著者
吉本 弥生 Yayoi YOSHIMOTO ヨシモト ヤヨイ
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural and social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.9, 2013-03-28

一九〇〇年頃、日本の思想界では人格主義が大きな影響を与えていた。日本の人格主義は、感情移入美学との関連があり、その影響を強く受けていたのが阿部次郎(一八八三~一九五九)であった。同時に武者小路実篤(一八八五~一九七六)にもその傾向が見られ、両者の思想は互いに似たところがあった。 そこで、当時の社会思想について阿部と似た意識のあった武者小路実篤の「理想的社会」(『生長する星の群』一九二三年一月~八月)を取り上げ、阿部の『人格主義』(岩波書店、一九二二年)と比較することで、両者の相違と同時代受容を検証した。これまで、阿部と武者小路の社会観を考察する研究はなされていない。その際、浮上したのが「同情」と「隣人愛」の概念である。これは、阿部がリップスの感情移入を「同情」と訳していたことから始まった。阿部は、彼自身の解釈でこの言葉を用いていたが、「同情」「隣人愛」は、当時の日本において重要な役割を果たしている。 本稿では、「同情」に着目し、キリスト教と反キリスト教の両面から考察し、この視点から一例として、ショーペンハウア―受容を取り上げた。それは、阿部だけでなく、武者小路や森鴎外(一八六二~一九二二)、島村抱月(一八七一~一九一八)など、当時の知識人達に広まっていた。中でも、井上哲次郎(一八五六~一九四四)に見られるように、ショーペンハウアーは仏教の側面からも解釈されており、阿部と武者小路の社会観でも人格的価値や善という側面に共通性が見られた。 また、阿部と武者小路は各々「第三の社会」や「第三のもの」という国家や共同体観を持っており、これは当時、既に受容されていたイプセンの戯曲に登場する『皇帝とガラリヤ人』(一八七三年)で著した「肉の王国」と「霊の王国」を経て霊肉一致の「第三帝国」を求める人々の姿を想像させる。 イプセンの戯曲では、ギリシアの古代精神とキリストの精神を統一融合した世界として「第三帝国」が表現されるが、阿部と武者小路の目指す社会は、同時代に受容された感情移入説と人格向上が融合したものであった。 以上の考察の結果、武者小路の共同体はカントの「目的の国」と似ており、阿部の国家はヘーゲルの『法哲学』の国家観と似た特徴を持ち、両者は善の社会を目指している点では共通した思想を持っていたのである。Abe Jirō (1883–1959) declared that a good society can be created through “personalism” (1922). He thought that the improvement of individual personalities would lead to a virtuous society. Mushakōji Saneatsu (1885–1976) had a similar idea. Abe Jirō’s idea of “personalism” resembled Mushakōji Saneatsu’s thinking about the “ideal society.” In this essay, I have inspected their ideas. Abe Jirō said that sympathy is a kind of empathy; and empathy, when seen aesthetically, is also applicable to society. I investigated the problem of sympathy from the point of view of empathy. The theory of empathy proposed by Theodor Lipps (1851–1914) was introduced in Japan in discussions of aesthetics and psychology. Mori ōgai (1862–1922) was the first to take up the problem, and it spread among the intellectuals of that time. Sympathy was understood in terms of religion when Schopenhauer’s thought was transmitted to Japan. Schopenhauer can be interpreted from a Buddhist point of view, as seen in the writing of Inoue Tetsujirō (1856–1944). I investigate “sympathy” and “neighborly love” from the time of Schopenhauer’s reception in Japan. Lipps’s idea applies to all interpretations. Therefore, their interpretation differentiate with that of someone. But Abe’s and Mushakōji’s ideas resembled those of others in the same period. Ibsen (1828–1906), in his play Kejser og Galilaer (1873), had put forward something similar in his idea of “the third society” that unites the flesh as expressed by the Greek mind and the spirit as expressed by the Christian mind. Similarly, in Japan, Abe Jirō and Mushakōji Saneatsu saw their country as one in which sympathy and personalism were fused. Abe’s idea may also be compared to Hegel’s “philosophy of law,” and Mushakōji’s ideal society may be compared to Kant’s idea of a “goal country.” Abe and Mushakōji thought that religion is goodness.
著者
吉本 暁文 新保 仁 原 一夫 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SLP, 音声言語情報処理
巻号頁・発行日
vol.2015, no.5, pp.1-6, 2015-05-18

一般的に依存構造解析のアルゴリズムでは,句構造を扱わないために並列構造を考慮することが難しい.そこで,依存構造解析のための Eisner アルゴリズムを,並列構造解析ができるように拡張した.その規則の導出木は,既存の依存構造のアノテーションから導出することができる.

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著者
吉岡常雄 吉本忍編
出版者
紫紅社
巻号頁・発行日
1975
著者
吉本 新吾 佐藤 寛幸 湯浅 哲也 赤塚 孝雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.189-194, 2007-04-15 (Released:2007-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

3次元コンピュータグラフィックス(3D CG)の質感向上のために低コストで実現できる有効な手法としてテクスチャマッピングが使われる.しかし,マッピングする面の面積が用意できるテクスチャ画像の面積に比べて大きく,テクスチャ画像を繰り返してマッピングする場合,テクスチャ画像とテクスチャ画像の間の境界部分での不連続性が問題となって幾つかの工夫がなされてきた.本論文では,境界部分での横方向の広がりを考慮するイメージキルティング法の改善を考案することで,用意した画像をより滑らかに接合しながら,任意の大きさのテクスチャを合成できることを述べる.実験結果より,従来の手法に比べて滑らかな境界を持つ高品質なテクスチャが合成できることを示す.
著者
吉本 一夫
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.128-129, 2012

本稿は,2012年成人の日に発売された日本酒「HARE・祝結(いわいむすび)」をプロデュースした農産官学共同の若者向け地酒開発プロジェクト「Takeo 20 Project」の事例紹介である.プロジェクトメンバーは,岡山市建部町農家,倉敷市酒造会社,岡山市酒販売・居酒屋会社,岡山市役所,川崎医療福祉大学医療福祉デザイン学科学生と教員である.
著者
吉村 晋 明﨑 禎輝 吉本 好延
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B1606, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】 麻痺側に重度の機能障害を有する脳血管障害患者は,非麻痺側上肢で杖を用いる場合が多いが,杖なし歩行が可能になれば,日常生活動作中で非麻痺側上肢の使用が可能になるため,身体活動量およびQuality of lifeの向上に繋がる.杖なし歩行の自立度は身体機能・能力因子との関連が深く,中でもバランス能力は歩行自立度を規定する最重要因子であるが,歩行自立度とバランス能力の関連性を数量的に検討した報告は数少ない.本研究は,脳血管障害患者の立位バランス評価として臨床汎用性が高い片脚立位時間に着目し,脳血管障害患者の杖なし歩行の判定に片脚立位時間の測定が有効かどうかについて検討を行った.【対象および方法】 対象は平成16年から19年度に当院リハビリテーション部に理学療法の依頼があった脳血管障害患者113名(男性66名,女性47名,平均年齢67.1歳,発症からの平均期間103.1±65.9日)であり,研究の趣旨を説明し同意を得た者のみを対象とした. 方法は,目的変数として,装具使用の有無に関わらず,杖を用いることなく屋内での歩行が自立している症例を杖なし群,それ以外の症例を杖あり群の2群に分類した.調査項目は,年齢,Body Mass Index (BMI),下肢Brunnstrom stage(下肢Br.Stage),深部感覚障害の有無,両側の下肢筋力および片脚立位時間などの計8項目とし,群間比較の後,ロジスティック解析,Receiver Operating Characteristic曲線(ROC曲線)により解析した. 【結果および考察】 群間比較の結果,杖あり群は杖なし群と比較して,深部感覚障害を有する患者が多く,下肢Br.stage,麻痺側下肢筋力,非麻痺側・麻痺側片脚立位時間は低値を認めた(p<0.01). ロジスティック解析の結果, 杖なし歩行の自立に最も関連する因子として麻痺側片脚立位時間が抽出された(オッズ比1.353).ROC曲線によってカットオフ値を算出した結果, ROC曲線の曲線下面積は,0.934であり, 麻痺側片脚立位時間2.8秒を閾値とした場合,感度85.4%,偽陽性度9.2%,正診率は88.5%,陽性適中率は85.4%であった.本結果から,麻痺側片脚立位時間が2.8秒以上の場合,高率で杖なし歩行が可能であったことから,杖なし歩行自立度を判定する評価方法として片脚立位時間の測定が有効であると考えられた.脳血管障害患者における片脚立位時間の測定利用率は約8割以上と臨床汎用性が高く,共通した評価方法からデータを集積することで,他施設間での比較も可能となり,科学的根拠に基づいた歩行判定基準の一助になるものと考えられた.
著者
吉本 忍 金谷 美和
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、現在アジア、アフリカにおいて民族衣装の素材として広く使用されているプリント更紗が、インドネシアやインドの伝統的染織技法とデザインをもとにして、ヨーロッパの植民地支配を背景にしたグローバルな交易と産業革命による技術革新によって創出され、広く展開してきた歴史的経緯を、サンプル帳を始めとする資料の検討によって実証的に明らかにしたものである。本研究を通して、私たちが経験する伝統工芸の変革と文化の創出の場面におけるグローバル化の功罪などの本質的意義について批判的視座を提示した。
著者
西野 學 吉本 真樹 守山 知子 上坂 裕允 池田 聡恵 吉村 郁恵 片田 圭一 大浦 渉 浅利 香 西 耕一 内山 伸治
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.426-426, 2003

【はじめに】COPD患者に対する包括呼吸リハビリテーション入院プログラム施行中に状態が悪化する症例を最近続けて経験し,リスク管理の難しさを再認識させられた.どのような状況で状態悪化が助長されたかについて検討したので報告する.【方法】1999年5月より2002年11月までに当院にて包括呼吸リハビリテーション入院プログラムを施行したCOPD患者のカルテを遡及的に調査し,状態悪化の有無,状態悪化をもたらしたと考えられる要因に関して検討した.【結果】2年7ヶ月の期間に33名が入院プログラムを終了していた.その内2名は合併疾患の治療のためにプログラムが途中で中止されていた.残る31名の内3名に状態悪化によるバリアンスが発生し,その内1名は入院中に死亡,2名はプログラムが一時休止され予定より延長されて終了していた.その3名の経過および初期評価時点での医学的データ等を以下に記す.<B>症例1</B>;79歳男性,身長168cm体重43kg,努力性肺活量(FVC)2.72L,一秒量1.36L,6分間歩行テスト( 6MWT)距離480m.7月下旬よりプログラム開始,週末毎に外泊繰り返し15日目入浴後に悪寒戦慄,発熱を認め肺炎合併.22日目死亡.入院前は過負荷の運動習慣があった. <B>症例2</B>;70歳男性,身長150cm体重45kg,FVC1.57L,一秒量0.64L, 3L酸素投与下6MWT距離300m.7月末よりプログラム開始,4日目より息切れ感じ始め10日目に熱発,肺炎を合併しプログラムを中断,再開しても外泊後微熱出現することあり3週間延長にて終了. <B>症例3</B>;74歳男性,身長158cm体重42kg,FVC1.92L,一秒量0.61L,6MWT距離440m.9月末よりプログラム開始,週末毎に外泊繰り返し22日目に熱発,肺炎を合併し6週間の中断の後再開して終了.外泊時家が寒かったとのこと.またその後の外出や外泊後に微熱発現傾向あり.入院前は月2回以上の頻度で体調をくずし近医を受診していた.【考察】今回の3症例においては1)運動に対してのモーチベーションが高すぎる,2)体調不良の自覚が不十分,3)生活環境の変化時に体調不良となる,という傾向が見られた.高齢の慢性呼吸器疾患の方はもともと日常生活上の活動性が低いため,環境の変化や急激な運動は予備力のない身体に過度のストレスを与えることになり,自覚症状の乏しい患者ではその傾向がさらに強くなる.これに対し医療者側としては,1)患者の体調を考慮した至適運動処方の徹底,2)気温・湿度など環境因子への配慮,3)より頻繁な他職種との情報交換,等によって患者の体調を管理する必要がある.包括呼吸リハビリテーション施行上の運動強度設定は高負荷での報告が多いが,今回の経験から,低めの設定でむしろリスク管理を徹底させる方がより賢明と思われた.
著者
吉本 佳世
出版者
大阪市立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

血圧は循環動態を観察する指標の1つであり,血圧変動のモニタリングは大きな意義を持つ.本研究では,体位変換中に連続的に血圧モニタリングが可能なシステムの開発を目的とし,2点の光電容積脈波信号から血圧のリアルタイム推定を行うことを目指している.今年度は,体位変換による影響を含めた血管系のモデル構築を目指し,実験システムの構築および健常者に対する実験および解析により,体位変換が脈波伝播時間と血圧の関係へ及ぼす影響について検討を行った.単純な腕の上げ下ろしによる脈波伝播時間の変化を検討するために,上腕部を対象部位として選択し,光電脈波センサの設置位置について検討を行った.候補としたいくつかの部位において光電脈波信号の強度および安定性について検討を行い,脈波信号を取得する部位として,人差し指及び手首を選定した.はじめに,安静状態で腕を上げ下ろししたときの脈波伝播速度について検討を行い,腕の上げ下ろしを行うだけでも脈波伝播速度が変化することを確認した.次に,各体位での脈波伝播速度と血圧の関係を検討するために,仰臥位及び45度背上げした状態で実験を行った.実験により,同一被験者であっても,仰臥位及び45度背上げした状態では市販の血圧計で計測した拡張期血圧と光電脈波センサより算出した脈波伝播速度の関係が異なることを確認した.また,別の被験者に対して同様の実験を行い,体位による脈波伝播速度と血圧の関係変化は同様の傾向を示すことを確認した.
著者
吉本 和生 中原 恒 佐藤 比呂志
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,小型・低消費電力の強震動観測システムの開発,地震波形データ取得のための地震観測,波形データの解析による関東平野の大深度地盤構造の推定,及び大規模な堆積盆地構造と長周期地震動の関係に関する以下の研究を実施した.①乾電池で動作する小型・低消費電力の強震動観測システムを製作した.②関東平野北東部の計11地点での臨時地震観測を実施した.③地震波干渉法により地下構造の時間変化を検出した.④地震波干渉法に基づいて近地地震波形を解析し,地震基盤までの地盤構造を詳しく推定した.また,大深度地盤構造モデルを構築し,関東平野北部における長周期地震動(ラブ波)の励起の特徴の説明に成功した.
著者
岩田 俊二 吉本 博文 荻原 正三
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画論文集 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.139-144, 2000-12-08
被引用文献数
1

集落全体の整備と新規住宅地の整備を一体的に行う農村活性化住環境整備事業が実施された地区についての分析を基にすると、集落整備計画の方法の視点からは、事業の目的と対象集落の集落整備計画のあり方との整合性、新規住宅地の整備に対応する集落の生活環境の再編整備、新規住民の参入を契機とした新たな集落生活システムの構築、集落の漸進的な成長に対応する計画システムの採用が課題となることが明らかとなった。
著者
岩田 俊二 吉本 博文 荻原 正三
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 = Journal of Rural Planning Association (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.139-144, 2000-12-08
参考文献数
2
被引用文献数
1

集落全体の整備と新規住宅地の整備を一体的に行う農村活性化住環境整備事業が実施された地区についての分析を基にすると、集落整備計画の方法の視点からは、事業の目的と対象集落の集落整備計画のあり方との整合性、新規住宅地の整備に対応する集落の生活環境の再編整備、新規住民の参入を契機とした新たな集落生活システムの構築、集落の漸進的な成長に対応する計画システムの採用が課題となることが明らかとなった。
著者
長谷川 利拡 吉本 真由美 桑形 恒男
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.42-45, 2009-01

子実を収穫対象とする穀類においては、花器形成や開花・受精の段階で異常温度に遭遇すると、たとえ短期間でも大きく減収することがある。寒冷地でしばしば発生する冷害は、その典型例である。また、異常高温でも受精障害が発生する。これまでの実験から、開花時に高温にさらされやと、葯が裂開しにくくなったり、葯が裂開しても花粉が落ちにくくなったりすることで、受粉が不安定になることが知られている。受精過程の温度感受性は非常に高く、開花期頃の温度が34〜35℃以上になると不稔籾の割合が増加し、40℃以上になるとほぼすべての籾が不稔になることが、チャンバー実験で示された。そのため、今後予想される温暖化は、高温障害の発生を増加させて収量を大きく低下させることが懸念されている。2007年8月、関東、東海地域は、熊谷、多治見で観測史上最高の40.9℃を記録したほか、100以上の観測地点で過去の最高温度記録を更新するなど、広い範囲で異常高温に見舞われた。とくに関東平野では、埼玉県北部から群馬県南部、濃尾平野では愛知県北部から岐阜県南部で35℃を超える猛暑日が頻発した。このような異常高温は、これまで顕在化していなかった高温不稔を誘発する温度域であり、不稔による被害発生が懸念された、また、温暖化が水稲に及ぼす影響を検証するためにも、高温条件下での不稔発生の実態解明が必要であった。そこで、筆者らは群馬県、埼玉県、茨城県、岐阜県、愛知県と協力して、7月下旬から8月下旬までに出穂した132水田を対象に不稔発生を調査し、被害実態の解明を試みた。