著者
高田 俊之 三谷 加乃代 河嶋 智子 早川 みち子
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.1361-1365, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
20

脳卒中のため摂食嚥下機能に障害を来し経腸栄養法が必要となった場合、糖尿病を有する例では標準栄養剤を使用すると血糖値が大きく変動しコントロール不良となることが多い。胃瘻にて経腸栄養中の糖尿病合併脳卒中患者に対し、標準栄養剤、low glycemic index(以下、低GIと略)栄養剤及び半固形状流動食を使用した場合の血糖変動を持続グルコースモニター(CGM)を用いて各々測定した。標準栄養剤使用時に大きく変動を認めた血糖値は、半固形状流動食では変動幅が著明に減少し、低GI栄養剤と同等以上に標準偏差値、最大血糖値、Mean Amplitude of Glycemic Excursions(MAGE)を低下させた。これは半固形状流動食により胃の蠕動運動が惹起され糖を含む栄養剤が緩やかに腸管に排出されたためと推測できる。今回の結果から半固形状流動食は糖尿病を有する嚥下障害合併脳卒中患者の血糖変動改善に有用と考えられた。
著者
林 安里 熊田 知浩 野崎 章仁 日衛嶋 郁子 宮嶋 智子 藤井 達哉
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.288-293, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
12

【目的】ケトン食療法中は微量元素が欠乏しやすい. しかし, 特殊ミルクであるケトンフォーミュラ (明治817-B) を使用したケトン食療法中の微量元素の欠乏に関する報告はない.  【方法】ケトンフォーミュラを用いたケトン食療法を行った6人における治療前と6カ月後の血清セレン, 亜鉛と銅濃度の変化を調べた. おのおのの1日摂取量を調べた.  【結果】セレンの血清濃度と1日摂取量は有意に低下した. 亜鉛と銅の血清濃度は有意には低下しなかったが, 1日摂取量は低下した.  【結論】ケトンフォーミュラを用いたケトン食療法中は血清セレン濃度が低下, セレン, 亜鉛と銅の1日摂取量の減少を認め, 定期的な評価と不足例での補充が必要である.
著者
林 貴大 木村 暢佑 中森 いづみ 樋口 嘉久 宮嶋 智子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.294-295, 2018 (Released:2018-08-16)
参考文献数
5

MethylphenidateはADHDに使用され, 適正使用ガイドには脳血管発作 (脳出血, 脳梗塞, くも膜下出血) の報告例が記載されている. 今回methylphenidate内服中に2回の脳出血を来した13歳男子を経験した. 6歳7か月からmethylphenidate 18mg, 9歳1か月よりatomoxetine 20mgを毎日内服していた. 10歳9か月時に意識障害を生じた. 頭部CTでは左側頭葉に出血が認められた. 血圧, 身体所見, 血小板数, 凝固能, 抗核抗体, 頭部MRIやMRAでは異常所見はなかった. 保存的加療で1か月後の頭部CTでは出血像は消失していた. 薬剤性を考慮し2剤を中止したが, 多動や集中力低下が著明であり出血3か月後からmethylphenidateのみを再開した. 後遺症なく経過していたが, 12歳11か月時トランペット吹奏中に同部位に再出血を来した. 脳血管造影検査では器質的疾患の存在は否定的であった. Methylphenidateは構造や作用がamphetamineに類似している. Amphetamine使用例での脳血管発作の報告例は散見する. 機序として, 血管炎, hypertensive spikesや脳血管奇形の破綻が報告されている. 本症例では, これらの所見は指摘できなかったが, methylphenidateは稀に脳出血を来しうることを考慮する必要がある.
著者
中嶋 智子 中尾 史郎
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.95-105, 2022-09-25 (Released:2022-09-29)
参考文献数
29

南アジア,東南アジア,東アジア,オセアニア地域に広く生息する放浪種のミナミオオズアリPheidole fervens Smith, 1858は,日本国内では,南西諸島から九州南部に連続分布している.京都市で2020年にミナミオオズアリを採取したので,本州初記録として報告するとともに,本種の現在の生息状況と2016年以降の発見場所周辺の調査資料から本種の侵入定着の時期を推定し,同時に在来アリへの影響を明らかにした.2016年から2019年に実施した調査では26種のアリ類が採取されミナミオオズアリの採取はなかったこと,ミナミオオズアリは2020年9月に97個体,2021年10月に457個体とわずか30分間の砂糖水ベイト誘引でメジャーワーカーを含む多数のワーカーが採取されたことから,侵入定着時期は2019年から2020年初頭と推定した.2021年11月下旬と12月中旬に実施した調査では,陸続きである南北方向に約100 m拡がっていたことから本種の分布拡大速度は2年間で約50 mと予想した.この調査で15種2150個体のアリを採取し,ミナミオオズアリ侵入区とその周囲の非侵入区に分けアリ相を比較し,ミナミオオズアリ侵入の影響をみた.侵入区でミナミオオズアリは,他のアリ種に比べ62 %と最も高い採取率を示し,採取個体数も総採取アリ数の66 %と,すでに優占種であった.侵入区では,在来の普通種のトビイロシワアリTetramorium tsushimae Emery, 1925の平均採取個体数は非侵入区の1 %と少なく,クロヤマアリFormica japonica Motschoulsky, 1866は採取されず,ぞれぞれの採取率はミナミオオズアリの存否で差異が認められたことから,これらとミナミオオズアリが置き換わる可能性も示唆された.一方,オオズアリP. nodus Smith, 1874は,その生息適地に重なるミナミオオズアリの分布域では,ミナミオオズアリと同所的に生息し,オオズアリの存否では平均採取個体数と採取率には差異はみられず,本種の侵入による影響は小さいと考えられた.また,ミナミオオズアリに先んじて侵入定着しているケブカアメイロアリNylanderia amia(Forel, 1913)では,その平均採取個体数と採取率が侵入区で2.7個体と29%,非侵入区で2.1個体と29%と同程度の値を示し,侵入区と非侵入区で採取率に差異がなく,本種の侵入影響は明確ではなかった.
著者
米田 成一 山口 亮 小嶋 智子 木村 眞 岡崎 隆司
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>2018年9月26日(水)22時30分頃、愛知県小牧市の民家で大きな音がして、 翌朝調べてみると屋根に大きなえぐれた跡があり、庭やテラスから81gと23gを含む多くの黒い破片が発見された。また、隣家のカーポートの屋根に穴が開き、止めてあった車の屋根にもへこみができていて、玄関前に550gの黒い石が発見された。当日は天候が悪く、隕石落下の火球は観測されていない。ガンマ線測定を行い、宇宙線生成核種Al-26(半減期約70万年)とNa-22(半減期約2.6年)などを検出した。これにより最近落下した隕石であることが確認された。光学顕微鏡や電子顕微鏡による隕石組織の観察と鉱物組成の分析を行った結果、小牧隕石はL6コンドライトに分類された。また、Ne-21による宇宙線照射年代は2510±60万年、K-Arガス保持年代は44±2億年であった。</p>
著者
古田嶋 智子
出版者
東京藝術大学
巻号頁・発行日
2017-03-27

平成28年度
著者
イサダ サグァンウォントーン 四家 帝 山嵜 彰一郎 松嶋 智子 田中 宏和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.348, pp.35-38, 2012-12-13

通信における送信情報のビットストリームは,短いビットストリームのパケットに分割されたパケット構造をもつことが多い.パケットの先頭にはパケットの同期確立のためのユニークワードが存在する.ユニークワードを検出できないと,そのユニークワードを含むパケットからの情報再生ができなくなり,再生品質が著しく劣化する.通常,無線通信の送信機では伝送誤り対策のため,情報パケットのストリームに対して,誤り訂正符号化により情報パケットのパロティ検査ストリームを生成し,両ストリームを送信する.受信機では,誤り訂正復号された受信情報パケットのストリームからユニークワードを検出する.著者らは以前,復号された受信検査パケットのストリームからもユニークワードを検出する手法を提案したが,本稿では,同期検出確率と伝送効率の関係を明らかにする.
著者
岸 映里 油谷 藍子 尾崎 麻子 新矢 将尚 加田平 賢史 大嶋 智子 清水 充
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.111-116, 2013-04-25 (Released:2013-05-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に基づき,ホウレンソウのウラン(U)含有量を定量した.はじめに,マイクロ波分解装置を用いる有効性を検討し,マニュアル法と同等の定量値が得られることを示した.短時間で試験溶液が調製できることから,緊急時に対応するためには非常に有効であると考えられた.また,ICP-MS測定の際に2種類の内標準元素(TlまたはBi)が示されているが,低濃度のUを定量する場合は,よりUに近い感度変化を示すTlを用いるほうが望ましいと考えられた.ただし,試料によっては微量のTlやBiを含有するものがあるため,あらかじめ試験溶液中のそれらの量を確認する必要があることがわかった.平成23年4~5月に購入したホウレンソウ9検体のU含有量を定量したところ,いずれも10μg/kg以下であった.
著者
東山 幸恵 大嶋 智子 永井 亜矢子 若園 吉裕 久保田 優
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.909-916, 2012 (Released:2012-06-15)
参考文献数
16

小児期の栄養障害は成育に悪影響を及ぼすことが懸念されており、適切な栄養アセスメントと栄養状態改善への介入は重要である。しかし小児の栄養評価に関する議論は成人に比べ充分ではない。そこで筆者らは医療機関を対象に小児栄養評価についての質問票による実態調査を行った。その結果、栄養評価を実施するための各種基準値に関する検討、及び小児栄養評価に対する情報量の不足といった課題が浮き彫りとなった。また、病児、健常児を対象にWaterlow分類による栄養評価を行ったところ、病児だけでなく健常児においても栄養障害リスクのある児が一定数存在することが判明した。医療機関において病児の栄養評価を行う際には、健常児の栄養状態の特徴を理解したうえで、判定を行う必要であることが改めて示唆された。
著者
落合 昇 櫛引 理 松嶋 智子 寺町 康昌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.957-968, 2003-09-01
被引用文献数
39

光CDMAシステムの一つとして,EWO信号方式が提案されている.この方式は,1組のユーザに互いに直交する等重みの二つの符号語を割り当て,伝送情報に応じて一方を選択して拡散符号化に用いる方式である.基本的な光CDMA方式であるOOK信号方式と異なり,復号時のしきい値を動的に推定する必要がない点で優れている.EWO信号方式はOOCやPSCをシグネチャ符号とする非同期システムにおいて評価されており,その誤り率特性は適用する符号などによって多少異なるが,OOK信号方式に比べて大きな改善はなく,条件によっては劣ることが報告されている.本論文では,EWO信号方式を同期システムに適用した場合の誤り率特性を評価する.シグネチャ符号としてはMPSCを用い,他チャネル干渉以外の雑音要因を無視できる理想的なリンクを仮定し,解析的な評価及び計算機シミュレーションを行った.その結果,EWO信号方式はOOK信号方式に比べて非常に優れた誤り率特性をもつことが示された.特に,符号語の各ユーザヘの割当てを工夫することにより,EWO信号方式は多重者数にかかわらず誤り率が常に0となるという結果が得られた.