著者
保科 克行 重松 邦広 岡本 宏之 宮田 哲郎 大島 まり 山本 創太 山本 晃太
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

われわれは大動脈瘤の破裂しやすさをモデルを用いて検討してきた。嚢状瘤は破裂リスクが高いとされるがその定義はされていない。瘤を仮想楕円にあてはめて、「横長」のもの、またフィレット半径(大動脈と瘤のつなぎ目に当てる円)の小さい縦長のものは、頂点において応力が高く破裂しやすく、嚢状瘤の定義の一部としてよいのではないかという結論になった。これは胸部大動脈瘤において拡張速度の検討が行われたがはっきりとした臨床上の裏づけができなかった。今回、腹部大動脈瘤の破裂症例を集積し、コントロール群とマッチングを行って検討した。破裂群は、瘤が横長であること、またフィレット半径が小さいことにおいて、有意に差があった。
著者
山際 英男 甲斐 結城 松木 友美 矢崎 有希 小町 祐子 軍司 敦子 山本 晃子 加我 牧子 益山 龍雄 荒井 康裕 本澤 志方 太田 秀臣 立岡 祐司 野口 ひとみ 高木 真理子 真野 ちひろ
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.262, 2017 (Released:2019-06-01)

はじめに 重症心身障害児(者)(以下、重症児者)は視覚刺激に対する応答がきわめて乏しい者があり、環境情報取得の制限から周囲の人や物との相互作用が乏しくなりがちである。何をどのように知覚しているのかの視覚認知機能評価は、療育上きわめて重要であり、自覚応答に頼らない視覚機能検査により、視覚情報提供の際の注意点を明らかにするため検討を行った。 対象 重症児者施設長期入所利用者50名(平均年齢37歳、男性26名、女性24名)、大島分類1:39名、2:4名、3:2名、4:3名、5:1名、9:1名。 方法 小町ら(日本重症心身障害学会誌、2013)の方法に準じて検討し、評価した。定性的視覚機能評価は対光反射、光覚反応、回避反応、視覚性反射性瞬目、睫毛反射、視運動性眼振(OKN)、注視、追視、瞥見視野)を調べ、反応状態により、反応あり、条件付き反応、反応無しの3段階の順序尺度で評価し、追視、瞥見視野は角度も測定した。注視・追視可能な者は縞視力測定を行った。機能の有無は評価に参加したセラピスト2/3以上の同意をもって判定した。 結果 各項目の反応出現率は睫毛反射94%、対光反射94%、光覚反応84%、視覚性反射性瞬目68%、注視66%、追視54%、瞥見視野52%、OKN58%、縞視力34%、回避反応40%であった。追視、瞥見視野の結果は個人差が大きく、かつ方向・範囲の制約がみられた。 考察 以上より対象者のうち、94%は情報取得手段として視覚を何らかの形で利用できる可能性があり、追視と瞥見視野の結果は刺激提示場所としてどの位置に提示すれば視覚応答が得られやすいかが示され、個別に考慮、対応すべきことが確認された。重症児者の多くは適切な視野を確保するための自動的な頭部コントロールが困難なことが多いため、「見える位置・距離」に対象を提示することが、残存視力を活かし豊かな相互作用につながると考えられる。
著者
山本 晃輔 ヤマモト コウスケ Kohsuke YAMAMOTO
雑誌
大阪産業大学人間環境論集
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-12, 2014-04

The present study examined how verbal information affects odor cued autobiographical remembering. In experiment 1, fifty-one participants completed the Memory Characteristics Questionnaire (MCQ; Johnson, Foley, Suengas, & Ray, 1988) after remembering memories cued by odors. Familiar odor cues were used that represented orthogonal combinations of high and low rates of naming, and with and without verbal labels. Results showed that autobiographical memories cued by odor without verbal labels were more vivid than memories cued by ones with verbal labels under conditions of low rate of the naming. In order to verify the results of experiment 1, forty participants were closely investigated in experiment 2. The results showed that memories cued by odors with a high rate of naming were faster and more vivid than memories with a low rate. Similarly, memories cued by odor with verbal labels were faster and more vivid than without. These findings suggest that verbal information plays a significant role in odor-cued autobiographical remembering.
著者
山本 晃之 根岸 健一 木下 果鈴 福井 絢子 上村 直樹 青山 隆夫
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.20-26, 2019-05-31 (Released:2019-06-21)
参考文献数
7

Objective: It has been recognized that most medical institutions preferred the printed medium for their information sheets for patient education of inhaler usage. However, some questions have arisen. In a case where patients are not sufficiently informed of drug administration guidance due to limited information with only pictures and text, they might not be able to obtain a proper understanding. Contrarily, it is assumed that video medium, with audio and visual elements, is a format for education conveying a larger amount of information. We conducted comparative research regarding patient’s degree of understanding of inhalation guidance, comparing two groups of print- and video-medium-based instructions for inhaler usage and examined how effective two types of media explanations were on patients.Methods: Research participants were thirty persons visiting Jinjo Pharmacy, who were randomly assigned to the print medium group and the video medium group. After one group read and saw an explanation sheet of an inhaler where the maker wrote inhalation instructions and the other group watched an instruction video, the two groups practiced inhaler usage. Evaluation was performed with specified items and comprehensive assessment, and in addition, the time required for inhalation was measured.Results: Score of the evaluation score was statistically significantly higher in the video medium group than in the print medium group in score of specified items and score of comprehensive assessment, and was also significantly shorter in the operation time of the inhaler.Conclusion: This study clarified that the video medium group had fewer improper inhalation occurrences and shorter operation time and, therefore, showed the effectiveness of the video medium. It is recommended that the video medium should be actively utilized,which could improve patient medication adherence. Accessibility is required for patient education to achieve inhaler techniques by watching video-based instruction.
著者
山本 晃輔
出版者
大阪産業大学学会
雑誌
大阪産業大学論集 人文・社会科学編 = JOURNAL OF OSAKA SANGYO UNIVERSITY Humanities & Social Sciences (ISSN:18825966)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.43-50, 2019-06-28

The present study examined influences of aging on olfactory imagery ability and Subjective Well-being. In the survey, two hundred young adults and two hundred elderly adults completed the Vividness Odor Imagery Questionnaire (VOIQ) and Subjective Well-being Scale. The results showed that the young adults rated higher than the elderly adults on total score of VOIQ. Additionally, the young adults rated lower than the elderly adults on total score of Subjective Well-being Scale. Significant correlations were shown between total score of VOIQ and total score of Subjective Well-being Scale in young and elderly adults. These findings suggest that olfactory imagery ability plays a significant role in Subjective Well-being.
著者
鶴田 隆祥 高橋 智一 鈴木 昌人 青柳 誠司 山本 晃久
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.109-110, 2014

注射針の細径化が求められているが,細径化は座屈を容易に招来する.鍼灸治療では刺手で針を側方から支え,押手で針を皮膚直上にて支えるとともに皮膚に張力を与えることで,座屈を防止している.本研究ではこれにヒントを得て,針を筒内に保持し,筒を皮膚に押し付け,針を少しずつ繰り出す機構を提案する.支えが無い皮膚から上の針の長さを実質ゼロにすることで座屈荷重を高め,座屈を防止する.
著者
浜田 亮 吉藤 和久 堤 裕幸 堀 司 吉川 靖 山本 晃代 寺田 光次郎 山本 大 足立 憲昭 浅沼 秀臣 小田 孝憲
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.153-156, 2017

<p>血友病は先天性血液凝固障害のなかでは最も頻度の高い疾患であるが,母体が血友病保因者の場合の分娩方法について明確な指針は定められていない.今回我々は経膣分娩時のストレスに起因すると考えられた頭蓋内出血をきたした症例を経験したので報告する.母親の実弟が重症型血友病Aであり,遺伝子診断でイントロン22の逆位を認めていた.祖母および母親は確定保因者であった.本児は胎児エコーで男児と判明しており器械分娩禁止の方針とした.正期産で経膣分娩で仮死なく出生し,出生直後は皮膚に出血症状はなく頭部エコーでも異常所見は認められなかった.生後19時間のエコー再検査で両側脳室の拡大認め,CTでは右小脳半球を中心に40×30 mmの血腫を認めた.第VIII因子製剤の投与により保存的治療を行い,血腫は拡大せずにその後自然消失した.現在2歳,神経学的異常を認めない.</p>
著者
山本 晃士 西脇 公俊 加藤 千秋 花井 慶子 菊地 良介 柴山 修司 梛野 正人 木内 哲也 上田 裕一 高松 純樹
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.36-42, 2010 (Released:2010-03-15)
参考文献数
10
被引用文献数
14 17

<背景・目的>手術関連死亡の最大原因は術中の大量出血であるが,その背景には外科的手技による止血が不可能な希釈性凝固障害という病態が存在する.したがって術中の大量出血を未然に防ぐには止血のための輸血治療が必要であり,その治療指針の確立が急務である.<方法・結果>術中の大量出血・大量輸血症例を後方視的に調査した結果,その60%強を胸部大動脈瘤手術,肝臓移植術,肝臓癌・肝門部癌切除術が占めていた.術中大量出血の背景にある止血不全の主要因は,出血量の増加にともなう凝固因子(特にフィブリノゲン)の喪失,枯渇であると考えられた.そこで上記症例の手術中に起こった低フィブリノゲン血症に対し,クリオプレシピテートおよびフィブリノゲン濃縮製剤の投与を行ったところ,速やかなフィブリノゲン値の上昇と止血の改善,および術中出血量・輸血量の顕著な減少(平均で30~40%減)を認めた.<結論>術中の出血量増加時には,フィブリノゲン値を確認した上で速やかにフィブリノゲン濃縮製剤を投与することが,大量出血・大量輸血を未然に防ぎ,手術患者の予後改善に大きく貢献するとともに,血液製剤の使用削減・有効利用につながると考えられた.
著者
山本 晃輔 横光 健吾 平井 浩人
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.39-51, 2018-02-28 (Released:2018-04-17)
参考文献数
51
被引用文献数
2

本研究では,酒,茶,コーヒー,タバコといった嗜好品摂取時に,無意図的に想起された自伝的記憶の特性,およびその機能について検討を行った.408名を対象に,日常生活のなかで嗜好品を摂取することによって無意図的に自伝的記憶が想起された場合に,その内容や状況,想起後の思考,行為などについて記録するように求めた.その結果,全体で382ケースが回収された.想起された自伝的記憶の大半は,情動的でかつ快であり,重要で想起頻度が多く,鮮明であった.さらにKJ法を用いて機能に関する分析を行った結果,二つの機能が見いだされた.一つは行為の方向づけ (下位カテゴリ:コミュニケーション行動の開始,コーピング,行為の修正など)で,もう一つは心的活動の開始(下位カテゴリ:ノスタルジー,情動の変化,記憶の連鎖など)であった.これらの知見と嗜好品摂取時に獲得される心理学的効果との関連性について議論した.
著者
山本晃 編
出版者
山本晃
巻号頁・発行日
1930
著者
山本 晃輔
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.281-301, 2014-05-31 (Released:2015-06-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1

グローバリゼーションを背景として,人の国際移動は質・量ともに大きく変容した。国際移動が多様な姿を見せるにつれて,我が国においても人の国際移動と教育に注目があつまるようになった。本稿では,ブラジルへ帰国した日系ブラジル人の子どもたちに焦点を当て,日本とブラジルを移動する彼らの将来展望の多様性を事例に,「移動の物語」という観点からグローバリゼーションと教育の問題についてアプローチすることを目指した。 本稿では帰国した日系ブラジル人のうち,計画的に帰国した「デカセギ型」家族を抽出し,親の高い教育期待とその取り組みについて概観した。 次に,親の教育と期待を受けてブラジルで大学進学していく子どもたちを見出した。ブラジルで大学へと進学した子どもたちは,日本での体験にピリオドをうつ「切断」の物語に特徴がある。他方で,親の期待や配慮とはうらはらにブラジルでの教育達成を目指さない・目指すことができなかった子どもたちがいる。なかでも再渡日を目指す子どもたちの特徴は,いまもなお日本との移動が継続し「接続」しているという語りにある。 そして,子どもたちの帰国後の将来展望と進路選択が分岐する要因として,言語能力や学校適応などと並び,帰国後に構築される「移動の物語」が大きな影響を与えていることを明らかにした。
著者
山本 晃輔 野村 幸正
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.127-135, 2010-02-28 (Released:2010-11-25)
参考文献数
24
被引用文献数
3 1

本研究の目的は,におい手がかりの命名,感情喚起度,および快-不快度が自伝的記憶の想起にどのように影響を及ぼすのかを検証することであった.実験では,118名の参加者に30種類のにおい刺激について,熟知度,感情喚起度,快-不快度の評定と命名を求め,さらに,それらを手がかりとして自伝的記憶の想起が可能であるかどうかを報告させた.記憶が想起された場合には,それについて鮮明度,感情喚起度,快-不快度を評定させた.実験の結果,正しく命名されたにおいは,そうではないにおいよりも熟知度が高く,かつ情動的であった.加えて,感情一致効果がみられた.また,正しく命名されたにおい手がかりによって想起された自伝的記憶は,命名されなかったにおい手がかりによって想起されたそれよりも鮮明でありかつ情動的であった.これらの結果はにおい手がかりによる自伝的記憶の想起において,命名と感情が重要な役割を果たしていることを示唆している.