著者
長内 厚 土屋 裕太郎 大野 貴弘
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.401-408, 2023 (Released:2023-05-01)
参考文献数
34

従来のユーザ・イノベーションは,ユーザの情報発信力は限定され,個別のユーザの情報は企業が集約して拾い集めることを前提として,ユーザを巻き込みながらも,製品や製品に関する情報は企業が統制し,市場に提供するという形態であった.しかし,ソーシャルメディアが個人の発信力を強化し,ユーチューバーが職業として成立するように個人の発信が収益化を伴うビジネスになると,製品情報の統制は企業の専有物ではなくなり,企業のコントロールの効かないところで個人が発信し,個人が発信した情報が収益化に結びつく状況になっている.ソーシャルメディアの普及に伴い,ユーザ・イノベーションは必ずしも企業の収益に結びつくとは限らず,ユーザ・イノベーションが企業の利害と対立する状況があるのではないかということが,本研究の大きな問いである.この問いを検討するため,ロバート・インの個別事例研究法を用い,資生堂とアルビオンの化粧品開発事例の定性分析から探索的な問いを求めた.
著者
藤井 洋泉 大谷 彰一郎 倉迫 直子 石津 友子 田中 利明 香曽我部 義則 時岡 宏明 大野 貴司
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.49-53, 1998-01-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(staphylococcal scalded skin syndrome; SSSS)は一般的に乳幼児の疾患とされており,成人発症型はきわめて稀である。今回,椎体・膝関節炎を契機として発症した成人型SSSSを経験した。68歳,男性,腰痛,膝関節腫脹のため当院整形外科に入院し,第3病日より頸部,前胸部,四肢にびまん性紅斑,弛緩性水疱が出現した。Nikolsky現象は陽性であった。高熱,意識障害が出現し,呼吸・循環動態が悪化したためICU入室となった。膝関節液,動脈血より黄色ブドウ球菌を検出し,組織像は皮膚顆粒層の切断による表皮剥離であり,表皮剥脱性毒素(exfoliative toxin; ET)の産生能を認めたため成人型SSSSと診断した。乳幼児では予後良好だが,成人型は死亡率が高く予後不良であり,早期よりの強力な抗生剤投与と集中治療により救命できた。多くの成人型SSSSは免疫能低下患者に発生するが,本症例は明らかな基礎疾患の合併なく発症した稀な1症例である。
著者
山口 麻里 山本 彩乃 安富 陽平 長尾 洋 大野 貴司 森 英樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.245-249, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
17

症例は70歳代,男性。眼の違和感に対し市販の点眼薬を使用開始したところ,眼囲に瘙痒を伴う紅斑,腫脹が出現した。点眼薬の使用を中止の上,ステロイド軟膏の外用を行い,数日間で症状は軽快した。パッチテストでは,点眼薬で陽性。成分パッチテストではアミノカプロン酸で陽性だった。アミノカプロン酸はかつては止血剤として使用されていた抗プラスミン剤だが,現在医療用剤は販売終了している。しかし,止血,抗アレルギー,抗炎症作用と様々な作用を有するため,現在でも医薬品や医薬部外品の成分・添加物として汎用されている。日常生活品にも多岐にわたって使用されており,アミノカプロン酸に対しアレルギーを有する患者は注意が必要である。 (皮膚の科学,17 : 245-249, 2018)
著者
金井 圭介 大野 貴弘 石塚宏紀 伊藤花乃子 澤 義和 三尋木織 戸辺 義人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.18, pp.141-148, 2008-02-27

生活を支援するという点で一番身近であることからオフィス,ホームがユビキタスコンピューティングの対象として取り上げられることが多かった.今後は,生活空間の延長である都市全体をすっぽりと包んで,屋内と屋外とがシームレスにユビキタスコンピューティングで自由に行き来できる世界を構築したいと我々は考える.それに伴い,コンピュータで処理できる情報を取得する過程で必要とされるセンシングも,都市全体をカバーする領域へと拡大する.我々はこれをアーバンセンシングと呼ぶ.本稿では,アーバンセンシングの第一歩となる取組みについて述べる.Offices and Homes have been a main target for ubiquitous computing because these are the closest to our daily lives. We hope to construct a world of ubiquitous computing in the city in such a way that we can move back and forth between indoor and outdoor seamlessly. To achieve that goal, we need to extend sensing to the whole area of a city, which is referred to as urban sensing. In this paper we describe the first step towards urban sensing.
著者
岩月 啓氏 大野 貴司 山崎 修
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.Suppl.7, pp.B29-B32, 2006 (Released:2011-03-11)
参考文献数
16

アトピー性皮膚炎の増悪因子の一つとして黄色ブドウ球菌は重要である。黄色ブドウ球菌表面のタイコ酸はTh2型免疫応答へシフトさせ,protein Aは表皮角化細胞からIL-18を持続的に産生させる。Enterotoxin A(SEA)とB(SEB)は,正常表皮角化細胞にICAM-1 やHLA-DRを発現させる。また,アトピー性皮膚炎患者の半数以上はSEAまたはSEBの両方あるいはいずれか一方に対するIgE型抗体を有する。SEBの経表皮的感作によって真皮に好酸球や単核球細胞浸潤を誘導でき,Th2型サイトカインであるIL-4 mRNA発現を起こすが,Th1型サイトカインのIFN-γは発現しない。最近,スーパー抗原によって制御T細胞(Treg)の機能である抑制効果が失われることが示された。黄色ブドウ球菌はその菌体成分や外毒素によってアトピー性皮膚炎を増悪させる。しかし,皮膚に定着している黄色ブドウ球菌を完全に除菌し,無菌状態に保つことはできない。角層内でバイオフィルムに包まれて静止期にあるような定着(colonization)した黄色ブドウ球菌に対しては,抗菌療法も消毒も十分な効果発現は期待できない。皮膚を清潔に保ち,適切なアトピー性皮膚炎治療を実施することにより,黄色ブドウ球菌を増えすぎないようにコントロールして,正常細菌叢と仲良くするストラテジーが理想的と思われる。
著者
川端 邦明 石山 博紀 白崎 令人 大野 貴裕 羽成 敏秀 谷藤 祐太
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1P2-L01, 2018

<p>This paper describes the development of a prototype of a test field for accessing the primary containment vessel (PCV) in the reactor building of Fukushima Daiichi Nuclear Power Stations (FDNPS). A possible access route to the inside of PCV includes CRD (Control Rod Drive) rail part for maintenance and exchange of CRD. In the practical tasks at reactor building Unit 2, remotely operated robots passed thorough there for the tasks. We designed test field that is a simplified CRD rail part with insertion section for the robot and constructed a prototype. In this paper, we described the design and the characteristics of developed prototype in detail.</p>
著者
大場 眞理子 安藤 哲也 宮崎 隆穂 川村 則行 濱田 孝 大野 貴子 龍田 直子 苅部 正巳 近喰 ふじ子 吾郷 晋浩 小牧 元 石川 俊男
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.315-324, 2002-05-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
16
被引用文献数
3

家族環境からみた摂食障害の危険因子について調べるために,「先行体験」「患者からみた親の養育態度」について,患者からよく聞かれるキーワードを用いて質問表を作成し,健常対照群と比較検討した.その結果,「母親に甘えられずさびしい」がどの病型でも危険因子として抽出された.また患者群全体で「父親との接点が乏しい」も抽出され父親の役割との関連性も見直す必要性があると思われた.さらにANbpとBNにおいては,「両親間の不和」「両親の別居・離婚」といった先行体験の項目も抽出され,"むちゃ食い"が家庭内のストレス状況に対する対処行動としての意味合いをもつのではないかと考えられた.
著者
重広 孝則 大野 貴彦
出版者
広島工業大学
雑誌
広島工業大学研究紀要 (ISSN:03851672)
巻号頁・発行日
no.34, pp.15-21, 2000-02

This paper describes the realization of an inductor using transistor mutators with differentiators which are suitable for operation in high frequency. The mutator is an active two-port linear network for transforming one type of nonlinear network element into another type. A proposed biquadratic filter realizes some kinds of second order transfer functions. The filter circuit is composed of differential mutators operating under the low power dissipation. Taking account of the imperfection of transistors,an analysis of the circuit at high frequency range and its discussion are performed. Next,the worst-cases sensitivity between integral mutators and differential mutators is estimated. It can be seen from the simulation results that good characteristics are obtained in high frequencies around several 10MHz. As a result,the availability of the proposed circuit is confirmed.
著者
北川 秀夫 大野 貴 三好 孝典 寺嶋 一彦
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.343-349, 2009 (Released:2011-11-15)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

Holonomic omnidirectional mobile robot is useful with its high mobility in narrow or crowded place, and omnidirectional robot equipped with normal tires is desired for difference excess, vibration suppression and riding comfort. Caster-drive mechanism using normal tire has been developed to realize a holonomic omnidiredctional robot, however, there remains some problems. This paper presents effective systems to control the caster-drive wheels of omnidirectional mobile robot. Two kinds of Differential-Drive Steering System (DDSS) are proposed to improve the operation ratio of motors. One is using bevel pair gear and the other is using planetary gear to generate driving and steering torque effectively from two motors. Simulation results show the proposed system is effective for holonomic omnidirectional mobile robots.
著者
山本 達也 大野 貴司 棟田 雅也
出版者
岐阜経済大学地域経済研究所
雑誌
地域経済 (ISSN:03866122)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.25-40, 2014-03

大垣市の経済・産業と地域づくりEconomy, industry and regional development in Ogaki City共同研究報告IICollaborative Research Report II
著者
大場 眞理子 安藤 哲也 宮崎 隆穂 川村 則行 濱田 孝 大野 貴子 龍田 直子 苅部 正巳 近喰 ふじ子 吾郷 晋浩 小牧 元 石川 俊男
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.315-324, 2002-05-01
被引用文献数
5

家族環境からみた摂食障害の危険因子について調べるために,「先行体験」「患者からみた親の養育態度」について,患者からよく聞かれるキーワードを用いて質問表を作成し,健常対照群と比較検討した.その結果,「母親に甘えられずさびしい」がどの病型でも危険因子として抽出された.また患者群全体で「父親との接点が乏しい」も抽出され父親の役割との関連性も見直す必要性があると思われた.さらにANbpとBNにおいては,「両親間の不和」「両親の別居・離婚」といった先行体験の項目も抽出され,"むちゃ食い"が家庭内のストレス状況に対する対処行動としての意味合いをもつのではないかと考えられた.