定することは操作が煩雑で臨床応用が難しく,義歯支持粘膜の粘弾性的性質を総合的に評価できない.そこで,義歯支持粘膜の粘弾性的特性を客観的に評価するために,荷重量と厚さを同時計測する新システムを開発した.本報では,荷重と粘膜厚さの変化量の同時測定手法の確立を目的とする.方法:超音波厚さ計の90°の探触子と45°角度付探触子の柄にひずみゲージを貼付し,厚さと荷重量の同時計測を行った.測定条件は最大荷重量3.0 N,測定時間15秒とした.測定対象は,擬似粘膜として想定した厚さ3.0 mmの軟性裏装材と有歯顎者の口蓋粘膜にて弾性率の計測を行った.結果:擬似粘膜において弾性率を比較したところ,45°角度付探触子に水準器を付与することで,90°の探触子とほぼ同等の計測値が得られた.したがって,口腔粘膜においては臨床応用範囲の広い45°角度付探触子の使用が可能であることが示された.結論:45° 角度付探触子を用いた新システムにおいて荷重量と厚さの同時計測を行うことで,口腔粘膜の粘弾性について評価できる可能性が示唆された.
著者
中原 聰 芦田 恒雄 衛藤 幸男 吉川 恒男 井手 武 田端 司郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.104-109, 1990
被引用文献数
6

オオバヤシャブシによる本邦最初の花粉症が, 昭和62年4月, われわれの診療所で発見された.患者は54歳の主婦で, 15年来現住所の表六甲山麓に住み, 3年前から春季に花粉症症状に悩まされるようになった.六甲山系には古くより土砂崩れ防止の目的で, オオバヤシャブシが多数植林されており, 患者の住宅地一帯はオオバヤシャブシ林に囲まれて, 濃厚な花粉飛散の環境下にあった.したがって, 同地域住民のオオバヤシャブシ花粉症の多発が推測されたので, 翌63年春に花粉症疫学調査を実施した.その結果, 同地域とくに1丁目の住民には, オオバヤシャブシ花粉症の高い有病率が認められた.
著者
加藤 昭 松原 聰
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.19-24, 1981

静岡県下田市河津鉱山大沢坑の廃石中に, 本邦第二の銀星石の存在を確認した。本鉱は, 黄銅鉱あるいは斑銅鉱の小粒を含む石英脈の空隙中に, せんい状結晶の放射状あるいは準平行集合体をなして産し, 鉱脈生成の最終産物である。せんいの最大長 1 mm 内外, 鉄を含んだ物質で汚染されている。同定は, 光学的・X線粉末廻折法によって行われ, 浸液法による屈折率は, N_X=1.524,N_Y=1.534,N_Z=1.550,二転性正70°, r>v 極弱, 直消光伸長性正。X線粉末廻折値から計算した格子恒数は, α=9.624 (4), b=17.340 (8), c=6.968 (4) Åで, 既知の値とよく一致する。本邦最初の産地北海道鴻ノ舞鉱山においては, 石英・カオリン鉱物に伴って, 銀星石・バリシア石があり, この場合と比較すると, この組み合わせにカリウムイオンが参加した場合, このイオンは燐酸塩基より珪酸塩基により親和性を示すことが明らかにされた。

1 0 0 0 沸石の種類

著者
松原 聰
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.261-267, 2002-09-30
被引用文献数
1

According to the recommended nomenclature for zeolite minerals by the subcommittee on zeolites of the Commission on new minerals and mineral names of IMA (1997), 83 species have been defined. After the recommended report, three new zeolites have been approved in the Commission up to the date. Though gmelinite-K was recorded in the zeolite report of 1997, it was formally approved in 1999. Here, all 85 spicies are summerized and the 41 species among them found in Japan are briefly reviewed.
著者
宮脇 律郎 松原 聰 横山 一己
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.137, 2003 (Released:2004-07-26)

福島県川俣町水晶山から発見されたイットリウムタンタル酸塩鉱物は、既知の類縁鉱物Formanite-(Y)のようにメタミクト化することなく、明瞭な粉末X線回折を示す(堀・小林,2000)。今回、この鉱物について、EPMAによる定量分析と単結晶X線回折強度データを用いた結晶構造解析を行った。 Y,Ln(ランタニド),TaおよびNdに加えて、本研究では少量のTi、Th、U およびCaが検出された。後方散乱電子像では、試料は均一ではなくラメラ状の組織が観察された。微少部位についてガンドルフィーカメラや四軸自動回折計によりX線回折実験を行ったところ、ウラン含有量の多い部位はX線の回折を与えず、本試料が部分的にメタミクト化されていることが判った。ウラン含有量が少ない結晶質部位の定量分析結果から以下の実験式が得られた:(Y0.78Yb0.06Dy0.04Er0.04Gd0.02Lu0.01Ho0.01Sm0.01Ca0.01Tm0.01Tb0.01U0.01)Σ1.01(Ta0.58Nb0.39Ti0.02)Σ0.99O4。本鉱物は単斜晶系で空間群はP2/aである。最小二乗法で精密化した格子定数は、a = 5.292(2), b = 5.452(2), c = 5.1149(18) Å, β = 95.89(3)°, Z = 2、である。この空間群と格子定数は、合成YTaO4 (Wolten, 1967)と良く一致し、正方晶系のFormanite-(Y)とは一致しない。構造解析は、R1 =0.0340に収れんし、以下の結果が得られた: 席,x y z Ueq;Y 0.2500 0.76342(17) 0.0000 0.0076(2); Ta 0.2500 0.30254(11) 0.5000 0.0088(2); O1 0.4922(10) 0.4360(12) 0.2669(10) 0.0096(11); O2 0.0975(11) 0.0868(11) 0.2514(11) 0.0111(11)。 この解析結果は基本的に合成YTaO4と同じである。ニオブに部分置換されたタンタルの配位は四面体4配位とみなすことができる。一方、希土類元素は酸素により8配位されている。本鉱物の解析結果から計算した平均原子間距離はTa-Oが1.916、Y-Oが2.368 Åで、合成YTaO4と比較するとTaO4四面体に明らかな収縮が見られる。本鉱物は単純にFergusonite-(Y)やFergusonite-β-(Y)のTa置換体とは位置づけず、これまで知られているどの鉱物種にも該当しない。 堀・小林(2000)日本鉱物学会2000年度年会講演要旨集,P08. Wolten, G. M. (1967) Acta Crystallogr., 23, 939