著者
山本 晃生
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,人肌触感の再現提示を念頭に,様々な触感要素の提示技術を研究した.人肌の再現には,肌表面のぺたぺたとした粘着感,あるいは,汗ばんだ際の濡れ感,といった触感の再現が重要であると考え,こうした触感の発生要因を検討し再現提示手法を提案した.また,皮膚に触れた際には,柔らかい感触の中に骨などのゴツゴツとした感触が感じられる.このような異物感を伴う柔らかさ感の提示を行うための手法を提案した.
著者
山本 晃輔
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.202-210, 2013

本研究では,アイデンティティ確立の個人差要因が自伝的記憶の想起に及ぼす影響を意図的および無意図的想起の両事態から検討した。研究1では,313名を対象にアイデンティティ尺度(下山,1992)を実施するとともに,日誌法によって無意図的に想起される自伝的記憶の特性を評価させた。その結果アイデンティティ確立高群では,低群よりも重要でかつ感情喚起度が高く.鮮明な自伝的記憶が頻繁に想起されることがわかった。研究2では,114名を対象に研究1と同様のアイデンティティ尺度を用いて,意図的想起事態における実験を行った。その結果,研究1と同様の結果が示された。また,補足的な分析として,研究1と研究2を比較すると,意図的に想起された自伝的記憶は無意図に想起された自伝的記憶よりも鮮明でかつ重要であることが示された。これら一連の結果は,アイデンティティ確立度の個人差が自伝的記憶の想起に影響を及ぼす可能性を示唆している。全体的考察では,Conway & Pleydell-Pearce(2000)による自己-記憶システム(Self-memory system)による解釈が行われ,今後の課題について議論された。
著者
山本 晃
出版者
大阪教育大学養護教育教室
雑誌
障害児教育研究紀要 (ISSN:03877671)
巻号頁・発行日
no.23, pp.29-37, 2000

現場での要求から、障害のある青年、特に情緒障害や知的障害のある青年の心理的問題を解明するために、本研究が企てられた。情緒的問題、知的障害を伴なった青年の発達を、健常青年のこころの発達に対する、ある種のバリエーションとして、位置づけようと考えている。この第2報では、Blosの青年期の発達分類を紹介した。そしてその発達期にしたがって、健常の場合の児童期と前青年期における発達と問題点について述べた。その際、理論のみに偏らないように事例をできるだけ多くとりあげた。第2報と同様、論述を具体的にするために、事例をたくさん引き合いに出す。しかし、差し障りのない事例以外は、特定の事例をさしているわけではなく、これまでの私の事例経験などから創作している。いくつかの事例を繋ぎ合わせ、変更も加えたりした。青年期の課題を典型的に表現するように、また本来の問題点を歪曲しないように工夫した。This study is attempted from the needs in the school of mental handicapped children. Many teachers and parents want to know about the mentality of their adolescents with mental handicap. Their Mentality should be placed as the variation of the mentality of normal adolescents. This second report is dealt with Blos' classification of periods during adolescence. According his classification the development and the problems of childhood and pre-adolescence are illustrated. To avoid the abstract theory several cases are adopted.
著者
山本 晃
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.50-56, 1970-04-30

大甲渓流域の蝶類については,鹿野(1927),水戸野(1930),野村(1931),江崎(1932),などの報告がある.筆者は1966年および!968年の夏に大甲渓上流附近,主としてサラマオを中心とした地域において蝶類の採集を行った.両年とも短期間の滞在でもあり,また天候も不順であったために十分な採集は行えなかったが同地域の夏期の蝶相の概要を知ることができた.得られた蝶は,すでに同地域あるいは隣接地域から知られた種類ではあるが,中には従来,明確な産地の記録の比較的少ないものも含むのでここに報告したい.本文に先だち,この報文の発表をすすめて下さった九州大学白水隆博士に感謝の意を表する次第であります. なお日程は次の通りである.1966年7月18日〜7月20日 1968年7月26日〜8月2日
著者
大隈 智尚 濱本 晋一 影山 健 山本 晃 松岡 利幸
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

家兎VX2肺腫瘍に対し経皮的ラジオ波凝固と免疫賦活因子のGM-CSF(granulocyte-macrophage colony-stimulating factor)の局所注入併用による生存と遠隔転移耳腫瘍モデルへの効果を検討した。
著者
小嶋 哲人 松下 正 高木 明 山本 晃士
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

先天性プロテインS(PS)欠損症・異常症の遺伝子解析において、未解析の新たな症例検体については従来のPCRダイレクトシーケンス法を用いた遺伝子変異の同定を行った結果、新規変異を含めてその原因と思われるPROS1遺伝子変異を同定した。その中でPROS1遺伝子の蛋白翻訳領域には変異は見つからなかったものの、翻訳開始点より168bp上流のプロモーター領域に同定したC→T (c.-168C>T)の点突然変異のルシフェラーゼ・レポーター解析の結果、変異型では転写活性が20%まで低下し、先天性PS欠損症の原因と思われた。先天性PS欠損症症例で従来の各エクソンのPCRダイレクトシーケンス法にてPROS1遺伝子に変異の見つからなかった症例において、PROS1遺伝子の15個の各エクソン部に偽遺伝子と区別するPCRプライマーを設定し、Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification (MLPA) 法によってPROS1遺伝子欠失の同定解析を行ったところ、PROS1遺伝子の全欠失を示す症例を1例同定した。しかし、他の多くの症例では欠失を同定できず、遺伝子欠失の頻度はまれであると思われた。ヒトPSを産生するHepG2 細胞を用い、エストラディオール(E2)の添加による培養上清中のPS分泌量の変動についてELISA 解析を行ったところ、30%の発現低下を認めた。また、細胞内PS mRNAの変動についてReal Time PCRを用いて定量した結果、同様にE2 の添加によるmRNA発現低下を認めた。現在、PS遺伝子プロモータ領域をクローニングし、ルシフェラーゼ・レポーター解析による、HepG2細胞でのE2 によるPS遺伝子発現の制御動態解析を施行中である。
著者
野村 佳秀 木村 功作 栗原 英俊 山本 里枝子 山本 晃治 徳本 晋
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1-6, 2011-09-06

近年,センサーやスマートフォンなどの普及に伴い,多数のイベントデータがリアルタイムに大量に発生している.このような大規模なイベントデータを分析しリアルタイムに処理するサービスを,DFD (Data Flow Diagram) を用いた実装に依存しないフローを使って定義することによって,双方の処理を統合的に記述する手法を提案する.またこの手法を実現する開発環境のプロトタイプによって,実際に分析作業からサービス開発までの作業を分析者,開発者で明確に分離が可能になり,サービス実施までの期間を大幅に短縮できることを示した.
著者
山本 晃士 松下 正 小嶋 哲人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

肥満・糖尿病のモデルとして遺伝的肥満マウス(ob/obマウス)を用い、血栓傾向の分子メカニズムを検討した。肥満マウスでは、対照マウスと比較して血中PAI-1抗原量は数倍に上昇しており、組織におけるPAI-1 mRNAの発現増加も認められた。もっとも顕著だったのは脂肪組織で、血管平滑筋細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞等においてPAI-1 mRNAの発現が著明に増強していた。また肥満マウスでは外因系凝固の起始因子であるTFの発現も亢進していた。このTF mRNA発現増加も脂肪細胞自体によることがわかったが、脂肪組織内の血管を構成する細胞(血管外膜細胞)においても発現の増強が認められた。PAI-1に加えてTFの発現増加が、肥満個体における凝固亢進状態を増幅しているであろうと推測された。さらに、脂肪組織におけるPAI-1およびTFの発現を強力に誘導するTGF-βの発現自体も、肥満マウスの脂肪組織では週齢依存的に増加しており、血栓傾向を増悪させるTGF-βのメディエーターとしての役割は非常に重要であろうと考えられた。一方、肥満マウスに心因性ストレスを負荷し、線溶阻害因子PAI-1の発現と組織内微小血栓形成について解析を行った。肥満マウスおよび対照マウスを50ml用チューブ内に閉じ込めて拘束ストレスを負荷すると、肥満マウスではストレス負荷2時間後に早くも著明な血中PAI-1抗原量の上昇と組織におけるPAI-1 mRNAの発現増加を認めた。特に、脂肪組織や心臓、腎臓におけるPAI-1 mRNA発現は対照マウスに比べて顕著に増加していた。この傾向は20時間という長時間ストレスでも同様であった。また、このPAI-1 mRNA発現は腎糸球体の内皮やメサンギウム細胞、心筋内微小血管内皮細胞、脂肪細胞等に一致して認められた。さらにストレス負荷後の肥満マウスでは腎糸球体微小血管内にフィブリン沈着を認めたが、対照マウスでは認めなかった。以上より、肥満およびインスリン抵抗性を有する個体ではストレス負荷によってPAI-1遺伝子発現が著明に亢進し、これが組織内微小血栓形成を促進するひとつの原因と考えられた。これらの研究成果は、肥満・糖尿病患者における血栓症発症の病因・病態を考える上で重要な知見と言える。
著者
樋口 俊郎 清原 正勝 山本 晃生
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,高出力静電モータが真空環境での駆動や,真空環境での電磁場利用用途への応用に適していることに着目し,モータ技術と非接触浮上技術を統合することで機械的摺動部を排除した超クリーン静電浮上リニアモータを開発することを目的とした.研究の第1段階としては,まずは非接触浮上技術を用いることなく,モータ構成を真空環境に適した構造とすることで真空環境下での位置決め制御等を可能とした静電モータステージを開発した.開発したステージは,真空環境下においても通常環境下と同等の推力を発生することが可能であった.このステージでは,ステージ位置を検出するための静電容量式位置センサを新たに開発した.開発したセンサを用いて,真空環境下での位置決め制御に成功した.第2段階として,静電浮上技術を統合した静電浮上リニアモータの開発を行った.はじめに,静電モータの特性検討を通じて浮上技術との統合手法に関する検討を行い,静電浮上リニアモータの構成および制御方法に関する基礎的手法を提案した.提案した構成に基づき試作機を製作し,提案原理の妥当性を検証した.試作機においては,原理検証を目的とするため,浮上方向1自由度,推進方向1自由度の計2自由度に動作を限定して実験を行った.その結果,移動子を固定子下200μmの位置に静電気力で浮上させ,浮上状態を維持したまま,推進方向へのモータ動作を行うことに成功した.さらに,推進方向の推力についてサーボ制御を試み,位置決め制御を行うことにも成功した.実験で得られた最大推進速度は20mm/sであり,推進時のギャップ変動は最大で20μmであった.これにより,提案した浮上モータの原理の妥当性を確認した.以上の結果より,静電浮上リニアモータの開発という当初の目的は達成されたものと考える.今後は,静電浮上リニアモータに関して,実用化へ向けた技術開発を進めていくことが必要であると考えられる.
著者
井手 一郎 山本 晃司 浜田 玲子 田中 英彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1543-1551, 1999-10-25
参考文献数
24
被引用文献数
42

増大する量への対応及び利用価値の点から,ニュース映像への自動的索引付けの実現が期待されている.これを受けて様々な手法が提案され,なかでも映像に付随する言語情報を利用したものが活発に研究され,既に実用化の域に達しているものも存在する.しかし,それらの多くは言語情報主導であり,映像データベースにとって重要であるはずの,索引 (キーワード) と画像内容の一致を考慮したものは少ない.そこで本論文では,このような問題点を踏まえ,画像的に類似した映像は類似した内容を含む,というニュース映像特有の性質を利用し,画像的に典型的な映像に対し,内容を反映した語義をもつ字幕を選択的に付与する自動的索引付け手法を提案し,その有効性を評価する.提案手法を実際のニュース映像に適用したところ,いずれかの典型的映像に分類されたもののうち,全体の25∼93%,必要な情報が字幕に存在して索引付け可能であったもののうちの75∼100%に対して索引付けに成功し,一定の有効性を示した.