著者
山田 浩
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.12, pp.1371-1377, 2022-12-01 (Released:2022-12-01)
参考文献数
30

Green tea components, such as catechins have been reported to provide several benefits including anti-oxidative, anti-viral/bacterial, and anti-inflammatory effects in vitro and in vivo. Catechins effectively inhibited the adsorption and replication of the influenza virus. Additionally, green tea contains theanine and vitamin C, which enhance the immunity against viral/bacterial infections. Based on these, green tea is hypothesized to have potential benefits in the prevention of influenza and other respiratory tract infections in the clinical setting. However, its specific effects in patients remain unclear. To determine the clinical significance of green tea in the prevention of respiratory tract infections, we conducted an observational study and eight interventional studies. Based on the results of three studies, consuming or gargling green tea or its components significantly aided in the prevention of influenza. Meanwhile, one study showed that green tea successfully prevented common colds. Catechin inhalation was also reported to decrease the bacterial load of methicillin-resistant Staphylococcus aureus in the sputum. Although the anti-viral/anti-bacterial effects of green tea components have been demonstrated in experimental studies, the clinical evidence remains limited. Further studies are required to confirm the clinical efficacy of green tea and its components in preventing respiratory tract infections.
著者
山田 浩喜 佐藤 忠彦
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.41-57, 2020 (Released:2020-12-11)
参考文献数
52
被引用文献数
1

We attempt to clarify the mechanism of the amount of money of purchase by each customer in a department store in Nagoya city using the Bayesian regression model. Specifically, we use two types of explanatory variables, “Direct mail”, and “Events”, to research a relationship between the purchase amount and department store's strategy. Direct mail means the number of mails that the department store uses to inform their customers about new items, privileges of card holders, and storewide events. We also add “frequency coming to the store” as explanatory variables. Additionally, we adopt type-1 Tobit model to presume the optimal value for the dependent variable, if the dependent variable in the regression model is zero. Furthermore, we examine the relation between department strategy and the customer's attributes by incorporating customer's attributes into the hierarchical model.
著者
木村 恵 山田 浩雄 生方 正俊
出版者
森林遺伝育種学会
雑誌
森林遺伝育種 (ISSN:21873453)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.105-114, 2015-07-25 (Released:2020-07-13)
参考文献数
49
被引用文献数
1

植物遺伝資源の長期的な維持・管理方法として、生殖質の生息域外保存は有効な方法のひとつである。遺伝資源を効率的に確保する上で、種子の保存は利点の多い手段であるが、乾燥耐性がほとんどない難貯蔵種子も数多く存在する。本総説ではコナラ亜属を例に、難貯蔵種子の取り扱いに関する問題点を生理的要因と生物的要因の面からまとめた。コナラ亜属においては種子が生理的な活性を保てる温度と湿度において、いかに生物学的な害(虫害、菌害)を取り除くかが重要であると考えられた。また、生理的な休眠機構を活用するには、種子の採取時期やコーティングなどの技術を検討する必要性が示唆された。今後は低温耐性や保存条件を調べることで、海外樹種で成功している−2℃程度の低温保存の検討が望まれるであろう。
著者
山田 浩雄 小林 玲爾 中田 了五 宮浦 富保
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.201-204, 1998-08-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1

林木花粉の長期貯蔵試験をスギ花粉を用いて行った。花粉の含水率を調節した後,室温,5°C,-20°Cおよび液体窒素(-196°C)の四つの温度条件下で貯蔵した。また5年間液体窒素内で貯蔵した花粉(貯蔵花粉)と貯蔵していない花粉(新鮮花粉)を用いて人工交配を行った。花粉を液体窒素で貯蔵した場合,花粉の発芽率は5年間低下しなかった。人工交配によって得られた種子の100粒重,球果1個当りの種子重,種子の有胚率に関しては,花粉を液体窒素で貯蔵したことによる影響は認められなかった。
著者
杉崎 弘周 物部 博文 上地 勝 藤原 昌太 山田 浩平 沢田 真喜子 森 良一 横嶋 剛 植田 誠治
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.623-630, 2021 (Released:2021-09-18)
参考文献数
25

This study aimed to clarify the problems related to students’ health and safety at school and identify teachers’ needs for learning in a teacher training course by conducting a survey for yogo teachers who were experts in school health and safety. Except for training courses for yogo teachers or health and physical education teachers, there are no compulsory subjects regarding problems related to student health and safety at school. Moreover, previous reports have indicated that general teachers found it difficult to deal with topics related to student health and safety. We surveyed 2,992 yogo teachers randomly selected from across the country and 1,196 responses were received (response rate 40. 0%). The results indicated that mental care, first aid, and developmental disabilities accounted for more than 80% of the problems experienced by yogo teachers related to student health and safety. It was also suggested that the number of years of experience was related to problem perception. Among the topics that needed to be learned at the teacher preparation stage, cardiopulmonary resuscitation, developmental disorders, mental care, allergies, heat stroke, and use of an EpiPen accounted for a high proportion, while chronic diseases, eating disorders, cooperation with other staff (for safety), and orthostatic dysregulation accounted for a low proportion. The present results need to be considered when developing training content required for incumbent teachers and novice teachers, and when discussing the subjects required for teacher training courses. This would also help teachers to respond effectively to problems related to student health and safety at school.
著者
小林 豊 吉岡 雅代 稲葉 達也 鈴木 豊秀 榊間 昌哲 井出 和希 川崎 洋平 山田 浩 北村 修 米村 克彦
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.31-38, 2015 (Released:2018-04-02)
参考文献数
19

高リン血症は血管石灰化や生命予後に関連した病態であり、保存期慢性腎臓病(CKD)から血清リン値の管理が重要である。一方、保存期CKDに使用可能なリン吸着薬である沈降炭酸カルシウム(炭酸Ca)は胃酸分泌抑制薬の併用による効果減弱と、カルシウム含有による血管石灰化が懸念される。そこで当院薬剤部は内科医師に対し、これらの情報提供を行い、処方状況の変化に関する調査と、薬剤師による情報提供が医師の処方意識にどのような影響を与えたかについてのアンケート調査を行なった。対象は2014年1月の時点でリン吸着薬の処方を受けている保存期CKD患者のうち、1)炭酸Caと胃酸分泌抑制薬を併用している、2)血清リン値>4.5 mg/dL、を満たす患者の主治医とした。リン吸着薬の処方を受けている保存期CKD患者16名全てが炭酸Caを服用しており、12名が胃酸分泌抑制薬を併用していた。併用患者のうち血清リン値>4.5 mg/dLである患者は7名であった。情報提供により7名中5名においてリン吸着薬の変更や胃酸分泌抑制薬の中止がなされた。処方変更された5名中2名は血清リン値が低下し、2名は上昇し、1名は血液検査実施前に透析導入となった。情報提供対象患者以外においても処方の見直しがなされ、両薬剤の併用率は75%から21%と有意に減少した。アンケート調査の結果、薬物相互作用について6名中4名の医師が「知らなかった」と回答、意識変化では6名全員が「変化あった」と回答した。「今後は血管石灰化の危険性を回避するため可能な限りカルシウム非含有リン吸着薬を使用する」などの意見も得られた。これらのことから、薬剤師による積極的な情報提供は医師の処方意識に影響を与え、処方を見直すきっかけになることが示唆された。今後は他の薬物相互作用についても介入を検討し、有効性と安全性の高い薬物療法の提供により医療の質の向上に寄与していきたい。
著者
杉山 伊吹 古島 大資 野村 優月 海野 けい子 中村 順行 山田 浩
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集 第42回日本臨床薬理学会学術総会 (ISSN:24365580)
巻号頁・発行日
pp.3-P-U-3, 2021 (Released:2021-12-17)

【目的】緑茶の主要な遊離アミノ酸であるL-テアニンが、抗ストレス作用を示すことが動物実験ならびに臨床試験で報告されている。また、テアニンに次いで緑茶に多く含まれるアルギニンとの併用摂取によって、テアニンの抗ストレス作用が増強する可能性が動物実験で示されている。しかし、ヒトに対するテアニン・アルギニン併用時の影響については明らかにされていない。そこで本研究では、ヒトにおけるテアニン及びアルギニン併用摂取のストレスへの影響を、単盲検ランダム化比較試験により検討した。【方法】静岡県立大学の健康成人120名(平均年齢22.4歳、女性62.5%)を対象とし、十分なインフォームドコンセントによる文書同意を得た後、テアニン・アルギニン併用群(テアニン100 mg・アルギニン50 mg摂取)、テアニン単独群(テアニン100 mg摂取)、プラセボ群の3群にランダムに割り付けた。対象者へのストレス負荷として内田クレペリン精神検査法を、ストレス指標として唾液中アミラーゼ活性(salivary amylase activity: sAA)を採用した。sAAをストレス負荷前、直後、5、15、30分後に測定し、sAAの経時変化やストレス負荷前後のsAAの変化量を3群間で比較した。なお本研究は、静岡県立大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果・考察】ストレス負荷前から、負荷15分後におけるsAA変化量の平均値(標準偏差)は、テアニン・アルギニン併用群で-2.75(11.2)KIU/L、テアニン単独群で-0.40(11.5)KIU/L、プラセボ群で6.95(18.6)KIU/Lであり、テアニン・アルギニン併用群とプラセボ群間(p=0.0053)およびテアニン単独群とプラセボ群間(p=0.0413)で統計学的有意差が認められた。以上のことから、テアニンとアルギニンの併用摂取は、ヒトにおいても短時間の抗ストレス作用があることが示唆された。テアニン・アルギニン併用群とテアニン単独群間でsAA変化量の統計学的有意差は認められなかったが、テアニン・アルギニン併用摂取時にsAA減少量が大きくなる傾向がみられた。【結論】テアニン単独摂取時と比較して、テアニン・アルギニンの併用摂取により抗ストレス作用が増強する可能性が示唆された。しかし本研究の被検者は20代を中心としているため、結果の一般化には幅広い年齢層を対象とした大規模臨床試験によって検討する必要がある。
著者
杉浦 利江 高橋 由佳 坂本 忍 稲森 美穂 山田 浩昭 米積 信宏 森下 博子 前田 美都里 川合 智之
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, 2018

安城更生病院(以下当院と略す)は,病院のスタッフ全員が,将来ビジョンを見据えた地域の病院となるためのプロジェクトに取り組んでいる。医事課を担当する病院職員は,「地域住民の健康と幸福」というスローガンの下,このプロジェクトに関わっている。達成に向けて3つの目標,すなわち1.未収金管理における回収の改善,2.委託金削減,3.委託取引件数の減少,を設定した。具体的な内容は,1.コンビニ決済の利用による未収金の回収,2.限度額適用認定証の周知および国民健康保険対象者の高額療養費貸付制度の推進による高額療養費の回収,3.無戸籍者への戸籍取得支援並びに健康保険の給付支援である。コンビニ決済の利用による未収金の回収額は約9万円/月であり,無戸籍者への戸籍取得支援並びに健康保険の給付支援により約8万円の回収が可能であった。さらに,限度額適用認定証利用の周知および高額療養費貸付制度の利用の推進は,年間約1,700万円の回収額を生みだした。今回の取り組みにより2016年の4月から8月の委託金の平均月額は890,188円で,委託件数は12件,2017年にはそれぞれ305,615円,10件へと削減することができた。本プロジェクトは,患者の自主的な医療費の支払いを促し,回収額の増加並びに委託金や委託取引件数の削減をもたらした。
著者
山田 浩二郎 増本 幸志 天野 尽 杉本 一郎 杉木 大輔 松島 久雄
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.738-747, 2017

<p><b>背景と目的</b>:埼玉県東部地域では2008年より救急搬送された重症・リスク受傷機転例はメディカルコントロール(以下,MC)担当医が地域で独自に作成した外傷活動記録票(以下,外傷検証票)を用い面談式および書面式事後検証を行うと計画としたが,面談式検証のみ実施されていた。そこで2014年4月より書面式該当例は消防組織内で一次検証し,医師および救急救命士により構成されるワーキンググループ(以下,WG)で二次検証する方式へと変更した。今回制度変更による書面式検証の実施率,検証結果の共有および検証の妥当性などについて検討したので報告する。<b>対象と方法</b>:調査対象;本MC 協議会管内における制度変更前2012 年1 月より1 年間(12消防組織)および変更後2014年4月より1年間(統合された8消防組織)とした。調査項目;1.外傷症例の一次検証(面談式・書面式)実施の有無。2.重症以上の外傷症例数及び一次検証数。3.事後検証結果の消防組織内における共有の有無。4.制度変更後における一次検証と二次検証の結果を比較し妥当性を評価した。<b>結果と考案</b>:1.一次検証は変更前,半分の6消防組織で実施され,その方法は面談式0,書面式6であった。変更後は全8消防組織,その方法は面談式2,書面式7(重複あり)であった。2.重症以上の外傷症例数及び一次検証数はそれぞれ変更前908件,207件(23%),変更後は945件,468件(50%)であった。3.変更前検証結果共有は6消防本部であったが,変更後全消防本部で閲覧可能としていた。4.回収した一次検証書類中約10%にWGによる検証評価の修正が必要であり,各消防組織を通じフィードバックを行った。外傷症例の書面式事後検証に外傷検証票を用いた一次検証を導入しその質を二次検証で確認するMC担当医の負担を著しく増大させない制度変更は,検証の質を維持しつつ検証実施対象事例を増加させ得る一方策である。</p>
著者
錦見 俊徳 小林 弘明 山田 浩史 石田 亮 山内 裕士 服部 恭介 浅野 彰之
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.120-124, 2019 (Released:2019-07-27)
参考文献数
7

【目的】ロボット支援下前立腺全摘術 (RARP) は本邦でも広く行われている. 近年では泌尿器科専門医取得前であっても一定の条件下であればRARPを施行することが可能となり, RARPで初めて前立腺全摘術を経験する術者も増えている. 初心者の場合, 膀胱頸部離断の際に前立腺に切り込んだり, 膀胱を大きく開放することがあり, また精嚢剥離の際には精嚢の同定が困難で間違った方向へ剥離を進めると直腸損傷のリスクもある. 初心者にとって比較的難しいとされる膀胱頸部離断および精嚢剥離時に術中ロボット用エコーが有用であったので報告する. 【方法】膀胱頸部離断, 精嚢剥離の操作前に術中エコー (術中用リニア探触子) を使用して部位確認を行う. 【結果】膀胱頸部離断ではエコーで尿道カテーテルや前立腺を確認し, 離断部位の同定が可能であった. 精嚢剥離の場面でもエコーで精嚢の位置を確認することで安全に剥離が可能であった. 【結論】RARP初心者にとってしばしば難関とされる膀胱頸部離断, 精嚢剥離の場面で術中ロボット用エコーの使用は有用であると考えられた. 初心者はもちろんのこと, 比較的慣れた術者であっても前立腺が膀胱に突出した症例や精嚢および精管膨大部が見つかりにくい症例において効果的であると考えられる.
著者
萩原 早保 岩瀬 吉法 齋藤 裕子 中島 隆文 半田 真大 山田 浩希 中 徹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.H4P3263, 2010

【目的】<BR> 重症心身障害児(者)の安全で合理的な呼吸援助は重要な課題である.その方法論の確立のためには,正常な胸郭の呼吸運動の実態把握が必要となる.今回,呼吸運動の実態を肋骨と横隔膜の動きの側面から明らかにすることを目的として,様々な姿勢における肋骨と横隔膜の動きについて,超音波診断装置を用いて調べたので,その結果を報告する.<BR><BR>【方法】<BR> 被験者は健常成人男性10人(身長170.0±5.41cm,体重62.1±5.38kg,年齢21.0±0.30歳)とした.仰臥位,座位,左下側臥位,右下側臥位,伏臥位の各姿勢にて,それぞれ安静および努力性呼吸を行い,肋骨と横隔膜の動きを同時に二台の超音波診断装置にて測定した.肋骨は右第2,3,7,8肋骨それぞれについて胸郭前部・側部・後部を,横隔膜は左右横隔膜について測定した.肋骨はリニアプローブにて胸郭上から,横隔膜はコンベックスプローブにて肋骨弓下から走査し,各々数回の呼吸の後に,吸気開始から5秒間測定した.<BR><BR>【説明と同意】<BR> 被験者には,測定の意義・内容について十分な説明を行い,同意を得た上で測定した.<BR><BR>【結果】<BR> 肋骨の動きは,胸郭前部では全ての姿勢において第2肋骨よりも第3肋骨の移動距離が長いが,胸郭側部では殆どの姿勢において第3肋骨よりも第2肋骨の移動距離が長い(努力性呼吸).胸郭側部の全姿勢および胸郭前部の殆どの姿勢において第8肋骨よりも第7肋骨の移動距離が長いが,胸郭後部では殆どの姿勢で第7肋骨より第8の移動距離が長い(努力性呼吸). 第7,8肋骨とも胸郭前面での移動距離は両側臥位が最も長く,仰臥位で最も短かった(努力性呼吸).第7肋骨の胸郭側面での肋骨移動距離は伏臥位・左下側臥位で長く,仰臥位で最も短い(努力性呼吸).安静呼吸では,第7肋骨の胸郭側部でのみ姿勢によって差があり,座位が最も長かった.<BR> 横隔膜の位置と動きは,両側臥位では横隔膜の収縮時・弛緩時の位置に左右差があり,下側の横隔膜が頭側に,上側の横隔膜が尾側に位置していた(安静・努力性呼吸とも).また,横隔膜の移動距離でみると,両側臥位においては上側に比べて下側の方が長かった(安静・努力性呼吸とも). しかし,仰臥位と座位では,横隔膜の収縮時・弛緩時の位置,移動距離ともに明確な左右差はなかった(安静・努力性呼吸とも).また,横隔膜の移動距離は仰臥位と側臥位において仰臥位と側臥位で良好であった(努力性呼吸).<BR>肋骨と横隔膜の移動距離の相関は,左下側臥位に多く見られ,右第2・3肋骨の胸郭後部および右第7・8肋骨の胸郭側部と右横隔膜の移動距離に正の相関がみられた(努力性呼吸).<BR><BR>【考察】<BR> 仰臥位における努力性呼吸での横隔膜の移動距離は50.5±14.9mmであり,Kantarciらの結果(2004)とほぼ一致している.測定方法の級内相関では,肋骨・横隔膜とも0.9レベルであり,今回の測定結果には妥当性と再現性があることを示している.<BR> 肋骨の動きの部位による差は,肋骨が背側部で関節を形成する弓状の形態であること,頭側では胸郭前部に鎖骨が位置し,尾側では胸郭前部・側部に腹筋群が位置していることによるものであると考えられる.姿勢による差は,接地面の変化により籠状の胸郭が代償的に応答して動くことによるものであると考えられる.<BR> 横隔膜の動きの姿勢による変化については,腹腔臓器,とりわけ横隔膜の右下に位置する肝臓の影響が考えられること,接地面の変化によって腹腔が代償的に応答して動くことによるものであると考えられる.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 本測定結果は,「姿勢によって肋骨と横隔膜の動きは異なる様相を示す」ということを示唆したが,それらの臨床的意義は以下のようである.1.肋骨については,胸郭前部と胸郭側部では,呼吸援助の際の徒手操作の方向性に変化を与える必要がある.2.肋骨の動きは側臥位と伏臥位が比較的良好で,座位と仰臥位は前者と比べると動きは少ない.3.横隔膜については,横隔膜移動距離が良好な姿勢は両側臥位もしくは仰臥位であり,座位は前者と比べると少ない.4.肋骨と横隔膜の運動性を考慮すると,側臥位は呼吸にとってベターな姿勢である.5.左下側臥位では,右肋骨の動きから右横隔膜の動きが,腹部の動きから右肋骨の動きが推定出来る.これらは重症心身障害児(者)をはじめとする各種呼吸器疾患患者に対する,より安全で合理的な呼吸援助方法の実施にとって意義があると考える.
著者
山田 浩久 宮原 育子 櫛引 素夫 林 玉恵 山口 泰史 初澤 敏生
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.237-247, 2020

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;本稿は,2020年8月8日の13:30~15:00に「Post COVID-19に向けた東北の観光戦略」をテーマにオンラインで開催された北東支部例会の報告である.参加者は北海道から九州まで,非学会員を含めて41名を数えた.広域からの参加が認められたことは,Post COVID-19に対する関心が地域を選ばないことの現れであると思われるが,それを支部例会で議論することができたのはオンライン開催のメリットである.会場では,東北地方を対象にして,震災復興事業とCOVID-19対策の両立,国と県の施策のずれ,航空機と新幹線への影響に関する報告があった後,東北地方のインバウンド旅行に大きな影響力を持つ台湾の観光情勢について報告がなされ,総合討論において活発な意見交換が行われた.</p>
著者
田地野 彰 寺内 一 金丸 敏幸 マスワナ 紗矢子 山田 浩
出版者
京都大学高等教育研究開発推進センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
no.14, pp.111-121, 2008-12-01

This paper presents a genre analysis of English academic research papers and discusses exploratory proposals for the application of a research paper-based corpus to academic writing materials development. The paper first introduces the development of a 3.7 million-word research paper-based corpus in six academic disciplines: sociology, education, economics, medicine, pharmacology, and engineering. The paper then shows an example of academic word lists and discusses the results of a study that was conducted to analyze two subgenres.titles and introductions.of academic research papers. In the study, the titles were analyzed in terms of linguistic structure and vocabulary, and the introductions were analyzed by means of Swales's Create-A-Research-Space (CARS) model. The paper concludes with some pedagogical implications for English academic writing materials development.