著者
井上(吉川) 久幸 石井 雅男 松枝 秀和 吉本 誠義 森田 良和
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.829-839, 1998-12-25

1996年1月〜2月にかけて日本-オーストラリア、7月〜8月にかけて日本-アメリカ間を航行した大成丸(運輸省 航海訓練所)で中空糸膜モジュールを用いて海水と平衡になった乾燥空気中の二酸化炭素混合比(xCO_2^S)の測定を試みた。中空糸膜モジュールは、全容積が300cm^3と現在用いているシャワーヘッド型平衡器(設置に110dm^3必要)に比べて小さく、設置が容易である。中空糸膜モジュールを用いて測定したxCO_2^Sは温度計測を行うことにより従来のシャワーヘッド型平衡器の結果と良い一致を示した。14分離れて測定したxCO_2^Sの差は、0.1ppm(n=732)であり標準偏差は3.7ppmであった。このことは二つの平衡器間にシステマティックな差がないことを示しており、中空糸膜が平衡器として将来使用できることが分かった。
著者
石原 正仁 藤吉 康志 新井 健一郎 吉本 直弘 小西 啓之
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.727-742, 2009-09-30

1998年8月7日にメソスケール降雨帯が大阪湾上を南下し,その中で特に発達した積乱雲が関西国際空港(「関西空港」という)に近づいた.同空港において低層ウィンドシアーを監視している空港気象ドップラーレーダー(DRAW)は,この積乱雲が同空港に到達するまでの間にマイクロバーストを延べ24回自動検出した.このとき低層ウィンドシアーに関する共同調査を実施中であった関西航空地方気象台と北海道大学低温科学研究所は,この積乱雲を対象としてDRAWと同研究所の可搬型ドップラーレーダーによるデュアル観測を行った.この積乱雲は少なくとも4つのマイクロバースト(MB)を,7〜9分間隔で発生させていたことがわかった.このうちの2つのMBについて,その振舞いと内部・周辺の風の3次元分布を詳細に解析した.2つめのMBについては,DRAWの自動検出では水平距離4kmで17m/sの風の水平シアーが測定され,デュアル解析によると高度3kmで7m/sの下降流,及び高度500mで14m/sの水平風が形成されていた.またMB 3が到達した関西空港では21m/sの瞬間風速が記録された.これらのことから,DRAWの自動検出はMBの位置,形状,風の水平シアーの強さを精度よく算出していることがわかった.同時に,MBの非軸対称性が水平シアーの測定に誤差を生じさせる可能性のあることも分かった.MBの微細構造として,1つめのMBにともなう地上付近の発散流は非軸対称的な分布を示し,MBの移動方向の右前方に強く吹き出していた.このMBにともなう発散流の先端のガストフロントでは上昇流が作られ,その上昇流によって上空に形成された降水コアが着地するとともに,2つめのMBが発生した.MBの生成には,降水粒子の蒸発による下降流内の空気の冷却,及び落下する降水粒子が空気を引きずり下ろす力の両者が作用していたと推測された.航空機がこのMBに進入した場合,飛行経路に沿った風の水平シアーにともなう揚力減少の効果は,下降流が航空機を直接降下させる効果より2.7倍以上であったと見積もられた.
著者
大山 幸綱 吉本 好延 浜岡 克伺 吉村 晋 松田 司直 橋本 豊年 佐藤 厚
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.45-50, 2009-03-31
被引用文献数
1

本研究の目的は,自力で外出可能な在宅脳卒中患者の閉じこもりに関連する身体的・心理的・社会的要因を検討することである.対象は,退院後6ヶ月以上経過した自力で外出可能な高齢脳卒中患者27名とした.質問紙を用いたアンケート調査にて,閉じこもりの有無,転倒自己効力感,主観的健康感,老研式活動能力指標,家庭内および地域での役割の有無,親しい友人および親戚の有無など心理的・社会的要因を調査した.また,理学療法診療録より,Brunnstrom Recovery Stage,10m 歩行時間,Barthel Indexなど身体的要因を調査した.統計解析は,閉じこもりの有無と身体的・心理的・社会的要因との関連性について,群間比較およびロジスティック回帰分析を用いて検討した.自力で外出可能な患者27名中,閉じこもりは12名(44.4%)であった.閉じこもり群は,非閉じこもり群より,屋外の転倒自己効力感が有意に低値を認め,親しい友人および親戚がいない患者の割合が有意に高値を認めた.性別,年齢で調整したロジスティック回帰分析の結果,閉じこもりに対する独立した要因として,屋外の転倒自己効力感,親しい友人および親戚の有無が抽出された.自力で外出可能な在宅脳卒中患者の閉じこもりを考慮した場合,身体機能に加えて,転倒自己効力感に着目した評価およびアプローチが重要であると考えられた.
著者
別府 真琴 左近 賢人 後藤 満一 疋田 邦彦 平井 健清 村井 紳浩 谷口 積三 吉本 信次郎 青木 栄三郎 上原 教良
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.269-274, 1979-04-01

1897年Dieulafoyは,胃上部の微小な孤立性粘膜欠損の底部において動脈が破裂する大量出血を経験し,Exulceratio simplex(以後Esとよぶ)と命名し報告した.以来欧州圏では,このような胃上部にみられる動脈性出血をEsと呼ぶようになったが,英語圏においてはEsについての報告はほとんどみられず,本邦においてもこのような症例がみられても出血性胃炎あるいは胃潰瘍出血としてとりあつかわれていると思われる.しかしこの病態は手術による止血以外に救命しえなく,保存的療法で止血しうる可能性のある上記2疾患とは臨床上はっきり区別してとりあつかい,適切な処置がなされる必要があると考えられる.著者らはEsと考えられる3例を経験したので報告し,その臨床的意義ならびに問題点について考察を加えた.
著者
松田 憲幸 高木 佐恵子 曽我 真人 堀口 知也 平嶋 宗 瀧 寛和 吉本 富士市
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J91-D, no.2, pp.324-332, 2008-02-01

初心者のための鉛筆デッサンの基礎は,対象を見えたまま正確に描きとる写実であり,獲得が難しい技能である.初心者は自己の写実の誤りに気づくことができない,あるいはデッサン画全体に漠然とした違和感を感じることができても,具体的に写実の何が誤りかを判断できず,同じ誤りを繰り返す.反復練習を指導する教師は,写実の誤りを理解させるため,描く対象と異なった立体物をイメージさせるたとえ(比喩)を用いる.学習者は比喩説明を聞く過程で徐々に,明らかに異なるイメージの写実と感じるようになり,ついに自己の写実の誤りに気づくと考えられる.本論文は学習者の鉛筆デッサン画像に含まれる写実の誤りを顕在化した三次元モデルを構築する手法を検討する.本手法は誤った写実による1枚の画像から,誤りを映し出し,かつ直感的に不自然さを感じさせる三次元モデルを構築する.写実の8種の誤りを対象に,デッサン画像の誤りを特徴づける15個の特徴量を用いて三次元モデルのスケーリング変換を定義した.三次元モデルを表示する顕在化ツールを実装した.学習者が本ツールを用いることで,鉛筆デッサンに含まれる写実の誤りに気づきやすくなると期待できる.