著者
土居内 龍 吉本 洋
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.819-827, 2009 (Released:2010-01-17)
参考文献数
28
被引用文献数
2

紀伊半島南西岸産イサキについて,生殖腺の組織学的観察に基づき,成熟年齢,産卵期,産卵頻度の検討を行った。その結果,雌は 1 歳では全く成熟せず,2 歳から全個体が成熟し,雄は 1 歳から全個体が成熟するものと考えられた。産卵期は 5~8 月で,盛期は 6 月と考えられた。また 3 歳以上の雌の場合,組織学的観察と GSI 値の比較から,4~5 月に急速に卵黄蓄積が進行し,6 月に活発に産卵が繰り返されるという産卵形態が推察された。産卵頻度は 5~8 月の各月において,それぞれ 0.17, 0.51, 0.26, 0.19 と推定された。
著者
吉本 尚
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本では24時間アルコール飲料の購入が可能であったり、多くの飲食店において飲み放題サービスが提供されるなど、未だにアルコールに対して寛容な環境がある。本研究は前向きコホートによって飲み放題システムの1回飲酒量に与える影響を明らかにする。本研究によって、アルコールと上手に付き合いながら社会で活躍するための大学生への教育や、大学生自身の飲み放題の利用が自分たちの飲酒量に与える影響を知り、自己選択を行うことが可能となる。また、飲み放題サービス提供者に対する提供方法等についての議論にも発展する可能性がある。
著者
吉本 敏子 小川 裕子 星野 洋美 室 雅子 安場 規子 吉岡 吉江 吉原 崇恵
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, 2014

<目的>家庭科の学習は、基礎的・基本的な学習が実生活の場面で実践できる力となることを目指している。そこで、日常の具体的な生活場面を想定し課題解決ができる力がどの程度身についているかを把握するための調査を行った。本調査の設計については、日本家庭科教育学会2013年度例会にてすでに報告をしている。調査の内容は、消費生活・環境、食生活、衣生活、住生活、家族・家庭生活の5つ問から構成されているが、今回報告するのは、消費生活・環境に関する結果である。<方法>調査時期:2013年3月~10月調査対象者:愛知県、静岡県、三重県の中学校1年生(小学校6年生を含む)298名、高等学校1年生(中学校3年生を含む)456名、大学1年生567名調査方法:質問紙法による集合調査 回収率:100 分析方法:1)回答の記述内容を読み取り、データベースを作成した。2)そのデータを集計(エクセル統計、&chi;<sup>2</sup>検定)し考察した。<結果> 消費生活・環境の調査内容は、インターネットを利用して靴を購入する場合の代金の支払いと、靴のサイズが合わないというトラブルが発生した時の対応の仕方、およびこれまで履いていた靴の処理の仕方について回答を求めている。そしてこの調査内容から読み取りたい内容を、a)靴の購入にかかる費用が分かり、情報を正しく読み取ることができる、b)インターネット上の情報から、返品交換の可否や条件が理解でき、その情報を基にトラブルへの対応ができる、c)モノを大切にする気持ちや環境への配慮ができる、の3つとした。aとbは、科学性(知識・技能の応用力)を、cは生活合理性(状況把握、姿勢や態度、価値観)を読み取ることができると考えた。 調査の結果は以下の通りであった。1)インターネットを通じて商品を購入した経験のある者は、中学生41.9%、高校生68.2%、大学生78.0%であった。2)靴の購入価格(販売価格+送料+振込手数料+後払い手数料)の正答率は、中学生45.6%、高校生41.7%、大学生52.6%であった。高校生は中学生に比べて正答率が低く、特に高校生男子の正答率は34.0%と低かった。振込手数料や後払い手数料が計算されていないと思われる誤答が多くあった。3)「靴のサイズが合わないというトラブルが生じた場合にどのように対応するか」(本調査の設問では返品交換ができる)については、「返品・交換ができることがわかり、自分で返品・交換をする」と回答したものが最も多く、中学生で80.5%、高校生で83.3%、大学生で87.1%であった。次に多かったのは「少しくらい小さくてもしばらく我慢して履く」であった。4)「今まで履いていた靴をどうするか」という問に対して最も多かった回答は、「友人や知人にあげる」で、中学生34.2%、高校生28.7%、大学生32.8%であった。その他にも「フリーマーケットに出す」「弟が履けるようになるまで取っておく」「予備の靴や思い出の靴として、しまっておく」「雨の日や作業などのときに履く」「放置する」「ごみとして捨てる」など多様な意見が出されていた。以上の結果から、科学性すなわち課題解決のために知識や技能を総合して活用できる力は、発達段階に応じて徐々に身についてきているが、大学生においても十分であるとは言い難い。また「今まで履いていた靴をどうするか」に見られた多様な回答は、モノを大切にする気持ちや環境への配慮という生活合理性に基づくものであるのかについて慎重な検討が必要である。
著者
吉本 道雅
出版者
京都大學大學院文學研究科・文學部
雑誌
京都大學文學部研究紀要 = Memoirs of the Faculty of Letters, Kyoto University (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.33-83, 2006-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
吉本道雅著
出版者
京都大学学術出版会
巻号頁・発行日
2005
著者
吉本 龍司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.452-456, 2016

<p>筆者が参加する「ディープライブラリー・プロジェクト」は,専門図書館の横断検索サービス実現に向けて活動してきた。このプロジェクトのコンセプトについて,主に技術的な視点からまとめるとともに,今後の可能性についても提案する。また,近年,専門図書館のアウトリーチの必要性が高まっているが,ウェブサービスを活用したアウトリーチの手法についても,図書館蔵書検索サイト「カーリル」を運営する立場から考察する。</p>
著者
山下 啓子 遠山 竜也 吉本 信保 遠藤 友美
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.289-292, 2012 (Released:2013-05-01)
参考文献数
22

乳癌組織のエストロゲンレセプター(ER;estrogen receptor)の発現量は内分泌療法や化学療法の奏効性や予後などの生物学的特性に関与する。乳癌組織のERの発現調節に関しては,ER遺伝子のメチル化やER蛋白のユビキチン化による分解などの報告があるが,臨床的に重要であるものは未だ見出されていない。最近,ERのmRNA 3’末端非翻訳領域に結合してERのmRNAと蛋白発現を抑制するマイクロRNA(microRNA)が報告された。われわれは乳癌組織におけるこれらERのmRNAに直接結合するmicroRNAの発現を定量的RT-PCR法により検討して,ERの蛋白発現や予後に関与するmicroRNAを見出した。さらに最近,ER陽性乳癌の生物学的特性に関与すると考えられるmicroRNAとその標的遺伝子を同定し,これらが治療標的あるいは薬物療法の感受性のバイオマーカーとして有用であると推測している。
著者
石田 聡 吉本 周平 幸田 和久 小林 勤 白旗 克志 土原 健雄
出版者
農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所
雑誌
農村工学研究所技報 (ISSN:18823289)
巻号頁・発行日
no.217, pp.1-12, 2015-03

トンガ王国ババウ群島ババウ島およびハアパイ諸島リフカ島において,淡水レンズ地下水中の電気伝導度(EC)測定およびイオン濃度分析を行った。調査の結果,ババウ島においては一部の揚水井戸で150mS/mを超えるECが観測された。リフカ島においては,水道水源施設である暗渠(ギャラリー)および井戸のECは150mS/mを下回っていたが,塩水化によって揚水を停止した施設が存在した。測定結果と既往の記録等により地下水塩水化の要因を分析したところ,ババウ島ではそれまで分散して配置されていた揚水用の井戸が減少し,1箇所あたりの揚水量が増加したことでアップコーニングが発生したと推定された。リフカ島では,ギャラリーの一部が海岸近くに配置されていることでECが高くなっていると推定された。塩水化の抑止のためには,ババウ島においては井戸の分散が,リフカ島についてはギャラリーを淡水域の中心部に再配置することが有効であると考えられた。
著者
吉本 洋
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.205-212, 2007-06
被引用文献数
1

1980~2004年の紀伊水道東部日高海域での漁獲資料をもとに、海産稚アユの漁獲特性について検討した。豊漁年は不漁年に比較して、長期間にわたり漁獲されるとともに、採捕海域が広範囲に及び空間的な広がりもみられた。また1990~1997年の耳石を用いた日令査定により、豊漁年は不漁年に比べて、稚アユは若齢で早生まれから順に規則的に漁場に出現し、滞在期間も短く、日間成長も良好であることが明らかになった。以上のことから、アユ稚魚の成長と資源豊度との関連性が示唆された。
著者
吉本 隆明 蓮実 重彦
出版者
中央公論社
雑誌
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.p236-266, 1980-07
著者
中沢 一雄 原口 亮 八尾 武憲 永田 啓 杉本 喜久 芦原 貴司 高田 雅弘 並川 寛和 岡田 靖士 吉本 幸平 古屋 直美 仙田 修司 植松 義之 五十嵐 健夫
出版者
Japan Association for Medical Informatics
雑誌
医療情報学 = Japan journal of medical informatics (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.81-86, 2005-11-10
参考文献数
16
被引用文献数
3

カルテの電子化を目的に,我々は紙カルテの柔軟性を自然な形で実現するペン入力インタフェースを開発した.このペン入力インタフェースには,入力支援だけでなく,入力したデータをレヴューするための効果的機能が備わっている.しかしながら,ペン入力による手書き文字のままでは2次利用が困難という問題がある.この論文においては,手書き文字に対する高度な枠なし認識機能および検索機能を備えることで,ペン入力インタフェースにおける入力データの2次利用の可能性を示す.枠なし手書き文字に対する認識機能によって,入力の都度,必要に応じて手書き文字からテキストデータに容易に変換することができる.さらに,一連の入力の後,2次利用可能なテキストデータに一括変換することも可能である.加えて,手書き文字の検索機能を使えば,特別なデータベース構造を作らなくても,手書き文字全体の中から目当ての文字列を検索することが可能である.
著者
市原 清志 細萱 茂実 奥谷 竜太 吉本 茂 井藤 一久 亀子 光明 栢森 裕三 高木 康 中野 幸弘 芳賀 利一 本永 秀夫 中 甫
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.280-294, 2006-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
20
被引用文献数
4

Practicality of the guideline “Protocols for determination of limiits of detection and limits of quantitation (EP17)” issued by NCCLS was evaluated both theoretically and experimentally by the JSCC Committee on Quality Management, In this report ISO 11843 document describing the concept of detection limits was reviewed and the NCCLS guideline was interpreted and summarized. The following two modifications were made to the guideline based on results of the evaluation: (1) methods for selection and preparation of blank specimens are presented and (2) use of so-called precision profile, which is constructed from replicate measurement of multiple clinical specimens, was proposed as a practical way of determining limits of quantitation.
著者
木原 玄悟 吉本 勇太 堀 琢磨 高木 周 杵淵 郁也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.865, pp.18-00193, 2018 (Released:2018-09-25)
参考文献数
33

We constructed a coarse-grained (CG) water model based on non-Markovian dissipative particle dynamics (NMDPD) taking into account memory effects. The NMDPD equation of motion was derived from a generalized Langevin equation formulated via the Mori–Zwanzig (MZ) projection operator. We extracted a CG pair potential and memory kernels between clusters comprising 10 water molecules by means of molecular dynamics (MD) simulations. We found that the MZ-guided CG potential followed by an iterative Boltzmann inversion correction resulted in an accurate representation of both a radial distribution function and pressure. Furthermore, in contrast to Markovian DPD, the NMDPD model exploiting MZ-guided memory kernels could reproduce short-time dynamics originating from molecular collisions, which was characterized by decaying nature of a velocity autocorrelation function (VACF). The NMDPD model was also able to reasonably represent the viscosity of the MD system compared to the conventional DPD, where interaction parameters were phenomenologically tuned such that a few macroscopic properties were reproduced, leading to a significant underestimation of a viscosity or Schmidt number. Finally, the differences of the viscosity and long-time behavior of the VACF between MD and NMDPD systems implied the necessity of a more appropriate description for a one-to-one correspondence between a CG particle and a water cluster.
著者
岡田 陽介 高木 佐恵子 岩崎 慶 吉本 富士市
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.13(2007-CG-126), pp.103-108, 2007-02-20

本稿では、人間の顔の3次元形状データを、一般に美しいとされる顔がもつ特徴を有するように変形するシステムについて報告する。変形対象は、眉、目、鼻、口、輪郭とし、形状と配置の美化を行う。美化の程度は、入力パラメータによって制御可能であり、ユーザの好みに合わせた美化モデルを作成できる。提案システムおよび生成された顔モデルについて実験を行った結果、提案システムの有用性を確認した。
著者
吉本 秀之
出版者
国際基督教大学キリスト教と文化研究所
雑誌
人文科学研究 (キリスト教と文化) = Humanities: Christianity and Culture (ISSN:00733938)
巻号頁・発行日
no.43, pp.27-49, 2012-03-31

ボイルが現実に手元において使った書物を明らかにするため、第1に私自身が『ボイル著作集』『ボイル書簡集』の全体にわたる引用分析を行い、第2 にブルガリア人科学史家アヴラモフ並びにロンドン大学歴史学教授マイケル・ハンターとの共同研究により王立協会ボイル草稿の全体をも分析対象として解析を行った。こうした分析結果と初期近代における読書習慣の研究成果に基づき、ボイルの化学的原子論は、ゼンネルトの『自然学覚え書き』(Hypomnemata Physica, 1636)における質的原子論から出発し、ガッサンディの厳密な原子論へと展開したことを論じた。さらに、「ミニマ・ナチュラリア」の伝統にたつゼンネルトの質的原子論においても、「分子」を導入したガッサンディの原子論においても、化学的現象の説明のための化学的粒子の想定が基本にあることを指摘した。