著者
福嶋 祐介 早川 典生 近藤 敏
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
長岡技術科学大学研究報告 (ISSN:03885631)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.67-74, 1995
被引用文献数
1

In order to investigate the dynamics of powder snow avalanches, the experiment on fronts of gravity currents on the inclined wall is carried out. Experiments concerned are inclined thermals using saline water and turbid water into fresh water. The saline gravity current is conservative and turbid one is non-conservative. The speed and the maximum height of the front of gravity currents are measured for all cases. The salinity concentration profits are measured for the case of saline gravity currents. The non-dimensional speed of saline inclined wall plumes and thermals are nearly constant in the flow direction. On the contrary, the non- dimensional speed of turbid inclined thermal decreases in the flow direction.
著者
上石 勲 早川 典生 川田 邦夫 千葉 京衛
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.127-136, 1994-06-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
6

新潟県新井市の大毛無山の新井スキー場には,雪崩対策として,プロパンガスと酸素の混合物を爆発させ雪崩を誘発する“ガゼックス”が設置されている.これを使用して,1992年1月~3月にかけて数回の人工雪崩実験を行い,大規模な雪崩発生に成功した.雪崩発生時の積雪構造と雪崩規模について解析した.また1993年5月には,ガゼックスの爆発による雪面と積雪内部の空気圧測定実験を行った.その結果,ほぼスキーヤー1人の荷重に等しい空気圧を得た.
著者
上田 香織 浅見 真帆 山田 詩織 佐伯 香織 小田 民美 丸山 夏輝 生野 佐織 秋山 蘭 早川 典之 森 昭博 左向 敏紀
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.122-127, 2017-10-10 (Released:2017-12-25)
参考文献数
20

糖尿病猫の食事には血糖値を緩やかに上昇させる炭水化物の使用が好ましいが、炭水化物の違いが血糖変動に与える影響を検討した報告は少ない。そこで本研究では、異なる炭水化物(グルコース:Glc、マルトース:Mal、トレハロース:Tre、コーンデンプン:Corn)を健常猫4頭に給与し、血中グルコース、インスリンおよびNEFA濃度に与える影響を検討した。グルコース曲線下面積(Glucose-AUC0-10h)は、Tre食、Corn食と比較してGlc食、Mal食で有意に高値を示した。Insulin-AUC0-10hは全ての群間で有意差は認められなかった。また、NEFA-AUC0-10hは、Glc食、Mal食と比較してTre食で有意に高値を示したが、Corn食では有意差は認められなかった。コーンデンプンは血糖上昇およびインスリン分泌が緩やかであり、また、血中NEFA濃度の上昇が認められなかったことから、炭水化物代謝の不得手な猫にとっても利用率が高い有用な炭水化物源となることが示唆された。
著者
三村 可菜 淺川 裕美 橋本 正勝 早川 典之 石岡 克己
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.139-143, 2013-12-25 (Released:2016-01-26)
参考文献数
6

α1-酸性糖蛋白 (α1-AG)は急性相反応蛋白の一種であり,猫において炎症や腫瘍を検出するスクリーニング項目として注目を集めつつある。今回新たに開発した測定試薬を用い免疫比濁(TIA)法による猫血中α1-AGを測定した結果,同時再現性と希釈直線性はともに良好で,その測定値は一元放射免疫拡散法による測定値と高い相関を示した。この試薬を用いたTIA法で日本獣医生命科学大学付属動物医療センターに来院した238頭の猫の血中α1-AG濃度を測定したところ,α1-AGが上昇していた125頭のうち血清アミロイドA(SAA)の上昇を伴っていたものは62頭で,乖離が見られることからα1-AGとSAAの同時評価が病期判定や鑑別診断に結びつく可能性が示唆された。また,TIA法による猫α1-AGの測定は大規模な検体処理に適し,検査項目としてのα1-AG測定の普及に寄与することが期待される。
著者
梅崎 健夫 河村 隆 西田 健吾 早川 典 石井 大悟 志賀 信彦
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.167-174, 2013 (Released:2014-11-06)
参考文献数
16
被引用文献数
4 3

水中の陽イオンおよび陰イオンを吸着除去する天然ゼオライトおよび多孔質ケイ酸カルシウムをパルプにす き込んだゼオライト機能紙およびケイ酸カルシウム機能紙を開発した.湖沼や河川などの富栄養化の要因であ る窒素およびリンに対するこれら上記2種類の多孔質担持機能紙の有効性を検証するため端緒として,アンモ ニア態窒素(NH4-N)およびリン酸態リン(PO4-P)を含む水溶液に対する吸着試験を実施した.試験結果に基 づいて,機能紙の吸着特性について検討した.主な結論として,ゼオライト機能紙へのNH4-Nおよびケイ酸カ ルシウム機能紙へのPO4-Pの吸着はそれぞれ短時間で生じること,水溶液中にNH4-NおよびPO4-Pの両者が混在 する場合においても互いの吸着を妨げないこと,一旦吸着すると容易に剥離しないこと,を明らかにした.
著者
早川 典久
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.169-176, 1952-12-10 (Released:2008-03-18)
参考文献数
4

Geology and sulphur deposit in Uguisu-zawa Mine, situated in the northwestern district of Hanamaki, Iwate Prefecture, Northaest Japan, are described and some considerations on the ore genesis are mentioned. This sulphur deposit consists of some layered ore seams intercalated in mud stone which were formed in the depression caldera of small scale relating genetically to the “Kuzumaru Volcano” already reported. This sulphur deposit has been believed to be the “Lake Deposit Type” but it is more reasonable to consider that it belongs to the “Flowed Sulphur Type” from theviewpoint of the structural and textural features of the ore seams.
著者
早川 典久
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.135-142, 1952-10-10 (Released:2008-03-18)
参考文献数
4

1. 葛丸火山の火成活動は,鶯宿岩沢構造線上に生じた陥没地域に,葛丸川上流を中心として行われたもので,葛丸川上流に旧火口を推定することが出来る。 2. 火成活動は第I及び第II期に区分せられ,第I期は石英安山岩活動,第II期は含石英両輝石安山岩活動に屬し,夫々葛根田火山のk1(石英安山岩)及びk2(含石英安即岩)に相当し,葛根田火山に於けると同様に噴出物の性質は酸性より塩基性に向う傾向を示す。 3. 第I期の石英安山岩活動は更にIa~Ieの5期に細分され,各活動期の中間には休止期が存在する。休止期には陥没湖沼中に凝灰質泥岩層乃至砂礫層を沈積する。 4. 陥没湖沼はIa期よりId期初頭迄は存在したことが考えられるが,Id期中に全体が陸化し, Id期と1e期の間の休止期には局部的な,小陥波が起つて,硫黄鉱床が生成されている。 5. 第I期石英安山岩活動の噴出物の性質は葛丸火山全体を通じて示される傾向と同様に酸性から塩基性に向う性質を示す。
著者
河村 隆 梅崎 健夫 水谷 俊明 早川 典 石井 大悟 志賀 信彦
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.183-191, 2014 (Released:2015-04-27)
参考文献数
14

閉鎖性水域における富栄養化の原因物質の一つである水中のアンモニア態窒素を吸着できる天然ゼオライトをパルプに担持させたゼオライト機能紙を用いた水質浄化対策を提案した.本対策は,ゼオライト機能紙とジオシンセティックスを用いて作製した簡易浄化ユニットを,富栄養化が問題となっている湖沼の流入河川に繋がる小規模な水路などに設置するものである.本文では,簡易浄化ユニットの適用性を検討するために,ゼオライト機能紙の流水に対する耐久性試験と簡易浄化ユニットの小型模型にアンモニア態窒素を含む水溶液を通水させる吸着試験を実施した.それらの結果に基づいて,簡易浄化ユニットを用いた富栄養化対策としての適用が期待されることを明らかにした.
著者
熊倉 俊郎 早川 典生 細山田 得三 播磨 隆
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地球環境シンポジウム講演集
巻号頁・発行日
vol.4, pp.147-152, 1996

Numerical simulation by Modular Ocean Model2 (MOM2) is carried out to understand whole image of oceanic structure in the Japan Sea. MOM2 is the numerical simulation code which integrates governing equation and calculates development of momentum, temperature, and salinity. The study is successful to reproduce the flow pattern of oceanic circulation in the Japan sea, which includes meandering of Tsushima Warm Current and the polar front in the center of Japan Sea.
著者
早川 典子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.60-63, 2007-02-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
3

文化財の修復では,古くから使われ,使用方法や使用後の変化について多くの経験が重ねられている材料が「伝統的な材料」として多くの場面で使用されている。このような材料は,勘や経験に基づいて安定して使用されているため,意外にもその化学組成が明確になっていない場合もある。中でも,古糊(ふるのり)と言われる糊は,甕に入れたデンプン糊を十年ほど保存して作られるもので,汎用性の高い他の糊とは異なり,書画の修復においてのみ用いられる特殊な材料である。この古糊の特徴について,近年明らかにできた化学的知見と,それをもとにした類似材料の調製について報告する。
著者
伊藤 嘉章 小泉 恵英 木川 りか 原田 あゆみ 白井 克也 志賀 智史 楠井 隆志 河野 一隆 早川 典子 大橋 有佳 渡辺 祐基 川村 佳男 望月 規史 川畑 憲子 森實 久美子 酒井田 千明
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

初年度である今年度は、情報収集を兼ねて多角的に調査を開始した。タイでは、国立の伝統文化財部で現在行われている王室の御座船の修理方法や伝統的人形劇の人形、漆工品、色ガラスを多用した木製品、布製品、石造彫刻等の製作・修理技法のほか、寺院の壁画の修理技法について調査を実施した。インドネシアでは伝統的な影絵であるワヤン・クリの製作技法や機織りによるイカットの製作技法、伝統的な青銅製品(ゴング)の製作技法についての聴き取り調査を実施した。ミャンマーではこの地域に特有な性質をもつ漆工品の調査を行い、ベトナムでは伝統的木製品の修理のための調査のほか、藕糸の製作技法に関する調査を行った。また国内に存在するアジア地域に関連する文化財についても積極的に調査を進めた。中国式寺院の独特な様式をもつ仏像や金工品や、国内で保有しているアジア地域と関連する染織品(藕糸を使用したと考えられる絵画やインド更紗)、韓国の伝統的絵画(綿布に書かれた絵画)の修理方法についての調査、響銅(佐波理)の製作痕の調査、インドネシアのガムランの音色にかかわる構造などについての詳細調査を実施したほか、出土した茶入などの陶器についても製作技法を解明するためにCTによる詳細な構造調査を行った。このほか、修理技法と係る基礎研究としては、アジア地域で伝統的技法に多用されてきた灰汁について文書の修理への利用を念頭に、成分分析と修理対象となる紙に対する影響調査を行った。
著者
貴田 啓子 岡 泰央 稲葉 政満 早川 典子
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.41-48, 2016

<p>紙や絹を基底材とする絵画などにおいて,銅含有彩色材の緑青が使用されている文化財資料では,緑青により基底材の劣化が進行し,褐色に変色する「緑青焼け」と呼ばれる劣化現象が観察される.本研究では,室町時代制作の仏画であり,「緑青焼け」が顕著にみられる絹本絵画について,修理にあたり取り除かれた2層の旧裏打紙を分析の対象とし,セルロースの分子量分布に着目し,劣化の状態を調べた.紙のセルロース分子量については,2層の裏打紙ともに,「緑青焼け」の箇所において,無着色部分よりも分子量が低下していることがわかった.さらに,「緑青焼け」の影響がみられる裏打紙中において,無着色部分の裏打紙よりも銅Cuを多く検出した.顔料に由来するCuは,2層の裏打紙に移動し,これらが,裏打紙の分子量低下をも促進していることが示唆された.また,絹本絵画の水洗浄に用いた吸取紙においてもCuを検出したことから,Cu成分の一部が水溶性であることがわかった.</p>
著者
早川 典生 河原 能久 後藤 巌
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
長岡技術科学大学研究報告 (ISSN:03885631)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.35-41, 1985-09-20

The overturning of a motor vehicle passing along Route 8 at Yoneyama along the Japan Sea coast is reported to have occurred on 29 October, 1976, due to a strong onshore wind. This paper reports a model study aimed to elucidate the mechanism of this incident. The model terrain and vehicle were scaled down to one to 30. Wind velocity, pressure distribution along the terrain as well as model vehicle are measured, and the drag and lift force and the overturning moment of the model vehicle are calculated. The result of the study points to the possibility of studying the mechanism of overturning accident.
著者
宮坂 正三 早川 典久
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鉱業会誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.81, no.930, pp.886-893, 1965-10-25 (Released:2011-07-13)
参考文献数
6

There are many limonite deposits genetically related to the mineral springs at the vicinity of the Azuma Volcano, Fukushima Prefecture. Near the Nuruyu Spa three limonite deposits are found, and the mineral water shows highly acidity owing to the presence of sulphuric acid.This paper is concerned with studies on the chemical compositions of both mineral waters and limonites, and the relation between the pH of mineral water and limonite depositions. It seems probable, on the basis of the experimental evidence, that the optimum pH range for the iron depositions is 3.5-6.0 and that in this pH range iron precipitation is increased with higher pH. Differential thermal analysis curves and X-ray powder diffraction patterns show that the limonites deposited from the mineral springs essentially _consist of amorphous iron hydroxide containing a small quantities of goethite. Odo or yellow limonite from Akanuma and Fukuo shows the clear X-ray powder diffraction patterns of goethite.And as the result of experiments, it is shown that various minerals such as goethite, lepidocrocite, magnetite, and siderite are formed in accordance with the change of pH from 5.0 to 12.0 when NaOH or (NH4) 3CO3 solution is added to ferrous sulphate solution containing sulphuric acid or oxalic acid.
著者
町田 誠 早川 典生 町田 敬 坂上 悟
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.457-469, 2007-07-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
8
被引用文献数
2

わが国における爆薬を使用した人工雪崩誘発技術は,半世紀近い歴史を有し独特の発展を遂げてきた.しかし,その経緯を知る人は少なくなり,またその技術的発展段階では経験的要素も多いが,多くの基礎知識が積み上げられたもので,いまだ有用な技術が多い.本論文はこれまでの人工雪崩の歴史を概観し,あらたに爆薬の選定と積雪層への装薬法を検討した.さらに応用研究として,斜面での雪崩誘発技術と雪庇処理技術の開発を試みたので,それらの結果を報告する.
著者
早川 典子
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.240-241, 2005-04-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
3
著者
福嶋 祐介 中村 由行 早川 典生
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究の目的は下層密度流先端部の流動特性を乱流モデルにより解析し明らかにしようとすることである。下層密度流先端部の乱流構造、連行機構を明らかにするため、室内実験を行った。実験は淡水で満たされた水槽内に塩水を流入させて、下層密度流を形成させる。測定は密度流先端部に注目して行い、導電率計を用いて塩分濃度を測定した。また、流速の測定には水素気泡法を用いた。水路床勾配を変化させてこのような測定を行い、先端部の諸特性と水路床勾配、流入密度フラックスとの関係を調べた。このような室内実験により、代表的な密度フロントの一つである下層密度流先端部の流速分布特性と密度分布特性の変化を水理条件の変化と対応させて把握した。次に代表的な二方程式乱流モデルであるkーε乱流モデルを用いて下層密度流の非定常数値解析手法の開発を行った。数値解析手法としては、差分法、有限要素法等があるが、本研究ではこれらの手法に比べて数値的に安定であるとされ有限体積法を用い、基礎方程式である微分方程式を離散化する。数値解析はかなり複雑であり、その妥当性を検討するため、予備計算を行った。対象としたのは、下層密度流定常部である。この計算結果を下層密度流定常部の実験結果、及びkーε乱流モデルを用いた定常部の相似解と比較し、本解析手法の妥当性を確認した。この解析手法により、下層密度流先端部の数値解析を行い、その流動特性を調べた。計算結果として得られるものに流速分布と密度分布、先端部の形状が得られ、これらを実験値と比較し、解析結果が下層密度流先端部の流動特性をうまく説明できることがわかった。
著者
秋田谷 英次 石井 吉之 成田 英器 石川 信敬 小林 俊一 鈴木 哲 早川 典生 対馬 勝年 石坂 雅昭 楽 鵬飛 張 森
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.35-50, 1995-02

1994年3月上旬,中国黒竜江省の 1500km を車で走破し積雪と道路状況を調査し,道路雪害の実態を明らかにした。北海道と比べて寒冷ではあるが雪は極端に少なく,吹雪と吹溜の発生頻度と規模は小さい。しかし,除雪作業や車の冬期用装備がされていないため,交通量が増加すれば深刻な道路雪害となることが予想される。平地の農耕地内の道路は農地からの土砂で著しく汚れた圧雪た氷板からなり,そのため滑りの危険は小さいが,凹凸がはげしい。山地森林内の道路は汚れのすくない圧雪と氷板からなり,滑りの危険が大きい。この地方の特徴である道路に沿った並木は配置が不適当なため,吹雪の面から見ると,むしろマイナスの効果が大きい。吹雪対策としては側溝と盛り土された道路,および効果的な並木の配置がある。さらに,簡単な除雪機による吹雪直後の除雪が効果的である。山地の坂道やカーブでは滑り止めの土砂散布も必要である。