著者
多湖 淳
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.215-220, 2011-04-01
参考文献数
18

国際政治学における計量分析の活用は我が国ではまだ限定的であるが,海外では非常に盛んである.学術誌を見ても計量手法の存在感は圧倒的である.この背景には,合理的選択論を軸とする戦争原因研究の理論的進展とそれに影響された他分野の理論研究に計量手法が大きな役割を果たしてきたことがある.ここでは国家間武力紛争,武力行使,同盟と有志連合という三つのトピックについて最近の研究を紹介し,それを通じて代表的なデータセット,分析単位,手法を明らかにしていく.
著者
多湖 淳
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.2_13-2_35, 2017

<p>国連は第二次世界大戦後の世界において, きわめて重要な意味をもつ国際制度であり続けてきた。特に安全保障理事会 (安保理) は武力行使容認決議によって, 頻繁に軍事制裁行動を加盟国に許可してきた。数多くの軍事行動を行ってきたアメリカも例にもれず, たびたび国連安保理の 「お墨付き」 を得てきた。しかし他方で, すべての事案で決議を得たわけではなく, 場合によってはその決議を得ずに武力行使を行うこともあった。こういった経緯を踏まえ, 本稿は国連の授権決議がもたらす, 功利主義的な観点から 「帰結」 を論じる。そして, ここでは特に拒否権の行使が 「驚き」になり, ゆえに特別の情報を提供するという可能性について検討を行う。友好国である英国やフランスの拒否権が驚きとなり, アメリカの武力行使そのものの評価に大きく影響することをサーベイ実験のデータで示す。</p>
著者
多湖 淳 三船 恒裕 稲増 一憲 大坪 庸介 日道 俊之 小浜 祥子
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究プロジェクトは「集団間の謝罪と赦し」をテーマとして、心理学・政治学の若手研究者が協働し、今までにない分野横断融合研究を実施する。アメリカ政治、国際政治、政治心理学、社会心理学、進化心理学といった多分野の若手研究者が結集し、世界をリードする社会科学研究を推進する。具体的には、心理学のメタ理論を、政治学における集団のアイデンティティや歴史的文脈に関する知見と融合して集団間謝罪の理論として発展させ、文脈や集団の特性を鍵とするような実験シナリオ・刺激を構築し、実験室実験やサーベイ実験により実証する。これにより、集団の抱える歴史的文脈がいかに一般的な心理学的予測を阻害するのかを総合的に解き明かす。
著者
鈴木 基史 飯田 敬輔 石黒 馨 岩波 由香里 栗崎 周平 多湖 淳 石田 淳 小浜 祥子 中山 裕美
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

主な実績として以下の3つを挙げる。最も重要な成果は、本研究計画に即して初年度から進めてきた分析をまとめあげるため、代表者・分担者が下記の題目の論文の作成に着手し、進めたことである。その過程として、9月に研究会を開催して代表者が方向性を提示し、その後、調整を経て各論文の題目と構成の決定を行った。いずれの論文も科研題目「国際制度の衰微と再生の政治経済分析」に合致し、研究計画で予定されている方法を駆使して作成されるものである。石黒馨「貿易協定と貿易戦争の緩衝」、石田淳「事前協議制度と同盟ディレンマの緩和」、岩波由香里「国連平和維持活動と部隊派遣」、鈴木基史「国際開発援助制度の危機とポピュリズムの台頭」、栗崎周平「外交使節制度の進化と国際システムの形成」、飯田敬輔「グローバル貿易レジームと米国リーダーシップの言説」、中山裕美(土井翔平との共著)「 国際難民制度の危機のテキスト分析」、鈴木基史(松尾晃隆・宇治梓紗との共著)「国際金融サーベイランス制度の比較テキスト分析」、多湖淳「非核三原則と国民の認識変化」、小濵祥子(大槻一統との共著)「核抑止制度と第二撃」第二の実績として、2019年6月28日に京都大学において日本学術会議の主催、本科研研究共催の学術フォーラム「グローバル政策ネットワークと国際機関」を主導した。同フォーラムは、本研究課題と合致し、代表者の鈴木が責任者として趣旨説明を行い、分担者の飯田敬輔教授が本科研課題に関連する研究報告を行った。第三に、研究協力者の宇治梓紗京都大学講師が、本科研研究の方法として掲げているサーベイ実験を気候変動制度を対象として実施した。これらの研究の進捗状況の確認と関連研究報告を行うことを趣旨とした研究会の開催を2020年3月に予定していたが、感染問題で中止とせざるを得なかった。その後、メール審議によって進捗状況の確認を行った。
著者
大矢根 聡 宮城 大蔵 佐々木 卓也 村井 良太 井上 正也 多湖 淳 石田 淳 葛谷 彩 福島 啓之 長久 明日香
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

日本の国際関係研究においては理論・歴史間の対話が欠けており、相互刺激に基づく研究上の新たな展開は稀薄である。本研究では、過去および海外の対話状況を検討し、今日可能な理論・歴史対話の条件や方法を考察した。国際関係のマクロ理論の論争や合理的選択論の普及を背景に、理論・歴史対話は困難になっている。しかし日本やアメリカなどでは、理論を換骨奪胎しながらも利用し、歴史研究の対象や観念を転換した例がある。今日、理論的パラダイムを歴史研究に応用し、歴史から抽出したパターン自体を理論化するのは難しい。しかし理論上の基本的概念は、歴史的に吟味すべき課題を抱えており、また歴史的現象を再解釈する手がかりになる。
著者
多湖 淳
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.2_13-2_35, 2017 (Released:2020-12-26)
参考文献数
16

国連は第二次世界大戦後の世界において, きわめて重要な意味をもつ国際制度であり続けてきた。特に安全保障理事会 (安保理) は武力行使容認決議によって, 頻繁に軍事制裁行動を加盟国に許可してきた。数多くの軍事行動を行ってきたアメリカも例にもれず, たびたび国連安保理の 「お墨付き」 を得てきた。しかし他方で, すべての事案で決議を得たわけではなく, 場合によってはその決議を得ずに武力行使を行うこともあった。こういった経緯を踏まえ, 本稿は国連の授権決議がもたらす, 功利主義的な観点から 「帰結」 を論じる。そして, ここでは特に拒否権の行使が 「驚き」になり, ゆえに特別の情報を提供するという可能性について検討を行う。友好国である英国やフランスの拒否権が驚きとなり, アメリカの武力行使そのものの評価に大きく影響することをサーベイ実験のデータで示す。
著者
大矢根 聡 山田 高敬 石田 淳 宮脇 昇 多湖 淳 森 靖夫 西村 邦行
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本の国際関係理論は海外の諸理論の輸入に依存し、独自性に乏しいとされる。本研究は、過去の主要な理論に関して、その輸入の態様を洗い直し、そこに「執拗低音」(丸山真男)のようにみられる独自の問題関心や分析上の傾向を検出した。日本では、先行する歴史・地域研究を背景に、理論研究に必然的に伴う単純化や体系化よりも、現象の両義性・複合性を捉えようとする傾向が強く、また新たな現象と分析方法の中に、平和的変更の手がかりを摸索する場合が顕著にみられた。海外の理論を刺激として、従来からの理念や運動、政策決定に関する関心が、新たな次元と方法を備えたケースも多い。
著者
多湖 淳
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.132, pp.90-103,L10, 2003-02-28 (Released:2010-09-01)
参考文献数
56

The monumental works by Inis Claude Jr. have led many scholars of International Relations to regard collective legitimization as one of the most important mechanism for the institutionalization of international relations. This paper explores the enhancement of international institutions by focusing on the US collective legitimization in the Dominican intervention (1965) and the Cuban Missile Crisis (1962).This paper argues that collective legitimization enhances institutionalization of international relations in two different ways: constraining the US decision about its military actions, and expanding the roles and functions of the formal international organizations. In the case of the Dominican intervention in 1965, due to opposition by other countries in the region, the US failed to continue deployment of its troops, especially the Army and Air Force, as it wished. The US also reluctantly accepted a Brazilian general for the commander of the Inter-American Peace Forces even though it wanted an American commander. In addition to these constraints, as a result of creation of Inter-American Peace Forces, the roles and functions of the OAS were expanded into peace-keeping operations and humanitarian military operations, neither of which was within the scope of the Charter of the OAS.A comparison of the Dominican Intervention in 1965 with the Cuban Missile Crisis shows there are two strategies of collective legitimization: assertive (offensive) legitimization and negative (defensive) legitimization. Assertive legitimization is a strategy whereby the United States tries to show the legality and justice of its military actions by gaining formal support from international institutions. Negative legitimization is a strategy whereby the United States tries to show the legality and justice of its military actions by denying the claim of an enemy or counterpart such as Cuba or the USSR. In the Dominican Intervention, the United States utilized assertive legitimization. The OAS, which legitimized the US position, was institutionalized considerably; but the UN, which was bypassed by the US, was not institutionalized. In the Cuban Missile Crisis, on the other hand, the United States chose negative legitimization. Neither the UN, nor the OAS was institutionalized. From these empirical analyses, this paper provides a new hypothesis that assertive legitimization by the United States enhances institutionalization of international relations more than negative legitimization.