著者
鈴木 寿之 大迫 尚晴 山﨑 曜 木村 清志 渋川 浩一
出版者
Kanagawa Prefectural Museum of Natural History (Kanagawa Prefectural Museum)
雑誌
神奈川県立博物館研究報告(自然科学) (ISSN:04531906)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.51, pp.9-34, 2022 (Released:2022-03-29)

琉球列島八重山諸島の河川渓流域に生息するハゼ科ヨシノボリ属魚類の2 新亜種(Rhinogobius aonumai aonumai とRhinogobius aonumai ishigakiensis)をふくむ1 新種 Rhinogobius aonumai (新標準和名パイヌキバラヨシノボリ)を記載した。Rhinogobius aonumai aonumai (新標準和名イリオモテパイヌキバラヨシノボリ)は西表島のみに分布し、背鰭前方鱗数9–15、縦列鱗数32–37、脊椎骨数11+15–17=26–28(モードは27)、第2 背鰭前端の2 個の坦鰭骨は第10 脊椎骨の神経棘をまたぐ、腹鰭第5 軟条は最初に3 または4 分岐(ふつう4 分岐)する、頬の孔器列は縦列する、生鮮時の体の地色は黄色系である、第1 背鰭に暗色斑はない、尾鰭に暗色の横点列かジグザグ横線が並ぶ、雌の尾鰭基底に垂直に並ぶ1 対の暗色の短い棒状斑があるなどの特徴で同属の他種階級タクソン(種及び亜種)から区別できる。Rhinogobius aonumai ishigakiensis (新標準和名イシガキパイヌキバラヨシノボリ)は石垣島のみに分布し、背鰭前方鱗数10–14、縦列鱗数33–38、脊椎骨数10+16–18==26–28(モードは27)、第2 背鰭前端の2 個の坦鰭骨は第9 脊椎骨の神経棘をまたぐ、腹鰭第5 軟条は最初に2 または3 分岐(ふつう2 分岐)する、頬の孔器列は縦列する、生鮮時の体の地色は黄色系である、第1 背鰭に暗色斑はない、尾鰭に暗色のジグザグ横線が並ぶ、雌の尾鰭基底に垂直に並ぶ1 対の暗色の短い棒状斑があるなどの特徴で同属の他種階級タクソン(種及び亜種)から区別できる。
著者
鈴木 寿之 大迫 尚晴 木村 清志 渋川 浩一
出版者
Kanagawa Prefectural Museum of Natural History (Kanagawa Prefectural Museum)
雑誌
神奈川県立博物館研究報告(自然科学) (ISSN:04531906)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.49, pp.7-28, 2020 (Released:2020-03-31)
被引用文献数
2

琉球列島の河川急流域に生息するハゼ科ヨシノボリ属魚類2 新種、Rhinogobius yaima と R. yonezawai を記載した。Rhinogobius yaima(ヤイマヒラヨシノボリ:新称)は縦列鱗数40–43、脊椎骨数26、第1 背鰭棘数6、頭部はよく縦偏し、体と尾柄は細長い、雄の第1 背鰭低く後端は倒しても第2 背鰭起部に達しない、腹鰭第5 軟条は普通最初に5 分岐する、胸鰭基底、腹鰭起部前方、腹部腹中線周辺は無鱗である、生時もしくは生鮮時に側頭部から第2 背鰭起部にかけての背面に橙色または赤色の2 縦線がある、胸鰭基底に1 暗色楕円形斑がある、雄の尾鰭に橙色の4 横点列がある、雌の尾鰭基底に垂直に並んだ1 対の長方形または円形の黒色斑があるなどの特徴で同属他種から区別できる。Rhinogobius yonezawai(ケンムンヒラヨシノボリ:新称)は縦列鱗数35–39、脊椎骨数26、雄の第1 背鰭は高く烏帽子形、その第2・3 棘が最長で糸状に伸長しないものの倒すと第2 背鰭第1 から第4 軟条基部に達する、腹鰭第5 軟条は最初に4 分岐する、胸鰭基底、腹鰭起部前方、腹部腹中線周辺もしくは腹部腹中線前半周辺は無鱗である、胸鰭基底に黒色楕円形斑がある、生時もしくは生鮮時に側頭部から第1 背鰭下方にかけての背面に橙色または赤色の2 縦線がある、胸鰭基底に1 暗色楕円形斑がある、雄の尾鰭に橙色または赤色の6–8 垂線がある、雌の尾鰭基底に横Y 字形の1 黒色斑があるなどの特徴で同属他種から区別できる。
著者
木村清司 著
出版者
清水書店
巻号頁・発行日
1926
著者
日比野 友亮 中村 亨 木村 清志
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.48-53, 2017-02-28 (Released:2017-02-28)
参考文献数
9

A specimen of the tilefsh, Hoplolatilus fourmanoiri Smith, 1964 was collected from off Amitori Bay, Iriomote Island, Yaeyama Islands of the Ryukyu Islands, Japan. It represents the northernmost record for the species and the first record of the species from Japan. Hoplolatilus fourmanoiri can be distinguished from its congeners by the following combination of characters: caudal fin not forked; pointed spines located at corner of the preopercle and the mid-posterior margin of the opercle; maxillary broad, its maximum depth almost equal to diameter of pupil; ctenii of scales prominent; a large dark blotch located at posterior tail to caudal fin; a yellow band running from head to shoulder. The present specimen has a slightly deeper head (69.7% of head length vs. 62–68%) and more scales below lateral line (42 vs. 34–41) than other specimens, but these differences are insignificant. The dark posterior blotch of the present specimen is paler and more yellowish than the previous report, however the body coloration of the Japanese specimen is paler, which we feel is due to the condition of the specimen. The shape of the caudal fin of H. fourmanoiri was formerly described as truncate with dorsal produced. We described it as shallow double truncate. A new standard Japanese name “Hotarubi-sango-amadai” is proposed for the species.
著者
髙橋 夢加 岡田 誠 笹木 大地 本村 浩之 木村 清志
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.18-023, (Released:2018-09-19)
参考文献数
11

The carangid genus Decapterus Bleeker, 1851 is characterized by single finlets behind both the second dorsal and anal fins, no scutes along the anterior curved part of the lateral line, two low papillae on the shoulder girdle, and a well-developed adipose eyelid. Members of the genus are distributed in tropical to temperate areas of the Pacific, Indian and Atlantic oceans, and are commercially important food fishes. Four species (D. akaadsi Abe, 1958, D. kurroides Bleeker, 1855, D. smithvanizi Kimura, Katahira and Kuriiwa, 2013 and D. tabl Berry, 1968), characterized by a red caudal fin, are included in the red-fin Decapterus group. In 2016 and 2018, three specimens [216–304 mm in standard length (SL)] of D. kurroides, previously recorded from the Red Sea and east coast of Africa to the east coast of Australia and the Philippines, were collected from Kumano-nada, Pacific coast of Mie Prefecture, Japan. Additionally, a single specimen (191 mm SL) collected from Japanese waters in the East China Sea (west of Kyushu) in 2006 was also identified as D. kurroides. The specimens represent the first records of the species from Japanese waters, the Kumano-nada specimens being the northernmost record for the species. Decapterus kurroides is the most similar to D. akaadsi, but differs from the latter in the following characters: scutes more numerous on the straight part of the lateral line (30–32 vs. 26–29 in D. akaadsi), longer head (head length 29.9–33.0% SL vs. 26.7–30.1%) and longer snout-anus distance (55.8–60.4% SL vs. 51.2–54.6%) [measurements for both species modified from Kimura et al., (2013)]. Decapterus kurroides is also distinguishable from D. smithvanizi and D. tabl by having fewer cycloid scales on the curved part of the lateral line (45–52 vs. 54–62 in D. smithvanizi, 61–72 in D. tabl) and a deeper body (body depth 23.4–27.2% SL vs. 19.4–22.5%, 16.6–23.0%). A new standard Japanese name “Kitsune-akaaji” is proposed for D. kurroides.
著者
平島 健一 木村 清和 広瀬 幸雄
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.57, no.542, pp.2516-2522, 1991-10-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
7

By using the theoretical results for closed-form analytical solutions of in-plane problems inclusion under point forces, dislocations and so on, several numerical examples are shown by many graphical representations. The previous results published by several authors can be included as particular cases of our solutions.
著者
木村 清孝
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.947-961, iii, 2005-03-30

本論文は、近代日本において、西欧から移入された文献学的な仏教研究の軌跡を辿ることを基軸として、このおよそ百年間における仏教研究の歴史を顧み、その特徴を明らかにするとともに、それがもつ問題点を探り、合わせて今後の仏教研究のあり方について述べようとするものである。明治時代の初め、<近代的>な仏教研究の扉は、少なくとも表面的には伝統的な仏教学と切れたところで、南條文雄によって開かれ、高楠順次郎によって一応定着した。それが、文献学的仏教研究である。この伝統は、のちに歴史的な見方を重視する宇井伯寿によって新展開を見た。さらにその愛弟子の中村元は、宇井の視点と方法を継承しながらも、それに満足することなく、新たに比較思想の方法を導入し、「世界思想史」を構想し、その中で仏教を捉えることを試みた。この比較思想的な仏教研究が、西田哲学を継承する哲学的な仏教研究と並んで、現在も主流である文献学的な仏教研究に対峙する位置にあると思われる。最後に付言すれば、これからの仏教研究は、その中軸として、文献学的研究と、それを踏まえた思想史的研究、さらには、その思想史的研究によって明らかになる重要な「生きたテキスト」をよりどころとする比較思想的研究が遂行されることが望まれるのではなかろうか。
著者
木村 清孝
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.947-961,iii, 2005-03-30 (Released:2017-07-14)

本論文は、近代日本において、西欧から移入された文献学的な仏教研究の軌跡を辿ることを基軸として、このおよそ百年間における仏教研究の歴史を顧み、その特徴を明らかにするとともに、それがもつ問題点を探り、合わせて今後の仏教研究のあり方について述べようとするものである。明治時代の初め、<近代的>な仏教研究の扉は、少なくとも表面的には伝統的な仏教学と切れたところで、南條文雄によって開かれ、高楠順次郎によって一応定着した。それが、文献学的仏教研究である。この伝統は、のちに歴史的な見方を重視する宇井伯寿によって新展開を見た。さらにその愛弟子の中村元は、宇井の視点と方法を継承しながらも、それに満足することなく、新たに比較思想の方法を導入し、「世界思想史」を構想し、その中で仏教を捉えることを試みた。この比較思想的な仏教研究が、西田哲学を継承する哲学的な仏教研究と並んで、現在も主流である文献学的な仏教研究に対峙する位置にあると思われる。最後に付言すれば、これからの仏教研究は、その中軸として、文献学的研究と、それを踏まえた思想史的研究、さらには、その思想史的研究によって明らかになる重要な「生きたテキスト」をよりどころとする比較思想的研究が遂行されることが望まれるのではなかろうか。
著者
IWATSUKI Yukio NAGINO Hayato TANAKA Fumiya WADA Hidetoshi TANAHARA Kei WADA Masaaki TANAKA Hiroyuki HIDAKA Koichi KIMURA Seishi 岩槻 幸雄 投野 隼斗 田中 文也 和田 英敏 棚原 奎 和田 正昭 田中 宏幸 日高 浩一 木村 清志
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
雑誌
三重大学大学院生物資源学研究科紀要 = THE BULLETIN OF THE GRADUATE SCHOOL OF BIORESOURCES MIE UNIVERSITY
巻号頁・発行日
vol.43, pp.27-55, 2017-09

Annotated checklist of marine and fresh water fishes is reported from the Hyuga Nada area, including Miyazaki Prefecture, southern coastal area of Oita Prefecture and eastern coast of Kagoshima Prefecture, southwestern Japan. Such fishes are classified into 228 families, 680 genera and 1,340 species including 24 subspecies and 1 hybrid, consisting of natural inhabitants in the area, and invasive and introduced fishes as alien species out of Japan or from the other areas. Confirmation of each species on identification is based on voucher specimens kept in Miyazaki University and other museums, photographs of fishes taken in the area, confirmed photographs in websites and references formerly reported before August 2016. Fish occurrence tendency by our gross observation is noted at each species.
著者
大槻 則行 木村 清次 根津 敦夫 相原 雄幸
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.318-322, 2000-07-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

インフルエンザウイルス感染に伴う急性脳症は一般的に予後が不良な例が多く, 従来の治療法では重篤な神経学的後遺症を残すことが多い. 今回, インフルエンザウイルス感染に伴って発症した急性脳症の2例に軽度低体温療法とステロイドパルスの併用療法を行った. 1例は中枢神経症状出現後の7日目に入院し, 顕著な脳浮腫および脳波の低電位化を認めたが死亡には至らず, 経口摂取可能の状態で退院できた. 他の1例は入院時に両側前頭部優位の皮質浮腫を認めたが治療の結果, 中等度の知能障害にとどまった. 上記の治療法は新たな一つの手段になると考えられた.
著者
原 實 川崎 信定 木村 清孝 デレアヌ フロリン ユベール デュルト 落合 俊典 岡田 真美子 今西 順吉 木村 清孝 末木 文美士 岡田 真美子 ユベール デュルト 田辺 和子 落合 俊典 デレアヌ フロリン 松村 淳子 今西 順吉 津田 眞一 北田 信 清水 洋平 金子 奈央
出版者
(財)東洋文庫
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度より3年間、「古代インドの環境論」と題し、同学の士を誘って我々の専攻する学問が現代の緊急課題とどの様に関連するかの問題を、真剣に討究する機会を持ち得た事は極めて貴重な体験であった。外国人学者を交えて討論を重ねる間に、我々の問題意識はインド思想や佛教の自然観、地球観にまで拡がって行ったが、それらは現代の環境破壊や無原則な地域開発に警告する所、多大なるものがあった。「温故知新」と言われる所以である
著者
木村 清志 Kimura Seishi
出版者
三重大学水産学部
雑誌
三重大学水産学部研究報告 (ISSN:02875772)
巻号頁・発行日
no.14, pp.p113-235, 1987-09
被引用文献数
6

イサキは一本釣や定置網の対象魚種として非常に重要であり,また栽培漁業の適種のひとつにもあげられている。ところが,近年漁獲量の減少や,魚体の小型化など資源の安定性に問題がおこり,本種の資源特性や資源状態を解明することが必要となってきた。このような現状から,著者は特に三重県熊野灘沿岸のイサキについて種々の資源生物的特性を明らかにする目的で研究を行ってきた。本報告は9章から成り,まず第1章では全国的なイサキ漁業の概観と三重県前島地方のイサキ漁業の実態について述べ,第2章では本種の地理的分布や移動について検討した。第3章から第6章までは資源生物学的知見として最も重要な年齢・成長,年齢組成・生残率,成熟・産卵,および食性について論述した。第7章では人工種苗生産に関する諸問題について検討を加え,この研究で得られた卵,仔稚魚を使用して第8章では本種の初期生活史,特に卵から若魚に至る期間の形態形成過程について述べた。最後に,第9章ではこれまでに得られた知見を総合して本種の資源解析を行い,資源の維持・管理および増殖を行う施策について検討した。これらの研究によって得られた知見を要約すると次のようになる。 1.漁 業 (1) 漁場は黒潮および対馬暖流域でかつ天然礁がよく発達した海域に形成される。代表的な漁法は一本釣で,このはか定置網や刺網などでも混獲されている。主漁期は全国的に4月,5月から10月,11月であった。 (2) 三重県前島半島沿岸では年間150~160トン程度の漁獲量があった。一本釣漁獲量は1982年をピークにして減少傾向を示し,魚体の小型化も認められた。 2.分布・移動 (1) わが国における通常の分布域は太平洋沿岸では千乗県~鹿児島県,対馬暖流域では新潟県~鹿児島県であった。国外では韓国南部や台湾,中国大陸東シナ海,南シナ海沿岸に分布が認められた。分布の特徴として,暖流性,外海性があげられた。また本種は沿岸性が強く,いわゆる「大陸棚固有種」であると考えられた。 (2) 本種は大規模回遊は行わないが,季節的に局所的な向岸一向沖移動は行っていると考えられた。 3.年齢・成長 (1) 年齢表示形質として鱗、耳石,椎体,主鰓蓋骨,上後頭骨背側隆起板の5硬組織を観察した。 (2) 本種の鱗は典型的な櫛鱗で,被覆部には明瞭な輪紋が形成されていた。体各部の鱗には相似的に輪紋が形成され,どの部位の鱗であっても年齢形質として利用できると考えられた。 しかし,実際には体中央部(胸鰭後端付近の側線直下)の鱗が最も大形で,かつ外形の歪みも少ないことから,輪紋の読取りはこれが最良であった。鱗の輪紋は年2回,1月~2月と6月~7月に形成された。 (3) 耳石は比較的大きく,明瞭に透明帯と不透明帯が観察された。この不透明帯の幅は著しく狭く,線状であった。このような耳石の帯構造は,15%中性ホルマリンで固定した場合,数ヶ月後でも観察可能であった。耳石の輪紋(不透明帯の外縁)は年1回6月~7月に形成された。この期間は産卵期と一致しているため,輪紋数は直接満年齢を表していると考えられた。 (4) 椎体の後方陥人面には不明瞭ではあるが透明帯と不透明帯がみられた。しかし,この輪紋は相似性が悪く,また輪紋が欠落している場合も認められた。 (5) 主鰓蓋骨の帯構造は極めて不明瞭であった。また,上後頭骨は明瞭な帯構造が認められるが,不透明帯数は大形魚でも2帯しか認められなかった。 (6) このような観察結果から,これら5硬組織のうち年齢形質として適当であるのは鱗と耳石で,他の3硬組職は不適当であると判断された。鱗と耳石を比較すると,高年齢魚での輸紋の明瞭さや複輪,偽輪の出現率の点で耳石の方が優れていた。 (7) 耳石の輪紋から年成長を推定した。平均的な年成長は(13)式で表され,大部分の個体がこの式で表した値の前後 3cm以内の成長を示すと考えられた。 (8) 耳石の縁辺成長率から,季節的な体長の増大は8月から10月にかけての期間が最大であった。 (9) 成長補償作用が確認された。 (10) 飼育実験の結果から,孵化後1日から407日までの初期成長は(28)式,(29)式で表された。 4.年齢組成・生残率・自然死亡係数 (1) 一本釣で漁獲されたイサキの年齢組成をいくつかの方法で推定し,比較した。その結果,年齢査定法と繰返し計算法によって得られた値が最良であった。 (2) 年齢組成から最近の生残率は0.25程度であると推定された。 (3) 自然死亡係数は0.5~0,6と推定された。 5.成熟・産卵 (1) 本種の生殖腺は左右不相称である個体が全体の半数強を占め,このうち石偏の個体が左偏の個体よりも多かった。 (2) 生殖腺の成熟状態は部位に関係なく,はぼ均一であった。 (3) 2歳魚以上の卵巣内には卵黄胞期以下の成熟段階の卵が周年存在した。第1次卵黄球期以上に成熟した卵は5月から8月まで出現し,特に胚胞移動期以上の卵は2歳魚では6月に,3歳魚以上では6月から8月にかけて出現した。 (4) 精巣の成熟段階を精子形成準備期,精子形成期,精子放出期,精子吸収期の4期に分けた。精子形成準備期は12月あるいは1月から4月,精子形成期は4月から5月,精子放出翔は6月から8月,精子吸収期は9月から12月であった。 (5) 生殖腺組織の観察やGIの変化および水槽内での産卵実験の結果から,産卵期や産卵時刻,最小成熟年齢などについて次のように推定した。産卵期は6月から8月で,若齢魚の産卵期間は高齢魚よりも短い傾向が認められた。日本国内での産卵期に顕著な地域差は認められなかった。産卵水温は通常20~28℃であった。産卵時刻は20時をピークとして前後1時間程度であった。最小成熟年齢は雌雄とも満2歳で,生物学的最小形は雌で尾叉長16cm,雄で15cm程度であった。 (6) 性比は成長にともなって雌よりに偏る傾向を示し,これは雌雄の生残率の差に原因していると考えた。各年齢群の性比を(34)式,(35)式で表した。 (7) 産卵前後の卵巣の重量差と卵巣卵数から産卵数を推定し,(40)式に表した。また個体群としての産卵量は3歳魚が最大であると推定された。6.食 性 (1) 釣と定置網で漁獲された標本の胃内容物を比較した結果,定性的には明瞭な差は認められなかったが,空胃率は明らかに釣獲標本の方が高かった。 (2) 摂餌活動には季節的な周期性がみられ,夏季には活発になり,冬季には活動が低下した。 (3) 未成魚・成魚の主餌料はキビナゴやマイワシ,カタクチイワシなどの魚類および橈脚類や端脚類などであった。これらのことから,本種の食性は幅広い肉食性であると考えられた。 (4) 後屈曲期仔魚の餌料はすべて橈脚類であった。稚魚期になると,これに加えて二枚貝幼生や橈脚類などを捕食するようになり,さらに若魚期では,これらのほかヤムシ類や尾索類およびカタクチイワシのシラス期仔魚などを餌料としていた。 (5) 餌料動物の大きさを捕食者体長との相対値αで表した。αの最大値は0.6前後で,典型的な魚金魚と比較するとかなり小さい値を示した。 (6) 摂餌量に関する問題について飼育実験を行い,次のような結果を得た。魚体の大きさと最大摂餌量との関係は(44)~(46)式で表された。摂餌量は水温と密接に関係し,12℃以上では有意な正相関が認められた。また,生殖腺の成熟にともなって摂餌量が減少する傾向がみられた。 (7) 摂餌後の胃内容物の減少速度に関する実験を行った。その結果,胃内容物減少率は水温が高いほど,また魚体が小さいぼど高くなる傾向がみられた。 (8) 捕食・消化器官の形態は全体的に特化の程度が低く,これは食性自体の特化程度が小さいためであると考えた。ただ,鰓耙上の針状突起はよく発達し,これによって,橈脚類などの捕食が可能になると考えられた。 7.種苗生産 (1) 本種は漁獲直後の親魚から自然採卵することが可能であった。 (2) 孵化率は通常50~100%であった。孵化率と浮上卵率や卵径の変動係数との関係には有意な相関がみられ,これらは卵質判定の指標になると考えられた。 (3) 胎盤性性腺刺激ホルモンは.畜養親魚を用いる限り,有効性は認められなかった。 (4) 孵化率は卵収容容器の表面積に対する卵密度と逆相関するが,20粒/cm2以下の範囲内では密度の影響を受けなかった。 (5) 最適孵化水温・塩分はそれぞれ22.6℃,34.2‰と推定された。孵化率と水温・塩分との関係は(65)式で表された。 (6) 水温18℃~28℃の範囲内では,孵化に要する積算温度は一定で,孵化時間と水温との関係は(67)式で表された。 (7) 孵化後30日から407日までの体重の増加を(68)式で表した。 8.初期生活史 (1) 受精卵は球形の分離浮遊卵で,卵径は0.78~0.85mm,卵黄は無色で表面に亀裂があった。油球は単一であった。受精後40分で2細胞期になり,28~30時間後に孵化が始まった。 (2)孵化仔魚は全長1.50~1.65mmで,3日後に卵黄を吸収し終り,関口した(全長2.71~2.80mm)。全長約5.5mmで脊索の屈曲が開始し,約12mmで鰭条総数が定数に達して稚魚に移行した。全長約35mmで体がはぼ完全に被鱗し,若魚になった。 (3) 仔魚期の形態的特徴は,前期仔魚では油球が卵黄の後下方に位置していること,肛門が卵黄から離れていること,膜鰭縁辺に黄色素胞が発達することなどで,また前屈曲仔魚でほ全体に黒色素胞が少ないこと,後関節骨後端や肛門直前の膜鰭に塊状黒色素胞があることなどであった。 (4) 本種特有の暗色縦帯は稚魚期に発現し,若魚期に完成した。この縦帯は人工種苗の方が天然稚魚に比較して小さな体長で形成された。 (5) 仔魚期から若魚期における体各部の相対成長を(70)~(86)式に表した。人工飼育魚と天然魚の相対成長を比較した結果,人工飼育魚の体形は本質的には天然魚と大差ないと考えられた。 (6) 鰭の形成過程を観察し,次のような結果を得た。原基が形成される全長は胸鰭2.8mm,尾鰭4mm.背鰭,臀鰭6mm,腹鰭8mm前後であった。全長12mm付近で鰭条総数が定数に達し,18mm前後になると棘数も定数に達した。各鰭軟条の分枝過程が完了するのは全長140mm前後であった。 (7) 鱗の形成は全長16mm程度から開始され,35mm前後で吻以外は被鱗した。吻まで完全に被鱗し,鱗形成が完了するのは全長130mm程度であった。 (8) 腸管の施回は全長3.1mm付近から開始され,3.7mm前後で完了した。胃の伸長や幽門垂の形成は全長12.7mm付近から開始された。全長22.5mm程度で幽門垂数が定数に達し,消化管の形態は成魚とほぼ同様になった。 9.資源の現状と管理および増殖 (1) これまでに得られた生物学的知見と漁獲資料から,三重県志摩町沿岸のイサキ資源の解析と診断を行った。1歳魚以上の資源尾数は約660万尾と推定された。現状の資源における雌親魚数と産卵数はそれぞれ処女資源の41.2%,16.4%に減少し,この資源は濫獲状態にあると判断された。 (2) 現在の濫獲状態を是正し,最大持続生産を行うためには漁獲努力量を3690boat・day 程度に減少さすか,あるいは漁獲最小尾叉長を17~18cm程度まで引上げるという2方法の漁業規制が考えられた。(3)さらに積極的に資源を増殖させるためには種苗放流も効果的であると予想された。The threeline grunt Parapristipoma trilineatum (Pisces : Perciformes : Haemulidae) is a valuable species as an edible fish along the coasts of southern Japan. The present report deals with the fishery biology of this species, with particular reference to its fishery, geographical distribution and migration, age and growth, age composition and survival rate, maturity and spawning, feeding habits and morphology of feeding and digestive organs, artificial spawn taking and larval rearing, embryonic and larval developments, and stock assessment. The materials used in these studies were mainly caught from coastal areas of Kumano-nada (Kii Peninsula, Mie Prefecture) during the years from 1978 to 1984. The rearing experiments were carried out at the Fisheries Research Laboratory, Mie University. The results obtained are summarized as follows : 1. Threeline Grunt Fishery Fishing grounds of this fish were formed in the rocky reefs along the warm currents, or Kuroshio (Pacific coasts) and Tsushima Current (coasts of East China Sea and Sea of Japan). This species was caught representatively with hook and line, and allso with set nets and gill nets. The fishing season generally began in April or May, and continued until September or November. The commercial landing of the threeline grunt with hook and line, set nets, and gill nets was totally estimaled at 150 to 160 metric tons per year at the Pacific corst of Sakishima Peninsula, Mie Prefecture in 1982 and 1983. The catchin weight with hook and line increased rapidly during the years from 1979 to 1982, but it decreased in 1983. The average length of the fish caught with hook and line became smaller during the years from 1979 to 1983. 2. Geographic Distribution and MigrationThe threeline grunt was distributed in southern Japan, the southern coasts of the Korean Peninsula, Taiwan, and along the East and South coasts of mainland China. But this species did not inhabit the sea along the Ogasarwara Islands, Ryukyu Islands, nor the Philippines. This fish was one of the representative submarginal continental endemic species. ln Japan, the fish normally inhabited the area from Kagoshima Prefecture to Chiba Prefecture along the Pacific coasts, and from Kagoshima Prefecture to Niigata Prefecture along the coasts of the East China Sea and the Sea of Japan. This species preferred warmwater temperature, high salinity, and rocky shores. The threeline grunt did not make a large-scale migration which was observed in the tunas Thunnus spp., the yellow tail Serlola quinqueradiata, or the saury Cololabis saira, but made a seasonal offshore-inshore migration in limited areas.3. Age and GrowthThe scale, otolith, centrurn, opercle, and supraoccipital crest were observed in detail in order to select the most suitable hard tissue for age determination of the threeline grunt. The scale was a representative ctenoid, and ring marks were shown clearly on the embedded part. The ring marks formed similarly on scales taken from any part of the body. Although any scale on the body could have been used for age determination, the scale taken from a row beneath the lateral line just posterior to the tip of the pectoral fin (B-region in Fig. 10) was the most suitable for mark reading because of having the largest scale radiusand less distorted shape. Ring marks on scales formed twice in a year, both in summer (June or July) and in winter (January or February).The otolith was fairly large and was removed very easily from the cranium. Hyaline and opaque zones were shown clearly without grinding or sectioning. The opaque zones were very narrow and shown as opaque lines. Otoliths preserved in 15 % buffered formalin for some months were sufficiently readable. Ring marks on the otoliths (outer margins of opaque zones) formed once a year in June or July. Because such months coincided with the spawning period of the fish, the number of ring marks on the otolith represented the full age of the fish.Ring marks on the longitudinal sections of the centra were very obscure, and lack of ring marks frequently appeared. Zonation of the opercle was extremely indistinct. The supraoccipital crest had distinct hyaline and opaque zonss, but only two opaque zones could be recognized in any large fish. From such observations, the author concluded that only scales and otoliths could be used for age determination of this species among those five hard tissues. The otolith was more suitable than the scale because the ring marks were showndistinctly even for older specimens, and lack or duplication of ring marks were very few. From otolith reading, average length growth of the fish was expressed by the following eduation : Lt = 357.5(1-exp (-0.2855( t +0.2909))), where L = fork length in mm and t =full age. Range of the length growth was estimatedby the mean values and standard deviations of calculated fork lengths at the time of each ring formation. The growth for about 95% of the fish was within the limits of the following two equations : Lt = 362.1(1-exp (-0.3377( t +0.3622)))) and Lt = 355.8(1-exp (-0.2427( t +0.1283))). The length growth was more rapid during the months frorn August to October than the other months. The growth compensation was obsered in the growths of 2‐ to 4‐age‐groups. The early length growths were estimated from rearing experiments and these were expressed by the followilg two equations : TL=0.00986t2 + 0.0734t + 2.43(t≦30) and TL=324(1-exp (-0.00983(0.127t+5.26+8.53 sin (0.0172 t -20.0))))(t>30),where TL = total length in mm and t = days after hatching.4. Age Composition, Survival Rate, and Natural Mortality Coefficient Age composition of the threeline grunt caught with hook and line was estimated by otolith reading for the sampled fish, by analyzing the polymodal frequency distribution of the fork length, by solving simultaneous equations based on the length compositions of each age-group and the length composition of commercial catch, and by an iterative calculation method based on the market size or length compositions of each age-group and the length cornposition of commercial catch. Good results were obtained by otolith reading and the iterative caluculation methods. Survival rate was estimated at 0.25 from the age composition of the fish by LEA's (1930) and DOI's (1975) methods. Natural mortality cosfficient was calculated at 0.5-0.6 by DOI's (1977) and PAULY's (1981) methods.5. Maturity and SpawningThe larger half of speciments had a pair of gonads bilaterally asymmetrical in weight. Of these, the speciments with dextral gonads dominated over the specimens with sinistral ones. The developement or maturity of ovarian eggs proceeded uniformly throughout the ovary. According to the degreee in advancement toward ripeness, the ovarin eggs were divided into the following nine stages ; (1) peripheral nuleolus stage, (2) yolk vesicle stage, (3) early yolk globule stage, (4) middle yolk globule stage, (5) later yolk globule stage, (6) migrating nucleus stage, (7) pre-maturation stage, (8) maturation stage, (9) ripe egg stage. The ovarian eggs at peripheral nucleolus and yolk vesicle stages were present throughout the year in the ovaries of the groups older than age2. The eggs at yolk globule stages or more mature stages appeared during the period from May to August, especially the eggs at migrating nucleus stages or more mature stages were found only in June in 2-age- group and between June and August in the groups aged older than 3. From the histological observation, the process of testicular maturation was divided into the following four phases ; (1) preparative phase : the testis was occupied mainly by spermatogonia, (2) spermatogenesis phase : primary and secondary spermatocytes were dominant in the testis, (3) discharging phase : spermatozoa filled up in the testis, (4) resorptive phase : spermatozoa resorbed by the seminiferous epithelial layer. The testes of such phases appeared in the following months ; (1) preparative phase : December or January to April, (2)spermatogenesis phase : April and May, (3) discharging phase : June to August, (4) resorptive phase : September to December. The spawning season began in early June, and continued until mid-August. The younger fish (2- and 3- age-groups) finished their spawning earlier than the older ones. The water temperature of the spawning ground ranged from 20 to 28℃. The time of actual spawning in a day usually fell at around eight p.m. The group maturity rates of both sexes for each age-group were estimated as follows ; 1-age-group : 0% in both sexes, 2-age-group : 43% in females and 83% in males, 3-age-group : 95% in females and 100% in males, 4- to 8-age-groups : 100% in both sexes. The biological minimum sizes were about 160 mm in fork length in females and about 150mm in males. The sex ratio of males to females declined with their growth, and this charge was attributable to the difference of the survival rates between both sexes. The percentage occurrence of females in each age-group (Pf) were expressed by the following equation : Pf = 100/(1+1.921・0.788t), where t = age. The number of eggs spawned in a year by a single female ( = fertility) was estimated from the difference of the ovary weight between samples of pre-spawning and spent conditions. The fertility (Fe) was given by the following equaion: Fe = 4.759L5.281・10-8, where L = fork length in mm. The total amount of eggs spawned by the 3-age-group was the largest among the all age-groups. 6. Feeding Habits Empty stomachs occurred more frequently in the samples collected with hook and line than in those with set nets. The feeding activity was intense during the period from May to September, and declined after October. Main foods of the adult and subadult fish, larger than 100 mm in fork length, were clupeoid fishes ( Spratelloides gracilis, Sardinops melanostictus, Engraulis japonicus, etc. ), but crustaceans also were fed on abundantiy in March, June, November, and December. Clupeoid fishes appeared as the prey animal in almost all seasons. In crustaceans, copepods chiefly appeared in spring and autumn, while amphipods in sumrner. Postflexion larvae fed on only copepodspecies (Corycaeus spp., copepodid larvae, etc. ). Juveniles became to feed on branchiopods and larval bivalves in addition to copepods. The main foods of young were an arrow worm Sagitta sp., copepods (Eucalanus spp., etc.), larvaldecapods (mysis and zoea larvae, etc), protochordates (Oikopleura dioica, etc.), and larval anchovy Engraulis japonicus. Maximum value of the size preference (αmax=PLmax / L, where L = fork length of the predator and PL.max = maximum size of the prey animal) was 58% in the fish of 50 to 100 mm in fork length. The value of αmax decreased with growth for the fish larger than 100 mm. This value of the threeline grunt was fairly smaller than that of a piscivorous fish as theJapanese bluefish Scombrops boops. Maximum amount of food ingested (Fmax) was given by the following equation : log Fmax=0.842 log W-1.026, where W = body weight in g. The amount of ingestion was positively related to the water temperature. There was a little decrement of the amount of ingestion according to the gonadal development. The gastric emptying rate tended to increase with rising environmental temperature, while the rate varied inversely with the size of fish. The feeding and digestive organs (teeth, jaws, gill rakers, stomach, pyloric caeca, and intestine) of this species were less specialized owing to its unspecialized feeding habits. But the needle ‐like processes on the gill rakers ( = secondary gill rakers) were well developed, and they enabled the fish with only a small number of gill rakers to feed on such small crustaceans as copepods.7. Artificial Spawn TakingSpawning was observed twenty times or more during the period from early June to mid ‐July. It was possible to collect the fertilized eggs from non‐reared parental fish. Even injection of gonadotropin (HCG) took no recognizable effect.Hatching rate usually ranged from 50 to 100 %. The rate was significantly related to the ratio of floating eggs and inversely to the coefficient of variance of the egg diameter. Accordingly, the ratio and the coefficient of variance could be indicators appraising the quality of eggs spawned. The hatching rate was inversely related to the areal density of the eggs in a hatching vessel, but the rate independent of the areal density within less than 20 eggs/cm2 and of the voluminaldensity of eggs in the vessel.Optimum temperature and salinity for hatching were estimated at 22.6 ℃ and34.2‰, respectively. The relationship between the hatching rate(Hr,%), temperature (T,℃)and salinity (S,‰) was expressed by the following equation : Hr = -1.984 T2 - 4.125 S2 + 70.92 T + 269.9 S - 0.5475 TS - 530. The total effective temperature ((T - T0) Ht, where Ht = time to hatching in h, T = water temperature in ℃, and T0 = biological zero in ℃ ) was almost constant within the limits of water temperature ranging from 18 to 28 ℃. Consequently, incubation time was given by the following equation : Ht = 241.5/(T-13.2).The weight growth curve for the juvenile and young stages was expressed by the following equation : W = 449 (1-exp (-0.00983 (0.127t + 5.26 + 8.53 sin(0.0172t - 20.0))))3.07, where W = body weight in g and t = days after hatching.8. Embryonic, Larval and Juvenile DevelopmentFertilized eggs, measuring 0.78 ‐ 0.85 mm in diameter, were buoyant, spherical, and transparent. The yolk was segmented partly and contained a single oil globule. Hatching oocurred at 28 to 30 h after spawning when incubation temperatures ranged from 20.5 to 21.5 ℃. Total lengths (TL) of newly hatched larvae ranged from 1.50 to 1.65 mm. In yolk‐sac larvae, a single oil globule rested on infra‐posterior portion of the yolk sac, the anus opened away from the yolk, and xanthophores developed on the dorsal and anal margins of the finfold. The yolk and oil globule completely absorbed in three or four days after hatching, and the larvae became preflexlon stage. The notochord flexed at about 5.5 mmTL in 19 days after hatching. Aggregate numbers of all finrays were completed at about 12 mm TL, and they became juveniles. Squamation was almost finished in specimens of about 35 mm TL, and they changed to the young. Specific longitudinal bands started to form in the juvenile stage and completed in the young stage. The bands appeared in smaller specimens of reared juveniles than those of wild ones. There was little difference in the relative growths of some body parts between reared juveniles and wild ones. The larvae and juveniles of the threeline grunt bore close resemblance to those of Haemulon pulmieri and Orthopristis chrysoptera rather than those of Plectorhynchus pictus and P.cinctus.The anlages of each fin formed at 6 mm TL (dorsal and anal), at about 4 mm (caudal), at about 2.8 mm (pectoral), and at about 8mm (pelvic). Aggregate numbers of all finrays and the numbers of fin spines were completed at 12 mm TL and 18 mm, respectively. Segmentation of the softrays occurred at 9 to 17 mm TL in dorsal fin, at 8.5 to 15 mm in anal fin, at 6.4 to 9.6 mm in caudal fin, at 9.5 to 60 mm in pectoral fin, and 12 to 16 mm in pelvic fin. Branching of the softrays was observed at 24 to 130 mm TL in dorsal fin, at 20 to 140 mm in anal fin, at 12 to 18 mm in caudal fin, at 24 to 130 mm in the pectoral fin, and at 14 to 34 mm in pelvic fin. Scales appeared at about 16 mm TL. The head and body except the snoutwere almost covered with scales when juveniles attained to about 35 mm. The snout was covered by scales and squamation was completed perfectly at about 130 to 140 mm. Convolution of the alimentary canal started at about 3.1 mm TL and finished at 3.7mm. The pyloric caeca formed at about 12.7 mm, and completed in number at about 22.5 mm.9. Stock AssessmentBased on the above data, the present parameters of the threeline grunt stock at the coast of Sakishima Peninsula were estimated as follows : natural mortality coefficient(M) = 0.6 , survival rate(S) = 0.25, total mortality coefficient (Z) = 1.39, fishing mortality coefficient (F) = 0.79, rate of exploitation (E) = 0.504, and availability of 1-age-group (Q) = 0.058, catch in number for 1‐ to 8‐age‐groups (C) = 1,275,400, fishable population size in number for 1- to 8‐age-groups (Nc) = 2,966,000, population size in number for 1-age‐group (N1) = 3,861,500, and total population size in number for 1‐to 8‐age-groups (N) = 6,603,500. From the stock size estimates, the population size of mature females and total number of eggs spawned in the present stock decreased to 41.2 % and 16.4% of those in unexploited stock, respectively. Accordingly, it seemed that the present fishing intensity more or less exceeded the optimum level. And further, such two methods as reducing the fishing effort to 3690 boat・day in a year, and rising the length at first capture to 17 ‐ 18 cm in fork length, were conceived in order to manage the stock at the optimum level.
著者
米地 文夫 木村 清且 Fumio YONECHI Kiyokatsu KIMURA ハーナムキヤ景観研究所 岩手県立大学大学院総合政策研究科
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.29-44, 2006-12-01

賢治寓話「黒ぶだう」は,仔牛が赤狐に誘われ,ベチュラ公爵別荘にわき玄関から入り,二階で黒ブドウを食べる。狐はブドウの汁を吸って他は吐き出し,仔牛は種まで噛む。公爵たちが帰ってきて,狐は逃げ,残された仔牛はリボンを貰う。この話の公爵別荘のモデルは花巻市街に現存する菊池捍(きくちまもる)邸であることが明らかとなった。菊池邸は1926年に建てられ,外見は洋館,中が畳敷きの和室で,花巻出身で北海道清水町の明治製糖工場長であった捍氏が建主である。北海道の洋館建築の様式をとり入れつつも,武家住宅の伝統を受け継ぎ,洋館には無いはずの本玄関と脇玄関を付けた。賢治が仔牛たちは「わき玄関」から入ったと書いているのが菊池邸をモデルとした証拠である。この建物は他にも「黒ぶだう」の別荘と合う点が多い。菊池捍邸が賢治作品の創作の秘密を解く鍵として極めて重要なことがわかったが,建物自体も大正期の洋風建築として価値の高いものであり,保存保全が望ましい。In Kenji Miyazawa's fairy tale "Black Grapes, " a calf, entitled by a red fox from a pasture, entered the villa of Duke Betula through the side entrance and ate black grapes on the second floor. The fox sucked the juice of the grapes and spit out the residue, while the calf chewed the grapes and the seeds as well. When the duke and his entourage returned home, the fox ran away. The calf was left there, but was given a ribbon by the duke. It was revealed that the model of the duke's villa is the residence of Mamoru Kikuchi, that still exists in the city of Hanamaki today. Built in 1926 by Mamoru Kikuchi, from Hanamaki and manager of Meiji Seito's sugar-making factory in Shimizu town, Hokkaido, the Kikuchi Residence has a Western appearance and tatami-matted rooms inside. Although the building was designed after the style of Hokkaido Western architecture, it followed the tradition of the samurai house and has both a main entrance and a side entrance, which don't exist in an ordinary Western-style house. The evidence that this is the model is that, as Kenji wrote, the calf and the red fox entered the villa through the "side entrance." There are many elements this building has that agree with the descriptions of the Black Grapes villa. Although the Kikuchi Residence is extremely important as a key to unravel the secrets of Kenji's creation in his works, the building itself is of high value as an example of Taisho Era western architecture, which is why its total preservation is desired.
著者
近藤 卓哉 阪田 和弘 竹下 直彦 中園 明信 木村 清朗
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.121-125, 1999-11-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
16

Iwana-charr, Salvelinus leucomaenis is not indigenous to Kyushu Island western Japan. In 1971, this species was transplanted to a commercial hatchery by the Haki River (32°32'N, 130°57'E), a tributary of the upper reaches of the Kuma River System. Some of the charr individuals escaped from the hatchery's holding pond and came into the stream. Fifty-one were collected in the lower reaches near the hatchery but none in the upper reaches during 1994-1996. The collected sample consisted of individuals belonging to plural age classes. In addition, we observed some spawning activities of the charr in November every year during 1994-1997 and found some eggs in the redd. Our findings suggest that reproduction of the charr occurs in some tributaries of the upper reaches of the Kuma River and their distribution is expanding downstream. They also suggest that dams without fishways prevent the charr from migrating upstream.
著者
立原 一憲 木村 清朗
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.55-60, 1988-01-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
22
被引用文献数
9 7

Observations on the life history of land-locked Ayu Plecoglossus altivelis were made in Lake Ikeda, in Kagoshima Pref., from 1981 to 1985. In this study, two types of Ayu were recognized in its social behavior of immature adult fish in the Lake. One is territorial type and the other is non-territorial type. Some differences were found in the shape of dorsal fin and the color pattern of body between two social types. The territorial fish have longer posterior dorsal fin rays and darker fin membranes than those of non-territorial ones. The former have three clear yellow oval marks on their gill covers and anterior body sides, however, the latter have only one mark and its coloration is pale or faint. Thesevariations are not related with body size and sexuality but with the social type. It is suggested that large and clear yellow marks are signal for recognition of their status among owners of territory and for showing the domination of owner to non-territorial fish. Thus, these differences between two social types of Ayu show a possibility of being applied to the evaluation of fishing ground of this species.
著者
立原 一憲 木村 清朗
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.2187-2192, 1991-12-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
29
被引用文献数
6 7

Observations on the life history of the land locked ayu Plecoglossus altivelis altivelis were made in Lake Ikeda, Kagoshima Prefecture, 1981 to 1986. The gonads of males and females developed rapidly from August and the GSI of both sexes indicated the highest values in October. The diameter of ovulated oocytes in the body cavity ranged from 0.74 to 0.99mm and the relation between the number and standard length of fish was represented as E=0.00188χL3.418. The spawning season of the ayu in the lake was from early October to late November. The ayu spawned mainly at shore lines shallower than about 30cm in depth and the substrate of reds consisted of fine gravel, ranging mostly from 3-10mm in diameter. The sex composition of the ayu crowding the spawning site was not the same throughout the spawning season. Males predominated in the early period of the season, and females in the latter. The male fish matured simultaneously and most of them crowded at spawning grounds. On the other hand, the fully matured female appeared at the spawning site one by one, while the immature ones dispersed around the site in low density. It is suggested that this mode of spawning in the ayu may be one of the important factors for sustaining its population land locked in Lake Ikeda.