著者
高橋 徹 松下 正明 鷲塚 伸介 萩原 徹也
出版者
信州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

以下の2編の論文を発表した。①作家・北杜夫と躁うつ病 ― 双極性障害の診断 ―.病跡学雑誌95:58-74,2018.②作家・北杜夫と躁うつ病 ― 顕在発症前エピソードと『どくとるマンボウ航海記』―.信州大学附属図書館研究8:57-87,2019.第一報において、北杜夫における「躁うつ病」の病名が、現代の診断基準における双極Ⅰ型障害に該当すること、また「混合状態」「急速交代型」の特徴を有していたことを考察した。第二報において、顕在発症とされている39歳前にも気分変動が存在し、『どくとるマンボウ航海記』(1960年:33歳時)の執筆にも躁状態とうつ状態が創作に影響を及ぼしていた可能性を指摘した。
著者
松下 正 佐々木 茂雄
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-22, 1980-01-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

1979年3月に本格運転を開始した新型転換炉原型炉「ふげん」発電所は,わが国で初めての重水減速軽水沸騰冷却型原子炉である。減速材系,すなわち重水系より発生する劣化重水を再使用するために重水濃縮を行う重水精製装置を設置した。重水精製装置は,建屋工事を含めると1977年12月より建設に着手し, 79年4月末に良好な結果をもって完成することができた。装置は無隔膜減容電気分解方式を採用し,年間95W/Oの劣化重水5tを濃縮し, 99.8W/Oの重水を4.4t回収する設備能力を有する。本稿では,装置の設計,建設,運転結果について述べる。
著者
田中 秀樹 松下 正輝 古谷 真樹
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.61-71, 2007 (Released:2012-11-27)
参考文献数
40
被引用文献数
4

本稿では, 高齢者の睡眠と健康, 高齢者の不眠の特徴について概説するとともに, 健康生活の必須条件である快適な睡眠確保に有効な生活指導法を科学的根拠, 地域保健現場での実践例を交えながら紹介する。高齢者に短時間の昼寝と夕方の軽運動による生活指導を4週間を実施した結果, 睡眠の改善, 夕方以降の居眠りの減少が認められ, 夕方以降の覚醒維持が重要であることが実証された。また, 認知・行動的介入により, 睡眠の改善に伴い, 精神健康や身体健康の改善が認められた。高齢者の睡眠健康改善のための認知・行動的介入技法は, 高齢者のQOLやADLの向上にも有効であることが示唆された。
著者
井関 文 畠 榮 加藤 克幸 小林 晴美 原 稔晶 下山 芳江 中村 栄男 松下 正
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.289-296, 2017-05-25 (Released:2017-05-31)
参考文献数
14

浸潤性小葉癌組織球様細胞亜型(histiocytoid breast carcinoma; HBC)は,多形型浸潤性小葉癌に含まれるまれな組織型で,アポクリン分化が指摘される。今回われわれは,細胞診で組織球様腫瘍細胞が多量に出現したHBCの1例を経験した。症例は80歳代,女性で,左乳房腫瘤の穿刺吸引細胞診で,広い泡沫状細胞質を有する組織球様細胞や,好酸性顆粒に富むアポクリン様細胞を,散在性または疎な結合の重積性集塊で認めた。病理組織学的には,Alcian blue染色がびまん性陽性を呈した。ジアスターゼ抵抗性PAS反応は好酸性顆粒に富む細胞では強陽性,好酸性の弱い泡沫状細胞では陰性もしくは弱陽性を示した。GCDFP-15は陽性で,好酸性の弱い細胞により強染した。Adipophilin陰性,CD68陽性,ER,PgR,HER2陰性,androgen receptor陽性,Ki-67陽性率2%,p53はweakly 5–10%であった。E-cadherinは陰性,p120は細胞質内にびまん性陽性を示し,浸潤性小葉癌の組織球様細胞亜型(HBC)と診断した。HBCは,出現様式や粘液の染色態度が多形型浸潤性小葉癌と同様であったが,核異型,HER2,p53発現,Ki-67陽性率が異なり,それらは両者の鑑別点となると考えられた。またadipophilinが陰性を示し,アポクリン所見は不完全であった。
著者
角南 寛 清水 雄介 横田 育子 五十嵐 靖之 岸本 英博 松下 正之
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.473-478, 2017

<p>NIH-3T3 cells were adhered to three kinds of 3D micro-patterned scaffolds, placed face-down into culture medium in glass-bottomed dishes, and cell migration and the scaffolds were observed over 72 h. The three scaffolds differed only in terms of the unit shape of the repetitive pattern, namely a scale structure with equilateral triangular pores, a check structure with regular tetragonal pores, or a stripe structure with rectangular grooves. The angle that cells turn is influenced by the unit shape of the 3D patterned scaffold on which they are cultured. These differences in the angles that migrating cells turned correlated with differences in the angles they extended protrusions. In summary, the unit shape of the micro-patterned scaffold affects the angle at which cells extend, which in turn affects the angle at which migrating cells turn.</p>
著者
松下正爾著
出版者
石居健次
巻号頁・発行日
1962
著者
攝津 暢浩 高橋 学 松下 正史 岡部 永年
出版者
The Society of Materials Science, Japan
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.530-536, 2012
被引用文献数
6

We investigate the mechanical strength of ceramic/metal composites subjected to cyclic thermal loading. First, test samples of Cu/AlN systems are prepared via brazing. Next, short-term thermal cycle tests (25, 50, and 100cycles) are conducted at temperatures ranging from -40 to 125°C. Four-point bending tests are conducted to evaluate the residual strength. Further, thermal stress analysis is performed using the finite element method in order to examine the thermal stress behaviors during cyclic heating. The results reveal that the residual strength increases during 0∼20cycles because of residual thermal stress relaxation. This relaxation is generated by the cyclic softening of the metals owing to combined hardening. In contrast, relatively long-term thermal cycling (20∼100cycles) reduces the residual strength owing to damage growth to AlN. The AlN plates exhibit variability in residual strength, and the distribution of the residual strength for each cycle number conforms to the two-parameter Weibull curve. The variability in residual strength increases with the cycle number, and it is attributed to variabilities in the pre-existing crack size and damage accumulation. We conclude that the residual strength of the Cu/AlN composites depends on the thermal stress behavior and damage growth to the AlN plates.
著者
小嶋 哲人 松下 正 高木 明 山本 晃士
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

先天性プロテインS(PS)欠損症・異常症の遺伝子解析において、未解析の新たな症例検体については従来のPCRダイレクトシーケンス法を用いた遺伝子変異の同定を行った結果、新規変異を含めてその原因と思われるPROS1遺伝子変異を同定した。その中でPROS1遺伝子の蛋白翻訳領域には変異は見つからなかったものの、翻訳開始点より168bp上流のプロモーター領域に同定したC→T (c.-168C>T)の点突然変異のルシフェラーゼ・レポーター解析の結果、変異型では転写活性が20%まで低下し、先天性PS欠損症の原因と思われた。先天性PS欠損症症例で従来の各エクソンのPCRダイレクトシーケンス法にてPROS1遺伝子に変異の見つからなかった症例において、PROS1遺伝子の15個の各エクソン部に偽遺伝子と区別するPCRプライマーを設定し、Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification (MLPA) 法によってPROS1遺伝子欠失の同定解析を行ったところ、PROS1遺伝子の全欠失を示す症例を1例同定した。しかし、他の多くの症例では欠失を同定できず、遺伝子欠失の頻度はまれであると思われた。ヒトPSを産生するHepG2 細胞を用い、エストラディオール(E2)の添加による培養上清中のPS分泌量の変動についてELISA 解析を行ったところ、30%の発現低下を認めた。また、細胞内PS mRNAの変動についてReal Time PCRを用いて定量した結果、同様にE2 の添加によるmRNA発現低下を認めた。現在、PS遺伝子プロモータ領域をクローニングし、ルシフェラーゼ・レポーター解析による、HepG2細胞でのE2 によるPS遺伝子発現の制御動態解析を施行中である。
著者
山本 晃士 松下 正 小嶋 哲人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

肥満・糖尿病のモデルとして遺伝的肥満マウス(ob/obマウス)を用い、血栓傾向の分子メカニズムを検討した。肥満マウスでは、対照マウスと比較して血中PAI-1抗原量は数倍に上昇しており、組織におけるPAI-1 mRNAの発現増加も認められた。もっとも顕著だったのは脂肪組織で、血管平滑筋細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞等においてPAI-1 mRNAの発現が著明に増強していた。また肥満マウスでは外因系凝固の起始因子であるTFの発現も亢進していた。このTF mRNA発現増加も脂肪細胞自体によることがわかったが、脂肪組織内の血管を構成する細胞(血管外膜細胞)においても発現の増強が認められた。PAI-1に加えてTFの発現増加が、肥満個体における凝固亢進状態を増幅しているであろうと推測された。さらに、脂肪組織におけるPAI-1およびTFの発現を強力に誘導するTGF-βの発現自体も、肥満マウスの脂肪組織では週齢依存的に増加しており、血栓傾向を増悪させるTGF-βのメディエーターとしての役割は非常に重要であろうと考えられた。一方、肥満マウスに心因性ストレスを負荷し、線溶阻害因子PAI-1の発現と組織内微小血栓形成について解析を行った。肥満マウスおよび対照マウスを50ml用チューブ内に閉じ込めて拘束ストレスを負荷すると、肥満マウスではストレス負荷2時間後に早くも著明な血中PAI-1抗原量の上昇と組織におけるPAI-1 mRNAの発現増加を認めた。特に、脂肪組織や心臓、腎臓におけるPAI-1 mRNA発現は対照マウスに比べて顕著に増加していた。この傾向は20時間という長時間ストレスでも同様であった。また、このPAI-1 mRNA発現は腎糸球体の内皮やメサンギウム細胞、心筋内微小血管内皮細胞、脂肪細胞等に一致して認められた。さらにストレス負荷後の肥満マウスでは腎糸球体微小血管内にフィブリン沈着を認めたが、対照マウスでは認めなかった。以上より、肥満およびインスリン抵抗性を有する個体ではストレス負荷によってPAI-1遺伝子発現が著明に亢進し、これが組織内微小血栓形成を促進するひとつの原因と考えられた。これらの研究成果は、肥満・糖尿病患者における血栓症発症の病因・病態を考える上で重要な知見と言える。
著者
白 晶 松下 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.578, pp.333-338, 2007-03-01

現在、P2Pネットワークにおけるファイル交換は、サイズの大きいファイルの送受信が中心になってきている。各ピアは相手にファイルを転送する速度を制限するので、単一のピア間のファイル転送は遅いという現状がある。また、従来のピア間でファイルを転送する方法は、一対一の関係で行っているので、転送速度が遅いという欠点もある。本論文では、これらの問題を解決するため、協力ピアの利用手法を提案している。具体的には、P2Pネットワーク上で、ダウンロードしたいファイルのサイズと転送平均速度に基づき、ファイルを分割する。そして、協力ピアを決めて、各協力ピアにダウンロードしたいファイルの一部分を転送してもらうことにする。本稿では、転送系の構成法を示し、シミュレーションによって、高速化が達成できることを示す。