4 0 0 0 OA 身体症状症

著者
吉原 一文 須藤 信行
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.8, pp.1558-1565, 2018-08-10 (Released:2019-08-10)
参考文献数
10

身体症状症とは,さまざまな苦痛を伴う身体症状が長期に持続する疾患である.身体症状症の要因には,遺伝的要因や環境的要因(ストレス等),患者側の要因(パーソナリティ特性や認知的要因)があり,生物学的要因も示唆されている.診断には,「精神疾患の診断・統計マニュアル」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM)-5)(アメリカ精神医学会,2014年)の診断基準を用いて診断する.身体症状症には不安や抑うつが併存している割合が高い.身体症状症の治療には,医師との信頼関係が重要である.また,病因・病態の推定には心理社会的背景の聴取が必要になる.病因・病態に応じて治療を行うため,治療法は多岐にわたり,効果も一様ではない.身体症状症に効果のある薬物療法には抗うつ薬があり,特に疼痛症状に対する効果が認められる.心理療法に関しては,認知行動療法(cognitive behavioral therapy:CBT),リラクセーション法,ペーシング,段階的運動療法等の有効性が示されている.その他にも,必要に応じて家族面接や心理教育を行う場合がある.
著者
松本 凌 西澤 侑吾 片岡 範行 田中 博美 吉川 英樹 田沼 繁夫 吉原 一紘
出版者
一般社団法人 表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.155-167, 2016 (Released:2016-05-31)
参考文献数
15
被引用文献数
9 9

XPSスペクトルのバックグラウンド推定の方法は任意性が高く,バックグラウンドの形状によってピークの強度が変わるため定量分析の結果に大きく影響する.特に,最も多用されているiterative Shirley法では,指定されたXPSスペクトルの始点と終点でのデータ点の強度に大きく依存してバックグラウンド形状が変わる.本研究では,この依存性を低減する為,バックグラウンド推定をピークフィッティング中で行う動的Shirley法に着目し,これをCOMPROに組み込んで銅酸化物超伝導体のCu 2pスペクトルやSiO2薄膜のSi 2pスペクトルに対して適用した.その結果,バックグラウンドの端点位置やピークの関数型を変化させてもバックグラウンドの形状やピーク面積について変動の少ない安定した解が得られることが明らかとなった.

1 0 0 0 OA 標準化の軌跡

著者
吉原 一紘
出版者
一般社団法人 表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.2-10, 2015 (Released:2016-04-08)
参考文献数
16

表面分析法が測定科学である以上,定量性に優れた最も良い方法は何かを探し求め,それを決定していくことが標準化のプロセスである.すなわち,標準化という作業は,表面分析を行う際に発生する誤差やばらつきを与える原因を一つ一つ科学的な検証に基づいて潰していき,最後に,それらが最も小さくなる「ワン・ベスト・ウェイ」を見つけることである.本解説では,互換性という概念から標準という概念に発展した経緯と,VAMASやISOなどの標準化活動と表面分析研究会の関わりを紹介する.
著者
古川 智一 中野 博 平山 健司 棚橋 徳成 吉原 一文 須藤 信行 久保 千春
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.790-798, 2011
参考文献数
51
被引用文献数
1

閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)は,のちに患者であることが判明した新幹線運転士の居眠り運転にみられるように,その社会的インパクトから最近注目されるようになった.また,OSAと合併症である高血圧,心血管障害,脳卒中との関連についても,多くの研究結果から明らかにされてきている.OSAの主症状であり日常的によくみられるいびきは,いびき症者のみならずベッドパートナーの睡眠も妨げるため重要な問題である.質問紙を用いた主観的ないびきと心血管障害との関連が過去の疫学研究によって報告されているが,そのいびきはOSAの代理指標とされ,OSAのないいびき症の臨床的意義についてはあまり注目されていなかった.しかし,最近の研究でいびきがOSAとは独立して眠気や血圧上昇に関与することが示唆されており,今後その臨床的意義について明らかにされることが望まれる.
著者
吉原 一紘
出版者
The Surface Science Society of Japan
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.388-399, 1986-02-01 (Released:2009-11-11)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

In the course of heating of metals, impurities in metals often segregated to surfaces or grain-boundaries, and the compositions of surfaces or interfaces are different from that of the bulk. The properties of materials are strongly affected by these segregation behaviors.Although much research on the segregation behaviors of metals have been published already, surface thermodynamics has not been established yet. This review discusses free energy diagrams of surfaces and the segregation isotherms, largely from the point of view of Gibbs' dividing surface model and indicates how the interaction between segregants will affect the segregation behaviors on metal surfaces. Throughout this review, attempts are made to understand the basic concepts of surface thermodynamics of metals.
著者
吉原 一紘 新居 和嘉
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.941-949, 1983 (Released:2008-04-04)
参考文献数
12
被引用文献数
4 2

The surface composition of 18-8 stainless steel doped with boron and nitrogen at high temperatures was observed in vacuum with AES and XPS.The precipitation of boron nitride was found on the surface of the stainless steel. At the first stage of heating, a thin layer of boron nitride flowed out from grain boundaries and spread on the surface, replacing phosphorus and sulfur which segregated all over the surface. As the heating time was prolonged, parts of the thin layer of boron nitride increased in thickness. The thickness increased in proportion to the square root of heating time and became about 0.06 μm after heated at 1100 K for 432 ks. The precipitated boron nitride was not replaced by the most surface active element, sulfur, and remained stable on the surface. On the surface of the stainless steel, however, there existed areas not covered with boron nitride after prolonged heating. On these uncovered areas, sulfur segregated.The precipitated boron nitride layer was inert to the adsorption of gases. Therefore, this stainless steel is a superior candidate material for vacuum vessels.
著者
須藤 信行 古賀 泰裕 吉原 一文 山下 真 波夛 伴和
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

近年、宿主と細菌との情報伝達、いわゆる“インターキングダム・シグナリング(IKS)”が注目を集めている。本研究にて、次の事実は明らかになった。①炎症性腸疾患モデルにおいて、カテコラミン(CA)を介したIKSをブロックする化合物であるLED209は腸炎を改善した。②腸管管腔内には生理活性を有するセロトニンが存在しており、一部はグルクロン酸抱合などを受け不活化されていた。以上の結果は、CAを介したIKSが炎症性腸疾患の病態形成において重要や役割を担っている可能性を示している。また管腔内に5-HTの生成や代謝には腸内細菌が深く関わっていることが明らかとなった。
著者
須藤 信行 吉原 一文 古賀 泰裕 古川 智一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、オープンフィールド法とビー玉埋没テストを用いて、人工菌叢マウスの行動特性を、アイソレーター内測定法を用いて厳密に測定した。無菌マウス(GF)は、SPFマウスの糞便を移植した無菌マウス(EX-GF)と比較し、多動で不安レベルが高かった。GFマウスにBifidobacterium infantisを移植すると運動能が、Blautia coccoidesの移植によって不安関連行動が減弱した。このように腸内微生物は宿主の行動特性やストレス応答の発現に関わっていることがわかった。
著者
須藤 信行 服部 正平 三上 克央 吉原 一文 高倉 修 波夛 伴和 古賀 泰裕
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

極端なやせを追求する神経性やせ症(anorexia nervosa: 以下ANと略)患者においては、体重を恒常的に増加させることが極めて困難であり、種々の治療に抵抗性を示し、重篤な感染症や肝機能障害を併発して死の転機をとることも珍しくない。ANの早期診断、治療、予防法を開発することは喫緊の課題であるが、未だその取り組みは十分な成果を上げていない。本研究では、AN患者群の糞便中腸内細菌叢を次世代シークエンサーによって解析し、健常者と比較することでその詳細な特徴を明らかにするとともにAN患者の腸内細菌叢を移植した“AN型人工菌叢マウス”を用いて、AN患者に見られる腸内細菌叢の異常が、実際の体重変動や行動特性の発現に関与しているかについて検討している。平成29年度は、AN患者の腸内細菌を無菌マウスに移植して作製した“AN型人工菌叢マウス”を用いてAN患者の腸内細菌が体重制御や行動特性の発現にどのように影響しているかについて検討した。その結果、“AN型人工菌叢マウス”では、健常女性の糞便を移植して作製した人工菌叢マウスと比較し、体重増加が不良であった。しかしながらどちらの人工菌叢マウスもエサの摂取量は同程度であった。この結果は、“AN型人工菌叢マウス”では、摂取した食事成分から栄養を抽出する効率、いわゆる栄養効率が低下していることを示唆している。次に人工菌叢マウスの行動特性について、我々のグループが開発した“アイソレーター内行動解析法”にて検討を進めている。
著者
斎藤 克 庄田 隆 谷 昭博 吉原 一 天野 完 島田 信宏 西島 正博
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.474-478, 1999
参考文献数
16
被引用文献数
2

The purpose of this study was to compare the efficacy of metreurynter with laminaria tents as a pre-induction priming method for unripe cervix. Fifty-six nulliparous women with a Bishop score of ≦ 4 were enrolled and received either metod in the evening before elective induction. All cases were singleton and vertex pressentation. The cervical ripening effect was more prominent in the metreurynter group. And also the incidence of induction of delivery time of > 12h and the Cesarean section rate were significantly lower in the metreurynter group than in the laminaria group.
著者
Maslog Florita S. 本部 真樹 林田 直樹 吉原 一浩 両角 徹雄 松村 正利 廣田 好和
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:9167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.283-285, 1999-03-25
被引用文献数
4 5

フィリピンのアヒルから分離したPasteurella multocida serotype A菌体のリポ多糖体 (LPS), 莢膜抗原(CCA), リボゾーム(RS), および細胞外層(OCL)の分画に対するニワトリ末梢血白血球の貧食能の影響を, フローサイトメーターにより検討した. これら4つの分画の中でCCAのみに, 単核細胞及び多形核白血球の貧食能を増強する作用かみられた. この成績から, CCAは貧食能増強誘発作用を有することが示された.
著者
田所 義晃 西島 正博 林 輝雄 根本 荘一 吉原 一 巽 英樹 島田 信宏 新井 正夫 鶴野 和則 飯島 美典 天野 広子
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.267-274, 1988-06-30

北里大学病院における1982年1月から1985年8月までの胎児超音波計測値を用いて,胎児Biparietal Diameter (BPD),及びFemur Length (FL)の標準発育曲線を作成した。さらに妊娠期間の推定についても検討を行った。計測値は各週数ごとにまとめ,平均値,標準偏差を算出した。これを3点移動平均法で平滑化し,高次回帰曲線で近似した。BPDの平均発育は,y=(-3.45)×10^<-4>x^3+(2.34)×10^<-1>x^2+(-2.31)x+(2.73)×10となり,FLの発育はy=(-2.76)×10^<-2>x^<-2>+(3.70)x+(-3.18)×10(y: 計測値(mm), x: 過数)と示された。また同じ方法を用いて計測値から妊娠期間を推定する回帰式を作成した。BPD, FLからの平均妊娠期間の予測は,それぞれy=(0.17)x10^<-1>x^2+(5.34)×10^<-1>x+(79.7), y=(0.18)×10^<-1>x^2+(1.43)x+(82.8), (y: 妊娠期間(days), x: 計測値(mm))と示された。また±1.5SDで規定される範囲を推定の幅とすると,妊娠中期では±1週,末期では±2週程度の誤差で妊娠期間が推定されることが示された。