著者
大橋 弘忠
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.442-449, 1998
被引用文献数
1

原子力開発を含む理工学分野に現れる流れのほとんどは,複合的で複雑な性格をもっている。熱流動シミュレーションは,この複雑な熱流動に向けて新しい挑戦を始めたところである。このためには,新しい考え方とそれに基づく新しい解析方法が必要となる。本稿では,これらの複雑な熱流動を対象に行われている新しいシミュレーション手法の研究開発について現状と展望をまとめた。まず,複雑さと複雑流れの特徴を分析し,解析に当たって要求される事項と平均場モデルの特徴を整理した。次に,複雑熱流動解析の主な動向として,界面を含む流れの解析手法とミクロ機構に基づくモデルを取り上げ,それぞれについて基礎となる考え方と現状,課題をまとめた。
著者
秋山 守 大橋 弘忠 太組 健児 篠原 慶邦 広瀬 正史 伴 博之 粕谷 俊郎
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.103-111, 1994

The super-simulator is a conceptual name for future innovative simulators of nuclear power plants which surpass, to a large extent, the capabilities and performances of existing nuclear power plant simulators for operator training, plant analyzers for engineering studies or computer codes for dynamics analysis. Such super-simulators will be realized by employing highly advanced methods of mathematical modeling of the physical chemical and other related processes in the nuclear power plants and innovative methods of numerical computation using rapidly evolving high performance computing systems.
著者
大橋 弘忠
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 = Journal of the Atomic Energy Society of Japan (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.732-736, 2010-11-01

<p> 我が国では近年,いくつかの原子力発電所で設計想定を超える大きな地震動がもたらされたが,地震による被害は軽微なものであり,原子力発電所の安全は確保された。それにもかかわらず,国民の間では設計想定を少しでも超える地震動が発生すると原子力発電所の多くの設備が損傷するのではないかという懸念が拡がり,地震に対する原子力発電所の安全性を改めて見える形にしていくことが求められている。これを受けて,日本原子力学会原子力発電所地震安全特別専門委員会では,安全分科会において,地震に対する安全確保の基準,考え方,評価の方法など多方面からの再検討を行い,地震安全の論理を取りまとめたのでその概要を紹介する。</p>
著者
大橋 弘忠 成宮 祥介 宮田 浩一 渡邉 憲夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.402-405, 2010-12-15

<p>原子力の安全確保は,実際に起こるかも知れない不具合に備える現実的な側面と,防護の考え方として,代表性と包括性をもって評価・確認の手段と方法を定めておくという論理構造の側面をもっている.地震に関しては,これまで後者の原子力安全の論理における位置づけがあいまいだった.このたび,地震時の安全性について,原子力安全の論理に対応させて検討し,基本的な考え方の明確化と,これに伴う課題の整理を行った.</p>
著者
大橋 弘忠 成宮 祥介 宮田 浩一 渡邉 憲夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.402-405, 2010-12-15 (Released:2016-09-30)

原子力の安全確保は,実際に起こるかも知れない不具合に備える現実的な側面と,防護の考え方として,代表性と包括性をもって評価・確認の手段と方法を定めておくという論理構造の側面をもっている.地震に関しては,これまで後者の原子力安全の論理における位置づけがあいまいだった.このたび,地震時の安全性について,原子力安全の論理に対応させて検討し,基本的な考え方の明確化と,これに伴う課題の整理を行った.
著者
大橋 弘史 Steven R. SHERMAN
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.439-451, 2008 (Released:2012-03-02)
参考文献数
21
被引用文献数
2

Tritium migration behavior in the next-generation nuclear plant (NGNP) employing a high-temperature electrolysis (HTE) process to produce hydrogen is estimated by numerical analysis. Estimated tritium concentrations in the hydrogen product and tertiary heat transport fluid in heat exchangers in the HTE process are higher than the limit in drinking water defined by the U.S. Environmental Protection Agency (EPA) and in the effluent at the boundary of an unrestricted area defined by the U.S. Nuclear Regulatory Commission (NRC), respectively. The effects of some countermeasures (i.e., reducing tritium release rate, increasing purification system capacity, removing tritium at high-temperature positions in the heat transport fluids, reducing the permeability of heat exchangers, and hydrogen or water injection in the heat transport fluids) to reduce tritium concentrations in the hydrogen product and tertiary heat transport fluid are proposed and evaluated. The alternative countermeasure proposed in this study to decrease the tritium permeation rate by water injection, which produces HTO from HT according to an isotope exchange reaction (HT+H2O=H2+HTO) in the heat transport fluids, is effective for decreasing the tritium concentrations.
著者
ミットロモジュムダール ドッキナロンジョン 大橋 弘美 森 日出樹
出版者
松山東雲女子大学人文科学部紀要委員会
雑誌
松山東雲女子大学人文科学部紀要 = Annual bulletin of the Faculty of Human Sciences, Matsuyama Shinonome College (ISSN:2185808X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.81-100, 2016-03

ドッキナロンジョン・ミットロモジュムダール(Dakshin・ārañjan Mitramajumdār 1877- 1957)は生まれ育った東ベンガル(現バングラデシュ)で親しまれていたベンガル地方の昔話に魅了され、自ら採話した昔話編纂集である『おばあさんのお話袋-ベンガルの昔話』(Ṭhākurmār Jhuli: Bānglār Rūpkathā)を、1907年にコルカタで出版した。 本稿では、ベンガル語のオリジナルテキストの第2 部から「金の杖 銀の杖」、第3 部から「デル・アングレ、指一本半の大きさの男の子」を訳出した。「金の杖 銀の杖」は、王子とラッコシ(羅刹鬼)との闘いや王女の獲得等、お決まりのモティーフがちりばめられた冒険譚である。 「デル・アングレ、指一本半の男の子」では、指一本半の大きさに生まれついた男の子が、王様に身売りした樵の父親を取り戻すために冒険をする。ベンガル語ならではの数を表す言葉が語呂合わせのように多用されているのも面白い。Dakshinaranjan Mitramajumdar (1877-1957), who was born in east Bengal (now Bangladesh), had been fascinated by Bengali folktales since his childhood and published "Ṭhākurmār Jhuli: Bānglār Rūpkathā (Grandmother's Bag of Tales)," a collection of Bengali folktales, in Kolkata in 1907. This is a Japanese translation of two stories from parts II and III of the original Bengali text. The first one, "Sonār Kāṭī Rūpār Kāṭī (Golden Stick, Silver Stick) ," is an adventure story in which a prince fights against monsters (rakshas) and eventually marries a princess. In the second story, "Deṛ Āṅgle (One-and-a-half finger-size boy)," a very small size boy has an adventure to bring back his father.
著者
坂場 成昭 佐藤 博之 大橋 弘史 西原 哲夫 國富 一彦
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.262, 2007

原子力機構では、HTTRに接続させる熱化学水素製造法ISプロセスの設計研究を進めている。商用段階における経済性向上のためには、HTTRに接続するISプロセスを一般化学プラントの規格基準を用いて非原子力級にて設計、製作、管理することが重要である。本報では、非原子力級化に必要となるR&D項目について述べる。
著者
今久保 伸二 中土 保 大橋 弘嗣
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.249-249, 2003

【はじめに】股関節外転筋力は歩容に大きく影響する。この度、人工股関節全置換術(THA)の前後において筋力が同等であるが、術後早期に歩容改善を認めた症例を経験した。そこで力学的な側面から検討を加え、歩容の安定化に影響した要因を調査した。【対象】57歳女性、身長148cm、体重50kgで左右とも進行期変形性股関節症であった。【経過】平成2年から左股関節の疼痛を自覚し、他院受診し変股症の診断を受け保存療法を継続していた。疼痛増悪にて平成13年2月当院整形外科を受診、当部において荷重下での運動療法を開始する。経過良好であったが、平成14年7月ごろより再度疼痛増悪し、平成14年10月に左THA施行にいたる。【方法】三次元動作解析装置(バイコン512)を使用し、術前と術後14日目の静止立位・片脚立位および歩行時における股関節内転角、モーメントおよび反対側骨盤挙上角度を求め、術前後の値を比較した。歩行速度は自由歩行とした。なおキンコム500Hを用い術前後に股外転筋力測定を行い、側臥位にて股関節中間位より最大等尺性収縮を5秒間記録し、その中の3秒間の値を平均し実測値とした。【結果】(1)実測値は術前67Nm、術後60Nm。(2)片脚立位時の最大内転角は、基準となる立位と比較して術前3.5度外転位、術後2.7度内転位で、その際反対側骨盤挙上は3.6度と1.1度であった。(3)片脚立位時の最大内転モーメントは術前15.3Nm、術後13.9Nmで、それぞれ最大内転後0.2秒後と0.17秒後であった。(4)歩行立脚期における股関節最大内転角は、術前13.5度、術後8.4度で、それぞれ踵接地から0.16秒後と0.19秒後であった。また同時期の反対側骨盤の下制は6.2度と2.8度であった。(5)歩行立脚期の股関節最大内転モーメントは術前23.8Nm、術後33.1Nmで、それぞれ最大内転後0.08秒後と0.07秒後であった。【考察】術前後ともに実測の股関節外転トルク値は、歩行および片脚立位時内転モーメントを大きく上回り、筋力的には十分と考えられる。その中で術前は股関節外転位・骨盤挙上にて片脚立位を安定化させる代償性の姿勢を取り、歩行立脚期には過度の骨盤下制を認めた。しかし術後は14日目という早期でありながら、股関節内転位で片脚立位が可能となり、より正常に近い姿勢が保てるようになった。その際モーメントの立ち上がり時間に遅延を認めたが、これは予測しにくい片足立ちという動作の特性が影響したと考える。また一般に変股症患者の歩行では、筋収縮タイミングの遅延が認められる。本症例においては術前において歩行中アライメントの崩れを認めたものの、モーメントの立ち上がりに関する遅延は認めなかった。荷重時のモーメントの立ち上がりが術前で失われなかったことが、早期の歩容改善をもたらした要因ではないかと考える。
著者
岡田 羊祐 林 秀弥 大橋 弘 岡室 博之 松島 法明 武田 邦宣 中川 晶比兒
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、独禁法違反事件に係る審判決を素材として、日本の判例法的展開を、経済学の一分野である産業組織論の視点から分析・評価したものである。日本では、米国・EUと比較して、独禁法の判例研究が経済分析を刺激するプロセスが十分に機能してこなかった。そのため、経済合理性の視点からみて特異な判断が採用されてきたこともあった。この空隙を埋めるべく、経済学者と法学者が共同して独禁法の審判決の違法性判断基準を理論的・実証的に分析した。その結果、近年、日本の独禁法審判決は、一部の行為類型、特にカルテル・談合、企業合併などの分野において、徐々に経済学的にみて合理的な判断基準が採用されつつあることが明らかとなった。
著者
小崎 完 水野 忠彦 大橋 弘士
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

申請書の研究計画・方法に従い、購入機器のセットを行い、あわせてそれらを一括制御するためのコンピュータプログラムを作成し、電解研磨中の電流あるいは電位変動の連続的な測定記録を可能するシステムの構築を行った。つぎに、このシステムを用いて、放射性腐食生成物を模擬した酸化皮膜を形成した304ステンレス鋼を燐酸溶液中で定電位電解研磨した際の電流変動の観察を行った。この場合、燐酸濃度は28vol%とし、ステンレス鋼はあらかじめ電気炉において600℃で一定時間酸化させたものを用いた。電解研磨の際に観察された電流変動スペクトルを、最大エントロピー法(MEM)によって解析した結果、0.01Hz〜10Hzの周波数範囲で、比較的再現性のある周波数スペクトルが認められた。特に、0.1Hz〜10Hzの周波数範囲においては、両対数グラフ上で直線関係を示し、その傾きが-1から-4となった。この傾きは電解研磨開始直後には比較的高い値を示すが、研磨が進行するにつれて徐々に-3以下の低い値に落ち着く傾向のあることを見い出した。それらの傾きと測定電流値の平均あるいは分散値との相関については今後の課題である。以上の観点から、電解研磨除染時の電流変動を観察しその周波数スペクトルの傾きに着目することにより、除染進行状態をモニターできる可能性が認められた。ただし、現段階においては、ステンレス鋼試料上の酸化皮膜の厚さ、撹拌、温度、電解液濃度などのパラメーターについて十分に把握していないので、今後これらについてのデータを精力的に収集するとともに、従来用いられてきた除染条件の再評価及び最適除染条件の提案を行う。
著者
橋本 康弘 陳Yu 大橋弘忠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.85, pp.63-66, 2008-09-11

本研究ではソーシャルコミュニケーションの時系列データからネットワークの時系列を構築し,コミュニティ検出によってコミュニティ構造の時間発展を捉える.そして,分裂・融合を繰り返すコミュニティの遍歴を視覚的に理解するためのインタラクティブ性の高い可視化手法を実現することで,人間行動をモデル化する前段階としてのシナリオを語る枠組みを提案する.We introduce a new framework that enables us to discuss a probable scenario derived from insights on human behavior by developing a highly interactive visualization method for visualizing human community evolution. First, we create a number of successive networks from the time-series data on social communication, and then, extract and visualize a hidden dynamic structure of evolving communities by integrating some recently developed methods.