著者
辻 三郎 今井 正和 山田 誠二 石黒 浩 徐 剛
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

自律的に環境を観測し、そのモデルを作成する知能ロボットを実現するために全方位ビジョンを開発し、その能動的利用方式の確立を研究の目的とする。[1]全方位画像理解の研究 カメラを回転させながら連続的に撮像した画像列から作成する全方位画像は、広い視野を持つが、物体までの距離が得られない欠点があった。本研究では、カメラを円弧上で移動しながら連続撮像し、2本のスリットからサンプルする2枚の全方位画像間の視差から距離情報を算定する方式を考案し、実験で有効性を検証した。[2]全方位画像から環境地図の作成 全方位ステレオの距離情報から粗い環境地図を構成し、それに基づいて次の観測点を計画し、移動して観測を繰り返す。それぞれの場所で得られた全方位ステレオデータを融合して、より信頼性のある地図を作成する方式を提案し、実験で検証した。[3]能動ビジョンによる環境地図の作成 全方位ステレオは、基準線が短く精度の高い計測は難しい。そこで、離れた2点での2枚の全方位画像を用いて計測する両眼全方位ステレオが有効と考えられる。しかし、ロボットが移動するために2点間の距離と、移動前後の回転成分を決定する必要がある。環境内の2個の特徴点を360度の視差に保ちながら移動するアクティブビジョンの方式を利用することにより、回転成分を0とし容易に高精度で環境地図を作成する考えを提案し、実験で有効性を示した。[4]定性的室内地図の作成 ロボットの移動のためには、環境の構造を示す定性的地図が有用である。ロボットが、自律的に環境観測の計画を作り、それに従って全方位パノラマ画像、経路パノラマ画像を撮像し、それらを融合して地図を作成するシステムを試作し、実環境で検証した。
著者
大関 勝久 山田 誠
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.41-46, 2020 (Released:2021-03-30)
参考文献数
4

保存しているリバーサルフィルムの分光スペクトルを測定し,その主成分分析(PCA)により,分光器により測定したスペクトルと等しい分光スペクトルを,スキャニングにより得たデジタルデータから再現できた.映写環境を考慮することで,再現された分光スペクトルから,フィルム映写と等しい色再現が可能となる.
著者
山田 誠
出版者
龍谷学会
雑誌
龍谷大學論集 (ISSN:02876000)
巻号頁・発行日
no.480, 2012-10-01
著者
山田 誠二
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.12-16, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

現在の第3次AIブームを牽引しているのは,機械学習を中心とした人工知能AIの応用である。そこでは,医療・ヘルスケアを中心に様々な分野でAIの社会導入が始まっているが,現在注目されているのが教育へのAI応用である。これまで,知的教育システムITSを中心にAIベースの教育システムが研究・開発されてきているが,現在アダプティブラーニングの発展と共にAIと教育のコラボレーションが一層活性化することが期待されている。本稿では,AIの現状,今回のブームの特徴,背景について触れ,これまでの教育へのAI導入であるITSを概観する。続いて,教育におけるIT導入,あるいはe-learningのホットトピックであるアダプティブラーニングをAI研究の視点から眺め,筆者の専門領域でもあるHAIヒューマンエージェントインタラクションに密に関連するペダゴジカルエージェントを初めとする教育のAI化について考察する。
著者
山田 誠
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.493-507, 2007 (Released:2018-01-06)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本稿は,日本の人文地理学の歩みと,今日それを取り巻く諸条件について紹介する。1910年代から欧米の方法論の咀嚼を通じてしだいに成果を積み上げてきた日本の人文地理学は,今日,新しい立場・対象・方法の研究が若い世代から現れ,また成果の海外への発信の機会も増えている。しかし,伝統的な人文地理学からの過度の断絶もときに見られるのは懸念材料である。
著者
佐竹 哉太 山田 誠 松井 孝太 松井 茂之 鹿島 久嗣
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

生存時間分析はイベントが発生するまでの時間を分析するための手法であり、多くの分野で使用されている。 この生存時間分析の中で最も良く用いられるモデルとして、Cox比例ハザードモデルがある。Cox比例ハザードモデルはイベントの詳細な分布が分からない場合でも利用でき、また線形式の係数により特徴の重要性を解釈することができる。しかし一方で特徴の線形な関係性しか利用できないという問題がある。非線形なCoxモデルも研究されているが、それらのモデルでは解釈ができない欠点がある。本研究では、CoxハザードモデルにFactorization Machines (FM)を導入したモデルを提案する。このモデルでは共変量間の相互作用を利用でき、また解釈も可能である。提案手法の性能を評価するため、実際の遺伝子データから特徴選択を行い、それによって選択された特徴を用いて実験を行った。その結果、提案手法が既存手法に比べ良い性能を示すことを確認した。
著者
寺田 和憲 山田 誠二 伊藤 昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.73-81, 2012

We conducted an experimental investigation on human adaptation to change in an agent's strategy through a competitive two-player game. Modeling the process of human adaptation to agents is important for designing intelligent interface agents and adaptive user interfaces that learn a user's preferences and behavior strategy. However, few studies on human adaptation to such an agent have been done. We propose a human adaptation model for a two-player game. We prepared an on-line experimental system in which a participant and an agent play a repeated penny-matching game with a bonus round. We then conducted experiments in which different opponent agents (human or robot) change their strategy during the game. The experimental results indicated that, as expected, there is an adaptation phase when a human is confronted with a change in the opponent agent's strategy, and adaptation is faster when a human is competing with robot than with another human.
著者
小松 孝徳 山田 誠ニ
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.79(2008-HCI-129), pp.35-42, 2008-07-31

著者らは,ユーザがインタラクション前のエージェントに対して予測した機能と,実際のエージェントとのインタラクションにてユーザが感じた機能との差を 「適応ギャップ」 として定義し,適応ギャップの値がユーザのインタラクションに対する様々な側面に与える影響について調査を行っている.本稿では,適応ギャップの値が,特にユーザの主観的な側面にどのような影響を与えているのかを実験的に調査し,その結果を考察した.
著者
森本 武利 三木 健寿 能勢 博 山田 誠二 平川 和文 松原 周信
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.31-39, 1981-04-15 (Released:2010-10-13)
参考文献数
8
被引用文献数
6

1.スポーツ飲料 (グルコース電解質混合溶液―G-E溶液) 摂取による, 発汗時体液量および体液組成変化を検討するとともに, 発汗時の自発的脱水の発生機序に検討を加える目的で発汗負荷実験を行った。実験には8名の被験者を用いて, それぞれ水分を全く与えない条件, 水を自由に摂取させる場合, およびG-E溶液を自由に与える場合の3条件下で, 高温環境 (36℃, 70%R.H.) 下にて運動負荷を加え, 水分バランスおよび血液性状の測定を行った。2.いずれの条件下にいても, 2時間の発汗負荷により約1.6kgの体重減少を来したが, 発汗直後における血液性状に関しては, ほとんど有意の差は認められなかった。自発的脱水の程度に関しても, 発汗中では水およびG-E溶液摂取による差は認められなかった。しかし3時間の回復期間をも含めて比較すると, 水負債は脱水実験で体重の3.4%, 水摂取実験で2.0%, G-E摂取実験で1.3%となり, 脱水実験に比して他の2条件下に有意差が認められた。3.水分喪失の体内分布は, 発汗直後ではいずれの条件下でもほぼ血漿25%, 間質液45%, 細胞内液30%である。その後の3時間において, 血漿量はいずれの条件下でも回復する。間質液量は脱水群ではさらに減少するが, 他の条件下ではほぼ同じである。しかし細胞内液量は脱水群ではさらに減少し, 水およびG-E溶液を摂取すると回復を示し, 特に後者では回復が著しい。4.これらの結果に基いて, 自発的脱水の機序について検討を加えた。
著者
松井 哲也 山田 誠二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.C-G92_1-10, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
24

The PRVAs, product recommendation virtual agent, are the agents that take part in the clerks on the onlineshopping. For their aims, it is very important for the PRVAs to be trusted by users. However, trustworthy the PRVA design was not be studied yet. In this paper, we suggest the user’s trust transition model that is consisted by two parameters. One parameter is user’s emotion, and the other is agent’s knowledge. We suggested the transition operators that transited these two parameters by executing when the PRVAs recommend. Emotion transition operators are agent’s smile and gestures. Knowledge transition operators is long product recommendation text. We carried on three experiments to estimate these model and transition operators. In experiment 1, we executed no transition operators. In experiment 2, we executed emotion transition operators and added knowledge transition operators in the latter half. In experiment 3, we executed knowledge transition operators in the first half and added emotion transition operators in the latter half. As a results, it is discovered that transition operators and a transition model are effective. In experiment 1, there are no transition in the participants’ trust state. In experiment 2, the participants’knowledge perceived and trust for agent transited after executing knowledge transition operators. In experiment 3, the participants’ emotion transited after executing positive emotion operators, however, trust didn’t transited. From these result, we concluded that trust is based on each of the user’s emotion and the agent’s knowledge.
著者
小林 一樹 山田 誠二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.63-72, 2006 (Released:2006-01-06)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3

In this paper, we first propose a novel interaction model, CEA (Commands Embedded in Actions). It can explain the way how some existing systems reduce the work-load of their user. We next extend the CEA and build ECEA (Extended CEA) model. The ECEA enables robots to achieve more complicated tasks. On this extension, we employ ACS (Action Coding System) which can describe segmented human acts and clarifies the relationship between user's actions and robot's actions in a task. The ACS utilizes the CEA's strong point which enables a user to send a command to a robot by his/her natural action for the task. The instance of the ECEA led by using the ACS is a temporal extension which has the user keep a final state of a previous his/her action. We apply the temporal extension of the ECEA for a sweeping task. The high-level task, a cooperative task between the user and the robot can be realized. The robot with simple reactive behavior can sweep the region of under an object when the user picks up the object. In addition, we measure user's cognitive loads on the ECEA and a traditional method, DCM (Direct Commanding Method) in the sweeping task, and compare between them. The results show that the ECEA has a lower cognitive load than the DCM significantly.
著者
山田 誠治 萩原 泰治
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.188-197, 2012

産業連関分析を行うためには,ソフトウェアの利用が不可欠である.本誌では,得津・藤川らの VBAの利用,加河・稲村による Matlab の利用について,「産業連関分析入門」シリーズ,「応用産業連関分析講座」シリーズを掲載してきた.今回は,後者の続 編 として,Scilab を紹介する.Scilab はMatlab のクローンソフトであり,フリーソフトウェアであることからアクセスがより容易である.第 1 回として,基本的な解説と,兵庫県連関表を用いた計算例を示す.
著者
網田 和宏 大沢 信二 杜 建国 山田 誠
出版者
日本温泉科学会
雑誌
温泉科学 (ISSN:00302821)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.64-77, 2005-09-30
参考文献数
33
被引用文献数
6
著者
小松 孝徳 山田 誠二
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.500-512, 2008-08-15 (Released:2008-11-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究では,ユーザに対して特定の態度を想起させるような人工音を,それぞれ異なる外見を持つエージェントから表出させて,実際のユーザがそれらの人工音にこめられた態度をどのように解釈するのかを実験的に考察した.その結果,たとえ同じ人工音であってもその情報を表出するエージェントの外見が異なると,その人工音が必ずしも同じ意味として解釈されないことが明らかになった.具体的には,予備実験で選定した被験者に対して特定の態度を想起することができる8種類の人工音をMindStorms,AIBOといったエージェントから表出した場合,その態度一致率は,PCからの表出に比べて有意に低くなることがわかった.この結果は,同じ情報であっても外見の異なるエージェントからそれらを表出することで,異なる意味として解釈されてしまうことを明確に示していた.また,ポジティブ/ネガティブといった態度をユーザに解釈させる場合,1).エージェントの外見から予期できるような情報を用いた上で,2).その情報に対して「自然なエネルギーの流れから逸脱させるか否か」という属性を付与する,という二点を満たすことが重要だと考えられた.
著者
三島 壮智 大沢 信二 山田 誠 北岡 豪一
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.157-168, 2009 (Released:2011-03-25)
参考文献数
8
被引用文献数
2

A spectrophotometric method using bromocresol green (BCG) is proposed for determination of bicarbonate ion (HCO3-) in a small amount of environmental water samples. This method is based on variation of absorption spectrum of BCG accompanied with neutralization of an acid solution by HCO3- : H++HCO3- → H2CO3. Relation between HCO3- concentration and absorbance ratio at two wavelengths of 445 nm and 616 nm (A616⁄A445) in a concentration-defined HCl solution with BCG can be theoretically expressed by the equation derived from combining of the Lambert-Beer's law and the Henderson-Hasselbalch equation. The serious dissolution of atmospheric CO2 into pure water and standard solutions for the calibration curve can be evaded by a theoretical correction using pH and water temperature measured in laboratory, and then HCO3- from several mg⁄L to ca. 500mg⁄L in sample water of less than 0.3 mL can be rapidly determined. Comparing the new method to the conventional titration method using some environmental waters, mean analytical values obtained by this method are close to those from the titration method and the coefficient of variation of this method is shown to be about 2 times that of the titration method. An application of this new method to drip waters in a limestone cave, whose outflow rates were extremely low (several mL⁄min.), offers the possibility that this method is especially useful when sample water volumes are restricted.
著者
小林 一樹 船越 孝太郎 小松 孝徳 山田 誠二 中野 幹生
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.604-612, 2015-07-01 (Released:2015-05-21)
参考文献数
30
被引用文献数
2

In this paper, we describe an investigation into users' experiences of a simple talking robot with back-channel feedbacks that is designed based on an artificial subtle expression (ASE). In the experiments with participants, they are divided into six conditions based on an expression factor (three levels; human-like speech, blinking light, and beeping sound) and a timing decision method factor (two levels; a linguistic method and an acoustic method) for investigating participants' impressions on the dialogue experience. We developed an electric pedestal to show the blinking expression, on which a simple cubic robot was fixed. Participants engaged in a task of explaining a cooking procedure with a spoken dialogue system coupled with the robot on the pedestal. The robots responded to them by making the back-channel feedbacks in accordance with the expression factor. The results of questionnaire analyses suggested that the ASE-based expressions of back-channel feedback provide positive experiences for users.
著者
熊木 雅代 山田 誠 浜崎 健児 高村 仁知 高田 将志 和田 恵次
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-17, 2015 (Released:2015-04-08)
参考文献数
30

和歌山県における面源汚染の実態を広域的に把握するため,土地利用と河川水質の関連性について,県内の18河川を対象に定量評価した.具体的には,河川水中の主要な溶存成分を測定し,GIS (Geographical information system)データを用いて算出した流域の土地利用面積割合との相関を調べた.その結果,北部・中央部(以降,北中部と記す)の河川で面源汚染が進んでいることが明らかとなった.これは,下水道普及率の低い和歌山県においては,住宅地が多い北中部で,面源負荷が多いためと考えられる.また,特に中部河川では,果樹園に由来する面源負荷も大きく,栽培する果樹の種類による施肥量の違いや,元々の土壌生産性,降水量などの自然条件の違いが影響しているとみられる.一方,南部の河川では,流域の大部分が樹林地に覆われ,人為的な環境負荷が少ないため,面源汚染の影響はほとんど見られなかった.