著者
西村 太志
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.53-61, 2019-06-30 (Released:2019-07-06)
参考文献数
14

Eruptive activities of volcanoes are examined by using a global data catalog of volcanoes provided from Smithsonian Institution. Yearly numbers of volcanic eruptions with a volcanic explosivity index (VEI) larger than or equal to 2 are almost constant from 1900, and the frequency distribution of the magnitude of volcanic eruptions obeys a power law in the range of VEI≥2. About 10 to 30% of volcanic eruptions with VEI≤2 end within one day, and 8 to 15% continue for more than 1 year. On the other hand, a few percentages of large eruptions with VEI≥3 end for a few days, and 25-30% continue for more than 1 year. Once an eruption occurs, the occurrence possibility of new eruptions at volcanoes locating within a 100km distance increases about 30% for 0.2 year. When the volcanoes locating at a region with a radius of 200km are examined together, yearly numbers of eruptions per volcano fluctuate within a factor of three for a few tens of years at more than about 90% of the regions. Frequency distribution of the yearly number of eruptions follows an exponential decay, which suggests an existence of a characteristic frequency of the eruptive activity on the globe. These averaged features of eruptive activities at volcanoes around the world can be used to give some basic characteristics of the occurrence of new eruptions.
著者
相馬 敏彦 西村 太志 高垣 小夏
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.23-37, 2017-07-01 (Released:2017-04-10)
参考文献数
34

攻撃性の強い人はどのような相互作用状況でも攻撃的に振る舞うだろうか。先行研究は,親密な関係を対象に,攻撃性と攻撃行動との関連が,挑発的な行為がありかつ自己制御資源に乏しい場合に顕著となることを示している。そこで大学生64名を対象とする相互作用実験を行った。参加者は攻撃性に関するアンケートに回答後,協調的もしくは非協調的な相手とテレビゲームを行った。その後注意資源を要する計数課題を行い,最後にゲームの相手に与えられることになる嫌悪的飲料の個数を選択した。階層的二項ロジスティック回帰分析の結果,制御資源が枯渇しやすく(制御課題に時間を要し),かつ相手から挑発的行為(非協調的な相手)があった場合に,攻撃性は嫌悪的飲料の個数を予測した。これらの結果は,先行研究の知見が,親密な関係からそうでない関係へと一般化可能であることを示している。
著者
柳澤 邦昭 西村 太志 浦 光博
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.89-102, 2010 (Released:2010-08-19)
参考文献数
29
被引用文献数
3 4

本研究では,親しい他者,親しくない他者を選択する際の特性自尊心の影響について,および選択における社会的拒絶の調整効果について,杉浦(2003)の説得納得ゲームを用いて検討した。ゲームは90名の大学新入生を対象に実施した。ゲームの特徴を利用し,説得者が説得した人数を従属変数として,セッション1(S1)とセッション2(S2)の説得者を別々に分析した。その結果,S1の他者選択(すなわちゲーム開始直後)では,高自尊心者は低自尊心者よりも親しくない他者との相互作用を多く選択することが示された。同様の効果は,親しい他者の選択においては認められなかった。このような自尊心の影響に加え,S2の他者選択では,S1納得者の際に他者から相互作用を求められる頻度,すなわち社会的拒絶の経験の有無によって,他者選択が調整されることが示された。特に,拒絶を経験した群において,高自尊心者は低自尊心者よりも親しくない他者を積極的に選択することが示された。このような効果は拒絶を経験していない群においては認められなかった。さらに,親しい他者の選択においても認められなかった。これらの結果を踏まえ,特性自尊心が社会的状況における対人選択に及ぼす影響について,さらに社会的拒絶が及ぼす影響について議論された。
著者
柳澤 邦昭 西村 太志
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.93-103, 2009 (Released:2009-08-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

本研究では,他者との相互作用場面における他者選択について自尊心の差異が及ぼす影響を杉浦(2003)の説得納得ゲームを用いて検討を行った。特に説得者の自尊心の差異でゲーム中に相互作用する納得者の選択様相が異なるかどうかに着目して検討した。105名の大学生がゲームに参加した。分析の結果,以下のことが示された。(1)説得者の自尊心の差異に関わらず,ゲーム開始直後のセッション(セッション1)より,後のセッション(セッション2)で説得者は多くの相互作用対象他者を選んでいた。(2)また,セッション1では説得者側,納得者側ともに相互作用した人数と相互作用満足度に正の相関があった。(3)さらに,セッション1において他者との相互作用満足度が低い場合,高自尊心者はセッション2で低自尊心者を相互作用対象他者として選択することが示された。以上の結果から,自尊心の差異により他者との相互作用場面における他者選択様相の異なる側面が伺えた。特に,高自尊心者は一時的に状態自尊心が低下している場合に,自尊心の回復を促進することを目的として低自尊心者を選択していると示唆される。
著者
西村 太志
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-05-19

2016年熊本地震では、2016年4月14日21時のM6.5の約1日後の16日1時25分にM7.3の地震が発生した。内陸でさらに大きな地震が続けて起きることは珍しく、希な現象が起きたと考えられる。また、余震数が多く大分の別府地域でも地震活動が活発化したことに加え、2015年11月14日に南東部の鹿児島沖でM7.0の地震が発生していること、一連の地震は中央構造線につながる別府島原地溝帯で起きていること、などから、周辺地域での大地震のさらなる発生が懸念されている。また、阿蘇山や九重山など、火山活動の活発化も懸念されている。本研究では、今回の地震活動の特異性や周辺地域への影響を考えるために、世界で観測されている地震のデータをもとに、大地震の連発性と周辺火山への影響を統計的に評価したので、報告する。 地震データは、現在コロンビア大学が管理するCMT解(いわゆる、ハーバードCMT解)を利用した。1976年から2015年までの40年間の浅発地震(深さ70km以浅)のCMT解のマグニチュードとセントロイドの位置データを用いた。また、火山との関係では、NOAAによるGlobal Significant Earthquake Database、Smithsonian InstituteによるGlobal Volcanism Programの火山データベースを利用した。 M6以上の地震(4176個)を検索した結果、M6.0以上の大地震の発生から2週間以内に、その地震より大きな地震が水平距離100km以内に起きる例は、約3 %であることがわかった。また、M6クラスからM7クラス以上になる地震は0.3%であった。従って、今回の熊本地震のような例は、世界でも珍しい事象といえる。 さらに、大地震がある地域で発生した場合、周辺で同規模あるいはそれ以上の地震がどの程度発生するかを調べた。M7.0以上の地震について、発生時間からの経過時間Tと震央距離D内で起きた地震を連発地震と考える。T=7, 14, 30, 60, 180, 365, 730 days, D=25,50, …, 2000 kmについて、40年間に世界で発生した連発地震の数を調べた。なお、3個以上の地震が連発することも想定し、Dは連発した地震間の距離をもとに微調整した。さらに、連発地震の発生頻度を評価するため、地震の発生位置は固定する一方、時間的にはランダムにしたデータを作成し、連発地震数を調べた(これを通常レベルとする)。その結果、ある大地震が発生した後の数週間は、距離1000km程度までの領域で、連発地震の発生数は通常レベルよりも数倍以上大きくなることがわかった。また、経過時間とともに、発生数が通常レベルに近づき、かつ、領域が小さくなることがわかった。 続いて、大地震による火山活動の活発化を調べるため、大地震の発生からの経過時間と距離による、火山噴火発生数の変化を調べた。データが十分記録されていると考えられるM7.6以上およびVEI(爆発指数)2以上の噴火の1900年から2015年のデータを調べた。その結果、地震からの水平距離から200km程度以内の火山噴火数が増加することが明らかとなった。 以上のように、大地震の発生後の、大地震や火山噴火の発生の確率を経験的に調べることができる。大地震の連発性や火山噴火の誘発例は必ずしも多くはないが、大地震後に起きる活動のシナリオを、火山噴火予測で用いられるような噴火事象系統樹のように、確率を用いて表示することは、地震活動を俯瞰的に理解するために役立てられると考えられる。
著者
西村 太志 内田 東
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.387-391, 2005
参考文献数
11

We analyze five explosion earthquakes observed at Asama volcano in 2004. The main phase consisting of Rayleigh wave is well explained by a vertical downward single force with peak amplitude of 10<sup>10</sup>-10<sup>11</sup> N and pulse width of 5-6s. These source parameters are in the range expected from a scaling relation presented by Nishimura and Hamaguchi (1993), which suggests that the 2004 explosions of Asama volcano are typical Vulcanian eruptions. The internal pressure built up beneath the crater is estimated to be 0.2-1.5MPa, which tends to become large after the formation of lava dome in the crater.
著者
西村 太志 内田 裕之 原 夕紀
出版者
東亜大学
雑誌
総合人間科学 : 東亜大学総合人間・文化学部紀要 (ISSN:13461850)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.87-95, 2006-03

本論文は,心理学における研究手法の一つである調査的面接技法について、心理学の研究法の初学者を対象に演習を行った際の手法や工夫した点、結果のまとめ方などについて取り上げた。調査的面接技法は、質問紙調査や実験的手法では得ることのできない、非言語的な対象者の反応や、時間的流れの中での反応を測定することのできる手法であり、卒業研究などにおいても取られうる手法として、心理学分野のみならず幅広く用いられるものである。本論文は特に、(1)心理学の研究技法における面接法の位置づけ、(2)今年度心理学演習で実施した調査的面接法実習の内容、およびそのノウハウ、(3)演習において実際に学生が行った結果のまとめ、ならびに資料としてのプレゼンテーションの仕方、について、次年度以降学習する学生の手引きとなりうる形でまとめたものである。
著者
西村 太志 浦 光博
出版者
広島国際大学心理科学部
雑誌
広島国際大学心理科学部紀要 = The bulletin of Faculty of Psychological Science, Hiroshima International University (ISSN:21883734)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.37-49, 2013

本研究は,自己評価動機の顕現化と参照他者の選択の様相が,自尊心の程度によって異なることについて,マインドセット理論を援用した検討を行った。熟慮、マインドセット状態において,低自尊心者は自己関連情報の収集を志向する,すなわち自己査定的な動機が高まるが,実際の情報収集の時点では自己防衛バイアスの影響を受けた選択が行われると予測した。将来の目標を想定させる場面を設定し,102名の大学生・短大生を対象に思考時間を操作する調査実験形式で実施した。その結果,低自尊心者は相対的に長時間思考した際には,自己査定動機の顕現化の程度を持続し続けるが,選択する他者の属性は客観性に乏しい人物であることが明らかとなった。さらに,自己査定動機のみならず自己高揚動機の自己防衛的側面も顕現化していることが示された。低自尊心者が長時間の思考をした場合,正確性への志向性を持つと同時に情報の獲得は自己防衛の影響を受けていた。低自尊心者の自己関連情報に関する判断の質や,状況の特質に応じた自己関連情報の獲得の可能性について議論された。
著者
西村 太志 浦 光博
出版者
広島国際大学心理科学部
雑誌
広島国際大学心理科学部紀要 = The bulletin of Faculty of Psychological Science, Hiroshima International University (ISSN:21883734)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.37-49, 2013

本研究は,自己評価動機の顕現化と参照他者の選択の様相が,自尊心の程度によって異なることについて,マインドセット理論を援用した検討を行った。熟慮、マインドセット状態において,低自尊心者は自己関連情報の収集を志向する,すなわち自己査定的な動機が高まるが,実際の情報収集の時点では自己防衛バイアスの影響を受けた選択が行われると予測した。将来の目標を想定させる場面を設定し,102名の大学生・短大生を対象に思考時間を操作する調査実験形式で実施した。その結果,低自尊心者は相対的に長時間思考した際には,自己査定動機の顕現化の程度を持続し続けるが,選択する他者の属性は客観性に乏しい人物であることが明らかとなった。さらに,自己査定動機のみならず自己高揚動機の自己防衛的側面も顕現化していることが示された。低自尊心者が長時間の思考をした場合,正確性への志向性を持つと同時に情報の獲得は自己防衛の影響を受けていた。低自尊心者の自己関連情報に関する判断の質や,状況の特質に応じた自己関連情報の獲得の可能性について議論された。
著者
鍵山 恒臣 筒井 智樹 三ヶ田 均 森田 裕一 松島 健 井口 正人 及川 純 山岡 耕春 熊谷 博之 西村 裕一 宮町 宏樹 渡辺 了 西村 太志 高木 朗充 山本 圭吾 浜口 博之 岡田 弘 前川 徳光 大島 弘光 植木 貞人 橋本 恵一 仁田 交一 茂原 諭 中道 治久 汐見 勝彦 中原 恒 青木 重樹 青地 秀雄 井田 喜明
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2/4, pp.33-60, 1996-03-15

In recent years, investigations on the structures of volcanoes have been noteworthy for further understanding volcanic processes, including locations of magma reservoirs, magma rising process before eruptions and causes of related phenomena. In 1994, a joint experiment was conducted on Kirishima Volcanoes, Southern Kyushu, to reveal the structure and the magma supply system by a group of scientists from national universities under the National Research Project for the Prediction of Volcanic Eruptions. The experiment was carried out by seismological, electromagnetic and other geophysical methods. The following seven papers including this one present some results of the experiments. This paper outlines a seismic explosion experiment in Kirishima, and presents all data on the first motion. An extensive explosion seismic experiment was conducted on December 1, 1994. Observations were made along a 30-km major line lying in the NNW-SSE direction and other sub-lines which cross the major line in and around the Kirishima Volcanoes. Along these lines, 6 shots with a charge size of 200-250 kg, and 163 temporary observations were arranged by many universities and institutes. A newly developed data logger was used for these temporal observations, and the position of each site was determined by GPS. All 6 shots were successfully fired, and clear onset and significant phases were observed at most observation sites. A travel time diagram suggests that a high velocity layer crops out south of the Kirishima Volcanoes, while in the Kirishima Volcanoes, this layer is covered with a lower velocity layer, which is thick at the northern part. It is also suggested that a structural discontinuity exists between S3 and S4.
著者
井田 喜明 田中 良和 西村 太志 小屋口 剛博 谷口 宏充 岡田 弘
出版者
兵庫県立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

本特定領域研究の目的は、火山爆発の素過程や発生機構について学術的な理解を深め、火山災害の軽減に寄与することである。その基礎として、火山爆発の性質を詳細に調べるために、「火山探査移動観測ステーション」が開発され、火口近傍での観測や試料採取、機器の設置を遠隔操作で行うことが可能になった。広帯域地震計や空振計などを用いた観測が、小爆発を繰り返す複数の火山で実施され、爆発に先立って特徴的な膨張や収縮が存在することがつきとめられ、爆発直前に進行する物理過程が明らかにされた。地下のマグマの上昇過程については、室内実験や理論的な考察によって、脱ガスやマグマ破砕の機構が究明された。また、シミュレーションによって、噴火の爆発性を決める原理が見出され、地殻変動の加速性がそれを予測する手段になりうることが示された。地表で進行する爆発現象については、火口から噴出する噴霧流の3次元シミュレーション手法が開発され、噴煙や火砕流を生む物理過程が究明された。また、爆発強度のスケーリングや、爆風に伴う衝撃波のシミュレーションなど、火山爆発の影響を見積もる有力な手法が得られた。本領域の各分野にわたる研究成果を基礎に、噴火現象に関連する各種の知見やデータを集めて、データベースが構築された。このデータベースは、現象の体系的な理解に役立つ。また、本領域で開発された計算コードと合わせて、噴火過程の総合的なシミュレーションをする基本的なツールになり、噴火や火山災害の予測に寄与する。噴火現象の評価や予測のためには、WEBサーバーを用いた合議システムも開発され、専門家の合議を迅速かつ能率的に進めることが可能になった。火山爆発に関する知識を広く普及する目的には、一般向けの講演会が催され、観測や野外実験の一部が公開された。また、研究成果を平易に解説する一般向けの書籍が出版される。
著者
浜口 博之 西村 太志 林 信太郎 KAVOTHA K.S. MIFUNDU Wafu NDONTONI Zan 森田 裕一 笠原 稔 田中 和夫 WAFULA Mifundu ZANA Ndontoni WAFULA Mifun ZANA Ndonton KAVOTA K.S.
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

この研究は,(1)ホットスポット火山の多いアフリカ大陸の深部構造の解明,並びに(2)ニアムラギラ火山のマグマ活動調査の2項目に大きく分けられる.1990年度の現地調査は予定通り実施され,当初の目的は達成された.1991年度は,現地調査の最中の9月23日にザイ-ルの首都キンシャサを中心に政情不安に端を発した暴動が起こり,日本大使館の退避観告に基づき調査を途中で中断し,隣国に緊急避難しそのまま帰国する結果となった.このため,この年度の調査事項の実施については,不完全なものにならざるを得なかった.以下,2年間の研究実績を項目別に分けて簡潔に示す.1.広帯域地震観測.0.05秒〜370秒に渡って一様な感度を持つCMGー3型とパソコンを用いた地震波収録装置を,1990年度はザイ-ル東部のルイロ地震観測所(LWI)に設置した.1991年度は,キンシャサ効外のビンザ気象局の地下地震計室(BNZ)に設置したが,最後の調整の直前に暴動が起こり,一部未完な状態のまま今日まで観測は続けられている.従って,地震計の再調整を含む良好なデ-タの取得は今後の課題として残された.この観測と並行して実施してきたアフリカ大陸下の深部構造については,(イ)アフリカ直下でコア・マントル境界(CMB)が盛り上がっていること,(ロ)マントル最下部のD"領域ではS波速度が3〜5%遅いこと,逆に,アフリカ大陸の外では数%速いこと,並びに,(ハ)コア表面の温度は,アフリカ大陸を含むA半球がその反対側の太平洋を含むP半球より数10mケルビン高温であること,などが明かとなった.これらの結果はアフリカ大陸に於いてホットスポット火山の密度が高い理由の解釈に重要な手がかりとなる.2.火山性地震・微動観測.1990年度は,CRSN(ザイ-ル自然科学研究所)の定常観測点(4点)の他に,8月13日〜11月29日まで火山地域内で8点の臨時地震観測を実施した.11月20日にこの地域では過去最大のM4の地震がニイラゴンゴ火山南方10kmに起きた.観測結果はこの地震により火山性地震やマグマ活動は励起されず,逆に地溝帯中軸の地震が活発化した事が明らかにされた.また,ニアムラギラの側噴火(キタツングルワ)のストロンポリ式噴火に伴う地震は火口直下0.2〜0.5kmの深さに集中し,その発震機構はマグマの噴出時に働くほぼ鉛直下方のSingle Fo