著者
川上 恵 北田 徳昭 米澤 淳 岡村 みや子 尾崎 淳子 池見 泰明 中川 俊作 今井 哲司 中川 貴之 土井 恵太郎 秋月 修治 武藤 学 寺田 智祐
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.83-90, 2023-08-31 (Released:2023-09-15)
参考文献数
18

Objective: In patients with specific backgrounds, comprehensive identification of health problems and proactive pharmacist intervention are crucial to providing safe and effective medical care. However, there are insufficient reports on chemotherapy regimen selection and supportive care management in patients taking immunosuppressants. In this study, to circumvent adverse events, pharmacists intervened with a patient administering tacrolimus (TAC) using known information, focusing on multiple factors attributable to the patient in addition to drug interactions.Methods: The patient was a male in their 70s who received palliative chemotherapy for gastric cancer during their dermatomyositis treatment with TAC. Pharmaceutical support for cancer chemotherapy was provided using the following four procedures: (1) Patient information was collected from interviews and electronic medical records to identify patient-specific problems; (2) Basic pharmacological information was collected from tertiary sources, focusing on the interaction between TAC and aprepitant (APR). Furthermore, clinical reports were collected, and the pharmacokinetic drug interaction significance classification system was used for quantitative predictions; (3) The information obtained in steps 1) and 2) was evaluated, and comprehensive proposals linked to the patient information were presented; (4) Adverse events, TAC blood level, and patient outcomes were monitored after treatment initiation.Results: A chemotherapy regimen consisting of S-1/oxaliplatin therapy without APR was selected. The adverse effects were controllable, and the treatment was completed without many adverse events. Meanwhile, TAC adherence was unaffected by cancer chemotherapy, and the TAC blood concentration or dose ratios were controlled within the same range as previously reported.Conclusion: In cancer chemotherapy, for cases with limited evidence or information, comprehensive pharmaceutical support was provided using known patient information, considering multiple patient factors. This report is beneficial as an example of supportive care management by a pharmacist and contributes to providing optimal service in cases with specific backgrounds.
著者
竹増 まゆみ 梶谷 真也 徳本 和哉 要田 芳代 川上 恵子 只佐 宣子 堀川 俊二 福原 和秀
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.904-908, 2013-03-31
被引用文献数
1

急性薬物中毒患者が搬入された際には,薬剤師が中毒原因物質に関する情報を迅速に収集し,個々の症例にあった適切な情報と治療方法を医師,看護師に提案する必要がある。 今回,ジフェンヒドラミン(以下,DPH)含有軟膏を大量に誤飲した99歳女性の救命治療に対して,胃洗浄を含めた治療方法と,患者の血中DPH濃度を経時的に測定することを提案した。その結果,血中DPH濃度の低下とともに臨床症状の改善が認められ,DPH含有軟膏誤飲例に対して胃洗浄を施行したこと,および血中濃度測定の臨床における有用性が示唆された。
著者
川上 恵江
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.29-51, 2006-03-05
著者
竹増 まゆみ 梶谷 真也 徳本 和哉 要田 芳代 川上 恵子 只佐 宣子 堀川 俊二 福原 和秀
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.904-908, 2013 (Released:2013-07-23)
参考文献数
6
被引用文献数
1

急性薬物中毒患者が搬入された際には,薬剤師が中毒原因物質に関する情報を迅速に収集し,個々の症例にあった適切な情報と治療方法を医師,看護師に提案する必要がある。 今回,ジフェンヒドラミン(以下,DPH)含有軟膏を大量に誤飲した99歳女性の救命治療に対して,胃洗浄を含めた治療方法と,患者の血中DPH濃度を経時的に測定することを提案した。その結果,血中DPH濃度の低下とともに臨床症状の改善が認められ,DPH含有軟膏誤飲例に対して胃洗浄を施行したこと,および血中濃度測定の臨床における有用性が示唆された。
著者
長谷川 浩一 林 真人 川口 健司 田代 晴彦 森川 篤憲 岡野 宏 川上 恵基 村田 哲也
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.29, 2007

(症例)患者はインドネシア国籍の29歳男性で、平成19年1月17日に頭痛を主訴に当院外来を受診。頭部単純CTで左側頭葉に低吸収域を呈する脳病変を認めた。しかしながら不法滞在者であると判明し、それ以上の精査治療は母国で行うべきと初診医が判断し、即時の帰国を勧めた。しかしながら、症状は徐々に悪化し発熱と意識障害をきたしたため、1月21日に当院救急外来を受診し内科入院となった。入院時、口腔内カンジダ症を認め、抗HIV抗体が陽性であった。髄液検査では異常を認めなかったが、AIDSによる脳トキソプラズマ症が最も疑われ、ST合剤とクリンダマイシンの投与を開始した。治療により解熱しCRPも9.0から0.5に低下したが、意識状態の改善はあまり認められず、到底旅客機で帰国できる状態ではなかった。2月1日に局所麻酔下で定位的に病変部位の生検術を施行し、病理組織にて脳トキソプラズマ症の確定診断が得られたため、2月8日に三重大学附属病院血液内科に転院した。その後、ピリメサミンを用いた積極的な治療により旅客機で帰国できる状態にまで回復した。(当院での対応)不法滞在のため保険には未加入で、治療費は自費のため金銭的な援助をインドネシア大使館にも相談したが、予算がないため金銭的な援助は不可能との返事であった。また、当院はAIDS拠点病院に指定されていないため、県内のAIDS拠点2病院への転院も考慮したが困難であった。三重大学附属病院のみHIV感染により何らかの合併症を発症している事が確認されていれば、何とか受け入れ可能であるが、少なくとも脳の生検でAIDS以外の脳病変を否定する事が前提条件であった。HIVに対する手術器具の消毒法もHCV等と同じであるが、HIV感染患者の手術は当院では初めてであり手術室等からの反対もあったが、転院のためには他に手段はなく、当院でやむなく生検術を施行した。 (考察)不法滞在患者でなく金銭的に問題なければ、大学病院以外のAIDS拠点病院への転院も可能であったと思われるが、研究機関でもある大学病院しか受け入れは許可してもらえなかった。鈴鹿市は外国人の割合が高いので、不法滞在の外国人も多いと予想されるが、これは全国的な問題と考えられる。不法滞在者であるからといって人道的に治療を拒否する事はできず、行わなければならない。その様な場合、どこからか金銭的な援助を得て、なんとか治療を行える方法はないのであろうか。また、外来受診の翌日に名古屋の入国管理局から連絡があり、すぐに帰国させる様に伝えたが、手続き上少なくとも1週間以上かかり、結局その間に症状が悪化し帰国できなくなってしまった。不法滞在ではあるが、この様な緊急事態の場合、入国管理局はもっと早く帰国の手続きをとる事はできないのであろうか。この患者は治療により帰国できる状態にまで回復したが、回復しなかった場合は二度と自国の土を踏む事はできなかったと考えられた。
著者
堀川 俊二 梶谷 真也 川上 恵子 只佐 宣子 伊東 明彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.4, pp.473-478, 2013 (Released:2013-04-01)
参考文献数
7

In recent years there has been a rise in the number of diabetic patients in Japan, with the increase in elderly diabetic patients becoming a serious problem. This study looked at 488 elderly type 2 diabetes patients who were admitted as emergency cases to the Department of Internal Medicine, JA Yoshida General Hospital, Akitakada City, Japan. All patients were classified by age into three groups: <70, 70-80 and >80. The most common cause of emergency hospitalization in each of the three age groups was infection. This was significantly higher in the >80 group in comparison with<70 (p<0.05). The most common infection among the three groups was respiratory infection, followed by urinary tract infection. The number of emergency hospitalization cases due to hypoglycemia was much higher in the over 80 group, particularly in comparison with<70-80 (p<0.05). The incidence of hypoglycemia in our patients could be explained mainly by reduced energy intake. Most cases were treated with oral administration of hypoglycemic drugs. As elderly diabetic patients have a number of underlying illnesses that are prone to aggravation and may lead to unfavorable prognosis, early medical examination and disease detection are considered to be important. Pharmacists are required to educate patients, home-visit nursing care personnel on sick-day rule, and provide diabetes care.
著者
川上 恵治
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E1107, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】前頭葉損傷患者では自発性や意欲の低下、行動開始の遅延、衝動コントロールの不良などを伴うことが多く、これらの付加要因があるとリハビリテーションにのりにくい。今回、既往歴に小脳出血がある前頭葉症状を呈した症例を担当し、前頭葉症状の中核となる遂行機能障害に対し問題解決療法なる段階的教示を実施したところただちに改善が見られたが、その後拒否と易怒性のために理学療法実施が困難となった。認知症の辺縁症状を考慮して理学療法を実施した結果、著名な改善が見られた症例を経験したので報告する。【症例】62歳男性。介護老人福祉施設入所中平成18年6月14日熱発、6月19日誤嚥性肺炎で当院入院し絶食と補液。6月30日肺炎軽快。7月31日理学療法開始。既往歴は32歳腹膜炎、高血圧症、52歳小脳出血手術、多発性脳梗塞、高血圧症、平成18年1月腸閉塞。【初期評価】把握反射は両手陽性。動きは拙劣。左半身低緊張。体幹の立ち直り反応なし。意識清明。HDS-R6点。発語少ない。寝具に包まれ臥床している。寝返り、移乗動作全介助。端座位は左へ傾き立ち直ろうとせず。車椅子座位は左へ傾き背あてに押し付けている。食事動作全介助、排泄オムツ。問題点;1発動性の低下、2起居動作全介助、3食事動作全介助。ゴール:車椅子の生活、食事・トイレ動作の介助量の軽減。プログラム:1起居動作訓練、2食事動作訓練。【経過】段階的教示法に基づき動作を誘導した。起座は手すりを把持し軽介助。座位は口頭指示にて右へ重心移動可となり保持可能となった。車椅子座位は傾き、背もたれへの押し付けが減った。平行棒は介助にて1往復可能となった。食事動作は自力摂取可となったが、気が向かないと自力摂取せず、スプーンを持たせると拒否し怒った。同じように起居動作訓練も拒否し怒り実施困難となった。拒否されないように接し方を変え、一方的に誘導するのでなく本人の了解を一つ一つ得ながら実施した。その結果、拒否や暴言はなくなり訓練が可能となり食事も自力摂取するようになった。【退院時評価】拒否、易怒性が見られなくなり、食事動作は自力摂取となった。自発語が増加した。姿勢の傾きは減り体幹が安定してきた。排泄動作は訴えがなく実施できなかった。問題点:1発動性の低下、2起居動作要助、3排泄オムツ。【考察】認知症の評価は機能や生活上の問題点だけを課題抽出するのではなく、本人の能力や・願望・好みといった「したいこと」や「できること」をアセスメントする事であり、拒否や暴言は認知症の辺縁症状で、接し方により改善の可能性があると言われる。症例に対し評価の視点、接し方を変えることにより、辺縁症状が改善し理学療法の実施が可能となり効果が表れたと考える。
著者
長谷川 浩一 林 真人 川口 健司 田代 晴彦 森川 篤憲 岡野 宏 川上 恵基 村田 哲也
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第56回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.29, 2007 (Released:2007-12-01)

(症例)患者はインドネシア国籍の29歳男性で、平成19年1月17日に頭痛を主訴に当院外来を受診。頭部単純CTで左側頭葉に低吸収域を呈する脳病変を認めた。しかしながら不法滞在者であると判明し、それ以上の精査治療は母国で行うべきと初診医が判断し、即時の帰国を勧めた。しかしながら、症状は徐々に悪化し発熱と意識障害をきたしたため、1月21日に当院救急外来を受診し内科入院となった。入院時、口腔内カンジダ症を認め、抗HIV抗体が陽性であった。髄液検査では異常を認めなかったが、AIDSによる脳トキソプラズマ症が最も疑われ、ST合剤とクリンダマイシンの投与を開始した。治療により解熱しCRPも9.0から0.5に低下したが、意識状態の改善はあまり認められず、到底旅客機で帰国できる状態ではなかった。2月1日に局所麻酔下で定位的に病変部位の生検術を施行し、病理組織にて脳トキソプラズマ症の確定診断が得られたため、2月8日に三重大学附属病院血液内科に転院した。その後、ピリメサミンを用いた積極的な治療により旅客機で帰国できる状態にまで回復した。 (当院での対応)不法滞在のため保険には未加入で、治療費は自費のため金銭的な援助をインドネシア大使館にも相談したが、予算がないため金銭的な援助は不可能との返事であった。また、当院はAIDS拠点病院に指定されていないため、県内のAIDS拠点2病院への転院も考慮したが困難であった。三重大学附属病院のみHIV感染により何らかの合併症を発症している事が確認されていれば、何とか受け入れ可能であるが、少なくとも脳の生検でAIDS以外の脳病変を否定する事が前提条件であった。HIVに対する手術器具の消毒法もHCV等と同じであるが、HIV感染患者の手術は当院では初めてであり手術室等からの反対もあったが、転院のためには他に手段はなく、当院でやむなく生検術を施行した。 (考察)不法滞在患者でなく金銭的に問題なければ、大学病院以外のAIDS拠点病院への転院も可能であったと思われるが、研究機関でもある大学病院しか受け入れは許可してもらえなかった。鈴鹿市は外国人の割合が高いので、不法滞在の外国人も多いと予想されるが、これは全国的な問題と考えられる。不法滞在者であるからといって人道的に治療を拒否する事はできず、行わなければならない。その様な場合、どこからか金銭的な援助を得て、なんとか治療を行える方法はないのであろうか。また、外来受診の翌日に名古屋の入国管理局から連絡があり、すぐに帰国させる様に伝えたが、手続き上少なくとも1週間以上かかり、結局その間に症状が悪化し帰国できなくなってしまった。不法滞在ではあるが、この様な緊急事態の場合、入国管理局はもっと早く帰国の手続きをとる事はできないのであろうか。この患者は治療により帰国できる状態にまで回復したが、回復しなかった場合は二度と自国の土を踏む事はできなかったと考えられた。
著者
川上 恵一郎 清崎 雅宣 天谷 洋 中牧 剛 日野 研一郎 友安 茂
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.334-340, 2000

症例は54歳,女性。慢性骨髄性白血病慢性期と診断され,4年後に急性転化をきたした。芽球はペルオキシダーゼ陰性,TdT陽性で,表面マーカーはCD7, HLA-DRが高値で,CD2, CD5, CD10も弱陽性ながら発現を認め,リンパ球系の形質をわずかに有した未分化芽球性の急性転化と診断した。インターフェロンαを20日間投与したが無効のため,VP療法(ビンクリスチン2 mg/週,プレドニソロン30 mg/日)に変更した。VP療法第1週終了後,右前胸部に可動性を有する小指頭大の皮下腫瘤が出現した。腫瘤はペルオキシダーゼ陽性,TdT陰性の芽球で占められており,表面マーカーはCD13, CD33が陽性であった。本例は全身性の未分化芽球性急性転化治療経過中に,局所性の骨髄芽球性急性転化を合併した1種のmixed blast crisisで,貴重な症例と考えられた。
著者
川上 恵治
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第29回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.3, 2010 (Released:2010-10-12)

【はじめに】認知症で前頭葉症状があり、介助が困難で褥創が多発している症例を担当した。寝返りは退院時まで出来なかったが、歩行が獲得でき介助量が軽減するようになった症例を前頭葉障害、感覚統合の障害の視点から治療したことにより効果が見られたので報告する。 【症例】71歳男性。既往歴:多発性脳梗塞、認知症。2009年8月発熱が続き寝たきり状態となり、重症肺炎で他院入院。8月25日病状軽快し当院転院。褥創が殿部、背部、後頭部,左肘、左踵部にある。8月27日理学療法開始。経鼻経管チューフ゛であったが9月14日全粥、キサ゛ミあんかけを全量摂取となる。妻と二人暮らし、妻は高齢のため自宅復帰困難。 【画像所見】CT(入院時)広範囲に脳萎縮。 【初期評価】(9月8日) 全体像:臥床し四肢でヘ゛ット゛を押し付けヘ゛ット゛柵を把持し離さない。指示が入らず協力動作は得られない。DIV,ハ゛ルーンカテーテル留置。意識状態:JCS 20-IA。発語は少ない。精神面:怒りや拒否はない。運動麻痺:著明でない。深部腱反射:左半身やや亢進。病的反射:陰性。前頭葉症状:覚醒障害、自発性の低下、運動開始の困難。把握反射:陽性。ADL:姿勢はベッド上で仰臥位でいる。寝返り・起座は全介助。座位は手で柵を把持し両下肢で突っ張り重心移動に抵抗。車椅子座位はハ゛ックレストに寄りかからないで座ると、そのまま寄りかからないで座り続ける。足部はフットレストに載せてもすぐ床に降ろす。 問題点:1寝返り・起座全介助。2食事摂取全介助。3把握反射と、押し付け。4多発褥創(殿部、背部)。 【経過】意識状態はJCS 3-_I_移乗・起立は安定した支持物に手を伸ばし動作を開始するようになった。起立は介助すると突っ張って抵抗し困難であったが、本人の動作の開始に合わせて誘導すれば可能となり、歩行もワイドベースで可能となった。11月15日褥創は仙骨部を残し治癒。退院日(2010年1月21日)まで寝返り・起座の協力動作は緊張し柵を把持し、突っ張るので得られなかった。 【考察】 寝返り・起座と、移乗・歩行の違いは、前者は後者に比べ重心移動が大きいことであり、支持面が広い面から狭い面へ変化が大きいことである。症例は認知症、前頭葉症状、固有感覚の障害のため、重心移動と支持面の変化に対応できず姿勢変換が困難である。また、視覚で代償できれば良いが、前者は頭部をベッドに押し付けているため、眼球の動きが制限され困難であり、後者は頭部の押し付けが無いので頭部・眼球の動きは制限されず、視覚からの代償が得られるので動作がし易いと考えた。
著者
沈 建仁 神谷 信夫 梅名 泰史 川上 恵典 高坂 賢之 岩井 雅子 池内 昌彦
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

光化学系II複合体(PSII)の構造制御機構を解明するため、各種低分子量サブユニット欠損株由来PSIIの構造・機能解析を行った。Ycf12(Psb30)欠損株由来PSIIの結晶構造解析によりその存在位置を確認し、PsbZ欠損株を用いた研究では、PsbZがPsbKとYcf12のPSIIへの結合に必要であることを示した。また、PsbMはPSII二量体の安定性を維持するのに必要であるが、PsbIは二量体の形成に必要であることを示した。
著者
松縄 学 川上 恵一郎 久武 純一 鈴木 順子 中牧 剛 日野 研一郎 友安 茂
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.1010-1014, 2003 (Released:2009-07-28)
参考文献数
14
被引用文献数
2

症例は21歳,男性。原因不明の急性肝炎で入院した。安静で徐々に肝障害は改善したが,入院約2カ月後より再度肝機能の悪化,高熱がみられ,汎血球減少が進行した。血清のTNFα, IFNγ, IL-6, M-CSFが高値で,骨髄に血球貪食像を伴い,血球貪食症候群類似の病態を示した。プレドニゾロン,γグロブリン,G-CSFの投与後,解熱し,肝障害も徐々に軽快したが,汎血球減少は改善しなかった。その後の骨髄検査で血球貪食細胞が残存していたが著明な低形成を示し,肝炎後再生不良性貧血と診断した。ATG, シクロスポリン,G-CSFによる免疫抑制療法を行い,造血能の回復がみられた。骨髄中のリンパ球のCD4/CD8比は改善し,TNFαやINFγなどのサイトカインも減少した。血球貪食症候群様の病態に伴う活性化T細胞およびINFγ, TNFαの増加が肝炎後再生不良性貧血の発症に関与したと考えられた。